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第2章 修学旅行1日目


キュゥゥゥゥゥンッ!


温かい風と光がカイトを包み込み、次の瞬間。


「すぅぅぅぅはぁぁぁぁぁ、、やっぱここの空気は最高だな〜!」


透き通る空気を肺いっぱいに吸い上げ、思い切り味わった後、体内の邪気を入れ替えるイメージで空気を吐き出す。


「「「「うぉおおおおおお!!!」」」」


カイトの後に続き次々と他の生徒が光るテレポーターから現れ、感嘆の声を上げる。



ーエルグランド修学旅行1日目ー


「ようこそエルグランドへ〜」


出迎えてくれたのは13隊の隊長レイジェの妹、フリーシャと同じ隊員のサリーであった。


「久しぶりですサリーさん、フリーシャさん」


「お!カイトちゃ〜ん、元気してた〜?」


「こらサリー、お客人の前だ」


いつもの調子で陽気に話しかけてくるサリーがポケットからお菓子をカイトに手渡し、それを傍らで見ていたフリーシャが顔をしかめながら割って入る。


「カイト君?このお二人は?」


後ろでカイト達のやりとりを見ていたジルが、尋ねてきて1人じゃ無い事を思い出し、慌てて紹介する。


「あ、すいません先生、えーっと、フリーシャさんサリーさん、この方が僕の先生のジル先生で、後ろにいるみんなが僕のクラスメイトです。」


「ジル先生、このお2人は13隊の隊員のお2人のフリーシャさんとサリーさんです。一応フリーシャさんは13隊隊長のレイジェさんという方の妹です」


「本日はお招き頂きましてありがとうございます、粗相のないよう気をつけますのでよろしくお願いします」


丁寧に頭まで下げるジルに、笑顔で手を握るサリー。


「よろしく〜、そんなに畏まらなくてもいいんだよ〜」


「こちらこそよろしくお願いします、さぁサリーお客人を宿舎へと案内してちょうだい」


「はいよ〜、今日みんなを案内するサリーでぇーす!サリーちゃんって呼んでね!」


後ろの生徒に自己紹介した後、ウィンクをする。


「ぬほぉっ!だめだマシュー氏、吾輩にはあの美貌耐えられぬ」


「よろしくね〜」


鼻血を出して悶絶するニューロに近づいて、手を握り確殺するサリー。


「んごぉっ!!ふ、不束者ですが、よろしくお願いひばふ!」


後半から鼻血が滝のように溢れ出し、何を言っているのか分からないニューロ。


それからサリーはこれまた丁寧に全員と握手し、その後にエルグランドの案内が始まった。



「俺はもう全部知ってるんでパスしていいですか?」


「ダメよカイト君、捕捉情報とか何かあれば貴方からもみんなに伝えないと」


「ですよね〜」


「それじゃあまずエルグランドの街の構図を教えるね〜!エルグランドはあそこに見えるあの聳え立つ神木ユグドラを中心に、周りに生えた全長100メートルもの巨木群の幹の中枢に建てられた街が発展している構図となってて〜」


「みんなが今いる地点は町の南側に位置する場所で、テレポーター以外に外の世界と繋がってる場所もこの南側にあるから、一応町の入り口みたいな感じ〜」


それから15分、サリーの適当な説明をちょくちょく補足しながら、エルグランドを一周回った一同。


「さぁここが今日皆さんに泊まっていただく宿舎になりまぁ〜す!」


街の南側に最近観光者向けに建てられた宿舎の中からリンデが出迎えに来て、軽く自己紹介をした後に、2人1組で泊まる部屋を案内し、昼食の準備に足早と向かって行った。


「すぐに昼食の準備をしますので、でき次第お呼びいたします」


タッタッタ


「それじゃあみんな各自でパートナー決めて、決まったら先生に報告しに来なさい」


「セ〜ニカ!パートナーになろうぜ」


「あはは、流石にダメだよ〜」


「いいわよ」


「ですよね〜、よし、それじゃあメルトのとこに、、、、え?」


すぐ近くにいたまさかのまさか、ジル本人から許可を頂いた事に、言った本人が逆に信じられないカイト。


「ははは、先生、流石に今の冗談は教師として度が過ぎるんじゃあ、、」


「別に泊まるくらいいいわよ、ヴァイス先生のとこでも2人で泊まりに行ってるみたいだし、貴方達付き合ってるんでしょ?」


「、、、、、、マジィ!?」


「えぇ!?先生本気で言ってるんですか!?」


「嫌なの?」


「嫌じゃない!嫌じゃない!めちゃくちゃ嬉しい!」


「逆になんでいいんですか?」


「先生があなた達と同じ頃も、おんなじ事考えてたよ、好きな人と一緒に外出先で泊まる事とか〜、私の頃はこういった修学旅行みたいな行事は一切無かったからね、絶対一緒に泊まったたら楽しいじゃん?」


「神!!!!なんたる理解者!!そうですよね!!別に付き合ってるんですから、同じ部屋で泊まるくらいいいですよね!?もうそういうのを解放してくれた方がねぇ?教師的にはアウトですけど、世間的には誰しもが考えた事があるんだからいいですよねぇ?」


「ただ一つ、、」


優しい普段のジルから一転し、真面目な顔付きでカイトとセニカの耳を借りるジル。


「親御さんに言ったらダメだよ」


「やったあああああああ!!!!」

「、、、、」


喜びのあまりジル先生に抱きつくカイトの傍で、両手に顔を埋めて喜ぶセニカ。


「あぁーーーー!!!はやく夜になんねぇかなー!!!」


ジルのとんでもない開放的な性格で、テンションが今までにない程ブチ上がるカイト。


「それじゃあセニカ、今日はデート日にしようか!他の奴らとまわるなんて明日にしよう」


「うん!すっごく楽しみになってきた!」


それから2人は荷物を同じ部屋に置いて、夜に何をするかリストに纏めた。


(これを考える瞬間ですら幸せだなぁ〜)


しかしこの世界に来てからの悪い癖と言ったらいいのか、自分が幸せと感じる度に、元の世界の事を考えてしまうカイト。


「どうしたのカイト?急に上の空になっちゃって」


「ううん、なんでもない、、あっ、後でファミル先生とレイゼンさんに挨拶しに行こうか」


「そうだね、カイトがよく言ってるムン婆って言う人にも会ってみたいし」


「そうと決まれば早速!」


「あ!待って待って、もうすぐ昼食が出来るから食べてからの自由時間にしようよ」


テレポートでファミルの執務室に行こうとしたが、セニカの提案で昼食後に行く事になった。


そして10分程経ち、2人で窓から見える景色を眺めながら、もう少し詳しくカイトが街を説明していると、リンデが昼食の知らせに現れた。


「お邪魔してごめんね、お料理できたわよ」


「あ、わざわざありがとうございますリンデさん、行こうかセニカ」


「うん」


「うふふ、この子がカイトくんとラゼッタちゃんが言ってたセニカちゃん?」


「はい、僕には勿体ないくらい可愛い彼女です」


「やめてよ、恥ずかしい」


廊下で剣術科のみんなと合致し、宿舎の一階の外にあるテラスに連れて行かれた。


テラスからはエルグランドの町中がよく見える作りになっており、またも生徒に感動を与える。


縦長のテーブルに各々座り、少しすると食事が運ばれてくる。


パン、漬物、サラダ、魚介類、肉類、豆、と豊富な種類の料理が運ばれて驚いたカイト。


(え、料理の種類が増えてる、、貿易の結果が出てきてるのか、凄いなぁ)


出てきた料理の中でも特に、剣術科のみんなの下を唸らせたのはサラダであった。


「すげぇ、この緑の四角いパイみたいな野菜、シャキシャキですげぇ瑞々しい!」


「この赤いやつも甘くておいしい!野菜っていうより、果物みたいな甘さ!」


エルグランドは貿易するにあたって、自国の何が他国と比べて優れているかを考える会議で、真っ先にカイトは水を提案した。しかしこの地で採れる水は無限に湧き出るのは確かだが、1年に湧き出る量は決まっており、且つ他の族長が神聖な水を商売に使う事を反対したため、却下されたが。


魔力に溢れたエルグランドの大地で採れる野菜を売りにしてはどうかとファミルが提案し、確かに魔力が豊富な大地ほどその土地の土壌には、栄養含まれていると、どこかの土壌学の学者が言っていたのを他の族長も聞いた事があると言い出した。


これなら飲んだら魔力が即時に回復する、神木の辺で汲める神聖な水にも引けを取らないと確信したカイトとその他一同。


それまで狩りや木の実、そして人間に変装して購入していた野菜で暮らしていたエルフ達はその提案を機に初めてエルグランドで農業専用の土地を開拓し、野菜の栽培を始めたのだという。


そして土壌学の学者と数人の農家の人に様々な知識を学びながら作り上げた野菜は、農家の舌をかなり唸らせ、土壌学の学者は土を触り、舐めただけで今まで見てきた土の中で最高ランクの土だと太鼓判を押すほどであった。


世界最高のブランド野菜、ブランド名にはエルグランドと名付けられ、瞬く間に最初の出荷で過去最高に新鮮で、尚且つ栄養価はかなり高い野菜だと数多の美食家達の舌を唸らせ。その地位を一瞬で確固たるものにした。


「とまぁこんな感じでここの野菜はすごく美味しんだ」


カイトが野菜の歴史と、その価値を説明した後、野菜をフォークでさして食べる。


「て事はこの食卓にはかなりの高級食材が並んでるって事?」


「ノンノンノン、メイダちゃん、ここに並んでいる物はどれもどうか2、3枚で買える程コスパの良いものだ、これよりもう少し高級な野菜も確かにあるんだけど、それは1度に栽培できる数が決まっているから、優勝した学科のみに振舞われる事になってるんだ」


「これより高級ってどれだけ美味しんだろ」


オルグが妄想を膨らませ、口から溢れる唾液を拭き取る。


そして一同は食事を取り終え、カイトとセニカはファミルに会うため、歩いて執務室へと向かった。


コンコンッ


「ファミル先生〜、いますか〜?」

ガチャ


「あ、レイゼンさんお久しぶりです」


執務室から出てきたレイゼンに、セニカが挨拶をする」


「、、、、お前達か、ファミルなら里の重役と共に今外交に出ている」


「え、いないんですか?ちょっと手土産と一緒に挨拶をしようと思ってたんですけどね、、」


「、、、、そうか、今日、明日では帰ってこないらしい、すまないな」


「分かりました、、あ、神木の辺りにあるあの池に行きたいのですが、あそこって許可がないと人間は立ち入れないからいいですか?」


「、、、、あぁ、お前だったらわざわざ許可がなくても入っていい、自由にしろ」


「あざーす!」


「ありがとうございますレイゼンさん、手土産はここに置いときますね」


「、、、、ありがとうな」


セニカが手土産を入り口の袖に置いて、カイトの後を追う。


「ねぇカイト、池ってなんの池?」


「へへ〜、一目見た時からセニカを連れてこようと思ってたんだ〜、ただの池じゃないから楽しみにしててくれ」


神木の根まで来ると、根の裏にある小道に隠れている入り口を見つけ、細かい枝やら根をどかしながら進むと、白、紫、赤、青、緑、茶色に光る微精霊が飛び交う神聖な雰囲気を漂わせ、エメラルドグリーンに光る池に着いた。


「うぁあああ、すっごく綺麗、しかも微精霊がこんなにもいるなんて初めて見たぁ」


かなりの数がいる微精霊の光と、池の神秘性が調和し、瞬く間に目を奪われるセニカ。するとセニカの体が淡い光を放ち、光の中から精霊のレオが現れた。


『ガゥッ!』


「久しぶりだなレオ!大きくなったか?」


『グルルルゥ』


「ごめんごめん、声かけただけじゃん、怒るなって」


カイトの顔を見た瞬間にあからさまに敵意と牙を剥き出しながら、喉を鳴らすレオ。体格は1年前の子供の様に小さくなく、年齢的には多分カイト達と同じくらい、青年レベルまで成長していて、立髪も少しだけだが生え始めている。


「こらレオ!なんでカイトを見ると悪い子になるんだろ、、あっ!」


バシャンッ!


セニカがレオを抱こうとした瞬間、レオが池の方へと走りだし、勢いよくダイブした。


「あ!やばいってそれは!」


「ちょっとレオ!戻りなさい!」


セニカが手を掲げ、体の中に戻る様魔力を込めるも、うんともすんとも言わない。


「え、なんで?戻らないの?」


「任せろ!」

『寄手』


闘気の腕を伸ばしてレオを掴もうとするが、どういう原理か分からないが、池の中から飛んで現れたレオが水面の上を走り、カイトの腕を躱す。


「ちょっ、、、すばしっこいぞ」


『ウォーターロック』


ボボボッ


方向指定がダメならターゲット指定と言わんばかりに、力技だが水の牢獄でカイトがレオを捕らえ、その隙にセニカが魔法剣の上を乗り、レオの体に直接触れて体に戻した。


「ナイスセニカ!」


「はぁ、、本当にどこまでも子供なんだから」


剣から降りて着地した瞬間、土が思った以上にぬかるみになっており、後ろへ大きくバランスを崩すセニカをカイトが慌てて手を引く。


「っとと!あぶねぇ、、きをつkっ」

ズボッ


「キャアッ!!」


セニカの手を引いた後、普通の土だと思って踏んだ場所が泥だった為バランスを崩し、セニカもそれに慌ててカイトの手を勢いよく引っ張り、セニカの背後にある池の方に体が倒れる。


「やばっ!」


ガバッ

バシャン!!


一瞬の事でパニックになり、急いでセニカを抱き寄せ、同時に池へとダイブする2人。


ゴボゴボッ

バシャン!


急いで水面に顔を出し、空気を吸い、陸に上がる2人。


「ぷふっ」


「あはははははっ」


「きゃはははは」


先程の一連のパニックを思い出して、おかしくなる2人。


カイト考案の乾燥魔法を使いセニカの服を乾かした後、自分の服も乾かす。


「これランザートさんに見られたら、死ぬ程怒られる奴だからな、、」


「急いで帰らないとね」


「ごめんな〜微精霊達〜、邪魔しちゃって!ランザートさんには頼むから内緒にしてくれよな」


会話も意思の疎通もできるから分からない微精霊に、念の為に言わないで貰えるよう手を合わせる。


ブワンッ


微精霊達は僅かに光を発し、まるでカイトの声に応えている様子。


「落ち着くね〜こういう所」


「セニカの家の庭にも確か池あったよな」


「うん、お母さんがお花とか大好きで、池があったらお花もより綺麗に見えるからって、お父さんに頼んで作って貰ったらしい」


「それじゃあ将来落ち着いて2人で家を持ったら池のある家にしようか」


「ははっ、卒業したらどうしてるんだろうね私達?カイトは世界を見て回りたいんでしょ?」


「そうそう!冒険をしてみたい!それと、、」


「それと?」


元の世界に帰る方法を探すと喉まで上がった声を押し殺し、少し沈黙する。


「将来、、セニカとルフト、あと家族のみんなにも伝えなきゃいけない事があるんだ」


「なによ〜、なにか隠し事とかしてるでしょ〜」


揶揄いながら、指でカイトの横腹をチョンチョンと刺すセニカ。


「あはっ、、こしょばいこしょばい!、、まぁそんな感じだよ、誰にも言えない大きな事」


「ますます気になるよその言い方すると」


「はは、気にしてて欲しいなセニカには、家族にも1番の親友にも言えない事だから」


少し湿っぽくなった空気とカイトの少し寂しそうな表情をセニカが察し、体育座りをしていたセニカがカイトの肩に頭を乗せる。


「言いたくなったら教えて、私はどんな時でもカイトの味方だよ」


味方と言う言葉に、気持ちが少し落ち着くも、転生者の言っていた言葉を思い出す。


『この世界を信用するな』


それはこの世界に住んでいる人達全員を指すのか、それともこの世界の存在そのものなのか、幾度と考えてるだけで分かるはずもなく、ただ虚しさだけが残る。


セニカは必ず自分の味方になってくれると言う自負はある、勿論親友のルフトにも、家族にも、なんならファミル先生や、師匠と慕うヴァイスにだってカミングアウトしても大丈夫だと思っている。


転生者にもこの世界と向こうの世界でも家族がいたはず、そして出会って間もない人間の放った信じるなというあの言葉には、とてつもない程の重みではなく、諦めにも似た虚無感が感じられたカイト。


前世では幸せを願った事もあったが大好きな両親もいなければ、妹とも疎遠、そして長年に渡る時を経て構築されたひねくれにひねくれていたあの性格。


その時に感じた虚無感に似たあの言葉の重みと、言い伝えを加えて考えると、やはり何か大きな裏切りに遭ったに違いない。自身の大切な名前ですらも捨てる程に、当時の自分を否定している。


「ねぇカイト!!」


「うわっ!」


突然の大声が突然意識の中に入り込み、慌てて大声のする方を見る。


「何回も読んだのにどうしたの?」


「ごめんごめん、ちょっと考え事してたら深くまで考えちゃった」


セニカの顔をじっと見る。


(お前は本当に人間なのか?)


いつもの様に頬を膨らませ、シワを寄せるセニカの頬を握り、反応をテストする。


「ちょっと、、急にどうしたの?」


反応は普通の女の子と同じ。頬を赤らめ、目を下から左右に流し、恥ずかしそうにしている。


ゆっくりと近づき、少し後ろに引いてゆく顔を強引に腕で引きつけ、唇を交わす。


「ど、どうしたのよ、、もう」


キスを終えてもしっかりと表情の細かい変化を見て、演技じゃない事を確認した後怪しまれないように一言。


「なんかやっぱりセニカって可愛いなぁって、味方してくれるって言われてちょっと嬉しくなっちゃって」


カイトの一言にボーッとした表情でカイトを見て、髪を耳にかけながら笑うセニカ。


「変なの、ふふっ」


「そろそろ行こっか、もうちょっとでシエル達との合流時間だ」


「うん」


尻に付いた砂埃を払いながら立ち上がり、シエル達と待ち合わせに指定した、神木ユグドラの周りにある中心街の観光スポットの1つである、祭壇の前でシエル、ラゼッタ、ルフトと合流する。


「あ、きたきたやほやほ〜」

「シエルちゃん、はいこれ」


待ち合わせ場所でルフトがシエルに何かを渡すのが見える。


「ん?何渡してるんだルフト?」


「ひ・み・つ」


「ハンドクリームです、剣を握ってできたマメとかをルフトさんが見て、買ってきてくれたんですよ」


「すぐに暴露しちゃうじゃんシエルちゃ〜ん!」


シエルが嬉しそうに、貰った袋から小瓶に詰まったハンドクリームを見せる。


「けっ、お前のそう言うとこ、なんか気持ち悪いな」


「ひっどーいカイトきゅん!そんなんじゃ女の子にモテないよっ!」


「ははっ、セニカ1人で十分!」


「ヒューヒュー、お熱い事で」


「ちょっとルフト、カイトがそうやって答えること分かってて聞いたでしょもう」


「あんたスカーレットに振られたのに元気だねぇ〜」


「そういえばどうなったんだよ、闘技大会の後」


「フラれたよ?優勝してないからダメだって」


「優勝してないのに、なんで聞いたんだよ」


「そりゃあお前、優勝する為に必死こいたんだから、その姿見て考え直すかも知れないだろ?1%の可能性でもあれば、俺はやるよ?」


キョトンとした顔で、フラれた事を淡々と語るその姿は最早鋼の心などの物とは異質な、どちらからというと癖な様にも感じる一同は、触れていい物ではないと解釈し、一歩ルフトから引き下がる。


「ちょちょちょ、冗談だってば、、流石の俺でも傷つくよ?」


「あ!てかそう言えばカイト!」


突然大声を発し、カイトに指を指すラゼッタ。


「急に大声出したなんだよ!」


「聞いたわよ!あんた留学するつもりなんでしょ!?」


「え?なんで知ってんの?」


「留学行くのですかカイトさん!?」


「本当に!?」


ラゼッタに続き、シエルとセニカも驚いた様子でカイトに問い掛ける。


「この前師匠に相談して色々候補を出して貰ってな、今何処に行こうかって所なんだ」


「候補って何処なのよ?」


「まぁ有名どころは、グレアモル学園、スパディアム学園、エリュムヘルト魔法学園、焔相寺学園、そしてネロゴート学園」


「どれも大陸大会出場校、、」


「何で俺にも言ってくれなかったんだよ〜、いけず〜」


「迷うとしたら、グレアモル、スパディアム、ネロゴートなんだよなぁ〜、焔相寺は格闘系だから今は剣を磨きたいから違うし、エリュムヘルトも魔法だから違うからな」


「グレアモルにはミドラがいて、ネロゴートにはネフェト、スパディアムには剣の腕が立つ対戦相手はあまり見かけなかったら、グレアモルかネロゴートじゃない?」


冷静に且つ的確なアドバイスを淡々とカイトに渡すセニカ。


「セニカさんは寂しくないのですか?カイトさんと会えなくなるかもしれないのに?」


「平気と言ったら嘘になるけど、お互いの邪魔は絶対にしないって約束だからね、それにカイトはテレポートが使えるからいつでも会えるよ」


「ん〜、たしかにスパディアムには剣の腕が立つ奴はいない感じだったからな〜」


((グレアモルにはあの道化野郎がいる、俺様はネロゴートを推すぞ))


((でも因縁のネフェトがいやがるからな、、))


((けっ、んなもん犯罪者よりかよっぽどマシだろうが、ネフェトと対決して強さに磨きをかけんだよ))


((なんかアイツに対戦で負たのに、アイツと戦って強くなるのってなんか嫌じゃね?わかる?この感じ?))


((言われてみればお前の言う通りかもしんねぇな、あれだろ?超えると決めた相手から教えを乞う感じではねぇが、あれに似た感覚だろ?))


((そうそう!プライドが大事って言うより、なんか真っ直ぐしてねぇっていうか、超える目標と決めたからには、目標と定めた以外で俺が強くなる過程でアイツをこのプロセスに入れたくねぇんだ))


((だったらもう選択肢は1つだけだな))


((あぁ、決めたよ))


「よし、グレアモルにしよう!」


(あそこの校長がちょうど1年前のあのクソ野郎と同じって事は分かってるが、流石に手を出したらどうなるか、ノイド校長をバックが入って貰うよう頼みに行こう)


「げ、ミドラのいる所じゃん、あんたミドラからオルフォルト流の極意を教えて貰う為にあたしとアイツを取り持つ様な事したら分かってるでしょうね?」


ラゼッタがあからさまに指の骨を鳴らしながら、カイトを威嚇する。


「ちょっ、分かったからそんなに睨むなって、、」


(悪りぃ、実はもう取引してんだわラゼッタちゃん、いつか埋め合わせするから、許してちょ)


心の中でラゼッタに謝罪しながら、一同はいつもの様に談笑を楽しんだ。


談笑を楽しむ事3時間、日も暮れだし、夕食の時間が来たので一度解散する一同。


「じゃあねみんな、また夜のキャンプファイアーで」


「私は1年生なのでみんなとは行けないですが、、、」


「抜け出してこっそり来ちゃえよ、強制参加じゃない見たいだから、人数合わせもないし」


「そうなんですね!それじゃあお邪魔させて貰います」


「でもシエル?私達とばかり絡んでたら、いつの間にかクラス内で孤立しちゃうよ?」


カイトの提案にシエルが乗るも、側から見ていたラゼッタが重たい口を開ける。


「それでも良いです!私ラゼッタさん達といるのが好きですから!それにクラスのみんなもいい人ばかりですから、そんな事気にしないと思います!」


「もぉ!可愛いんだから!ちゅっ」


「んん〜!」


シエルの真っ直ぐで純粋な言動に、年上のしっかりした雰囲気でシエルに注意していたラゼッタも流石にデレだし、堪らなくなったのか、シエルに抱きつき、そのまま頬にキスをした。


「あぁ、女の子同士のキスってなんか良いよなぁ」


「まぁそれに関しては珍しく同意見だルフト」


小声で耳打ちをするカイトとルフト。


ーーセニカとカイトはみんなと別れたあと、真っ直ぐ自分達の宿へと向かい、夕食を済ませ、キャンプファイアーが行われる、ユグドラの根本にある大きな広場へと向かった。


パァン!

「よし、皆集合しましたな」


そう言って広場の中央に設置された、井桁型に3メートル程積まれた積み木の目の前でランザートが手を叩き、注目を集める。


「これからは皆様には里の伝統行事、『樹楽の舞』を観てもらい、一緒にやって頂きたいと思います」


「樹楽の舞ってなんですか?」


「む?おぉ、良い質問だカイト君、樹楽の舞とは1年に1度この季節に行う、この神木ユグドラに日頃の感謝と、里の安全を祈り、捧げる舞なのだ」


樹楽の舞の存在を今初めて知ったカイト。


カイトの質問に続き、次々と質問が飛び交ったが、全て丁寧に説明するランザート。そして少しして質問が終わると、ランザートが合図をする。


「「「おぉ〜」」」


カイト達のいる観客席の後ろから、純白のドレスで着飾った、6人のエルフが適度に装飾された松明を持って、生徒達の前に並んで立ち止まった。


6人の中にはカイトの顔見知りも何人かいた。


(ははっ、、レイジェさん、凄く恥ずかしそう)


恥ずかしがるレイジェはカイトと目が合うと、更に頬を紅潮させ、俯く。


「それでは準備はいいですか?」


ランザートが横にはけていき、6人のエルフはそれぞれの立ち位置に立ち、松明を地面に刺し、ポーズを取った。


そしてオーボエの温かい音色が広場に鳴り響き、ヴァイオリンの様な弦楽器や、ハープの滑らかな音色が重なっていき、瞬く間に生徒達を魅了した。


「素敵な音色、、踊りもしなやかで綺麗〜」


「セニカも大人になったら舞って見せてくれよ、絶対レイジェさん達にも引けを取らないくらい美人になってるから」


「そうだね〜いつかあの様に綺麗に着飾ってみたいなぁ〜」


音色は静かな音色から一転して、激しい音色に変わり、ホルンやフルートの様な音色の楽器が加わる。


次に切ない音色が広場を包み、踊りも激しい踊りから一転、立ちきれない様な思いを表現したスローテンポになる。


踊っているエルフ達の感情の変化で、松明の色と、ユグドラの周りを飛んでいる微精霊達の色も変わっている事に気がつくカイト。


「すげぇ、、精霊とも息ぴったりだ」


次に優雅で耳に心地よい2本のフルートが重なった様な楽器と同じような音が、音色を切ない音色からポップで明るい音色に変え、自然と手拍子が起きる。


そして1人のエルフが、生徒達の目の前に来て、舞というよりいつの間にか踊りに変わっていたエルフ達の輪に入る様してきた。


「よっしゃあ!行こうぜセニカ!」


「え!?ちょっカイトっ!私踊りわかんないよ!」


「こういうのは分かってなくても、湧き出て来るもんだよ!ヘェイ!」


最初はエルフ達の踊りを真似していたカイトも、段々と乗って来て、フリースタイルで踊り出す。それを見た他の生徒も続々と参加する。


「ダンスと言ったら俺だぜ!」


『ルマールステップ』×『バーニングヴート』


軽快なステップでアクロバットな技を見せつける拳術科ウィス。その後ろでウィスのダンスを際立たせる為に、光魔法でスポットライトを当てるカイト。


そのまま後ろへとフェードアウトしていき、レイジェにニヤニヤしながら近づくカイト。


「何も言うな、、口を開けば私の盾で脳天を貫いてやるぞ、、」


「ははっ、、全然似合ってますよレイジェさん、他の5人の中で1番俺はレイジェさんが綺麗に見えましたよ!」


「なっ、、そんな訳があるはずない、、これでも緊張しているのだぞ?」


「そこがレイジェさんの奥底の魅力を引き出してるのすよ、気の強い女性の照れ顔は最強っすから!オスロットさんが見たら、絶対惚れ直しますから、任務帰りに見せてあげて下さい」


「よく分からないが、褒め言葉と受け取っておこう、、オスロットに関しては、、まぁ、その、、見せておこう」


「はい、是非見せてあげて下さい、特に僕が推薦した事もお伝えしてくれると嬉しいです」


そう言って、音楽のリズムに合わせながら、レイジェから離れてセニカの方へと回転しながら向かうカイト。


「ふぅ〜!!盛り上がってるか〜いセニカちゃ〜ん!」


「ははは、なんかテンション高いねカイト」


「こういうのは楽しまなきゃだぜ〜?ほら!もっと腰をシェイクして!」


「あ〜ちょっと〜」


セニカの背後に立ち両手を握った後、交互に手を前に出して、腰をノリノリで振る。


「いい感じいい感じ!」


「いいぞぉカイトォ!!もっと魅せてくれよぉ〜!!」


メルトの挑発に乗る様に、セニカから離れ、隠し球を出す。


「行くぜぇ〜!最高に盛り上がれぇ〜!たーまや〜!」


ピュ〜〜〜〜ドォンッ!!!


光魔法と火魔法を掛け合わした花火魔法で、場を煌びやかな花で彩る。


ピュ〜ドンッ!!ドォン!!


妹達に見せてあげる為だけに研究して取得したカイトの花火の種類は、実に30を越す。


そして最後は流星群をイメージしたとっておきの花火を飛ばし、ちょうど音楽も鳴り止み、大を見せた。


それから色々な行事を存分に楽しみ、修学旅行1日目が終了した。



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