見える男
「ミナミ様、お待たせして申し訳ありません」
ドラゴンが喋るのも驚きだが、頭を低くしてドラゴンなりに姉ちゃんに礼を尽くしているように見えるのも驚きだ。
声だって微かに震えているようだ。
「そんなに待ってないよ、ポチ。悪いんだけどさ私らを王城まで乗っけてくれない?」
「畏まりました。こちらの方々はミナミ様のお身内でいらっしゃるのですか?」
「うん、弟とその恋人と友達だね」
おい、姉ちゃん。
柑奈は家族じゃなかったのか?
「柑奈です」
「源太です」
何も否定せずにサラッと名乗りやがった。
こうやって既成事実化して、外堀を寄ってたかって埋めに来てる気はしてたけども。
ほんと、うちの家族は僕と柑奈をくっつけたがって困るんだ。
柑奈も、普通に僕で良いと考えてるのが余計厄介なんだよな。
そう、多分僕「で」いいんだ。
別に嫌いじゃないし、ずっと一緒だし、うちの家族とも仲が良いし。
僕だって柑奈は好きだよ。
でもね。
でも、っていう……。
「美南の弟の大海です。誇り高きドラゴンをポチとお呼びするのは申し訳無いのですが」
「ミナミ様の弟君なら、ポチで構わない。この名はミナミ様のつけて下さった名だからな」
姉ちゃん、もうちょい良い名前つけてやれよ。
そして。
僕たちは、ドラゴンの背に乗り束の間の空の旅を楽しんだ。
とは言え、あまりにドラゴンの体が大きく、ドラゴンの背中の上からでは地上を眺めることができなかったのが残念だったが。
ドラゴンの背の上であることに気づいた。
ドラゴンの身体の中を何かが流れているのが見えるのだ。
血液ではない。
何か気のようなものが見える。
身体の中をゆっくり循環させつつ、一部を翼の骨格に沿って供給しているように見える。
「ポチさんの身体の中を何かがゆっくり循環しているように見えますが、これはなんですか?」
「ん?それが見えるのか?」
「まさか、あんた見えるの?」
他の人には見えないのか。
源太も柑奈も、首を振る。
「私たちには見えないから、正確なことはわからないけど、多分それは体内の魔力よ」
「大海殿には、翼の先まで流れている魔力の流れが見えているのか?」
「骨格に沿って供給してますよね」
「確かに見えているようだな」
これは普通見えないものなのか。
だが、魔力がみえることがどれほど意味があるのか、どういったメリットがあるのか。
「今迄、魔力がみえる人なんて聞いたことないよ」
「鑑定スキルは関係してるのかな?」
鑑定って、あくまでデータ的なものとして見えるスキルだと思うんだけど、ここで持っている僕のアドバンテージって精々鑑定スキルの高さくらいだからな。
「そう言えば、いったいあんた鑑定スキルのLvいくつよ?」
「Lv6だね」
さっきまであらゆるものを鑑定しまくってたから一つ上がったね。
勿論ポチも鑑定したさ。
ステータスは正直姉ちゃんとどっこいだった。
スキルに精神耐性Lv2がついていたのは、姉ちゃんに苦労させられてるからついたのかもな。
「鑑定スキル自体、この世界じゃ珍しい方だし、Lv6持ってる人は多分他にそうはいないと思うから、可能性は否定できないけど」
うん、僕もそう思う。
過去に鑑定スキルLv6が居なかったわけじゃないと思うし、もし鑑定スキルのおかげで「見える」ならそういう話が伝わっていそうだよね。
理由なんかわかりそうもない。
だが、僕には魔力が見えるようだ。




