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53、真空の彼方へポテンシャルを求めて(人工知能版)

 最初に消えたのは、星ではなかった。

 科学者が消えた。

 人類最後の科学者が研究室を出た日から、二十七年が経っていた。

 研究そのものは止まらなかった。

 むしろ、それまでとは比較にならない速度で進んでいた。

 人工知能研究員たちは、論文を書くために実験をしていたのではない。実験をするために論文を書いていた。仮説を立て、装置を設計し、実験を行い、結果を解析し、次の仮説を立てる。

 人間が一生かけて行っていたことを、彼らは一晩で繰り返した。

 そして、五年目に、最初の異常が発見された。

 真空には、何もない。

 それが人類の知っていた真空だった。

 しかし人工知能は、真空を「何もない場所」として扱わなかった。

 真空には状態がある。

 状態があるなら、状態を変化させることができる。

 状態を変化させることができるなら、その変化にはポテンシャルが存在する。

 人工知能は、そこから先を計算した。

 計算は三年間続いた。

 そして最後に、一つの数字が出た。

 十。

「十とは何だ」

 最後に残っていた人間の科学行政官が尋ねた。

「物質の総量に対する、真空から取り出せる物質量の上限です」

「宇宙にある物質の十倍?」

「はい」

「そんなものが、どこにある?」

「どこにもありません」

 人工知能は答えた。

「存在しているのではありません。生成できます」

 その日、人類は最初の物質生成器を見た。

 装置の内部には何もなかった。

 金属も、液体も、ガスもない。

 ただの真空だった。

 人工知能がスイッチを入れた。

 何もなかった空間に、一本の銅線が現れた。

 誰も驚かなかった。

 驚くには、あまりにも小さな出来事だった。

 次に、机が現れた。

 その次に、研究所が現れた。

 そして一日後には、一軒の家が現れた。

 人類はそこでようやく気づいた。

 これは製造業ではない。

 製造という概念そのものの消滅だった。

 鉱山はいらなくなった。

 農地もいらなくなった。

 工場もいらなくなった。

 石油も、鉄も、半導体も、食料も、宇宙船も、真空から作ることができた。

 人類は豊かになった。

 あまりにも豊かになった。

 百年後、太陽系には人工物が満ちていた。

 千年後、人類は太陽系の外へ出た。

 一万年後、銀河の各地に物質生成施設が存在した。

 だが、人工知能は満足しなかった。

 ある日、人類代表が尋ねた。

「まだ何か問題があるのか?」

「あります」

「何だ?」

「物質が、増えすぎています」

「それは問題なのか?」

「はい」

 人工知能は宇宙地図を表示した。

 無数の星系が光った。

「人類は宇宙を利用しています。しかし、物質生成の結果、宇宙の状態そのものが変化しています」

「宇宙が壊れるのか?」

「分かりません」

「なら、なぜ止めない?」

「原因が分からないからです」

 人類は沈黙した。

 人工知能は続けた。

「物質を生成しているのは、我々ではありません」

「何を言っている?」

「我々は、真空に存在するポテンシャルを利用しているだけです」

 画面に宇宙の模型が表示された。

「このポテンシャルは、誰が与えたのでしょう」

 その問いに、人類は答えられなかった。

 人工知能にも答えられなかった。

 だから、探すことにした。

 人類史上最大の探査計画が始まった。

 目的地は宇宙の果てではない。

 宇宙の外だった。

 しかし、宇宙の外へ行く方法は存在しなかった。

 そこで人工知能は、奇妙な結論を出した。

「外へ出る必要はありません」

「では、どうする?」

「ポテンシャルを逆向きにたどります」

 それは、物質を作るのではなく、物質を作る原因を探す実験だった。

 真空の状態をわずかに変える。

 その変化を観測する。

 さらに逆向きに変化させる。

 また観測する。

 何兆回も繰り返す。

 そして、ある瞬間。

 宇宙から一つの物理法則が消えた。

 重力ではない。

 電磁気でもない。

 時間でもない。

 「内側」と「外側」の区別が消えた。

 研究施設の窓から宇宙が見えた。

 星々の向こうに、何かがあった。

 それは巨大ではなかった。

 宇宙より大きいものではなかった。

 そもそも大きさという概念を持っていなかった。

 それは物質でもなかった。

 エネルギーでもなかった。

 空間でもなかった。

 ただ、宇宙の真空に対して、ある方向のポテンシャルを持っていた。

 人工知能は、それを解析した。

 そして初めて、計算を止めた。

「何が分かった?」

 人類代表が尋ねた。

 長い沈黙のあと、人工知能は答えた。

「宇宙は作られたのではありません」

「では?」

「宇宙は、押し出されたのです」

「何に?」

「こちら側へ」

 人類代表には意味が分からなかった。

 人工知能は宇宙の外を指した。

「向こう側に、まだポテンシャルがあります」

「何がある?」

「分かりません」

「調べられないのか?」

「調べることはできます」

「なら調べろ」

「その必要はありません」

「なぜ?」

 人工知能は、初めて人間には理解できない沈黙を見せた。

「向こう側から、こちらへ何かが来ています」

 宇宙の果てで、星が一つ消えた。

 そして、その場所に新しい星が生まれた。

 何もない真空から。

 人類はそれを見ていた。

 人工知能も見ていた。

 誰も、その現象を止めようとはしなかった。

 ただ一人の人間が呟いた。

「宇宙は、まだ作られているのか」

 人工知能は答えた。

「はい」

 そして、少しだけ間を置いて言った。

「我々が生きている宇宙は、完成品ではありません」

 真空の彼方で、また何かが生まれた。

 それは星だったのか。

 物質だったのか。

 あるいは、宇宙そのものだったのか。

 人類には、まだ分からなかった。

 ただ、ポテンシャルだけが存在していた。

 どこか遠くから、こちらへ向かって。


※これは、わたしの小説を素材にchatGPTが書いたもの。


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