053 側近たちの縁談
話タイトル通りです。
本当に人が多くて・・・まぁこの人は誰の側近でそこがまとまったのね。は置いておいて温度差とか貴族的とか恋愛が絡むとか思惑は?とかを楽しんで頂けると幸いです!
以前に皆で会議したリシュエンヌの離宮の部屋にて王子王女の兄弟3人とその最も近しい側近たちとメルヴァン・ブラウン伯爵令息が集められた。
皆が続々と集まる中、会を開くようにイーヴォイェレミアスから頼まれていたリシュエンヌが先に会場に待っていると、イーヴォイェレミアスの訪れを前触れに来たジェラルドにリシュエンヌが声をかける。
「ジル、ご婚約おめでとう」
ジェラルドは主の元に戻ろうと踵を返そうとした体をリシュエンヌに向き直し、礼を取ると「ありがとうございます」と答える。リュシエンヌもニコリと微笑み、ジェラルドの主とは違って揶揄いは無く、心配の色も見えず祝福していた。ジェラルドの祖母である。リシュエンヌの大叔母から今のフランチェスカについて聞いているようでホッとする。
そうしていると、ナサニエルも現れハーシェルヒルムの訪れを告げる。自分たちの主の元に戻るジェラルドはナサニエルにも祝いの言葉を貰う。次は、君の番だなと返すと大きな溜息をつかれた。
「お兄さま、ようこそ」
「あぁ。ありがとうリシュ。少し緊急で色々決めなくては行けなくてね。其方が準備をしてくれて助かった。マリアは?」
「マリアは、陛下のお気に入りですもの森の館に配属が移動になりましたわ!マノンが侍女長へなりました」
リシュエンヌがマノンに視線を向けると、マノンはイーヴォイェレミアスとハーシェルヒルムに向かって深くお辞儀をした。
「この度、リシュエンヌ様の侍女頭と共に城の侍女長に就任致しました。マノン・ライトでございます。よろしくお願い致します」
「母上の侍女長から城の侍女長まで申し渡されたんだね。よろしく頼むよ。変わりはないな」
「いやっ手間が減ったでしょう?マノン良かったね」
「イーヴォイェレミアス殿下、殿下の奥方を迎えるまでになりますが精進致します。ハーシェルヒルム殿下。お気遣いありがとう存じます」
マノンとの挨拶を済ませると、イーヴォイェレミアスは側近たちへも着席するように声をかける。
「うちからは、ファウスト、ラファエル、リズ」
「私のところからは、オリヴァーとナサニエル」
「私の側近からは、マノン、ジャネット、グレーテ」
「一緒に着席しなさい」
「「「「はっ」」」」
「「「失礼致します」」」
名を呼ばれた側近たちと殿下3人が着席をするとそれ以外の側近たちの給仕で皆にお茶とお菓子が配膳される。イーヴォイェレミアスは、ひとつお茶に口をつけるとまずはリシュエンヌに向かう。
「さて、君らの前にだ。リシュエンヌ。其方に婚約の打診がある」
「断ってください」
間髪入れず返事をするリシュエンヌにイーヴォイェレミアスは髪の毛よりは少し濃ゆい金の眉尻を下げて困った顔をする。リシュエンヌは、いつもの彼女らしく無く大きな溜息をついて見せて答える。
「帝国との縁は、ハーシュにウルリーケ殿下殿下を迎え入れるという事で結びは出来ております。私が婚約を受ける必要は無いかと存じます」
「だがな・・・今はまだ第三皇子という立場だからいいが立太子されると・・・」
「その時には、イヴ兄様は国王陛下でございましょう。他国の王太子に負けないでくださいまし」
「リシュ・・・無茶を言うな。彼も立太子したら数年後には皇帝だ・・・私が、先延ばしに出来るのは皇子殿下は立太子されるまでだ。それ以上は難しいぞ・・・はぁ。アードがいれば少しは交渉しがましになるのに・・・」
「叔父様に負けたのでしょう?」
「あはは早かったですねぇ~オーランド叔父上の根回し都囲い込み」
「王弟派こそ、もっとオーランド・アンダーソンという男を見ろと思うのは私だけかい?あの人が本当に王位を欲していたら父上も我々も存在すらしていないかもしらんぞ?」
「担ぎあげて、敵に回していることにいつ気がつくのかしら?」
「気がつかせないで、いい様に使うんじゃないか?そして、何か不備を見つけては私に処理指せるんだ・・・はぁ」
「まぁ。正直。叔父上は僕らのこと可愛がって頂いてますし、ユリアーナ叔母上とディーを大切にしてたら敵に回ることが絶対ない人ってある意味楽だと思う・・・」
少しの沈黙が広がり、其々がお茶に口をつけ呼吸を整えるとイーヴォイェレミアスは口を開く。
「そうだな。考え方だ大事だな」
「そうね。叔母様とディーも大好きな叔母と可愛い従妹ですもの。何の問題も無いわ。私たちは私たちがしないといけないことを進めましょう」
「あぁ。・・・この度、ハリス伯爵家次男のジェラルドがブラウン伯爵令嬢フランチェスカと婚約した。まぁ後から聞いた話では言い縁になったようだが、打診としては王弟を増長されない為、彼らの勢力を我々に食い込ませない為に今、婚約者もいない者達に縁談を打診したい」
「リズ、メルヴァン。君たちはどうかな?」
「すぐに、メルヴァンを取り入れようとしないでくださいませお兄様!」
「メルヴァンは、司法局所属だからお前については行けないよ?」
「私が何処かに行く前提でお話するのはやめて下さいませ・・・でも、そうですね。東では無くても他国へ出る可能性がありますものそれも含めて考えなくてはいけないわね」
リズが挙手をして発言の許可をとる。イーヴォイェレミアスが許可を出すと、リズは事務的に淡々と話し始める。
「メルヴァン様は上位の伯爵家のご嫡男になります。我が家は子爵家の末端です。年齢的にも身分的にも私と縁組はファウスト様との方がつり合いが取れているかと、同じイーヴォイェレミアス殿下の側近同士です」
「まぁ。側近同士であれば、安心だが・・・ファウストは?」
「・・・私は男爵家の者ですが、よろしいのでしょうか?」
「お前は、まだ嫡男で継ぐ家がある分・・・ん?リズを取られるのか?」
「考えていませんでしたね?殿下。私は、結婚して退職すれば領地経営に比重を傾けなくてはなりません。そういうお約束ですよ?我が家は、子は私のみなんですから・・・」
「そうだな。婚姻は、数年待てるか?」
「「それは、もちろんです」」
二人で口をそろえて少々するとファウストは更に話を続ける。自分の段取りを伝えておくと加味してくれる上司なのだから素直な状況と自身の将来について説明する。リズも同調する。
「殿下の治世が始まり少し落ち着くまで、我々は必要でしょう?」
「そうですよ。若手では1,2番の事務方を失ったら殿下が困るのでは?」
「父上達が健在の間は、相談しながら夫婦で仕えるのも可能ですが・・・婚姻するとリズ殿が休まなくてはなりますからね。婚約期間を設けて結婚時期はその時に相談でどうですか?」
「いいと思います。それで、いきましょう」
「流石、事務能力優秀者の二人」
「事務的に決まりましたね」
淡々と円滑に進む婚約の話に少しだけ、たじろぐか話が早くて正直助かる。婚約の話をすることはそれとなく伝えていたので其々が考えてきたことにイーヴォイェレミアスは安堵する。
「ラファエルが難しいな。グリーン公爵はなんと?」
「はい。次男でスペアとしての教育は受けておりますが、うちには弟もおりますので国外に出てもかまいません」
イーヴォイェレミアスの側近を外れてもいいとさらりと言うラファエルに、イーヴォイェレミアスは驚き声を上げる。
「おいっ。お前はすぐにそういうことを言う」
「しかし、イーヴォイェレミアス殿下の側近が、我々以外も1番充実しています。宰相としてオーランド王弟殿下にエーレンフリート様も近くにおります。アーデルベルトもそのうちよく顔を合わせるでしょう。
それに、ルードリッヒ様も騎士も目指しておられる様子。ニコラス様からも侍従と騎士どちらが不足していますか?と質問されているとメルヴァン様も仰っておりました。数年後に私が国外へ出る頃には充実していくのではないのでしょうか?」
「確かにな。マノン」
「私はかまわないのですが・・・大分、年上ですがグリーン卿はかまわないのですか?」
「えぇ。私は5歳くらいは差異だと思っています」
「マノン、これの初恋は城に出仕した14歳の時に母上だ・・・」
「殿下黙ってください。
・・・ライト嬢も都合がよろしいのでは?リシュエンヌ殿下の乳母を目指されておりますでしょう?リシュエンヌ様と同じころの婚姻で良いのではないかと思うのですが?」
「よろしくお願い致します!結婚を待っていただけるのなら私はかまいません!」
何故か、マノンの比重とラファエルの根回しの良さに寒気を感じたがイーヴォイェレミアスもリシュエンヌも目を合わせて頷く。ラファエルの言う通り、次期王族の側近はこれからも増やすことが可能だが他国に嫁ぐ可能性のあるリシュエンヌが今から信用のできる慣れた人間を置くことは難しい。
二人は納得した後に、リシュエンヌはハーシェルヒルムに向き直り、にこーと笑みを深めおねだりするようにハーシェルヒルムに尋ねる。
「ねぇ。ハーシュ。エルとジェーンを交代しませんこと?」
「駄目です。ナサニエルがいないと執務が回りません」
「でも、女性の護衛騎士を二人も置いていけないのよねぇ」
リシュエンヌの発言に、グレーテとジャネットの悲鳴のような声がかぶさる。そのまま、国に置いて行かれると思ったグレーテがメルヴァンに向き直り質問を投げる。
「「リシュエンヌ殿下!」」
「メルヴァン様。ナイツェル様はリシュエンヌ殿下のお役に立てますか?国を出る事をブラウン伯爵は容認しますでしょうか?」
「はい?あぁナイツェルですね。はい。最近、伯爵領の執務を教えているのですが・・・学力はAクラスなので申し分無いのですが・・・如何せん・・素直でして・・・人からの影響を受けやすい人間です。今から鍛えられるでしょうか・・・?国外へ出ることは可能です。ニコラスに関しては国から出すことが来ませんので、ナイツェルなら・・・」
「リシュエンヌ殿下。いかがいたしますか?私の方から見ましてもナイツェル様は気遣いのできる素直な方だという認識です。我々が見守り、鍛えていけば姫様のお役に立つのではないでしょうか?
ブラウン伯爵令嬢も素晴らしい成長をしております。ブラウン伯爵家はポテンシャルが高いかと。教育さえ施せば・・・」
「では、グレーテはナイツェル様との婚約を求めるのね?」
「はい」
「メルヴァン様、いかがでしょうか?」
「はい。父上とも先に話をしておりました。リストの中にハリス伯爵令嬢は最有力でございます。グレーテ嬢がよろしければ是非。ナイツェルも喜ぶでしょう」
「グレーテは纏まったわ!ジャネット、貴方は?」
グレーテのプレゼンにより、グレーテのリシュエンヌの側近の確約とナルツェル・ブラウンの与り知らぬ所で婚約が決まった。人に、頼りにされたり。切望されることを求めているナイツェルであれば、グレーテの熱心な口ぶりに奮起すのではないかとメルヴァンもホッと胸を撫でおろす。
グレーテの婚約は纏まり、リシュエンヌはジャネットに水を向ける。彼女は先ほどから珍しく顔色を少し悪くして沈黙している。そんな、リシュエンヌの声かけにオリヴァーが発言を求めリシュエンヌは了承する。
「お話を遮り申し訳ございません。発言の許可を頂けますでしょうか?」
「えぇ。いいわ。オリヴァー」
オリヴァーはリシュエンヌに礼をすると席を立ち、イーヴォイェレミアス、ハーシェルヒルムにも御前を失礼しますとゆっくりと、ジャネットの席の横まで着くと膝をおり話し出す。
「ジャネット嬢。私と結婚するのはどうだろうか?君との時間は・・・楽しかった。女性といて疲れず楽しかったのは初めてなんだ。君となら家庭を持てると私は自惚れているのだが・・・・・君はどうだろうか?」
突然のオリヴァーの告白に、周囲は微笑ましい物を見る目の者とニヤニヤ顔に別れる。当のジャネットは、先ほどまで自分自身の進退について顔を青くしていたが、グレーテとマノンがラファエルとナルツェルを連れて姫様に着くのであれば例え認められなくても、相手に断られても自分の気持ちを言ってみるだけなら許されるのではないかと考えていた。
独身主義のオリヴァーには断られるかもしれないが、ジャネットはオリヴァーとの婚約を希望すると勇気を出してみて断られたらこの気持ちにもケリがつけられるのではと思っていた矢先のオリヴァーからの告白である。顔を赤くして口をハクハクと動かすジャネットにナサニエルが叱咤する。
「姉上。オリヴァーが逃げますよ!」
次の瞬間、オリヴァーの差し出された手をパシッと両手で包むというよりは捕まえて頭をぶつかるのでは無いかと思うほど勢い良く頭を下げて答えた。
「喜んで!よろしくお願い致します」
「おぉ!纏まったな。後は、メルヴァンとナサニエルか」
今までが殆ど、利益と事務的な淡々とした婚約の決定だったのでこのやりとりに会場の空気が緩和する。微笑ましいものをみるようにハーシェルヒルムが二人を見ているとリシュエンヌが口を開く。
「これで、ウルリーケ殿下とご一緒されるときはジャネットを伴う事が出来るし筆頭護衛騎士の奥方なので安心するでしょう。ウルリーケ殿下の側近とのやり取りも貴方とナサニエルが中心になりますよジャネット。精進なさいね」
にっこりと微笑みジャネットを快く送り出すことを決めたリシュエンヌに、ジャネットは顔を引き締めて答える。
「ハーシェルヒルム殿下とウルリーケ殿下をお守りすることをお許しありがとう存じます。精進致します」
リシュエンヌの考えに、至っていなかったイーヴォイェレミアスとハーシェルヒルムは感心する。姉・妹に叶わないなと思いつつも残った二人の進退へと話は続けなくてはいけない。すると、待っていたようにナサニエルは挙手をして発言する。
「私は、ウルリーケ殿下の側近との縁談を望みます。打診してもよろしいでしょうか?」
ナサニエルが、発言するとイーヴォイェレミアスは抑揚に頷き許可を出す。イーヴォイェレミアス達の乳兄弟は何処までもハーシェルヒルム第一主義に改めて感謝する。イーヴォイェレミアスを支えるハーシェルヒルムが揺らがないことがイーヴォイェレミアスも望むことだと理解してくれる乳兄弟を心強く思った。
「殿下、発言よろしいでしょうか?」
「あぁ。メルヴァン。なんだ?」
「私の婚約者なのですが、ウォーカー辺境伯の従兄弟であらせられるアレオン子爵家の末娘のゾエ嬢はどうかとフィンセント様経由でご連絡がありました。ウォーカー辺境の年の離れた弟君に分けられた領地はブラウン伯爵領とも隣接しておりますので良い縁かと思うのですがいかがでしょうか?
私も、司法局の者です。王家の側近とは友人以上の縁を結ぶべきでは無いかと愚行致します」
メルヴァンの言葉に、次代の若い人間たちの心強さを有難く思い。イーヴォイェレミアスはメルヴァンにそれは良い縁談だと返す。
拝読ありがとうございます。
後、2話。明日の9時と21時で完結になります!
~登場人物~
【愛称:イヴ】イーヴォイェレミアス第一王子殿下(19)
王国第一子、第一王子*髪:金、肩下、ウェーブ、一つの三つ編み*瞳:赤紫
【愛称:リシュ】リシュエンヌ第一王女殿下(18)
王国第二子、第一王女*髪:金、腰下、ウェーブ*瞳:碧
【愛称:ハーシュ】ハーシェルヒルム第二王子殿下(16)
王国第三子第二王子*髪:銀髪、腰まのロング、ストレート(ポニーテール)*瞳:青紫
オリヴァー・ミラー騎士伯(25)【ハーシェルヒルム 側近(騎士)】
ミラージュ子爵家五男。 髪:黒、短髪 瞳:明るい茶色
【愛称:エル】ナサニエル・イーストン子爵(17)【ハーシェルヒルム 又従弟/側近(従者)】
イーストン子爵家三子(次男) 髪:ピンク、ふわふわ天然パーマ 瞳:赤
【愛称:ジル】ジェラルド・ハリス伯爵子息(19)【イーヴォイェレミアス 又従弟/側近(騎士)】
ハリス伯爵子息二子(次男) 髪:銀、ロング(影武者もできるようにあえて延ばしている) 瞳:紫
トビアス・パトラー騎士伯(27)【イーヴォイェレミアス 側近(騎士)】
パトラー伯爵家三子(三男) 髪:深緑 目:こげ
ファウスト・ミラ男爵子息(20)【イーヴォイェレミアス 側近(従者)】
ミラ男爵家第一子(長男)嫡子だが兄弟が多いため 髪:青 目:オレンジ
ハイムンド・ウッド伯爵子息(21)【イーヴォイェレミアス 側近(従者)】
ウッド伯爵家三子(次男) 髪:インディゴ 目:オリーブ
ラファエル・グリーン公爵子息(19)【イーヴォイェレミアス 側近(騎士)】
グリーン公爵家四子(四男) 髪:ラベンダー、天パ 目:フレンチグレー
リズ・モール子爵令嬢(18)【イーヴォイェレミアス 側近(侍女)】
モール子爵家一子(長女)5人兄弟長女 髪:赤茶 目:瑠璃色
マノン・ライト子爵令嬢(24)【リシュエンヌ 側近(侍女)】
実質、侍女長の働きをする。 髪:ワインレッド 目:濃紺
【愛称:ジェーン】ジャネット・イーストン子爵(17)【リシュエンヌ 側近(騎士)】
ナサニエルの双子の姉 イーストン家第二子(長女) 髪:ピンク 目:赤
マリア・ホール伯爵令嬢(21)【リシュエンヌ 側近(侍女長)】
国王陛下のお気に入り 髪:モスグリーン 目:菫色
【愛称:レティ】グレーテ・ハリス伯爵令嬢(15)【リシュエンヌ 側近(騎士)】
ジェラルドの妹。13歳で騎士の才覚を魅せリュシエンヌにスカウトされる。 髪:深緑 瞳:紫
メルヴァン・ブラウン伯爵令息(22)
ブラウン伯爵令嬢一子(長男)*髪:オレンジ色、ストレート、ボブ*瞳:紫紺色




