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第2章 闘技大会本戦 Ⅴ


〜闘技大会3日目〜


『さぁ続いては2年生の部へと参りたいと思います!!』


ワァアアアアアア!!!


会場が揺れる程の歓声に思わず驚くカイトとオルグ。


「盛り上がりが半端ないぞ、、昨日何かあったのか?」


「へへっ!まぁな、お前を準決勝まで連れてくるのに骨を折ったからな、そんで実際に折れたしな」


「へぇ〜、、今日はどうなるんだろうな」


「まぁ俺らが対戦カードを引かなかったらそのまま決勝だからな」


「頼む、このまま決勝でお願いします!」


準決勝の試合はくじ引きによって、対戦カードを引いたもの同士での試合となった。


「さぁ、それでは同時に引いてください」


ルフト、カイト、ラゼッタが同時に箱の中に手を伸ばす。


「これだっ!うぉっ!おいルフト!今俺が先に掴んだんだぞ!」


「へへーん、これは俺が最初から目をつけてたからなー」


「はぁ?」


「よっしゃあーい!」


「え!?まさかラゼッタが?」


「対戦カード!へへーん!」


「いや、何で対戦カードで喜んでんだよ」


パラッ


折り畳まれた紙を開くと対戦カードだったカイト。


「このやろう、、おいルフト!お前感知魔法でなんかやったろ!」


「え〜、知らなーい」


「まぁ良いじゃんカイト!戦おうよ!」


「ちぇっ、、まぁラゼッタとだったら良い試合が出来るから良いけどよぉ」


「何だかんだお前も対戦カードで喜んでんじゃん、、」


オルグが傍でツッコむ。


『さぁそれではくじ引きの結果!準決勝はカイトチームvsラゼッタチームとなりましたぁ!!』


「悪りぃなオルグ、多分ここまで来るとチーム戦よりか個人戦になっちまうから頑張ってくれ」


「あいよ、、俺のことは気にせず頑張れ」


舞台へと上がるカイトチームとラゼッタチーム


「初めて本気で戦うよねカイト!」


「そうだな!気が合う者同士、ぶっ倒れるまで戦うか!」


「いいねいいねぇ!」

ギロッ


「分かってるって、邪魔したら殺すだろ?目線で分かるから、、」


ウェッジがラゼッタの眼力にため息を吐きながら宥める。


『それでは準決勝、、始めぇ!!』


雷走で突っ走ったカイトを見てその場から離れるオルグ。


ズィンッ!!

ガキィン!!


舞台の真ん中でラゼッタがスレイニル流の投擲の構えで投げた魔力の槍と、カイトの剣がぶつかり合う。


「ふんっ!」


魔力の槍を上に受け流し、再びラゼッタに走り出すカイト。


『五月雨竜閃』


自身の槍と魔力で生成した槍の2本で、カイトが目の前まで迫った瞬間に高速の突きを放つ。


キィンキィンキィンキィン!!!!


「やああああああ!!!」

「ははああああ!!」


カイトも闘気で生成した剣と獅子の柄をした剣の2本で、ラゼッタの高速の剣さばきで対抗する。


=====================



「あの2人本当におかしいぞ」


『爆剣』


ドォンッ!!


ウェッジが2人の戦いを見ている最中、頭上から剣を振り下ろし、爆発させるオルグ。


「危なかった、、ちょうどストレスが溜まっていたからな、ちょっと吐口になってもらうぜ!」


『牙槍・顎』



=====================


バキィンッ!!


(ここ!)

『紫電』


『竜翼』


ブゥンッ!!

キィン!


「うぉっとっと!」


「あ〜、やっぱ一筋縄では行かないか」


素早い攻防が繰り返される中、ラゼッタの魔法で生成した槍が攻防に耐えきれず音を立てて砕けると共に、隙を見たカイトが仕掛けるが、冷静に槍を振り上げカイトの攻撃を弾き返す。


『ドラゴンストライク』


逆手に握った槍をカイトに向けて力一杯投擲する。


ガシッ!

ズゥンッ!!


「うっんのぉ!!オラァッ!!」


投げられた槍をかわすと同時に闘気の腕で掴み、風魔法を纏って回転し投げ返す。


「げっ、あの技を普通掴んで投げ返すか!?」


ガシッ!

『ドラゴンインパクト』


『千切り星』


ドガァアアアン!!


「うぉっ!!」


2つの攻撃がぶつかり合い、衝撃波がちょうどジャンプして攻撃しようとしたオルグを襲い場外へと飛ばした。


「くそっ、、、」


「安心しなさいカイト、あいつには邪魔させないよう言ってあるから!」


『火竜紋』×『ドラゴンブレス』


炎の角や尻尾を生やしたラゼッタの口から豪炎が吹き荒れる。


『アクアドーム』


ジュゥウウウ!!!


『闘斬破』

ブォッン


カイトの周りを纏う水壁が徐々に蒸化していき、消えかけた所で反撃の斬撃を放ち、迫り来る豪炎を真っ2つに斬り裂く。


『火竜拳』


ドームが蒸化したと同時に背後に回ったラゼッタは炎竜の腕を形作った炎の拳をカイトの腰目掛けて放つ。


シュンッ


斬破で斬り裂いた先にラゼッタの姿が見当たらない瞬間に、嫌な予感を感じ、攻撃が当たった直前にテレポートで2、3歩前の位置に瞬間移動する。


すぐさま振り返りざまに斬撃を放つ。


『闘刃』

キィンッ!!


放った斬撃を片手で弾かれ、もう一度牽制しようとした所に、一瞬で距離を詰めてきたラゼッタ。


『五月雨火竜閃』


即座に生成した2本の槍で高速の突きを放つラゼッタの攻撃を捌く。


キィンキィンキィン!!

シュインッ!


漂水で羅ゼッタの猛攻撃を後へいなし、追撃する。


『隼斬り』


高速で2連撃で剣を振るも、1撃目は避けられ、2撃目で剣を握られる。


バキィンッ!!

「マジか!」


『火竜拳』


右手で握った剣を握力のみで刀身を粉砕粉砕し、そのまま左手に溜めた豪炎の拳をカイトに放つ。


パシッ!

ドォン!


即座に剣を捨てて、突いたラゼッタの拳の腕を掴み、そのまま背負い投げで地面に叩きつけるカイト。


バサンッ!

『火竜脚』


地面に叩きつけられたラゼッタは、背中に生やした翼を羽ばたかせ、跳ねるように地面からカイトに向かって蹴り上げる。


『烈拳』


ドォォォォン!!


しかしその攻撃をカイトが正面から拳で対抗し、爆発で砂煙が巻き起こる。


ドォン!!

ドガァ!


パシッ

ドォン!


砂煙の中で少しの攻防が続き、最後に聞こえた打撃音と共に砂煙が吹き飛ばされる。


「ははっ!これじゃあ拳術科同士の戦いじゃねーかよ」


「にひっ、、何科とか今はどうでもいいわよ!ただ目の前の敵を倒すだけ!」


拳と拳をぶつけ合いながら、最早剣術科と槍術科の戦いでは無いことにツッコむカイト。


グググッ!

『刀旋脚』


『火竜脚』


ドォンッ!

ズザーッ


拮抗し合う両者の拳に埒があかず、同時に蹴り技で攻撃を当て、吹き飛ぶ両者。


「次でラストだラゼッタ、、」


「ふぅ、、もう幕引きかぁ」


ブンッ

パシッ


ラゼッタが遠くに落ちた槍を魔力で手元に戻し、腰を深く落としスレイニル流の構えを取る。


ブワァン


カイトはポケットルームから獅子の柄をした剣を手に取り、もう片方の手に闘気の刀を生成する。


数秒の静寂から、互いに膨大な魔力を発する。


観客席の人間だけでなく、全生徒も緊張した面持ちでこの一合の始まりを固唾を飲んで待つ。


「おい、負傷者が必ず出る、今のうちに準備しておけ」


「はい」


係員の人間も舞台でひしめきあう2つの魔力に最悪の場合を想定し、治癒魔法の手配をする。


そして舞台にいた2人の姿が消える。


『非天・刹界』


『撃竜槍』


ガキィンッ!!!

ギギギギィ


実力は拮抗、しかし次の瞬間予想だにしない事が起きる。


ピキッ!


ラゼッタの握っている槍の切先ではなく、持ち手の部分が、ラゼッタの握力に耐えきれずヒビが入る。


その僅かな音を聞き逃さないカイトは更に力を入れ、耐えきれなくなった槍が粉砕した。


そして斬り上げと斬り下げの2連撃である刹界の2撃目をカイトが放つ。


「楽しかったぜ、ラゼッタ」


ブゥ、、ン、、

ドサッ


剣が振り下ろされるもラゼッタの両肩を脱力しながら掠め、カイトが倒れる。


何が起こったか分からないラゼッタは、辺りを見渡すと、パートナーのウェッジが倒れたカイトの背後から現れた。


「ウェッジ、、」


「十分楽しめただろ、お前の負けで俺たちの勝ちだ」


「、、うん」


『勝者!!ラゼッタチーム!!』


「「「「うぉおおおおお!!!」」」」

「いい試合だったぞぉ!!」

「流石四貴族の嬢ちゃんだ!」


観客席にいた大半の人間には細かい所は見えておらず、ラゼッタに拍手を浴びせる。


ドォンッ!!


なんとも言えない皮肉な現状に腹立たしさのあまり槍の切先を地面に思い切り投げつけるラゼッタ。


そして闘技大会準決勝は羅ゼッタの勝利で幕を閉じた。



〜診療所にて〜


「あー悔しいなー!」


ベッドの上で大きい声を出して悔しがるカイト。


「こら、静かにしなさい、ほかの患者もいるんだから」


病室でほかの生徒を手当てしているラムカがカイトを注意する。


「すいません、でも本当の悔しくて」


ガラガラ


「おっ、セニカだ、相変わらず可愛いなぁ」


「元気そうだねカイト」


「今回の試合は出しきれたからな、思い残すものもなんもないし、もしこれでラゼッタが優勝したら実質俺が優勝したもんだしな」


「へぇ〜、言うじゃんカイト」


横のベッドにいるラゼッタが挑戦的な顔でカイトの挑発を受け取る。


「まぁまぁ2人とも、すごく楽しそうに試合してたから見ているこっちもすごいいい気持ちになれたよ、それと...」


「それとー?」


「嫉妬したでしょセニカ〜」


もじもじするセニカにラゼッタが挑発する。


「うん、まぁね、、2人が楽しそうにしてるのじゃなくて、舞台にいる事がすごい羨ましかった、、もっと努力しなくちゃいけないって」


「今回の大会は特殊だからな、、、てかよ!今回の大会セニカ出てないじゃん!もし次の大会もタッグだったら俺とセニカで組めるじゃん!」


「あ、ホントだ」


「いやいや、辞めなさいよそれだけは、あんた達が組めた時点で、優勝みたいなもんじゃない」


「そん時こそは学園最強オシドリ夫婦の通り名ができる、、」


「まぁ取り敢えず2人が元気そうなら良かったよ、それじゃあ私は3年生の試合観てくるね」


「もうちょっと付き添ってくれないのかセニカー?」


「ごめんねー、シエルと約束してるから」


ガラガラ


「そう言えばセニカの誕生日もうすぐだから何か企画しないとな」


「またカイトの家でやろうよ、久しぶりにエリーちゃんとアルくんに会いたいし!」


「ついでにルフトんとこの妹達も呼ぼうか!そうと決まればルフトのとこに行ってくるぜ!じゃあなラゼッタ!明日の決勝頑張れよ!どっちも応援してるから!」


「はーい!ありがとねー!」


ベッドから飛び上がり、診療所から出て行くカイト。


その日の晩にルフトの家へと向かい、セニカの誕生日の企画を話し、誕生日プレゼントを何にするか一緒に考え、帰宅した。


ガチャ

「ただいまー」


「にーに!」


エリーゼとアルトが同時にカイトに駆け寄り、カイトが2人を抱き上げる。


「ねーねが帰ってきたよー!」


「ねーね!」


「まじ?いつ帰ってきたんだ?」


「エリー達が帰ってきたらいたよー!」


台所で会話が聞こえ、向かうとルミラがカミラの手伝いをしていた。


「ねーちゃん本当にいるじゃん!」


「なんだ?その含みのある言い方は?」

ドォンッ!


「いってぇーー!!」


「負けた罰だ、修行が足りてないぞ」


「試合見てたのかよ、、」


「おかえりカイト、さぁ晩御飯の準備もできたし食べましょ」


夕食の支度ができ、この日はルドガーの仕事も早く終わり、婆ちゃんと爺ちゃんも家に集まり、久しぶりの一家団欒での食事を楽しんだカイト一家。


夕食後の皿洗いを終えるとルミラに呼び出され、嫌々ながらもルミラと家を出て散歩するカイト。


「どうだ最近?2年生になって迷宮に入る様になったのだろ?」


「うん、今30層あたり」


「私の記録を破った奴は出てきたか?」


「記録?なんの?」


「私が3年生に1人で到達した100層の記録だ」


「、、、え?1人で到達したの?」


「あぁ、でも100層のボスがこれまた強くてな、ギリギリの所で負けてしまったよ」


「いや、1人で100層ってどんだけ化け物だよ」


「だからお前には私の成し遂げられなかった100層を突破してもらうぞ」


「いや、無理だって、30層でちょっと手こずってるし、40層から本番なんだろ?やってやりたい気持ちはあるけど流石に、、」


ドゴォッ!!


話の途中にカイトの腹部に拳をめり込ませるルミラ。


「お前は私の前ではネガティブになるのはなんなんだ?私が行けと言ったら行け、拒否をするな、口答えするな」


「出来なかった時は殺す気でボコボコにしてくるから、約束したくねぇんだよ、、」


聞こえないぐらいの声で地面に這いつくばりながら口答えするカイト。


それからも久しぶりの再会で積もる話をしている。


「ハハハ!それはまたルフトらしいな、でもいい事だぞ!愛情の為に本気になって優勝できれば一石二鳥だからな!お前もセニカに約束すればまた結果も変わっていたかも知れなかったかもな」


「、、それよりなんでこんなとこまで連れ出したんだ?またなんか相談があるんだろ?」


「なに?姉が弟と話しがしたいのに場所など関係ないだろ、、、と胸を張って言いたいものだがな」


カイトにヘッドロックをかけながら話すルミラの口調が変わる。


「エリュードとシグニカが戦争する事になる、私は一応ルマリアの次期王女という身分だが、わがままを通してもらい、エリュードの同盟国として戦争に参加する事となった」


「戦争に参加?なんで姉ちゃんが!?」


自身も大きものではないが戦争に巻き込まれた事があった人間として、自分の大事な人達にはあんな恐ろしい殺し合いの場に家族がいてほしくないと考えていたカイトの声が思わず上がる。


「声が大きい、、これはもう決定した事項だ、母さんと父さんに言う前にお前に言ったのは反応を知りたかったからだ、まぁお前の今の反応を見てから更に言うのが怖くなったがな」


「そりゃ当たり前だろ、戦争なんて自分の身内には誰にも言ってほしくないよ、例え姉ちゃんがどれだけ強くても、あんなただただ目の前の人間を殺し合う場所に、、」


「エルグランドに行った時の話か、、長老達から色々お前の話は聞いた、ただ私も嫌だが何もせずに守られるのは釈然としないのだ、民が同盟国といえど私が同盟を推薦した他国の為に戦い死んでいくのは、戦士一人一人にも家族がいるのだ」


「分かってるよ、、ただ」


ルミラの気持ちも理解できるが、家族を失うあの辛さをもう2度と味わいたくもないカイト。


「まぁ戦争は決まったが、今始まるわけではない、起きないように同盟国で何か対策を考えるさ!」


「、、、、」


「そろそろ冷える頃だ、帰るか」


座っていたベンチから立ち上がり家の方角へ歩き出すルミラ。


「姉ちゃん、、絶対に無理だけはしないでくれ、何かあったらどうやって母さん達に顔向けしていいか」


ルミラが振り向き悲しい表情をするカイトを片腕で抱き寄せる。


「私に何があってもお前の所為になんかはならない、母さん達がそんな事思うわけもないし、お前が私を同盟に誘った事に感じる責任なんかはない、全て私の意思でやっている事だ」


「言っとくけど、もし戦争が始まって本当に参加する事になったら俺も参加するからな」


「やめろ、足手まといと母さんの心配が増える。父さんも参加するはずだから、何かあったらエリーゼとアルトしか残らなくなる、お前は賢くて弁も立つ、だから母さんがどうしようもなくなったらお前が支えてあげるんだ」


「それを言うのは、、卑怯だろ」


「事実だ、だからお前は私達大人の世界にはまだ足を入れなくていい、バカして楽しく何も考えないで学園生活を楽しむだけでいい、許容できる範囲外まで手を伸ばそうとするな」


「まぁ心配してくれてるのは分かったよ、、取り敢えずこの件については置いておくから母さんには絶対言うなよ」


「分かった分かった、お前も私に似て頑固だな」


「自分が頑固って分かってるなら少しは直せよ、、」


小さくぼやくカイトをそのまま力を更に入れて抱く。


「痛たた!ギブギブ!」


「帰るぞ!せっかく家族全員が揃ってるんだ、明後日には帰るから妹達ともたくさん遊んでやらんとな」


こうしてこの日はルミラとの話が終わり、妹達たくさん遊んだカイトとルミラであった。

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