8.ゴーレム戦
部屋の中央にいたのは、ゴーレム。
……でかいな。
人の形をしているが、その大きさは人の三倍はある。
それは、ゆっくりと動き出した。
ドン。
足音だけで、床が揺れる。
力も、かなり強そうだ。
「行くぞ!」
アルフォンスの声に合わせ、全員が動く。
今まで通り、前衛が出て、後衛が支援。
……そのはずだった。
アルフォンスの剣が振り下ろされるが……。
ガンッ!!
弾かれた。
「硬い……!」
フィオナも斬りつける。
だが、傷が浅い。
ほとんど効いていない。
「水刃閃!」
ユリアが放った水の刃が直撃。
それにより、ようやく傷らしい傷がつく。
だが。
周囲の岩がゴーレムに吸い寄せられる。
そして、あっという間に再生した。
……は?
再生までするのかよ。
そして次の瞬間。
ゴーレムの腕が動いた。
岩が宙に浮かび、変形する。
細長く、鋭く。
槍のような形に。
「来るぞ!!」
アルフォンスが叫んだ。
次の瞬間。
ドゴォッ!!
岩の槍が飛んできた。
速い。
しかも数が多い。
体が反射的に動いた。
槍が、さっきまで俺がいた場所を貫く。
……危なっ。
殺す気マンマンじゃねぇか!!
ルークも転がるように回避。
アルフォンスとフィオナも、間一髪で避けている。
一方、後ろでは。
エレノアが手をかざし、呪文を唱える。
「光壁!」
光の壁が展開された。
ユリアと二人、その中に収まる。
槍がぶつかるが、
ドンッ!!
光の壁が防いだ。
……助かった。
とりあえず、全員無事みたいだな。
だが、一つわかったことがある。
あのゴーレムは、強い。
どうすれば倒せるか……。
……待てよ?
ゴーレムの弱点は……。
「……コアです」
ユリアが言った。
「体の中心付近。そこが核です」
なるほど。
そこを壊せばゴーレムを倒せるということか。
……だが、問題はそれほど単純ではない。
生半可な攻撃では、そこを狙っても壊せないだろう。
かといって、強い攻撃を放とうとしたら、その間に岩の槍で貫かれる。
なんとか、強い攻撃を当てる隙を作れないものか……?
……そうだ!
「俺が行く」
思わず口に出していた。
こういうのは、俺の役目だからな。
「援護を頼む」
さて、ちょっと本気を出すか。
"影縫"を使えば、相手の動きは止められる。
だが、あれは相手の体が大きいとかなり手間取る。
なので、今回は別の方法にしよう。
俺はゴーレムの方へ走った。
次の瞬間、全身を光が包む。
体が軽くなり、力が湧く。
ありがとう、エレノア。
ゴーレムが生成した岩の槍が飛んでくる。
だが……。
「風障旋!」
風が吹き、槍の軌道を逸らした。
助かるぜ、ルーク。
その後も、仲間の援護のおかげで、確実に距離を詰めた。
だが、これはゴーレムに近づいてからが本番だ。
狙うは、ゴーレムの右足。
剣を抜き、斬りつける。
ガンッ!!
傷は浅いが、それで構わない。
「影刃」
続いて、闇魔法で刃を生成し、放つ。
ゴーレムの体は再生するが、そのスピードは遅い。
右足の細い所なら、再生する前に攻撃することで壊せる。
そうすれば、ゴーレムは体を支えられず、倒れる。
そこを狙うのが、俺の作戦だ。
もう一度、剣を叩き込む。
ズガンッ!!
おっ、手応えがあるな?
「リゲル!後ろ!!」
わかってる。
ゴーレムの腕が振り下ろされるが、これも俺の予想通り。
足元の影に手をかざし、
「影遁」
と呪文を唱える。
"影遁"は、影に入り込む魔法だ。
相手に気づかれずに近づいたり、攻撃を避けたりするのに役立つ。
ゴーレムの拳は俺に当たらず、地面を砕いた。
……当たったら終わりだな。
「無茶を……!」
エレノアの声が、少しだけ揺れていた。
さらに影の刃を生成して放つ。
ガッガッガッ!
よし、いける。
さらに剣を叩き込む。
そして……。
バキッ!!
ついに、右足を壊した。
ゴーレムの体が傾く。
支えきれない。
そのまま……。
ドォンッ!!
倒れた。
よし。
俺はすぐに距離を取った。
今だ!アルフォンス!!
一瞬だけ、王子と目が合う。
伝わった。
「全員、コアを狙え!!」
即座に指示が飛んだ。
フィオナが走り、王子も続く。
光が彼らを包んだ。
エレノアの支援魔法だ。
フィオナと王子の剣が突き刺さる。
ユリアも魔法を放った。
そして……。
バキィンッ!!
音が響いた。
一瞬、静止。
そして。
ゴーレムの体が崩れた。
岩がバラバラに落ちる。
……終わった。
「やったな」
ルークが笑う。
「ああ」
周りも息を吐く。
やった……倒した……。
……その瞬間、足元が光った。
「……は?」
足元には魔法陣。
いつの間にか展開されている。
「これは……!」
ユリアが目を見開く。
次の瞬間、光が強くなった。
視界が白く塗りつぶされる。
これは……
転移魔法か?




