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高貴なる者の義務と放埓  作者: 島城笑美


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012 王女殿下の憤懣

強くかわいい女の子が好きです!


短め

「では!兄上、姉上。(わたくし)は鍛錬に行って参ります!」


はきはきと理由を告げて離席するのは、剣術の鍛錬が始まったばかりで楽しみな10歳の第三王子テオフィリス。すでに半分眠りの世界へ向かっている5歳になったばかりの末姫のフェリシアも離席の挨拶もそこそこに兄姉たちはにこやかに見送る。


城の中庭は季節の花が咲き乱れ華やかな見た目と香りがガセボを包む。ガセボには、イーヴォイェレミアス第一王子、リシュエンヌ第一王女殿下、ハーシェルヒルム第二王子殿下が残った。二人の退場に少し間を置くと、リシュエンヌが突然、口を開き侍女長にうきうきとした声で告げる。普段、聞かない声にイーヴォイェレミアスとハーシェルヒルムは内心驚くが顔には出さずににこやかに微笑む。


「ねぇ!侍女長(マリア)!久々に、年の近い3人になったの!(わたくし)、恋のお話を聞きたいわ!人払いしてくださる?」


目を丸くする侍女長には、いくらご兄弟のお茶会とて侵入者が出ないとも限りません。護衛も無しにすることはできませんと苦言を出された。この言葉を待っていたかの様にリシュエンヌは、ではグレーテとジャネットを残してあなた方は日に当たりすぎると良くないからと、数十メートル離れているガセボを指し、あちらで待機をお願いと伝える。


こちらの様子は見えるが、声が届かない場所をきちんと指定する。侍女長は姫の心使いに感謝いたしますと頷き、王子方も2人づつ残した側近以外をもう一つのガセボで待機するよう命じる。先に主導権を握られ、驚きと呆れを混ぜた顔でイーヴォイェレミアスが問う。


「リシュ。何処まで知っている?」


「何処までとは?(わたくし)、そろそろ婚約者を決めなくてはいけない大好きな(・・・・)イヴ(イーヴォイェレミアス)兄様や留学から帰ったばかりのせいで今日までまともに会えなかった可愛い(・・・)ハーシュ(ハーシェルヒルム)と恋のお話をしたいのよ?何をおしゃるの?」


リシュエンヌは、にっこりと優雅に微笑む。イーヴォイェレミアスもハーシェルヒルムも何とも言えない顔になる。この第一王女は色恋など興味がない。更に何も考えず人払いをする人間では無い事をこの二人は良く知っている。


「今まで、内密にしていたのは謝るから機嫌を治してくれ。リシュ」


「あらあら、国王になる人がそう簡単に謝ってはいけませんわ!何か思惑があった上でご自分たちで解決出来ると思いあがっていたんでしょう?」


リシュエンヌは、厳しい言葉とは裏腹にゆったりとした口調で優しく返事を返す。


これは、本気で怒っている。いつも、冷静で少し腹黒いところがあるイーヴォイェレミアスに冷や汗を流させることが出来る唯一の人間。ハーシェルヒルムに至っては、美しい顔を真っ青になりながら口を噤む事しか出来ていない。


(わたくし)は、其方を危険な事に巻き込・・・・」


「あぁ〜ら。何故かしら?(わたくし)の可愛いハーシュを巻き込んでおいて・・・(わたくし)は巻き込めない?可笑しいわね。(わたくし)の方がハーシュよりお姉さんなのに・・・。まさか、お兄様が男尊女卑なんてなさいませんよね?」


「男尊女卑なんてするわけないだろう!だが!女性は守るものだと・・・」


「はぁ。(わたくし)を守るのは護衛騎士です。お兄様は(わたくし)たちを対等に見て下さると思っておりましたのに、がっかりですわぁ」


母親と同じ翡翠色の瞳を伏せてる。顔が儚げな他国の姫であった祖母に酷似しているので、それはそれは悲痛な顔に見える。一生懸命、宥めようとするイーヴォイェレミアスの言葉を打ち落としながらハーシェルヒルムへもきちんとチクチクと刺していく。


イーヴォイェレミアスも妹に言いくるめられ瀕死間近に陥っていた。見かねたナサニエルがリシュエンヌの前に跪き発言を求めるとリシュエンヌはにっこりと微笑み許可を出す。


「リシュエンヌ様。第一王子殿下も、第二王子殿下も、他の貴族たちの事であればすぐにでも王女殿下への協力体制を整えたかと存じます。しかし、あの方の件になりますので王女殿下がお心を痛めてしまわないかと苦悩されたのでございます・・・

リシュエンヌ王女殿下が聡明であることは我々、皆が(・・)存じております。侮ることなどとんでもございません。間違っていたとはいえ、どうか、心優しいお兄様と弟君のお心遣いだと矛を収めて頂くことは叶いませんでしょうか?」


「ふふっ。ナサニエルにそう言われてしまっては許さないわけにはいけないですわね」


ナサニエルの演技がかった言葉に、リシュエンヌは朗らかに笑う。そんなリシュエンヌにイーヴォイェレミアスもハーシェルヒルムも少しだけ力が抜ける。


「リシュ・・・」

「姉上・・・・」


「何で、エルにだけ甘いんだ?」

「兄上!余計な事を!」


「もちろん!(わたくし)の可愛いジャネット(護衛騎士)と同じ顔だからよ!」


リシュエンヌは今まで秘密にされた事が面白くなくじゃれていただけであり、この場に残した護衛騎士はイーヴォイェレミアスの護衛騎士ジェラルドの妹グレーテと、ハーシェルヒルムの侍従ナサニエルの双子の姉ジャネットを選定している辺りですでに協力する予定であることは明白だった。


そんなリシュエンヌに怯えていた王子二人が気がつかなかっただけで、側近たちは皆リシュエンヌ様のお戯れの気が済むのを待ちナサニエルが落ちをつけた。


「まぁおふざけはここまでにして、進展しそうなのでしょう?」


姉上、俺本気で怖かったんですけどというハーシェルヒルムのつぶやきを無視してリシュエンヌは話を進めた。


「あぁ。2週間後だ」


「では、それまでにドレスと仮面を準備しなくてはね。2週間しかないの!専属針子だけで出来るかしら?」


「ドレスを調査の為だけに新調するのか?」


驚くイーヴォイェレミアスに、リシュエンヌは呆れた顔になり頭を振り説明し始める。


「そもそも、仮面舞踏会でしょう?普通の夜会の様な上品なドレスを着ている人は少ないと報告を受けてるわ!

それに1度着たドレスを覚えているご婦人方も多いのよ!舞踏会で着たドレスで出れば素性がバレてしまうじゃない。もちろん!男性陣も普段着ない装いをしなくては駄目よ!ジェラルド!貴方いつも潜入する時どうしてますの?」


「リシュはその情報を何処から受けているんだ?」


「お茶会で会うご婦人にも、その様な場所へ日参する方もいらっしゃるのです。不快ですが、興味があるような素振りを少し見せたら本当に色々教えて下さるわ!」


「そうか。あまり危険な真似をしてくれるなよ・・・。護衛騎士が情報を収集しているのが、ばれればそれだけ狙われやすくなる・・・・。それでジェラルド、其方はどうしている?」


イーヴォイェレミアスは心底心配しているというように眉を下げリシュエンヌに懇願すると、リシュエンヌは仕方がないですが心得ていますと顔で示す。そして、リシュエンヌの話を折らない様に戻し情報収集に重宝しているジェラルドに問いなおす。


(わたくし)は、伯爵ですので男爵位程度の夜会服を着用しております。明らかに爵位が低そうな者には居丈高に振る舞い情報を落としてくださる方が多いもので・・・」


「ほら!ジェラルドだって服装には気をつけているじゃない!ハーシュも潜入するなら服装の格は落として向かいなさい!敢えて、オリヴァーに高位の服装をさせるといいわ!変なの絡まれない為にも明らかに高位の装いの者が1人いれば簡単には近づいて来ないと思うわ!そうね!ハーシュは小姓の格好なんてどうかしら?可愛いと思うわ」


「姉上、俺で遊ばないで下さい!」


「あら?ドレスがいい?ハーシュは似合うと思うわよ!」


リシュエンヌの提案に一瞬、硬直するも首をもげそうな程横に振り、小姓いいですねとハーシェルヒルムは返す。


イーヴォイェレミアスは、目を瞬きリシュエンヌからの意見に感嘆の声を漏らす。自分たちに無かった観点の意見に唖然とする。リシュエンヌに協力を願っていなければこの潜入調査も失敗に終わったかもしれないと反省した。


その日だけの情報を得られないだけで済めばいいが、ハーシェルヒルムがいる事が相手に知られ密会場所を変更されたり、こちらが拘束されたり、体制が整わないうちに仕掛けられたりと考えると今リシュエンヌに協力を仰いで正解だったと考えを改めざるを得なかった。


「女性観点というのは・・・大事だな・・・」


イーヴォイェレミアスが感嘆の声を上げていると、リシュエンヌ様発言をよろしいですかとジャネットが了承を得ると言葉を続ける。


「王家の針子に頼んではこちらの動きが漏れませんか?私をはじめ、私の侍女もグレースの侍女もナサニエルも母も裁縫が得意でございます。既製のドレスを手直しする方が安全かと思います」


「まて!マーガレットにはバレては駄目だ!母上に筒抜けになる!」


「では母は抜きで」


イーヴォイェレミアスはジャネットの情報に頭が上がらない乳母の名前を出し、ナサニエルとジャネットの母を関与させることを止めた。


「確かに母上は感がいいですかね。そして、ハーシェルヒルム殿下の関与を疑われるとなんの悪戯をするのかと探るのでしょうね」


「マーガレットは駄目ね」


ナサニエルの言葉にリュシエンヌまで腕をさすり同意する。

拝読ありがとうございます。


【愛称:イヴ】イーヴォイェレミアス第一王子殿下(19)

王国第一子、第一王子*髪:金、肩下、ウェーブ、一つの三つ編み*瞳:赤紫

【愛称:リシュ】リシュエンヌ第一王女殿下(18)

王国第二子、第一王女*髪:金、腰下、ウェーブ*瞳:碧

【愛称:ハーシュ】ハーシェルヒルム第二王子殿下(16)

王国第三子第二王子*髪:銀髪、腰まのロング、ストレート(ポニーテール)*瞳:青紫

【愛称:エル】ナサニエル・イーストン子爵(17)【ハーシェルヒルム 又従弟/側近(従者)】

イーストン子爵家三子(次男) 髪:ピンク、ふわふわ天然パーマ 瞳:赤

ジャネット・イーストン子爵(17)【リシュエンヌ 側近(騎士)】

ナサニエルの双子の姉 イーストン家第二子(長女) 髪:ピンク 目:赤

マリア・ホール伯爵令嬢(21)【リシュエンヌ第一王女殿下 側近(侍女長)】

国王陛下のお気に入り 髪:モスグリーン 目:菫色

グレーテ・ハリス伯爵令嬢(15)【リシュエンヌ第一王女殿下 側近(騎士)】

ジェラルドの妹。13歳で騎士の才覚を魅せリュシエンヌにスカウトされる。 髪:深緑 瞳:紫


空気に徹している、オリヴァー、ジェラルド、トビアスは紹介なしです。

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