第40話 残ったもの
最終実習から三日後。
教師会は、静かに結論を出した。
◆
全校生徒が講堂に集められる。
壇上には、学園長代理、主要教官たち。
そして、解析運用班も前列に立っていた。
「最終実習の結果をもって、本学園の方針を確定する」
ざわめきが止まる。
「解析は、正式に“補助制度”として残す」
小さなどよめき。
「ただし、最終判断は常に現場責任者が行う」
「解析は、警告と記録の役割に限定する」
明確な線引きだった。
◆
「さらに」
学園長代理は続ける。
「判断教育を、正式カリキュラムに組み込む」
これが、本質だった。
「魔法の強さだけでなく、止める判断を学ぶ」
「失敗を記録し、検証し、共有する」
軍の論理とは違う。
だが、逃げでもない。
◆
ローディアスが、低く付け加える。
「効率は、劣るかもしれん」
「だが、壊れにくい」
短い言葉だったが、重みがあった。
◆
壇上を降りたあと。
リィナが、アルトの隣に立つ。
「……最適化は否定されなかった」
「されてない」
「でも、主役にもならなかった」
アルトは、少しだけ笑う。
「主役じゃなくていい」
「ええ」
リィナも、小さく頷く。
「補助で十分」
完全な同意ではない。
だが、理解はある。
◆
講堂の外。
何人かの生徒が話している。
「最終実習、怖かったな」
「でも、自分で決めた感じがあった」
「解析、あった方がいいけど、なくても動ける」
それでいい。
依存ではなく、補助。
◆
夕方。
アルトは、実習場の端に立っていた。
風が、静かに吹く。
学園は変わった。
劇的ではない。
世界も変わっていない。
軍は、軍の道を行く。
成果を求め、速さを求める。
それを否定はしない。
だが――。
ここには、別の答えが残った。
◆
ログを開く。
《学園方針・確定》
解析は、
正解を出さない。
ただ、
選択肢を見せる。
そして、
止める判断を、
奪わない。
◆
窓の外、夕日が沈む。
戦えない力でも、
残せるものがある。
最強にはなれない。
世界も変えられない。
それでも。
誰かが立ち止まる時間を、
守ることはできる。
◆
アルトは、静かに目を閉じた。
解析は、補助だ。
主役ではない。
だが、
いないと困る。
それで十分だ。
物語は、ここで一区切りを迎える。
正解を出せなくても、
事故を減らすことはできる。
それが、
俺の選んだ力だった。
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