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高貴なる者の義務と放埓  作者: 島城笑美


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039 第一王子の驚愕

また新登場が・・・

ベアトリクスが担当しているはず離宮に着くと、すでに準備が整っている1番広い応接室に案内されたイーヴォイェレミアスは言葉を失う。


通常であればイーヴォイェレミアスの為に空いている場所であろう応接室の一番奥の席に、侯爵家の装いの衣装を身に纏った幼少の時に1度見た深い海を思い出すオリエンタルブルーの長い髪の星の様な銀の瞳を持つ男が座っていた。年のころは、3つか4つ下くらいでハーシェルヒルムと近いだろうか。少年から青年に変わる年頃の男性だった。しかし、彼からはその衣装や席では不足しているほどの高貴さを醸し出していた。


イーヴォイェレミアスは、内心では溜息を着くが威風堂々と彼の前まで歩みを進めると帝国風の礼をとる。それを男はにこやかな笑顔で鷹揚に受け入れ口を開く。


「すぐに分かってしまいましたね。流石です」


「その席に、お座りになってそれを仰いますか?」


「えぇ。たまにいるんですよ。何故、私の席に座っていると激高する方がね」


それは、奇特な人ですねとイーヴォイェレミアスが返事をしている間に、オリエンタルブルーの髪の男性は自身の隣に椅子を持ってくるようにと見知らぬ顔の二人に指示をする。


アーデルベルトが溜息をつくと、二人を静止してクレメンスと共に椅子を運んでくる。椅子が自身の隣に設置されるのを確認すると席を立ちイーヴォイェレミアスに挨拶をしながら着席を促す。


「ご無沙汰しております。リーヴバレンティ帝国第三皇子テオフィルでございます。突然のご訪問失礼致しました。イーヴォイェレミアス殿下こちらにどうぞ。皆も座りなさい」


「隣でよろしいのでしょうか?」


「同じオウジではありませんか?」


「大帝国の皇子は、王子の私どもよりは上位でございましょう?私どもの許可など必要ないようですし?」


イーヴォイェレミアスも流石に怒っていた。アーデルベルト並びにクレメンスとベアトリクスは青い顔をしている。きっと、この皇子がごり押しで同乗してきたのであろう内心溜息をつくが、何故城壁内の離宮に当たり前のようにいるのか。


「いえいえ。私どもも止められるのであればと身分を明かす物を持ってきたのですが、テイラー嬢とアーデルベルトの顔を見て城の門番が通してしまいましてね。大変驚きました」


イーヴォイェレミアスは絶句する。その時の門番は誰だったのか確認しなくてはならない。自国のあまりの平和ボケした騎士たちに憤りながら、皇子殿下への怒りを仕方なく抑え話の水を向ける。この様に帝国の次期王太子と会える機会などそうそうないが先に相手の話を聞くべきだろう。


「それは、我が騎士の不徳の致すところで、さぞご心配かけたでしょう。わざわざ入城されて第三皇子殿下のご用件は?」


「ふふっ。そろそろ私と話したいかと思いして」


にこやかに微笑みながらイーヴォイェレミアスへ手を向けてそう宣う。腹立たしいが、実際のところその通り過ぎて何も言えない。今日、アーデルベルトを呼んだのもこの第三皇子への連絡手段として呼び出しであったイーヴォイェレミアスは、第三皇子の奇行は諦めて建設的な話をするべきだと切り替える。


「私の事を慮って下さったのですね。ありがとうございます」


「いえっこの国がどうしようもなかったらアーデルベルトを連れて帰ろうかと思いまして、前回会ったクレメンスと今回初めて会いましたテイラー嬢もご一緒に!せっかくですから一家でもよいですがね」


ニコッと効果が聞こえそうなほどにこやかに発せられた言葉を、目を白黒させながらなんと返すべきかと思考するがイーヴォイェレミアスの答えが出る前にアーデルベルトの鋭い声が飛ぶ。


「フィル。殿下に無礼を働きに来たのであれば、ここからも今すぐに追い返すぞ」


「おっと。君には嫌われたくないんだ。すまない!」


「謝るのは私じゃない!」


「申し訳なかった」


ガバッとイーヴォイェレミアスに向かってテオフィル第三皇子が頭を下げるのをイーヴォイェレミアスは絶句しながら眺める。イーヴォイェレミアスはそんなに、動揺するタイプでは無いはずなのに、イーヴォイェレミアス自身の常識の使えなさに先ほどから混乱しっぱなしである。


困った様に眉尻を下げるテオフィル第三皇子に思わずイーヴォイェレミアスは笑いが止まらなかった。もう限界だった。そんな、イーヴォイェレミアスにベアトリクス以外の全員が固まる。今度こそ、こちらのしてやったりだと内心ほくそ笑む。


「あはは・・・はぁはぁ・・もう無理・・・意味・・・分かんない・・・」


「イヴお兄様!落ち着いてくださいまし!第一王子でございましょう!」


ベアトリクスに叱責された。イーヴォイェレミアスははぁ~と深呼吸をひとつすると何食わぬ顔でいつもの第一王子の顔を繕う。


「失礼致しました。テオフィル第三皇子殿下。話を致しましょう」


イーヴォイェレミアスの切り替えに、テオフィルも虚を突かれたようにはいとしか答える事が出来ず鷹揚に頷いた。


「テオフィル第三皇子殿下は、いつ頃まで滞在可能でしょうか?」


「え?あぁ。はい。ハーシュの誕生の祝いまでいてもいいと思ってますよ」


イーヴォイェレミアスは少し目を見開くと、その青紫の瞳を細める。あぁ、なんて話の早いお方なんだろうと微笑む。


「あっ!そんな長い名称で呼ばないでください!フィルでいいです。こちらの第三王子はテオ殿下ですよね?」


「あぁ。うちの第三王子はテオフィリスです。なんだかお名前が似ていますね」


「はい。私もそう思いました。同じ第三オウジですしね!」


「私の事も是非、イヴと呼んでください。長い名前ですしね」


「あっバレてました?愛称で呼んでいいと言われるまで呼ばないでおこうと思っていました!噛んだら申し訳ないなと・・・」


「なかなか、呼ばれませんね。妃殿下くらいでしょうか・・・あと、大叔母上か」


「おぉ!きちんと呼んでくださる方は大切にしませんと!」


他愛もない話にあははと和み、本題へと入る。テオフィルは、エヴァンス侯爵家に滞在をしているので当日の招待状を送ってほしいとイーヴォイェレミアスに頼む。


「分かりました。ハーシュの留学中の友人という事で招待状を出しましょう。よろしいですか?」


「はい。構いません。友人を二人ほど連れてまいります。きっと、イヴ殿下のお力になると思います。私のエスコート相手は・・・」


「お連れしないで下さい。妹に頼んでおきます」


「そうですか。わかりました」


ふたりは似た様な笑みを交わし、ではハーシェルヒルムの誕生の祝いの宴で会いましょうと握手を交わした。


エヴァンス侯爵家の馬車二台で登城して来たという事で、テオフィル殿下たちは先に帰路につくことになった。離宮の車止めまで見送りイーヴォイェレミアスたちは先ほどの応接室に戻る。


「アーデルベルト」


「申し訳ございません」


「・・・・・」


「いつの間にか入国しており・・・行くと聞かず・・・しかし、あの方あれで頼りになりますので・・・」


「警備体制をどうにかした方がいいか?城門はともかく、国境は商人や普通の貴族のふりをされたら選別は不可能か?王都に入る際も、あちらの国の貴族の紋章とかあると制限は無理か・・・友好国である帝国からの入国は多少緩いからな・・・私も帝国に入って確認してみるか・・・」


アーデルベルトの謝罪を軽く受け流し、イーヴォイェレミアスは入国の容易さに思考を飛ばしながらブツブツと呟いている。アーデルベルトの肩をジェラルドがポンポンと叩き首を横に振る。


「今は無理だ。何も聞こえていない。・・・お茶でも入れ替えましょうか?ファウストさん」


アーデルベルトに状態を話しつつ、一緒についてきたイーヴォイェレミアスの従者のファウストへジェラルドは話しかける。


そうですねと静かに返事をすると、ファウストと侍女のリズは城のメイドたちを呼び音もなく、今の茶器を片付ける。さらに、指示をして新しい茶器と新しいお茶の道具を準備させ、自らは茶葉を選び皆に提供していく。


先ほどまで、扉や壁沿い、イーヴォイェレミアスの背後に待機していた側近たちも席に着く。侍女のリズは殿下の隣に席を設け、紙とインクを準備してファウストの出してくれたお茶に口をつけた後に、イーヴォイェレミアスの呟いている言葉を箇条書きにメモしていく。


「ハイムンド!」


「はい。アーデルベルト様方が入城の際の門番はラファエルに確認に行かせました。第三皇子殿下の入国の手順を確認したところ、エヴァンス侯爵領から入国。入国の際に、ナサニエル様の友人との事で城に確認があり、ハーシェルヒルム様が許可を出しております。都内に入る際には連絡があるかと待っていたようですが本日まで連絡が無かったようです」


「はい!申し訳ございません!王都内に入る際は、エヴァンス侯爵家に連絡があり外交官である父がお出迎えしております。お忍びと釘を刺されていた為大仰では無く。あくまで、帝国の友人を迎えるという体裁でお出迎えしました」


ハイムンドは、テオフィル(第三皇子殿下)が何の確認もなく入城したと聞いた瞬間から席を外して先ほど戻って来ていた。ハイムンドの現状報告に、アーデルベルトがイーヴォイェレミアスが知りたいであろうことを付け加える。更に謝るアーデルベルトにイーヴォイェレミアスはパタパタと手を振りながらそう何度も謝るなと言うがハイムウドに窘められる。


「殿下が、許すと言わないのでアーデルベルト様は謝り続けるしかないのでは無いですか?」


「許してなかったか?」


「はい。入国の事をぶつぶつと・・・駄目ですよ。側近以外の前であの状態になるのは」


「あぁ。すまん!意識がそこに向かっていた。この3人の前だからか?


アーデルベルト、殿下を連れて来てくれてありがとう。君らが彼の方に最終的に逆らえないのはしょうがない。私でさえ、3つか4つ下の人間にあのような気持ち抱くとは思わなかったよ」


イーヴォイェレミアスの謝罪に、アーデルベルトを始めクレメンスもベアトリクスも慌てて頭を下げた。


その後は、来週まで迫るハーシェルヒルムの誕生祝いの宴の最終確認をお互いにして解散の運びとなった。

拝読ありがとうございます。


 ~登場人物~

【愛称:イヴ】イーヴォイェレミアス第一王子殿下(19)

王国第一子、第一王子*髪:金、肩下、ウェーブ、一つの三つ編み*瞳:赤紫


テオフィル・リーヴバレンティ(16)

帝国皇太子 髪:オリエンタルブリー 瞳:シルバー


【愛称:アード】アーデルベルト・エヴァンス侯爵令息(16)

エヴァンス侯爵家長子*髪:腰までの長髪・黄金色・ストレート*瞳:碧


【愛称:レメ】クレメンス・エヴァンス侯爵令息(15)

エヴァンス侯爵次子*髪:短髪・銀・センターパート・ストレート*瞳:赤


【愛称:ベティ】ベアトリクス・テイラー侯爵令嬢(15)

テイラー侯爵家第二子長女*髪色:桔梗色・腰までの長髪・ストレート*瞳:金


【愛称:ジル】ジェラルド・ハリス伯爵子息(19)【イーヴォイェレミアス 又従弟/側近(騎士)】

ハリス伯爵子息二子(次男) 髪:銀、ロング(影武者もできるようにあえて延ばしている) 瞳:紫


トビアス・パトラー騎士伯(27)【イーヴォイェレミアス 側近(騎士)】

パトラー伯爵家三子(三男) 髪:深緑 目:こげ


ファウスト・ミラ男爵子息(20)【イーヴォイェレミアス 側近(従者)】

ミラ男爵家第一子(長男)嫡子だが兄弟が多いため 髪:青 目:オレンジ


ハイムンド・ウッド伯爵子息(21)【イーヴォイェレミアス 側近(従者)】

ウッド伯爵家三子(次男) 髪:インディゴ 目:オリーブ


ラファエル・グリーン公爵子息(19)【イーヴォイェレミアス 側近(騎士)】

グリーン公爵家四子(四男) 髪:ラベンダー、天パ 目:フレンチグレー


リズ・モール子爵令嬢(18)【イーヴォイェレミアス 側近(侍女)】

モール子爵家一子(長女)5人兄弟長女 髪:赤茶 目:瑠璃色

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