第二十一話 ライバルの複雑な感情
―シルバ視点―
「くそっ」
自宅の庭で、魔力を練る特訓を続ける。
マモルの圧倒的な才能を見せつけられてから、俺の修行はさらに厳しくなっていった。
あいつに追いつくために何年も努力を重ねてきたが、その間にも彼はさらに強くなっていく。
本当に全盛期の半分しか魔力を持っていないのかと思うほど、その才能は圧倒的だった。
自分の凡人ぶりが嫌になる。
皆は俺のことを天才魔導師だともてはやすが、俺はただの秀才だ。
本物の天才には勝てない。
本物の天才とは、才能があるだけでなく、努力もできるやつのことだ。ケルベロス事件が起きるまで、俺はいつも親に褒められて生きてきた。
魔力の才能が圧倒的だと認められていたからだ。
マモルも生まれながらにして強大な魔力を持っていたが、幼少期に半身不随になってしまったため、俺ばかりに注目が集まっていた。
だから、俺はあまり努力をしなかった。
だが、その怠惰がケルベロス事件によって暴かれてしまった。
同世代の五歳児が、自分の自信を圧倒的な力で打ち砕いたのだ。世界の英雄となったあいつを見て、今まで信じていたものがすべて崩れ去ったような感覚になった。
自分はどうして努力をしてこなかったのだろうか。
そう思ってからは、ひたすら努力を続けてきた。
うちの家系では、魔力で誰にも負けてはいけない。そう教えられ続けていた。
代々続く純血の魔導師家系であり、魔法が強くなければ生きる価値がないとさえ教えられてきたほどの家系だ。
その家系の中でも、俺は史上屈指の才能を持つと認められていた。だが、同世代にはマモルがいた。
それによって、俺の中には少しずつ歪な感情が生まれていった。
「集中力が乱れているぞ」
横にいて、同じく瞑想している父から厳しい指導を受ける。
ほんの少しでも魔力に乱れがあれば、父から注意してもらうようにしていた。魔力を強くするためには、集中した瞑想が必要だ。
瞑想を重ねれば重ねるほど、魔力は強くなる。だが、俺の魔力はおそらくマモルの半分以下しかないだろう。成長速度はわずかだが、それでも積み重ねは大きくなる。
つまり、全盛期のあいつの四分の一にも満たないということだ。ここまで努力しても、まだ四分の一にさえ達していない。
驚くべきことだ。そして、マモルは才能だけではなく、努力の面でも俺を圧倒している。
追いつけるわけがない。
そんなことは分かっている。
だが、追いつけないと分かっていても、追いつこうとしない自分を許せるだろうか。もう一人の自分へと問いかける。
心の弱さをさらけ出しているもう一人の自分を叱咤激励し、それでも奇跡を信じるために一歩を踏み出す。
明日は授業で魔法の練習試合が行われることになっていた。
俺はマモルに練習試合を申し込むつもりだ。
おそらく勝つことはできないだろう。だが、これまでの努力で一体どこまであいつに近づけたのか、それを確かめる良い試金石になる。
そのためにも、さらに集中を続ける。俺は意識を研ぎ澄ませ、瞑想の深みへと潜っていった。




