7.ダンジョンの魔物たち
ダンジョンの中を進む。
静かだ。
……と。
「俺が索敵やるわ」
ルークが前に出た。
風魔法で周囲を探るらしい。
まあ、こいつ風得意だしな。
目を閉じて、集中するルーク。
空気が少し動く。
風が広がっていくのが分かる。
……俺も風魔法使えるからな。
何やってるかは、だいたい分かる。
しばらくして、ルークが目を開いた。
「……いる」
低い声。
お、マジか。
空気が一瞬、張りつめる。
「キメラだ!!」
「!?」
一斉に反応する。
キメラっておい。
それ、かなりヤバい魔物だぞ。
さすがにこの実習で出るレベルじゃ……。
……ん?
いや、待て。
風の流れ。
感じる気配。
これって……。
ルークと目が合った。
一瞬の沈黙。
そして……。
「なんてな」
ニヤッと笑うルーク。
「……は?」
フィオナの眉がピクッと動く。
「……ルーク?」
エレノアがにっこり笑ってる。
あ、これ怖いやつだ。
「貴様……」
フィオナが一歩前に出る。
圧がすごい。
「くだらない冗談はやめろ」
アルフォンスもため息。
ユリアは無言でルークを見ている。
冷たい目だ。
……うん、完全に怒ってるな。
で、俺はというと……。
「ぶっ……!」
吹いた。
「お前なにやってんだよwww」
「いやwwwちょっとwww」
ルークも笑ってる。
周りの視線が……痛い。
……さて、気を取り直して。
洞窟の中を進んでいくと、最初の魔物と遭遇した。
ゴブリンだ。
数体のゴブリンが、棍棒を振り回しながらこちらに向かってくる。
初戦闘だ。
俺たちは、事前に決めたとおりに動いた。
まず、王子とフィオナが剣を構え、前に出る。
この二人が前衛だ。
彼らが前に出た瞬間、淡い光が広がった。
体が軽くなり、力が出るのを感じる。
エレノアだ。
光魔法でバフをかけたらしい。
本来これは詠唱が必要なようだが、エレノアは無詠唱で素早く発動できる。
彼女のバフを受けた王子とフィオナが、ゴブリンと距離を詰めていく。
即座に剣が振り下ろされ、ゴブリンが2体倒れた。
「水刃閃」
さらに、ユリアの魔法で残りのゴブリンの体が切り裂かれる。
あっという間にゴブリンは全滅した。
……いい連携だな。
あ、俺もちゃんと活躍したぞ?
例えば、オークの集団が出た時。
オークは、ゴブリンよりもデカくて力もある魔物だ。
それに、奴らは数十体の集団で襲いかかってくる。
だから、普通に戦うとかなり苦労する相手だ。
そこで、俺の出番だ。
まず、先頭のオークに狙いを定め、
「影縫」
闇魔法を発動する。
"影縫"というのは、相手の影を固定し、動きを止める魔法だ。
だから、これで先頭のオークは身動きできなくなる。
それにより、後ろの方がつっかえて、オーク達の動きが乱れる。
そこを、みんなの攻撃魔法で倒していくんだ。
その後もスケルトンや、ミノタウロスなど、色々な魔物が出てきた。
だが、俺たちはそれらを全て倒し、順調に進んでいった。
特に大きな問題もなく、確実に奥へと進んでいく。
そして、目の前に大きな扉が現れた。
石でできた、重そうな扉だ。
この先には、この階のボスがいるらしい。
ゴーレムだそうだ。
ゴーレムというのは、人が作った魔物だ。
この先にいるのは、このダンジョン用に作られた個体だという。
「準備はいいか」
全員がうなずいた。
扉が開き、中に入る。
そこは、広い空間だった。
そして、中央に巨大なゴーレムが立っていた。




