52、真空の彼方へポテンシャルを求めて(人力版)
科学研究がロボットの全自動になり、人類から科学者がいなくなった。ロボットは、二ヵ月で人類の歴史の科学的発見のすべてを再発見することができる。ロボットは、それから五年がたち、人類にはとても想像のつかなかった科学の新発見を次々と行っていた。
無からの自発的対称性の破れについてロボットは解析した。真空はダークエネルギーのポテンシャル(位置エネルギー)を持つため、宇宙に存在する物質の10倍の量の物質を自発的対称性の破れから生成することが可能であることを解明した。ほぼ、人類に必要な物質は何でも生成することができる。生成の仕方を真空に対して誘導することができるため、道具の機能を設計されたまま、物質を生成することができた。もちろん、どんな資源も生成可能だ。
「宇宙は、十倍の物質を生成する途中でこのような存在を形作っていたんだ」
人類は、工場から好きなだけ商品を受け取ることができるようになり、生産の爆発が起きた。全人類が一人一日一部屋分の商品を生成すると、千年で新しい大陸ができるほどの量になる。人類は、地球をゴミで埋め立ててはたいへんだと、宇宙に進出して、そこで物質を真空から生成して遊び暮らした。
「物質生成器の暴走で宇宙が滅ぶ」
人類は、ロボット科学者の科学は、すでに地球を壊す規模を遥かに超えて、宇宙を滅亡させる規模になっていると驚いた。
「いったい、なぜ、真空からすでにある物質の十倍の物質を生成することができるのか」
「それは、この宇宙が物質を生成しようとしたダークエネルギー巨人の衝撃によって作られているからである」
ロボットは、早々に「ビッグバンはなかった。ビッグバンは神学者の人類に対する大衆操作である」と結論付けていた。宇宙全体が現在進行形で、ダークエネルギー巨人の物質生成の打撃を食らっているのであり、ダークエネルギー巨人がどんな存在なのかは、物質と真空の関係を超越した形而上学的な探査に頼るしかなかった。
一億年遊ぶ資源があると人類は気付いたけども、どうしても、ダークエネルギー巨人たちがどんな存在なのかを知りたくて、ダークエネルギー巨人の探索に乗り出した。ダークエネルギー巨人は、宇宙規模の大きさに干渉する巨大存在であるが、人類はそれにどうすればよいのか、ロボットと一緒に考えていた。
物質でも真空でもない形而上の存在によって、我々の宇宙は物質を生成している。それは宇宙の外にいる。物質を生成している以上、物質と関わりを持つ存在だと思われる。しかし、宇宙の外にいる。その形而上の存在が、我々の宇宙の真空にとてつもなく巨大なポテンシャル(位置エネルギー)を付与している。
エネルギーと質量の供給は充分すぎるので、エネルギーと質量の消滅のさせ方が重要になる。それについてもロボット科学者に考えさせる。
形而上のダークエネルギー巨人に出会う旅は、とてつもなく、異次元だった。物質を発生させる原因を真空に対して与えているポテンシャルの原因だ。それは、知的生命体だろうか。それとも、自然現象だろうか。バケツの水をひっくり返したように、宇宙の真空に物質を発生させるポテンシャルを与えるもの。宇宙はこうやってできているんだ。




