満天の星々 ~主からの贈り物~
礼拝でのエピソードラストです。
お茶会がお開きになり,シャル達と別れたカノン達3人は帰路に着く。その時エーデルがぽつりと呟いた。
”流れ星”と。その言葉を聞いてカノン・セレスが空を見上げる。フレイブルグには道の街灯はあるが建物からの光は少ない。雲のない夜は星々の輝きは3人の足を止めるには十分過ぎるくらい綺麗なものだった。
魔法界でも夜、星を見ることは出来るが現代世界より発展しているため、建物からの明かりなどで人工でここまで輝く星を見たのは生まれて初めてだった。
エーデルがそっとカノンにつぶやく。
「星って散りばめられた宝石のようで綺麗でしょう。こちらの世界に来て、初めて感動したのがこの満天の星々だったの。だからいつか見せてあげられたらと思っていたのだけど、主からの贈り物かしらね。」
その言葉一つ一つには普段のエーデルには無いような興奮が混じっていたのだが、それだけエーデルの心には染みこむ思い出だったのだろう。
そんなエーデルの隣でセレスは星を線で結びながら、動物の絵が出来るか楽しんでいた。
夜空を見ながら家についた彼女達3人はそれぞれ自室へと行き、部屋着に着替える。(ちなみに夕食はお茶会の流れで食べることになったがシャルの家へのご招待とは別らしい。)
着替えてリビングに入ると既にエーデルとセレスがくつろいでいた。エーデルは読書、セレスは何か編んでいるようだ。2人はカノンが部屋に入ってきた所で作業をやめて、自分達のお茶とカノンのお茶を出す。
ルイボスが注がれていた。3人がコップに口をつけたところで話が始まる。
口火を切ったのはセレス。「カノン、今日の礼拝どうだった?少しあっちと違って驚いたかもしれないけど」
その言葉には少し不安が混じっていたが。
「そんなことは無かったですよ。私が所属していた教会は長々と祈りを捧げる所が多くて、賛美歌はおまけみたいなものでしたから、これだけ豪華で素晴らしい歌声が聞けて嬉しかったです。これもシャルやエーデルさん、セレスさんユーリさん、レオンさんのおかげです。貴重な体験をありがとうございました。」
カノンは嬉しそうにそう答えるとセレスとエーデルはほっとしたように椅子にもたれた。
「あれ?私変な事言いましたか?」カノンは聞く。
2人は顔を合わせた後、セレスが答えた。
「少し心配だったの。魔法界といっても全員が信徒ではないから。それに否定する人もいるしね。カノンがもし付き合いで無理矢理だったら嫌だなと思ってて。少し気が気で無かったの。だから今の言葉聞けて凄く嬉しかったのと同時に針の糸が途切れたの。心配かけてごめんなさい。」
そしてセレスは続けた。「今後も礼拝はあるのだけど、来てくれるかな?時々ボランティア活動もするんだけどさ。そういうのも一種の交流になるかなとかって」少し空笑いで言葉を紡いだ。
話を聞いていたエーデルも目でお願いします。というような雰囲気を出している。
カノン自体も礼拝が嫌いではないし、シャルの歌声やこのフレイブルグの古い教会に足を伸ばせる良い機会にもなるかなと思った。それに今日は書けなかったが教会の絵をスケッチブックに収めたいと心に誓っていた。
話が一段落して明日の予定について話していた。珍しくセレスが用事があるようで明日はお休みをとっている。シャルは高校が終わり次第、来てくれるようだしエーデルと私、レオン、ユーリの4人スタートのようだ。
全ての話が終わり、カノンのコップに入っていたルイボスを飲みきったところで2人に就寝の挨拶をしてから自室に向かう。
自室にはスケッチブックが開かれていて、そこには帰り際に見た星々が描かれていた。
ここまで読んで戴きありがとうございました。今回カノン達が見たのは季節はずれの天の河のようにはっきりと星が輝く夜空です。星の輝きはダイヤより勝る。星はいつ見れるかわからないですし、昨今の都市では見えにくくなりましたから。(ちなみ筆者の所はぎりぎり観察できるくらいです。)
それから、総合評価に点数を入れてくださりありがとうございます。またこんな作品にブックマークをしてくださりありがとうございました。正直PC画面3回見返しました。これを励みにして書き続けていきたいと思っております。