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高貴なる者の義務と放埓  作者: 島城笑美


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034 侯爵子息の康寧

めちゃくちゃほのぼの回です!

城壁内にある他国の要人たちを歓待する離宮の1つでベアトリクスは食堂にて運び込まれた食器の確認をして使用人たちへ所定の場所へしまうように指示をだしていた。


「ベアトリクス嬢。こちらは後どれほどかかりますか?」


「クレメンス様。もう少しで終わりますわ。何かありましたか?」


「はい。各寝室の家具が全て入り終わりました。確認されますか?」


「えぇ。そうですね。こちらが終わりましたら向かいましょう」


ベアトリクスが食器の確認に戻ると、分かりましたと答えたクレメンスが隣から動かずベアトリクスを見ているのを感じ、ベアトリクスは不思議そうに振り返る。


クレメンスは、家具の搬入の支持を抱いていたが少し手伝ったのだろう。シンプルなブラウスの袖は肘の方まで捲られており、サラサラの銀の髪の隙間から見える額にはじっとりと汗が浮かんでいた。


ルビーの様に紅い瞳はとろけるように目じりを下げ細められており、ベアトリクスを見つめ、薄い唇は弧の字を描いている。


「どうかしましたか?」


ベアトリクスの問いに、一瞬目を開いたあと更にとろけるように目じりを下げる。頬を桃の様に薄い桃色が指しクレメンスは答える。


「いえっ。新婚の準備のようだなと思いまして」


クレメンスの返答に、ベアトリクスはじわじわと身体の中から熱を出しそれが顔に集中するのを感じた。きっと、リンゴの様に真っ赤になっているであろう顔を伏せる。すると、クレメンスは慌てたように謝罪する。


「すみません!不快でしたか?あぁ。本当に浮かれて申し訳ないです。今後、気を付けますので許していただけますか」


今度は、ベアトリクスが慌てる。真っ赤になっている顔を上げて、数歩後ずさっているクレメンスの両腕を捕まえる。


「嫌ではありません。急に仰られるので恥ずかしくなっただけです」


ベアトリクスの、潤んだ金の瞳といつもは陶器の様な白い肌が真っ赤になっているのを視界に入れたクレメンスはコクコクと首を縦に振る。両腕が、掴まれていて良かったと安堵する。


(可愛い・・・やばい・・・掴まれてなかったら抱きしめていた・・・抱きしめたら駄目かな・・・)


もちろん、色々と準備の忙しいこの離宮には多くの使用人が周りにいる。しかし彼らは教育を受けたしっかりとした身元の城の使用人である。何事も無いように仕事をしているが、野暮なタイミングに出くわす人はどうしてもいる。


「ふふっ。ふたりの仲がよさそうで安心しますわ」


「本当ね。エヴァンス侯爵家はあまり存じ上げていなかったからどんな子かと思っていたけど、ベティが幸せそうで良かったわ」


そこには、ニマニマとした口を扇で隠したディオティマと、ホッとした顔をしている第一皇女のリシュエンヌが立っていた。


「ディー姉様、リシュ姉様!いつからそこに」


「クレメンスが入ってきたことかしら?」


「そうね。クレメンスが報告するところからね!」


「最初からではありませんか!何故、声をかけないのですか!!」


先ほどから赤みの引かない顔で怒るベアトリクスを歯牙にもかけなず、だってねぇと2人で顔を合わせる。


「「可愛いやりとりをしてるんだもの」」


「「・・・・・・」」


楽しそうなディオティマとリシュエンヌと対照的に、ベアトリクスとクレメンスは顔を赤く染めて俯く。


「まぁまぁ。婚約者同士が仲がよろしいのは良い事よ!」


「そうそう!従姉が幸せだと嬉しいものよ!あら、この食器の確認でいいのかしら?」


二人をなだめるように離しながら、ベアトリクスたちに近づくとリシュエンヌは並べられている食器を確認する。


「はい。破損の有無と、朝食用や昼食、晩餐用に仕分けて片付けをお願いしています」


「わかったわ。それは、私たちが引き継ぐのでベティはクレメンスと部屋の確認をしてきなさい。クレメンスは、ベティを呼びに来たのでしょう?」


今迄、固まり彫刻のようになっていたクレメンスは息をすることを思い出し、深呼吸をするとはいと答える。また、突然の王族の登場には緊張するようだ。ベアトリクスの様に気安くは受け答えることが出来ない。


「まぁまぁ緊張しないで、私たちも親族になるのよ。従妹の婿殿は従弟のようなものでしょ?」

とクスクスと笑いながらクレメンスに向き合う。クレメンスは大きく深呼吸すると善処しますと答えた。


二人に食堂から追い出されたクレメンスとベアトリクスは、クレメンスのエスコートで上階に上がっていく。貴賓たちの寝室が3階の一番広い部屋になりその周辺の部屋は側近たちの部屋になる。


2階は帯同する貴族達の部屋になる。下働きは城の者が多く配置されるが貴族たちに連れられて来た使用人たちの部屋も階段とは離れたくるっと回った玄関の上部の2階に用意される。


多くの部屋の確認をしないといけないので、まだまだ準備には時間がかかりそうだとベアトリクスが日程を考えているとクレメンスがおずおずと話しかける。


「ベアトリクス嬢・・・・」


「はい?」


「あのような事を言うのは迷惑でしょうか?」


ベアトリクスは思わずクレメンスの方を向くが、クレメンスは進行方向から顔を外さず、ベアトリクスの返事を待っている。少し、エスコートする腕も強張っているように感じ、その腕をぽんぽんと反対の手で優しく叩きながらベアトリクスは答える。


「迷惑ではありません・・・・・・・ですが!慣れておりませんので・・・どう反応していいのか・・・」


「ベアトリクス嬢は口説かれ事が・・・」


「あまりありません。夜会などでは賛辞は社交辞令でしょう?」


「いえっそんなことは無いかと・・・」


「ですが、ディオティマお姉様にお伺いしていたほど、私は声をかけられませんでしたわ・・・」


(それは、エーレンフリート様(鉄壁のガーディアン)のせいでは?)


「リシュ姉様より美しくもなく、ディー姉様の様な可愛らしさも無いので・・・仕方がないのでしょうけど・・・そんな、私ですがクレメンス様はよろしいのでしょうか?」


「はぁ?ベアトリクス嬢は!ベアトリクスは、神秘的な美しさも!コロコロと良く笑う可愛らしさを両方持っているではないですか!そんな、自己肯定感の低い事を言っては変な男が寄ってきます!」


「「・・・・・・」」


「ん?私が変な男でしょうか?」


「いえいえ!クレメンス様は素敵ですわ!」


また、二人で褒め合って姿を周りの使用人たちはほっこりとした目で見ていた。

拝読ありがとうございます。


 ~登場人物~

【愛称:ベティ】ベアトリクス・テイラー侯爵令嬢(15)

テイラー侯爵家第二子長女*髪色:桔梗色・腰までの長髪・ストレート*瞳:金

【愛称:レメ】クレメンス・エヴァンス侯爵令息(15)

エヴァンス侯爵次子*髪:短髪・銀・センターパート・ストレート*瞳:赤

【愛称:リシュ】リシュエンヌ第一王女殿下(18)

王国第二子、第一王女*髪:金、腰下、ウェーブ*瞳:碧

【愛称:ディー】ディオティマ・アンダーソン公爵令嬢(16)

アンダーソン公爵一人娘*髪:オレンジ色、腰までの長髪、ゆるウェーブがかかった髪質*瞳:青

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