第十九話 ミランダの実力
本日二回目の更新です!
「おい、一年。こないだはずいぶんと世話になったな」
放課後、マモルの車椅子を押していると、三人の男たちに呼び止められた。
この前、マモルにこてんぱんにされた不良たちだ。
私もあとで調べたけれど、この三人の貴族出身の若者は、相当に素行が悪いらしい。
親からもほとんど見捨てられているような状態であり、今や貴族という立場だけが彼らの誇りとなっている。
まったく、面倒くさい奴らだ。何度やったところで、マモルに勝てるわけがない。
それに、彼らは実家からの庇護もほとんど期待できないと考えていいだろう。
ならば、こんな連中のためにマモルに魔法を使わせるわけにはいかない。
私は車椅子の前に立った。
「おいおい、そんなお嬢ちゃんが俺たちにかなうわけねえだろ」
「当たり前だ。剣を持っているから騎士のようだが、所詮はいいところのお嬢様だろう?」
「俺たち三人がかりでボコボコにしてやるよ」
それを聞いて、私は思わず苦笑した。
まるで私の怒りのツボを的確に押さえているかのような挑発だった。
そう、私は守られるために生まれてきたとさえ勘違いしていた。だから、マモルに重い負担をかけてしまった。マモルを守ることに関しては、どうしても譲れない。
「ミランダ、大丈夫だよ。今日も僕が……」
「いいわ。こんな三人ぐらい、私がなんとかしてみせる」
心配してくれるマモルをよそに、私は三人に向かって歩き出した。
「おいおい、本気でやる気か?」
確かに、この三人は私と同じクラスの魔導士だ。でも、私の本質は魔導士というよりも剣士に近い。
マモルが身体的なハンディキャップを負ってから、私は彼の代わりに剣となり、盾となるため、今までずっと鍛錬を重ねてきた。
この程度の連中に負けるわけにはいかない。
私は一番屈強な男に向かって突撃した。
そして、剣を一振りする。こちらの攻撃に備えて、彼は詠唱を始めようとした。
けれども、遅い。
マモルの神業のような速さの魔法に慣れきった私にとって、わざわざ戦闘が始まったあとに詠唱を始める魔導士ほど愚かなものはいないとわかっていた。
実戦だったら、彼らは一瞬にして切り刻まれている。
本来、魔導士は遠距離からの攻撃を専門としており、こんなふうに近距離で戦うべき立場ではない。
にもかかわらず、剣士である私の間合いに、彼らは自ら近づいてきてしまっていた。
これが街中でなければ、本当に無残な目に遭わせているところだ。
自分でも思わず言葉が悪くなってしまっていることを自覚する。
でも、彼らはそれどころではなかった。
「えっ?」
男のベルトが一瞬にして切れた。ズボンがずり下がり、下着があらわになる。
「はっ? 切られたのか? あの速さで……?」
彼は魔導士ということで、杖しか持っていない。近接戦闘において、杖では剣には勝てない。
「どうする? まだ続ける?」
私が彼らに尋ねると、三人は「ひぃっ!」と悲鳴を上げた。
そして、ずり落ちたズボンを無理やりたくし上げ、どこかへと消えていった。
「次は容赦しないわよ」
私はそう言って、彼らを見送った。
マモルは少し呆れ気味だったけれど、それでも「ありがとう」と言ってくれた。




