45、宇宙をワープで跳ぶ
みんな。
人類は、銀河の彼方へ旅することは可能だぞ。
銀河の彼方へ旅をして、自然寿命のうちに、生きて帰って来ることは可能だ。
宇宙SFにはワープがあるべきだ。
恒星間旅行は可能である。
銀河間旅行ですら可能だ。
夢が広がるな。
宇宙SFにはワープがあるべきだ。
相対性理論は、とても、一般的な時間と空間の理論にはなりえない。
人類は、まだ、時間と空間の構造をまったく解き明かしていない。
宇宙探検隊は、跳躍装置をランドセルのように背負った。反重力装置で成層圏を上昇して、成層圏で地球型閉鎖環境の泡を展開する。そして、跳躍装置でワープする。
跳躍装置のワープは、十万光年の銀河より遠くへ行くことができる。まずは、銀河探索から始めようか。
中央の銀河バルジ。そこから平面に広がる銀河ハロー。銀河バルジの南北の双極性ジェットによって作られているフェルミバブル。
銀河を立体的に調べなければならない。
銀河核へ向かおう。つまり、銀河バルジだ。たくさんのブラックホールがあり、星がたくさん集まっている高濃度の質量の領域だ。
基礎となるのは、物理学だ。だが、目的は、生物学だ。そして、まだ人類に未解明なものは、言語学だ。
宇宙人は確実にいる。彼らの調査が目的だ。地球地表の生物学は当てにならない。物理学をもとに、探検隊ひとりひとりが対象の異星生物の生物学を物理学から構築していくしかない。
銀河バルジには力の強い星間生物がいる。
跳躍装置のワープで、数万光年を跳べる。銀河の端から端まで一瞬で跳べる。賢くならなければならない。
人類が言語学を発達させるまで、この未開の状況はつづくだろう。
まずは銀河の地図作りだ。2000億個も恒星があり、惑星はさらにたくさん存在するので、生物の故郷を特定するのは難しい。岩石惑星出身の異星生物だけに注目して銀河探索をするのは愚かなことだ。星間ガスからも生物が生まれ、知的な生物に文明を発達させている。
そして、恒星出身生物を見つけるんだ。
宇宙探検隊の中には、恒星に突撃して死んでいくものが多数いる。事故だろうか。
恒星出身生物が見つかれば、数百年後には、恒星潜行技術が開発されるかもしれない。我々、人類はまだ文明度の低い星間種族だ。恒星潜行技術を手に入れて、初めて、一流の銀河種族といえるだろう。
ワープができる。それだけで、宇宙探索が楽しくなる。
銀河バルジの力強い星間種族、燃えさかる炎の<プロメテキラー>。棲息宙域の動くものにぶつかって来る。ぶつかれば、ワープ装置を装備した宇宙探検隊も死んでしまう。どう防ぎ、どうやっつけるのか。対話は? <プロメテキラー>と対話はできないのか。
<プロメテキラー>は複数の恒星から飛んでくる。もし、生物であるなら、求めていた恒星出身生物だ。複数の恒星にいることから、星間種族であると考えられる。<プロメテキラー>に体当たりされて、何人もの宇宙探検隊が死んだ。ここは危険宙域だ。
<プロメテキラー>の棲息する恒星をすべて破壊してしまえという危険な意見も出た。勝手にそれを行動するものも出た。しかし、そうはさせない。せっかく見つけた恒星出身生物かもしれないのだ。何のために宇宙へやって来たんだ。探査先の宇宙を単純化させるためではないだろう。宇宙の整地なんてして何が楽しいんだ。もし、征服欲のために<プロメテキラー>を殺すというなら、だから、人類は未開人なんだといわざるをえない。
「<プロメテキラー>は明らかに接近するものを攻撃している。なぜ、攻撃するのか。それは、価値のあるものを守っているからだ」
「<プロメテキラー>の発生源は恒星内であって、とても、侵入はできないぞ」
「この宙域で生存している別種族を探そう。生存を認められる理由があるかもしれない」
宇宙探検隊は、銀河バルジで、生物を探した。
「死んじゃいますよ、我々」
宇宙探検隊はびくびくしながら、周辺宙域を探した。
生物が見つかった。岩石惑星に巣くった<緑の巣>だ。彼らは、高度な知性を持ち、人類に話かけてきた。
――あなたたちは素晴らしい文明を持っていますね。
「我々は銀河探索技術を開発して、ここまでやって来た」
――観光ですか。
「探検だ」
――この周辺宙域に珍しさを感じますか。
「感じる」
――この周辺宙域の環境を保存しますか。
「保存する」
――ここはすでに別の星間種族によって拠点の築かれた特定宙域です。この特定宙域の周辺宙域を相転移させることは、戦争の原因になります。しかし、立ち去る前に教えておきます。銀河バルジは、星間種族が拠点とする特定宙域の広さより圧倒的に大きな広さがあります。すでに星間種族によって築かれた拠点をさけて、別の隙間の特定宙域に拠点を築くことをおすすめします。
「我々は、星を眺めてくつろげればそれでいいんだ」
――観光ですね。
「探検だ」
――銀河バルジは質量濃度が濃く、恒星級生物に好んで棲息される宙域です。あなたたちが恒星級生物でないなら、恒星級生物にはお気を付けください。
「生物は、岩石惑星と恒星内部のどちらで多く発生するのかな」
――圧倒的に恒星内部です。ですから、恒星内部で発生した星間種族が銀河バルジに集まりやすく、恒星級環境変化に耐える生物の固有起源の傾向性を持って、銀河バルジで競争しています。岩石惑星出身者は、銀河バルジでは生存が困難な傾向にあります。不可能ではありません。
「ふうむ。あっちの方が空いているみたいだから、あっちに住むか。しばらく、燃えさかる炎が隕石に突撃するのを見ながら、銀河バルジで休憩といこう」
「恒星内生物は、恒星から恒星へ跳びかって旅をするんでしょうかね。恒星から出たら寒いものね」
「難しいことを考えるのは後にして、しばらく、ゆっくり休憩したいなあ」
「地球への報告、ここ、おすすめ宙域にします、それとも、危険宙域にします?」
「それも難しいなあ。とりあえず、おすすめではないだろう」
「<緑の巣>はいますよ。我々に話かける言語技術を持つ」
「位置座標を記録だ。そして、すぐに地球に帰ろう。我々はワープできるんだ。すぐにワープで戻ってくることもできる」
「そうですね」
そして、我々は脅威の宇宙生命体を見た。
恒星生物である。
恒星一個丸ごとがひとつの生命であり、恒星からジェットを噴き出して移動して、別の恒星を捕食して食う。
天の川銀河にいったい何体いるんだろう。
2000億分の1というのは、物質が生物的指向性を獲得するのには低頻度すぎる。生物は、物質が指向性をもっている状態がつづくと発生する。指向性に対して、物質が選択肢を選ぶようになれば、知性の誕生だ。
つまり、この恒星生物は、何かの指向性を長期間持ち続けて、生物になったんだ。この恒星はいったい何をずっと維持していたのか。恒星を捕食する生物。100億年くらい、ずっと、恒星に衝突しつづけてきたんだろうか。つまり、恒星の光に向かって移動するジェットを噴射するという指向性を長期間維持しつづけてきたため、この恒星は生物になったのか。恒星を捕食する効率をあげるために知性を獲得したのか。
星間ガスの塊の中で、恒星が生まれる。恒星のうち、何分の一かは、星間ガスが塊を形成できずに死ぬ。星間ガスの塊の中で、たまたま、別の恒星の光に向かってジェット噴射して移動して衝突する恒星が生まれる。原始恒星生物である。しかし、恒星は恒星と衝突すると死んでしまう。もっとたくさんの星間ガスの中で、たまたま、別の恒星の光に向かってジェット噴射して移動して衝突して、衝突した恒星を捕食する恒星生物が生まれる。
生物の誕生には死が必要か。死があるから、その反対の生が生まれ、命になるのか。命とは、死の物質世界で珍奇な物質を生物と呼んで区別しているにすぎない。
死とは、大多数の物質世界のことだ。生物の進化は、珍しい個体の偶然の誕生を意味していて、物質の珍しさが生物と呼ばれるものなのである。生物の特徴とは、珍しさがいかに現れやすくなるかという特徴である。
恒常性を持つこと、珍しさが時間的に維持され、発見されやすくなることを意味する。
自己複製をすること、珍しさが物体量を増大させ、発見されやすくなることを意味する。
外界と膜で区切られていること、珍しさが空間的に分かれやすく区別され、発見されやすくなることを意味する。
代謝をすること、他の物質と関係性を持つことで、珍しさが物体関係性の中で増大して、発見されやすくなることを意味する。
生物とは、珍しい物質が珍しさを目立たせるには、どうすればよいかを意味している。
恒星生物は、恒常性を持ち、外界と膜で区別され、代謝をする。そのように、たくさんの星間ガスの中からたまたま生まれてきた。
恒星生物がゆっくりと、しかし、確実に、捕食した恒星を消化していく。
恒星生物が子を産むところは目撃されていない。だから、一体しかいない。
恒星生物が恒星を食べる。
ワープをして発見した珍しい天体だ。周囲の恒星を自分で消化することにより、特定宙域を相転移させ、恒星の分布状態を変えてしまう。生物である。




