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高貴なる者の義務と放埓  作者: 島城笑美


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011 王子殿下の暗躍

テイラー家から帰宅後の王子たちのお話です。

「あぁ~疲れたぁ~」


ハーシェルヒルムは、他の側近たちが交代や休憩へむかってオリヴァーとナサニエルになると、自らの執務室にある応接セットのふかふかで豪奢な長椅子に身体を沈め天を仰ぐ。ナサニエルは三人分のお茶の準備をするとハーシェルヒルムの向かい側の1人掛けの椅子に座り、隣にオリヴァーもよんで腰を落ち着ける。


「テイラー侯爵・・・怖かったですね。流石、現役判官。それに次代も安泰ですね・・・」


「ははっ。王子殿下に説教できるお方は数少ないだろう。エーレンフリート様もあんな顔なさるんですね・・・俺、抜刀しそうでした・・・・」


「あぁお前たちは俺の後ろにいたからいいが、真正面であの威圧は本気で怖かったぞ!しかも二重・・・リートは普段めったに怒らない分、怒ると本当に怖い・・・」


ベアトリクスとクレメンスの婚約が滞りなく結ばれた事を確認しエヴァンス兄弟の人となりを確認し満足して帰るための挨拶を告げようとしたところ、ハーシェルヒルムと側近二人はエーレンフリートにテイラー侯爵の執務室に連れて行かれた。そこには、笑顔で冷たい空気を放っているテイラー侯爵が待っていた。


「だが、あんなに怒らなくても良くないか?俺はベティの安全を考えて色々考えて立ち回っていたんだ。あれを・・・」


「あぁ〜ベアトリクス嬢を巻き込んだのは本当だし、本人たちの思いも知らず。殿下が勝手に婚約しろ!ってなれば怒るのも当然でしょう。

今回はベアトリス嬢たちがお互いに気持ちがあったから許されたようなものですよ・・・

それに私も情報収集には自信があったのですが・・・あの方々の情報網には我々も感服するしかないです。ご協力頂けなかったら更に時間がかかったかと思いますよ・・・怖いですけど・・・・」


「そうだな。怖いな。たが、優良な情報を頂いたのだ、これを生かさないと更に怖いぞ!そうだ、オリヴァー。女性騎士の手配を頼みたいのだが・・・」


ハーシェルヒルムはぶるっと身震いすると、テイラー侯爵の事を振り切るように次の事へと意識をむけた。


「女性騎士ですか・・・女性騎士は近衛にしかおりません。その上、王妃様やリシェエンヌ王女殿下管轄に所属しております。協力を仰ぐほかないかと」


「母上と姉上か・・・兄上も母上にご負担はかけたくないはずだ。姉上に協力を仰いで良いか一度兄上と話し合いたい。ナサニエル手配を頼む」


「承りました」


その時、コンコンとノックがなり、席を外していた側近たちが戻ってきた。別の侍従たちと入れ替わるようにナサニエルは少し出て来ますと告げ、第一王子への面会依頼に出かけた。


第一王子は王太子教育と公務があり、時間を簡単に取る事が難しい。最近では父上の執務もだいぶ第一王子である兄に回ってきているようだと溜息をつく。


情報の共有を取りこぼしなく話をしたいと思うが、数日はかかるかもしれない面会の日時までに、テイラー侯爵、エーレンフリートの情報を頭の中で整理する。紙に記すとどうしても情報漏洩の恐れがあり、今は味方も見定め切れていないので側近たちも警戒対象だった。考えをまとめようとしたが、大した間もおかずナサニエルが慌てて戻ってきた。


「第一王子殿下が今からいらっしゃいます!」


「はっ?兄上が???」


王族たちの執務室には、王子と執務を手伝う文官寄りの侍従たちの執務机の真ん中に応接セットが置かれている。護衛騎士たちも配置の相談をし、それぞれの場所につく。侍従達は書類の整理や机の上を片付ける者とお茶やお菓子の準備をする者に分かれ、慌ただしく動き始めると少しの間を置いてイーヴォイェレミアス第一王子が到着した。


「突然、すまないな」


「いえっ私も面会を申し込んでおりましたので、問題はございません。ですが、兄上は大丈夫なのですか?」


「あぁ。今が急ぎの案件もないし、茶の時間だろう?突然で悪いと思ったが今がいいと思ってな」


突然の面会をお互いに謝罪しあっているうちに、侍従たちによってお茶とお菓子が音もなく準備される。


全てが整い、ハーシェルヒルムがお茶を一口飲むと、それに続いてイーヴォイェレミアスも一口お茶に口をつける。オリヴァーとナサニエルを残し、人払いを頼むといわれ。イーヴォイェレミアス第一王子の側近も3人だけ残され、他の側近達は一緒に外へ出るよう指示する。


殆どの側近が執務室から会議室へ移動し、休憩するようにと伝えられ、執務室には7人が残った。執務室は、王族其々に与えられており、防音設備に特化した素材で造られ隣室の会議室であろうが声が漏れる事がない。


人払いが済むと全員が少しほっと一息を付き、貴族の笑みでは無い優しい微笑みになったイーヴォイェレミアス第一王子がハーシェルヒルムに少し砕けた態度になり口を開いた。


「まず、ハーシュの話を聞こうか?」


「はい。情報源は・・・」


「ジークフリート叔父上だろう?先日、叔父上が今日の日程を話されていた。ハーシュがディーも一緒にテイラー侯爵邸へ遊びに来る。息子も娘も相変わらず仲良くさせて頂いてると」


「あぁ・・・・。俺、だいぶ前からお叱りを受ける予定だったんですね・・・」


「ふふっ。侯爵は怖かったかい?あの御仁はあの顔でかなりの愛妻家で子煩悩だからな。あまり子供には伝わってないようだが。それに、ハーシュの人となりを見抜く能力は凄いのだが突発的な動きは勝手な行動にしか見られないからな。気をつけなさい」


「はい。申し訳ございません。根回しの重要性を欠いておりました」


「そうだねぇ。エルが根回しは出来るがどうも先にハーシュが先に動くきらいがある。よくよく側近たちとは相談なさい」


「はい。心に重きをおきます」


ハーシェルヒルムはイーヴォイェレミアスに窘められ頭が下がる。落ち込んでしまった弟を励ますようにイーヴォイェレミアスは話を転換させた。


「さて、ジークフリート叔父上はなんと?」


「あっ!はい。次回の仮面舞踏会は2週間後。あの方とブラウン伯爵夫人、隣国の商人の参加を其々確認できているとの事です」


ハーシェルヒルムの報告にイーヴォイェレミアスは顎に手を当ててしばし考え込んだ後、話を続けた。


「2週間か・・・それで、ハーシュが私に面会ということは何か要望があるのかい?」


「はい!兄上。私が潜入しようかと思うのですが・・・オリヴァーやナサニエルが単独での潜入は許してくれなくて」


「あぁもちろんだ。ここにいる、ジェラルドとトビアスも連れて行け。斥候や潜入を得意とするから離れての警護に向いている」


「あっ・・・やはり単独ではだめですか・・・。でしたら、男だけでぞろぞろ行くと怪しまれたり、女性に声をかけられる恐れがあります。ジャネット達を連れ立ってもいいのかと兄上に相談しようかと」


「あぁそうだな。仮面舞踏会だったな。男所帯では浮くな。ジャネットか、リシュにも事情を伝えるべきか・・・」


「兄上が、姉上を巻き込みたくないのは、分かりますが。姉上はグレーテの報告とリートの婚約白紙の件で独自で情報収集を行っているかもれません。女性のお茶会の情報精度は良くないですが多岐に情報が渡り集まります。姉上は聡明ですし、伯母上の話も共に聞いたので、独自で気が付く可能性があります。後でバレたほうが・・・・・・・・俺は怖いです・・・」


「・・・確かに・・・怖いな・・・」


「・・・殿下方・・・・」


「王女殿下はお優しいじゃないですか?確かに巻き込むのは王女殿下のご負担にならないか心配ですが・・・」


ジェラルドが王子たちに同意するように声を漏らすと、あっけらかんな声でナサニエルが不思議そうに口を挟んできた。


「いやいやいや・・・・姉上優しいか?」


「・・・・・・・ナサニエルはリシュに会ったことがなかったか?」


「違いますね。会ったことがあります。リシュエンヌ第一王女殿下はエルがお気に入りだからではないでしょうか?エルがいると基本的にご機嫌が麗しいです」


困惑した王子たちに、オリヴァーが意見すると、不思議そうな顔をしているナサニエルを見て、護衛騎士たちは「あぁ見たことないのか」と納得する。そんな周囲の空気を解せずナサニエルは今後の予定について意見を述べる。


「まぁ良くわからないのですが、面会はどうされますか?そう頻繁に殿下方が執務室への訪問をしていると不思議に思う人間が多いと思われます・・・・あぁ!明日の丁度、月に一度の兄弟定期お茶会ですのでその際にお話されますか?」


「そうか・・・・。話をした方がよさそうだな。明日に話すか」


イーヴォイェレミアス第一王子が意を決して妹に協力を仰ぐ事を決めると、ハーシェルヒルムはナサニエルに更に確認する。


「だが、テオとフェリをどうする?」


「そこは、王太子殿下の都合で昼食後にしか、時間の都合がつかないので時間変更を依頼してはいかがですか?以前にも、昼食前や、晩餐前のひと時になった事があるではないですか?」


「そうか。昼食後にするとすぐに、フェリは午睡。テオは鍛錬か。フェリの午睡を削る事は侍女たちが許さないだろうし、テオが楽しみにしている剣術を休むことはないと。姉上は・・・・自習時間か!」


「えぇそうです」


「シェルは、皆の日程を覚えているのかい?」


「決まっている事くらいですよ。兄上や姉上の教育時間や午後の休憩の時間等は把握しているとお会いしたいときに都合が良いので、兄上は変則的に公務が入るのでそれに限らないのですが・・・」


「そうか。確かに把握している方が動きやすいな。では弟妹にそのように先ぶれを頼む!ファウスト」


「畏まりました。明日の事ですので、私は先に退室致します」


ハーシェルヒルムの案にイーヴォイェレミアスが同意し、早速動き始める。

拝読ありがとうございます。


本当に人がどんどん増えてます!頑張ってついてくれるとありがたいです。


【愛称:ハーシュ】ハーシェルヒルム第二王子殿下(16)

王国第三子第二王子*髪:銀髪、腰まのロング、ストレート(ポニーテール)*瞳:青紫

オリヴァー・ミラー騎士伯(25)【ハーシェルヒルム第二王子殿下 側近】

ミラージュ子爵家五男。 髪:黒、短髪 瞳:明るい茶色

【愛称:エル】ナサニエル・イーストン子爵(17)【ハーシェルヒルム第二王子殿下 又従弟/側近】

イーストン子爵家三子(次男) 髪:ピンク、ふわふわ天然パーマ 瞳:赤

イーヴォイェレミアス第一王子殿下(19)

王国第一子、第一王子*髪:金、肩下、ウェーブ、一つの三つ編み*瞳:赤紫

ジェラルド・ハリス伯爵子息(19)【イーヴォイェレミアス第一王子殿下 又従弟/側近(騎士)】

ハリス伯爵子息二子(次男) 髪:銀、ロング(影武者もできるようにあえて延ばしている) 瞳:紫

トビアス・パトラー騎士伯(27)【イーヴォイェレミアス第一王子殿下 側近(騎士)】

パトラー伯爵家三子(三男) 髪:深緑 目:こげ

ファウスト・ミラ男爵子息(20)【イーヴォイェレミアス第一王子殿下 側近(従者)】

ミラ男爵家第一子(長男)嫡子だが兄弟が多いため 髪:青 目:オレンジ

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― 新着の感想 ―
早速の愛称添え、ありがとうございます!そしてお返事もありがとうございます。本文にルビ打ちはちょっと…短い愛称の上に長いお名前、第一王子殿下なんてすごそうですね笑 読んでいるうちに覚えていきますので、そ…
楽しく読んでいます。本当に登場人物が多くて、たまに混乱します笑 最後の人物紹介のところに、愛称も添えてもらえると確認する時に楽なので、是非よろしくお願いします!
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