18.ネロ先生について
次の日、退院して普通に学園に行った。
最初の授業は、闇魔法。
つまり、ネロ先生の授業だ。
席について、さりげなく様子を見る。
ネロ先生は、いつも通りの格好だ。
フードとローブで顔が見えない。
授業前、ネロ先生が話しかけてきた。
「ノワール。気分はどうだ?」
どうやら、こちらを気遣ってくれているらしい。
「まあ、大丈夫です」
と答えておいた。
そして授業中。
ネロ先生は、いつも通りだった。
「影は形を持たせることができる。ただし……」
説明は簡潔で無駄がない。
その後の実習でも。
「そこ、力が分散している」
「魔力の流れを意識しろ」
一人一人をちゃんと見てる。
しかも、的確に。
できてないやつには、分かりやすく教える。
できてるやつには、さらに上を求める。
普通に"良い先生"をしていた。
これだけだと、犯人かどうか判断はできないな。
そして授業が終わり、休み時間となった。
……さて、どうするか。
ネロ先生について、より詳しく調べたい。
だが、どうやって?
直接探るのは危険だ。
他にネロ先生について知る方法は……。
「とりあえず図書館に行くか」
ネロ先生は昔、有名なダンジョン攻略者だった。
ダンジョン関連の本に、何か載っているかもしれない。
というわけで、俺は図書館に向かった。
そして、ダンジョン関連の本を読み漁る。
ネロ先生の名前は、割とすぐ見つかった。
本によると、ネロ先生は"当代屈指のダンジョン攻略者"らしい。
多彩な魔法と剣術を活かした柔軟な戦闘を得意とするようだ。
特に、闇魔法を得意としていたらしい。
まあ、闇魔法の教師になるぐらいだし、当然だな。
そして、その後は怪我で引退。
今は教師をしている。
……経歴としては、何もおかしくない。
だが、いくつかひっかかる所があるな。
ーー多彩な魔法と剣術
ーー柔軟な戦闘
犯人の戦い方と一致する。
まだ確証はないが……。
怪しさは増したな。
ついでに、他の本も見てみる。
学園の本とかを読めば、何かわかるかもしれない。
……ん?
その中に、気になる記述を見つけた。
それによると、教師の詳細な情報が、学園長室にあるらしい。
……なるほど。
これは行くしかないな。
俺は、学園長室に入った。
鍵がかかっていたが、問題ない。
"影遁"を使えば、鍵がかかった部屋にも入れる。
中には、誰もいない。
机や本棚の中を探してみると……。
……あった。
教師に関する資料だ。
それをパラパラとめくり、ネロ先生のページを見つけた。
経歴に関しては、図書館のものとほぼ同じだ。
特に矛盾はない。
だが……。
魔法属性の欄。
そこに目がとまった。
ネロ先生が使えるのは……風、光、水、闇。
あれ?
火がない。
土もない。
犯人は、火、風、土、闇、の魔法を使っていた。
ネロ先生の魔法属性とは、一致していない。
ネロ先生は、火と土が使えない。
だが、犯人はそれを使っていた。
……じゃあ、違うのか?
やはり、犯人はあの岩場に隠れ潜んでいたのか?
それとも、ネロ先生が何らかの方法で魔法属性を偽装しているのか?
これで、一気に分からなくなった。
誰だ……。
犯人は。




