第2章 闘技大会本戦 Ⅳ
〜闘技大会2日目〜
『繚乱』
宙に浮かぶ2本の魔法剣が、両サイドから隙を突いて相手選手の首元に当てられる。
『勝者シエルチーム!!』
「うぉ〜、ナイスー!シエルー!」
シエルの戦いを見て、興奮のあまり立ち上がって、大声でシエルの勝利を讃えるカイト。
「こらカイト、シエルが恥ずかしそうにしてるじゃない」
「よし、そろそろ俺も準備しに行くかー」
1年生の試合を後にし、控え室へと向かうカイト。
ガチャ
「、、んお?オルグは?」
「見ていない」
「さぁ、控え室には来てないぞ?」
「そっか、今日の対戦相手誰だろうなー」
ガチャンッ!
「カイト!」
「うおっ、どうしたんすか師匠?」
「お前達も一緒に来い、オルグが何者かに襲われた報告が入って、今診療所に居るみたいだ」
「え!?」
急いで控え室から出て行き、会場内の診療所へと向かう。
診療所の前ではオルグの家族と思わしき人物達が心配そうな面持ちで診療所の方を見ている。
「お待ち下さいヴァイスさん!」
診療所へと入ろうとしたヴァイス達を係員が止めに来る。
「具合は?襲われたと聞いたが」
「はい、襲われたと思わしき形跡が会場の外で発見され、現場に傷だらけで倒れていたオルグくんを運びました」
「犯人の特定は!?」
カイトが割り込むように会話に入る。
「特定は出来ていません、ただオルグくんが倒れた原因は短時間の内に過剰消費された魔力欠乏症によるものだと思われます、それと現場にはこれが」
そう言って係員はポケットから札の様な物を取り出した。
「札?術式が描かれているな、アンジェに聞いて見るんだ」
「もう既に確認をしてもらっています、後心配するとすれば、、」
そう言って係員はカイトの方を見る。
「俺の出場条件になりますか、、こうなった時の為に何か大会側は考えているのですか?」
「一応パートナーがやむおえない理由で出場ができない場合は、同じ学科でかつ大会出場経験がない他のクラスメイトと臨時で組む事となっております、それから本日の対戦表を急遽変更して、カイトチームには特殊試合枠に入ってもらいます」
「一つ聞いても?と言うより要望ですが」
「はい、なんなりと」
「「「「わぁああああ!!!」」」」
『さぁ1年生の部が最高の盛り上がりを見せ、続いて2年生の部となります!!選手一同入場!!』
各学科の生徒が入場し、ベンチへと座る。
『さぁそれでは本日の対戦表を発表します!!』
=====================
剣術科アルベルトチーム
vs
槍術科ルフトチーム
拳術科オウケンチーム
vs
槍術科ラゼッタチーム
『特殊試合』
剣術科カイトチーム
=====================
「特殊試合?あんなの初めて見るぞ」
「余ったチームはSEED枠じゃないの?」
「まぁでも試合が一つでも増えれば俺は嬉しいけどな!」
『さぁさぁ、対戦表の発表で少々驚いた方も多いでしょう!!私の方から特殊試合の説明をさせて頂きます!』
『まず特殊試合では対戦相手は選手同士ではなく、魔法で生成した魔物と戦って頂きます、難易度は中〜最上級まであり、それぞれの難易度が設定されており、選手にはくじを引いてもらい出た難易度の魔物に挑戦して頂きます』
『とまぁこんな感じで、それでは早速第1試合の方を始めさせて頂きます!!選手は舞台へとお上がり下さい!!』
舞台にアルベルトチームとルフトチームが上がる。
「お前とやるのは初めてだなルフト」
「そうだね、手加減は無しでいくよ」
「あぁ」
『それでは第1試合、、始めぇ!!』
試合開始と共にアルベルトとグレイルが一瞬でルフトの目の前に現れる。
『テンペスト』
ブォンッ!!
ルフト達の目の前まで移動したアルベルト達が吹き荒れる暴風によって一瞬で宙に浮かされる。
「ニニカちゃん、行くよ」
「あいよー」
『ブリザード』
吹き荒れる暴風がニニカの魔法によって、瞬く間に吹雪と化し、アルベルトチームの体力を奪う。
『流刃閃』
スパンッ!!
魔枢を見つけるのに少し時間がかかるも冷静に見極め、暴風を消すアルベルト。
『鬼哭』
着地した瞬間に、ダッシュにし、瞬く間にルフトの頭上へと移動するアルベルト。
「させないよー」
『五月雨豪炎』
ルフトとアルベルトの間にニニカが割って入る。
キィンキィン!!
ニニカの猛炎を纏った槍の連続刺突攻撃をいなし、やむ終えず後退するアルベルト。
「悪りぃ、目回って遅れた!」
グレイルが遅れてアルベルトに向かって走り、体勢を立て直す。
「あの女はお前が止めろグレイル、かなりできるから気を付けろ」
「分かった」
『斬破』
ダッ!
地を這う斬撃を飛ばし、斬撃に遅れて走り出すアルベルト。
『大炎投』
ニニカが投擲の構えを取り、アルベルトに向かって放つ。
「珍しくやる気だねニニカちゃん、俺も上がってきたよ!」
ルフトはニニカの投擲した炎槍の先に魔法陣のトンネル2つ生成する。
ブゥンッ!! ビュンッ!!
炎槍は魔法陣を1つ潜り抜ける毎にスピードを増していき、炎も更に燃え上がる。
ズゥンッ!
『砕天』
ガキィィィィッ!!
『漂水』
スルンッ!
斬破を容易く貫き、側面からグレイルが剣を叩き入れるも勢いを少し殺す程度で、最終的に背後へといなすアルベルト。
『絶風の構え』
目の前まで来たアルベルトにルフトが等身大の風槍を両手に生成し、構える。
『残雪』
『木枯烈風』
居合いの構えを取り一閃、剣閃がルフトの腹部を捉え切る前に風槍から放った風の刃で相殺する。
「いい加減、、」
「おっと、邪魔はさせないぞ!」
ブゥンッ!
「ちっ」
ニニカが再びアルベルトとルフトの間に割って入り、魔法で生成した槍でアルベルト突こうとした所をタイミングよく、袈裟斬りを放ち攻撃を中断させるグレイル。
「めんどくさー」
ガキィン!!
ブォンッ!!!
「ふあっ!」
「うおっ!」
ニニカがグレイル睨みつけ、互いに攻撃を仕掛けようとした瞬間、ルフトの風槍とアルベルトの剣がぶつかり合い、強い暴風が2人を吹き飛ばす。
「ごめんニニカちゃん、ちょっと手荒くなるから、我慢してね」
「あたしの事は気にしないで、適当によろしく」
「無事か?グレイル?」
「俺は気にせず目の前に集中してもらってかまわねぇぜ」
倒れる2人の目の前に着地するアルベルトとルフト。
「少しだけ踏ん張れ、ケリをつける」
『刹鬼道』
「向こうが本気を出してきたね、また吹き飛ばしたらごめんね」
『ユニゾンソウル』
相棒である精霊ウィスがルフトの目の前に出現し、薄緑色の球体に変化し、ルフトの上半身に溶け込む。
バサンッ!!
すると、3対6枚の翼がルフトの背中から出現し、空中に飛ぶルフト。
バサンッ!!
その神々しいルフトの姿に誰もが目を奪われ、地上ではその神々しさとは逆に、悪鬼の様なオーラを纏ったアルベルトが体をぶれさせた後、その場から消えた。
バキンッ!!
感知能力を完全に習得したルフトには速さなどは通用せず、一瞬でその場から移動したアルベルトが背後に回っていると感じたルフトはアルベルトの振り下ろした剣を受け止める。
(何度も吹き飛ばされたアルベルトの剣撃止めやがった、、)
『木枯回風』
受け止めた剣を押し返し、回転斬りを行い竜巻を発生させる。
『鬼威』
竜巻の中に閉じ込められるも、剣風のみで竜巻を吹き飛ばす。
「それはやり過ぎじゃね?」
驚くルフトを他所に、天歩で空中にいるルフトに追撃を行うアルベルト。
『熾風刃』
翼から発した風刃をアルベルトに飛ばすが、全て天歩による高速移動で避けられ、空振りに終わる。
『鬼威』
バキィン!!
「うぐっ、、さっきより威力が」
目の前に現れたアルベルトの剣を風槍で受け止めるも、威力が増していることに気が付く。
スー
「っ、、、」
と同時にアルベルトの腕から垂れる血を見て時間制限もあると考える。
バサンッ!!
即座にアルベルトに風刃を飛ばし、距離を取り始め、遠距離攻撃のみに集中するルフト。
グラッ
「俺の魔力が先に尽きるか、そっちが倒れるかで勝負が、、やっぱりそう言うのは嫌ですかい?」
地面に着地し、追うの辞めて空間から一本の刀を取り出したアルベルトを見て、勝負を決めに来ていると見たルフト。
(刀!?にちょっと似ているけど、見た感じは刀だよな、、まさかあいつも!?)
『刹鬼道・一の条』
『熾風・・』
『悉』
凄まじい殺気を頭上から感じ取るルフトは、即座に全魔力をアルベルトではなく、頭上に向けて放つ。
『熾風恢嵐』
ズフォンッ!!
飛ばした両手の風槍と6枚の翼の風刃を全て1つに纏め、巨大な嵐槍が頭上の殺気に向け放たれるが、アルベルトの放った斬撃はルフトの嵐槍をなんの抵抗も感じさせない速度で2つに斬り裂き、そのままルフトの目の前まで来る。
「やべっ、、体が」
一瞬にして全魔力を使い果たし、諦めかけた瞬間...
ブゥンッ
「うおっ!」
突如横から突風が吹き出し、斬撃から大きく横に逸れるルフト。
突風の方向を見ると地面にぐったり倒れたグレイルの横でニニカが両手をルフトの方へと向けていた。
「な、、ないすフォロー、さすがだよ」
しかしルフトの心配はそれだけでは終わらなかった、残り僅かな力を振り絞り、顔を急いでアルベルトのいた位置に向けると、アルベルトの姿は消えていた。
「やば、、」(ニニカ、、ん、)
意識が薄れゆく中、最後にルフトは聞こえていた。
『勝者ぁぁぁ!!ルフト選手!!』
大歓声が上がるも、すぐさま音と共に意識がフェードアウトする。
ブルッ!
ルフトの勝利を耳にした途端、感じた事ない気分の猛りがその場にとどまる事を許さず、立ち上がって拍手をするカイト。
「すげぇぞ!ルフト!!」
思わず聞こえていないにも声を上げ、技を放った後にすぐ倒れたアルベルトをヴァイスが運び出す。
会場内も今までにない盛り上がりを見せ、互いの選手を称賛する観客。
この試合で良くも悪くも、残りを控えている選手に対して興奮を与えた。
そして間もなく第2試合が始まろうとする。
『第2試合拳術科オウケンチームvs槍術科ラゼッタチーム!!両チーム舞台へとどうぞ!!』
両チーム舞台へと上がり、カイトがラゼッタの顔を見て感づく。
(うーわ、、ありゃあ一瞬で終わるぞ)
まだ試合の結果が始まってすらいなく、次の日の試合すらまだ発表されていない段階で、ラゼッタの眼中にはもうルフトのみとなっていた。
『始めぇ!』
『スレイニル流』
腰を落とし槍を逆手持ちするラゼッタに、パートナーであるウェッジが何も言わずに後退する。
『芭蕉扇』
ブォンッ!!
パキィン!!!
ナサンが大きな扇子を取り出し、横に大きく払い突風を発せさせるも、目に見えない速度で何かがナサンの頬を横切り、背後の結界が割れた。
ズドォン!!!
「結界強度を7にあげ」バキィン!!
「10に上げろぉ!」
魔法で生成した岩の槍を有り得ない怪力と速度で次々とオウケン達に投げつける。
「しょ、所詮は魔法、軽くあたったくらいでグハァッ!!」
ドォンッ!!
話の最中にナサンの体がくの字に曲がりながら結界まで吹き飛ばされる。
「ナサン!!おのれぇ!」
『破骨一点』
パシッ!
猛スピードで振り回した後、勢いをつけてラゼッタの方へ三節棍を伸ばすが、一瞬で懐に入られ手首を掴まれるオウケン。
ゾワッ
オウケンの全身に悪寒が走り、ラゼッタは左手に握った槍を勢いよくオウケンの顔目掛けて振りかぶる。
「こ、降参だ!!」
ピタッ
ピタリと眼前で止まった槍を見て、脂汗をかきながら降参を叫ぶオウケン。
『勝者ラゼッタチーム!!』
「早くしてくれればこんな事せずに済んだのに」
威圧感のある表情からいつもの表情に戻り、ベンチへと戻るラゼッタ。その場からすくみ上がって動けなくなったオウケンを係員が運び出し、特殊試合へと進む。
『さぁいよいよお待たせいたしました!!第3特殊試合!!剣術科カイトチームは舞台へとお上がり下さい!!』
チームと紹介された事に違和感を感じながら舞台へと一人で上がるカイト。
「ん?パートナーはどこいったんだ?」
「1人だけで舞台へ上がったぞ?」
「にーに1人だけー?」
「おかしいわね、確かオルグ君っていうチームメイトがいたような」
すると何やら実況席の方で少しバタバタする音が聞こえる。
『え〜、、大変失礼致しました、カイト選手のパートナーであるオルグ選手がアクシデントで怪我をしてしまい、カイト選手自らの申し出により、1人での挑戦とさせて頂きます』
再び会場がざわつき始めるも、そのまま進行する。
『それではカイト選手には係員がお持ちしている箱の中からランダムに1枚の紙を掴んで頂き、その紙に書かれた難易度の魔物に挑戦して頂きます』
舞台へ1人の係員が黒い箱を持って現れ、カイトは箱の中にあった紙を全て掴み出し、手を挙げ叫ぶ。
「全難易度の魔物との挑戦だ!」
「うぉおおおお!!!」
「よく言ったぞカイトぉぉおお!!」
「わああああああ!!!」
ルフトの試合で熱く沸る何かを発散させまいと、全難易度の魔物に挑戦するカイト。
((へっ!折角ルフトが盛り上がらせたんだ、冷めさせるわけにはいかねぇだろ))
会場内は再び揺れ上が程の熱気に満ちた。
「あー、、またおかしな事考えてるよカイト」
セニカが頭を抱え、横でシエルが笑う。
「ハハハッ、カイトさんらしいですね」
『そ、それでは全難易度挑戦!第3特殊試合、、始めぇ!!』
魔術科の顧問であるアンジェが魔物を複数生成する。
「一応説明しておくけど、中級の魔物で学園の迷宮20階層に匹敵する強さで、最上級で50階層、勢いで言ったと思われない様に頑張るのよ?」
左から中級の羊と鹿を混ぜた様な生き物のケルプ。
真ん中には上級の青い肌のオーガの亜種ゾーガ。
右には最上級の顔に十字の隙間があり、中に青色に光る球がある、体は人間と同じ灰色の魔物、アイオン。
どれも3メートルから4メートルある魔物に思わずカイトも口角が上がる。
((俺の助けはいるか?))
((いや、決勝までに温存しておけ))
試合開始のゴングが会場内に鳴り響く。
ズゥンッ!!
まず最初に動いたのはケルプ、両眼を輝くせるとカイトの半径3メートルに重力場が出現し、ゾーガが一っ飛びでカイトを踏み潰そうとするも、雷走で躱す。
ブゥンッ
しかし雷走の速度について来たアイオンが更に上回る速度でカイトの背後に周り、蹴りを入れる。
ドォンッ!!
攻撃が命中する直前に闘気でガードし、吹き飛ばされるも受け身を取って攻撃に出ようとした瞬間にはもう目の前まで来て拳を振りかぶっていたアイオン。
スタッ!
ズゥン!
ドガァン!
ジャンプして躱すもケルプの重力で強制的に地面に戻され、そこへゾーガの棍棒が振り下ろされる。
『闘剣』
ドォンッ!
剣で振り下ろされた棍棒を受け止めるも、すぐさまその隙にアイオンがカイトを蹴り飛ばす。
「おいおい、一方的すぎやしないか?」
観客席から心配の声が上がる。
「くっ、、見事な連携だな、一体ずつなら簡単に倒せそうなのにな」
((おいおい早くもギブか?))
((うるせぇ、最高の盛り上がりを見せるには、最初は盛り下げるってのが基本なんだよ))
「こっから盛り返す」
『紫電』
紫色の一本線が真っ直ぐケルプに向かって飛んでいくが、その速度に追いつくアイオン。
ガシッ
「追いつきに来るって分かってたぜ!」
『ボルテックス』
無差別に放電し、アイオンの動きを一瞬止め、ケルプの方へと走るが、再び重力場が出現し、ゾーガが目の前に立ちはだかるも、冷静に魔樞を破壊し、トップスピードの雷走でゾーガを無視し、ケルプ目の前に移動。
『黒闘閃』
ガァンッ!
ケルプはカイトの攻撃を、頭に生やした2本の複数人枝分かれした角でガードし、再び目を光らせる。
ズンッ!
今度は角に体がくっつく様に引き寄せられる。
「んなもんっ!」
バキィッ!!
剣から手を離し、角を素手で2本へし折る。
『天烈拳』
ドガァンッ!!
角を折られ、その場で横になったところを闘気の腕を顔に向け放つと、四散していった。
「ふぅ、、後2体」
行商団から買った獅子の柄をしたイーグスタ製の剣をポケットルームから出し、構えるカイト。
「ここで使うのは流石に許されるっしょ」
『斬破』
通常の斬破より数倍の大きさもある地を這う斬撃が、こちらに向かって走るゾーガに向けて放たれる。
ビュン
斬撃がゾーガに当たる前にアイオンの十字顔の中にある青い球からレーザーの様な物が発射され、斬破を貫通し一直線にカイトに飛んでいく。
ガキィン!!
剣で受け止めるも、威力が強すぎて体ごと徐々に後退していく。
「ぐっ、、、押し返せねぇ、、」
スッ
ドォォォォォォン!!
いつの間にか背後に回っていたゾーガの渾身の振り下ろしを直撃する。
「うっ、、」
闘気でガードするも、右腕から鈍い音が聞こえ、すぐさま距離を取り、前後から囲まれる状況になる。
『ヒール』
徐々に腕の外傷は消えるが、疲れと骨折は治らない。
右腕に力が入らないのを確認し、仕方なく剣を利き腕じゃない左手に持ち替える。
「あの鹿を倒したところで防戦一方、、正直こんなにキツイとは思ってもなかったぜ」
((出るか?))
((いや、この試合だけは俺だけでやるって決めたんだ、負けたらそこまで))
((まーたへんなこだわり入れやがって))
アイオンと同等の速度でゾーガも一瞬にしてカイト目の前まで現れ、背後からはアイオンの蹴り、前方からはゾーガの振り払い。
ズィン!!
迷わずゾーガの方へと雷走で近づき、振り払う前に背後に回り、ふくらはぎの位置を斬り払う。
ザシュッ!
ドォン
立てなくなったゾーガは両膝を地面につき、引き続き攻撃を仕掛ける。
『雷貫』
心臓と思わしき部分に穴を開けるも、まだ動き続け、更には立ち上がるゾーガ。
「ふくらはぎの傷が癒えてる、、自動回復なんかあんのかよこの魔物」
ドォンッ!
パシッ
驚く暇もなく、背後からアイオンの蹴りをくらいゾーガの方向の吹き飛ばされ、両手で掴まれる。
「ぐっ、、動け」
キュインッ!
『闘砲』
ドォンッ!!
カイトの動きを封じたゾーガの腕にアイオンが降り立ち、至近距離でレーザーを溜めた瞬間に、闘砲で自分ごと巻き込み、なんとか逃れる
。
「あぶねー、、グフッ」
ゾーガの両手はみるみる回復していき、アイオンは地面に着地し、カイトに向かって歩き出す。
闘砲の爆発で剣がゾーガの足元に落ちた為、魔闘術の構えをとるカイト。
ブゥンッ
ガシッ
アイオンの姿が消え、目の前に現れるも落ち着いて、パンチを左手で掴む。
スッ!
パシッ
今度は放った膝蹴りを闘気で生成した腕で受け止める。
キュインッ!!
『刀旋脚』
ドガァン!!
打つ手が無くなったアイオンは至近距離でレーザーを溜めるが、回し蹴りで吹き飛ばす。
『寄手』
ガシッ
吹き飛ばした瞬間闘気の腕を吹き飛ぶアイオンに伸ばし、引き寄せ地面に減り込ませる。
「まだ消えねぇのか、、そこで伸びてろ」
ダッ!!
手応えはあるが、倒すまでいかないアイオンの硬さに少し焦りが出るも、もう目の前まで来ていたゾーガを迎え討つ。
ブゥンッ!!
『烈脚』
ドコォコン!!
棍棒とカイトの蹴りがぶつかり合い、衝撃波が観客席を襲う。
「んおぉらぁっ!」
気合いで押し返し、体制を後ろへ大きく持って行かれたゾーガに追撃を入れる。
ドォンッ!
『刀旋脚』
回し蹴りで地面に付いているゾーガの左足を狙い宙に浮かせる。
ダンッ!
ゾーガを超える程大きく上空にジャンプし、ゾーガの真上で天歩を使い直角に落ちるカイト。
スルルルルルンッ!!
『天烈脚』
風魔法で縦に高速で回転し、渾身の踵落としをゾーガの腹部に命中させる。
パキィン!
ゾーガは四散し、なんとか倒すことができたカイト。
「はぁはぁ、、」
近くに落ちているイーグスタの剣を拾い、アッシュから魔力を補給する。
「ふぅ、、そろそろ起き上がるだろ?」
地面に倒れているアイオンを見ると、指がピクリと動き、ゆっくり立ち上がる。
(ごめんねカイトくん、最後の一体だから嬉しいかもしれないけど、まさかあなたが3体選ぶなんて思っても見なかったら全然各魔物の細かい動きや全力が出せていなかったの、だからここからが本番よ)
魔術科のベンチに座っているアンジェがヴァイスに目線を送り謝る。
しかしヴァイスの表情には困惑や怒りもなく、むしろ挑んだ表情を浮かべる。
シュウゥゥゥゥ
ガコンッ
アイオンの灰色のから煙が立ち上がり、ガコンッという音と共に灰色の肌がポロポロと落ち始め、鏡のように反射するメタリックなボディが露わになる。
「ざけんなよ、、ここまでやってまだ全力じゃ無かったのかよ」
半分程で十分だと思っていた魔力の補充を全快まで考え直すが、相手の強化が完了したみたいなのですぐに剣を構える。
『纏雷』
シュンッ!
ブゥンッ!
ドォンッ!!
カイトとアイオンの姿が同時に消え、次の瞬間空中で衝撃波が巻き起こった。
「最速について来んのかよ!」
アイオンのオーバーヘッドの蹴りを剣で受け止めるも、今度は押し返されたカイトは地面で受け身をとった後再び消える。
ドォン!!
キィンキィン!!
ズィンッ!!
舞台上で目で捉えきれない程の速度で戦うカイトとアイオン。金属音がぶつかり合う音や、爆発、魔力の斬撃など色んな音のみが聞こえること1分。
ドゴォンッ!!
地面に何かが吹き飛ばされ、砂煙が舞い上がり中カイトの姿が露わになる。
「くそ、、隙がなさすぎる」
バチンッ!
吹き飛ばされ、受け身を取る直前に仕込んだ雷のトラップをアイオンが踏み、一瞬でできた隙を見逃さずアイオンの肩に袈裟斬りを放つ。
ガンッ
「硬っ!、、んぬぬ」
グググッ
パシッ!
腕を掴まれ背負い投げで地面に叩きつけられるカイト。
キュイン!
地面に叩きつけた後レーザーを溜めるアイオン。
「ガハッ、、利き手じゃない方で剣を握んの慣れねぇな、、」
ガシッ
掴まれた腕を力点に、倒れた状態から跳ね上がり、オーバーヘッドの体制でアイオンの脳天を蹴り、溜めるのを何とか阻止する。
『刀旋脚』
掴んだ腕をアイオンが離し、足払いをかけるように回し蹴りを放ち一瞬だけ宙に浮かせる。
『天烈脚』
顔に向け足刀蹴りを放つ。
『寄手』
肩から生やした2本の闘気の腕で両腕を掴み吹き飛ぶのを阻止。
そのまま両手を顔にピタリとくっつけ、魔力を一気に発射する。
『闘砲』
ドォンッ!!
技の反動で骨折していた右腕に激しい痛みが襲いかかり、左手首の骨にヒビが入る。
「はぁ、、はぁ、、頼む、起きずに四散しろ」
ググッ
うつ伏せで倒れたアイオンが起きあがり、カイトの方へとよろよろと歩くも途中で倒れ、四散した。
『勝者カイト選手!!』
「うぉおおおお!!!」
「よくやったぁああああ!!」
「すげぇええええ!!」
「、、っしゃあ!、、うおっ!」
ガバッ
喜びで立ち上がるも、疲れでよろけたところをヴァイスが支える。
「あざす、、師匠、どうすか?」
「良い戦いだった、流石俺の教え子だ」
「ハハッ、、嬉しー」
こうして闘技大会2日目はカイトの怒涛の逆転試合を最後に幕を閉じた。




