セレスの休日
セレスの番外です。
礼拝の翌日、セレスは毎回この日はお店を休んでいる。今日もお休みを取りある場所に向かっていた。そこは郊外にある古い建物。セレスは右手に紙袋を持ちながらその建物に入っていく。
「あ、セレスお姉ちゃんだ!1」小学校低学年くらいの女の子がセレスに駆けより、セレスを抱きしめた。
女の子の顔は満足気でセレスもまた慈愛に満ちた顔で女の子を見ている。
そのやり取りをしていると奥から4,5人の子供達がセレスに駆けよってくる。セレスは子供達と同じ目線になるように屈んで、子供達の話に耳を傾ける。共通しているのはどの子もセレスの顔を見ると嬉しそうな表情を出すことだ。
「皆、良い子にしてましたか?シスターの言うこと聞いていた子、手を上げて?」
セレスがこのように子供達に尋ねると皆の手が上がる。すると子供達の声が呼んだのかセレスより少し年上の修道服を着た女性が出てきた。
その女性を見るなり、セレスは立ち上がり、頭を下げた。
「いつもお世話になっております。シスター。いえ、先生。」
その言葉に修道服を着た女性は少し笑みを浮かべて反論した。
「今日も来てくれてありがとう。セレス。それから私はもう貴女の先生じゃないのよ。」
「いえ、今の私があるのは先生のおかげですので。」
「ふーん。好きに呼べばよいのだけど。あんまり子供達の前ではやめてね。」
「それから、いつものです。相変わらずお口に合うかわかりませんが、召し上がってください。」
「セレス、いつも悪いわね。皆、お姉さんがお菓子をくれたわよ。お礼は?」
と、女性が子供達に呼びかけると子供達が満面の笑みを浮かべて
「「「セレスお姉ちゃんありがとう」」」
と反応してくれる。セレスは少し恥ずかしくなりながらも笑顔で答える。
ここは親のいない子供が住んでいる孤児院である。セレスは礼拝の次の日には必ずここに来て子供達の様子を見に来る。孤児院を知ったきっかけは数年前、セレスの魔法界の担任が魔法界での暮らしをやめて現実世界に来たことから始まる。セレスにとって担任は自分を育ててくれた親のような存在であり、いつか恩返しをしたいと思っていた。そして彼女は行き場のない子供達を集めて、孤児院を開いた。
元々、魔法界の中でもそれなりポストにいた彼女には生きていくには十分な蓄えがあるのだが、子供達の将来を考えて、そんなに大きくもない、少し古びた建物を購入して生活をしている。
セレスはそのボランティアをしている。といっても子供達のお世話と自前のお菓子を配る程度のことでセレス自身は貢献出来ているのか内心は不安だった。
また礼拝の翌日にというのは単にお店の休みが取りやすく、礼拝で作り過ぎてしまったお菓子を渡すことができるからである。
ちなみにこの事はカノン以外のメンバーは全員が知っていることで孤児院とお店は親密な関係を持っている。
孤児院の中に入ったセレス達は手をきれいにして、セレスの持参したお菓子を食べる。
その姿をセレスとシスターは見つめる。
セレスは子供達がお菓子をおいしそうに食べている姿を見る度、作って良かったと思いつつ、次のお菓子のアイディアを考える。お店で取り扱うお菓子のアイディアはほとんどが孤児院でセレスが考えて試行錯誤して作られたものである。
セレスがいつものように考えに耽っていると、まじめな顔をしてシスターがセレスを見つめていた。
それは子供を心配する親のような目つきなのだが少し怖い。セレスは恐る恐る尋ねる。
「先生、どうしたのですか?そんな怖い顔して」
「セレス、正直に答えなさい。今回来た、卒業課題生どんな子?」
「どんな子と言われましても、素直な良い子ですよ。礼儀正しいですし、年上はちゃんとたてますし。一つ普通の子と違うのは持っている才能だと思います。カノンは私たちの同期で教授の座にいるエリスとほとんど変わらない能力があります。上が何を企んでいるかはわからないですが、このままだと彼女も魔法界で・・・。」
「そう、力については開花しなければそこまで問題にはならないから大丈夫よ。いずれ会ってみたいわね」
そう言って、シスターは少し嬉しそうな顔をし、セレスはしまったという顔をするのであった。
その後も話は続き、窓の外を見ると日が沈みかけていた。
「あら、こんな時間まで話込んでしまったのね。セレスごめんなさい。今度はカノンという女の子も連れて遊びに来てくれると嬉しいわね」
「ええ、うまく時間が取れましたらそうさせていただきます。それでは失礼します。」
このようにシスターに答えた後、子供達には一人ずつハグしてから孤児院を後にした。
ここまで読んで戴きありがとうございます。現実世界での元魔法使いの方は比較的多いです。
その理由はこの卒業課題から見つけていくようです。
私的な内容ですがこれだけ多くの方に読んで戴けるとは連載を始めた当初は思ってもみませんでした。本当にありがとうございます。宜しければコメント・感想も頂けると嬉しく思います。(結構きつい指摘だと折れてしまうかもしれませんが)今後もこの物語を暖かい目で読んで戴けたらと思います。




