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19.魔法属性の偽装




 次の授業。


 魔法理論。




 ……正直、今はそれどころじゃない。


 席に座りながら、頭の中はぐちゃぐちゃだ。




 ネロ先生。

 

 あの人が犯人だと思ってた。



 だが……。




 魔法属性が違った。



 火と土が使えない。


 だが、犯人は使っていた。




 これのせいで、犯人探しは振り出しに戻った。




 ネロ先生は違うとなると……。


 じゃあ誰なんだよ?




 あの六人。




 王子。


 エレノア。


 フィオナ。


 ルーク。


 ユリア。


 ネロ先生。




 誰も、条件に当てはまらない。



 ……となると。




 やはり外部犯か?


 あの岩場に隠れていた可能性は……。




 だが。


 あそこは開けている。


 昼間に隠れるのは難しい。




 ……いや。


 "影遁"を使えば、一応いけるか。




 だが、あれは難易度が高すぎる。


 普通は、他の属性を捨ててまで闇を極めるようなやつが使う魔法だ。




 俺みたいにな。




 つまり。


 あの犯人のように、火・風・土も使いながら……さらに影遁まで使う?




 ……ありえない。




 ……いや。


 待てよ?




 犯人は一人だけではない。


 実際、あの岩場には二人いたではないか。




 一人が岩場に潜み、もう一人が俺を襲った。


 そう考えれば、辻褄は合うな。




 だが、そうなると打てる手は限られる。


 あれ以降も影の鳥を偵察にやったが、結果は芳しくない。


 もっと広範囲に飛ばすべきか……。




 そんなことを考えていると、先生の声が耳に入った。




「では、魔法属性について説明する」


 ……あ、今授業中だった。



 半分聞き流しながら、耳を傾ける。




「魔法属性は、専用の石を使って調べる」



 ……なるほど。



「魔力を込めたとき、反応して光る属性が、その者の適性だ」

「光らなければ、その属性は使えないと判断される」




 ……ああ。




 あれ。


 入学前にやらされたな。


 結構めんどかった思い出がある。




 ……ん?


 ちょっと引っかかることがあるな。




「すみません」

「ん?どうした?」


 ちょっと確かめなければいけない。




「魔法属性って、偽装できるんですか?」


 教室が少しざわついた。




「偽装……か」


 先生は少し考えてから答えた。


「……基本的には不可能だ」




 やっぱりか。


「使えない属性を使えるように見せることはできない」


 まあ、そうか。




「だが」


 先生は続ける。




「逆は可能だ」




 ……逆?


「本来使える属性を、“使えないように見せる”ことはできる」

「卓越した魔力操作が必要だが、意図的に反応を抑えれば、石は光らない」


 な!?


 それって……!?




「まあ、普通はそんなことをする意味がないけどな」


 先生はそう締めくくった。




 ……なるほど。




 使えない属性を増やすことはできない。




 だが。


 減らすことはできる。




 つまり。


 ネロ先生は、本当は火と土も使える。




 だが。


 学園では、それを隠している。




 ネロ先生ほどの人なら、それは可能だろうが……。




 ……考えすぎか。


 正直言って、可能性は低い。




 だが。


 ネロ先生の可能性は、まだ消えてない。




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