第2章 闘技大会本戦
「おーい、、大丈夫かー」
「オェェェェェ!、、プッ、ごめん」
「そこまで緊張する事か?折角の晴れ舞台なんだから結果出すより浮かれるぐらいで良いんだよ」
闘技大会の会場にあるトイレで極度の緊張とプレッシャーの余り嘔吐するオルグ。
ガチャ
「もう大丈夫、、魔法のおかげでちょっとはマシになった」
「あっ、やっと出てきた!大丈夫オルグ?」
トイレから出ると心配そうな面持ちで待っていたセニカがオルグの顔色を伺う。
「うん、、もうマシになったから、心配してくれてありがとう」
「ったく、セニカは心配しすぎなんだよ」
「だって急に待合室で倒れたからビックリしちゃったよ」
「おいお前達、そろそろ開会式だ、まだ吐きそうかオルグ?」
「すいません先生、もう大丈夫ですので行きましょう」
わざわざトイレまで様子を見にきたヴァイスがオルグとカイトを呼びに来て、入場口に向かおうとする一同。
「それじゃあ頑張ってねカイト!応援してるよ!」
「おう!終わったらセニ、、っとと、危ねぇ」
何か口走りそうになったカイトが慌てた様子でセニカに手を振り、急いで入場口に向かうカイト。
「お!オルグ、大丈夫だったかー?ハハッ!」
「笑うなってグレイル、お前も初出場なのによく冷静にいられるな」
入場口に着くと待っていたアルベルト達と合流した。
「だってアルベルトがこんなに強くなって帰ってきたんだぜ?ジュランにもカイトにも勝ったら、そらもう大船に乗った気持ちで、緊張もなんもねぇべ!」
アルベルトの肩に手を腕を回し、笑い飛ばすグレイル。
「集中しろグレイル、剣術科の中で1番でも全クラスの中で1番という訳ではない、槍術科には四貴族もいれば、弓術科にいる編入生はかなりの腕っ節だし、魔術科にはロンが編入した、拳術科に至っては学園長自らが鍛え上げた生徒がかなり成長しているとの噂だ」
ぐぅ〜
「やっぱ、俺もお腹痛くなってきたかも」
「ちょっ、アルベルト、、グレイルに緊張感を持たすのは分かるが、俺まで被害被っているぞ」
バシンッ!!
「大丈夫だって!他の出場者のパートナーだってみんな緊張してるって」
再び緊張するオルグの背中を強く叩き緊張を解すカイト。
「よし、合図だ、行くぞ!」
アルベルト、グレイル、カイト、オルグの順番で会場へと入場する剣術科。
「「「「ワァアアアアアア!!!」」」」
同時に別の入場口から入場した、他の学科の生徒を見ると見慣れた顔と、初めて見る顔がちらほらいた。
闘技場の北に位置する高台にいるノイドの目の前で学科ごとに3年、2年、1年の順で4列に整列しする。
(なんか前回の時と比べて段取りが増えたな)
ノイド学園長が開会の言葉を述べてる間に右の列にいたロンを見つけて、話しかける。
「おいっ、、ローン!」
ロンがこちら側に気が付き、笑顔で手を振る。手を振るロンを見て、グレイルがアルベルトの手を取り、ロンに向けて手を振らせる。
「なぁスカーレット、なんでお前そいつと組めているんだ?」
「ん?ウォルトの事?」
「なんせスカーレットは去年の闘技大会に参戦してないからな〜、組む相手は大会の本戦に出場した者どうしの禁止だからな」
スカーレットの後ろにいたウォルトが代わりに答える。
「はぁ?ずりぃぞそれは!大陸大会出てんじゃねーかよ2人とも」
「さぁ?先生が良いって言ってたからそういう事だろ、へへっ!」
「おい、高貴が売りなカーマイン家がルールには則っとるが、ルールの抜け道探すなんてどういうつもりなんだよ!」
「べ、別にいいでしょ?ウォルトに強く頼まれたし、それに、、リゾート地には最高のもてなしで行きたいし」
リゾート地のビジネスクラスの獲得に目が眩んだカーマイン家の淑女に落胆するカイト。
『コホン!!』
強めの咳払いでカイト達を睨みつけ注意するノイド。
『そして今回の大会で見事優勝した学科には褒美として、、、』
「なんだなんだ!?」
思わず声が出るカイト。そして次にノイドの口からでた言葉に別の意味で驚きを隠しきれないカイト。
『エルフの秘境、自然に囲まれたエルグランドの3泊4日の旅を贈呈しよう!!』
「えぇーーーー!!!」
膝から崩れ落ちるカイト。
「普通に行けるとこだし、、てか言っちゃっていいのか?」
今年のリゾート旅行はエルグランドに決定した事に再び落胆するカイト。
『それでは諸君の健闘を祈ると共に、ここに開会の宣言を致す!!』
「「「「おぉおおおおおお!!!」」」」
他の生徒が今年のリゾート地がエルグランドに決定した事に喜ぶも、肩透かしを喰らわされたカイトのモチベーションは少し下がっていた。
そしてすぐさま1年の部の試合が始まるため、2年生は控え室に戻る事になった。
「2年生の部は今から2時間後だ、その間にやる事をやっておけ、ではまた2時間後にここで集合だ」
「「「「はい!」」」」
「よーっし、それじゃあ俺は1年の部の観戦にでも行ってこようかなっと」
そう言ってカイトは控え室から出て行き、観客用の通路から観客席に向かい、セニカと合致した。
「うっす!」
「あ、もうミーティングは終わったの?」
「ミーティングも何も、本番に全力をぶつけるだけだよ、それよりどうだ1年生は?」
「えーっとねー、あ!ほら!あそこにシエルがいるよ!」
「うーっわ、緊張してんのが丸分かりだなー、ハハッ!」
セニカの指した指の先には、緊張した面持ちで緊張を解くおまじないを幾度もやっているシエルがいた。
『さぁて!それでは1年の部の対戦表の発表です!!』
巨大なボードの様な上に被さっている布を取ると、対戦表が書かれていた。
「んー、シエルは3回戦の出番かー、楽しみだなー」
「今大会の注目株は拳術科のあの男の子よ、なんとあの子、実のノイド学園長の孫らしいの」
「へぇ〜、ノイド学園長って結婚してて、孫も居たんだ」
「びっくりだよね、最初聞いた時信じられなかったもん」
「確かに」
セニカとカイトが注目したのはその髪の毛だった。綺麗に1本も残っていないノイドの頭とは違い、薄茶色の髪がストレートに腰の位置まで伸びていた。
「ぱっと見髪の毛と端正な顔立ちで女の子かと思ったけど、男なんだな」
「どのくらい強いんだろう、、」
そうこう話している間に第1試合が始まり、白熱した戦いはあっという間にシエルんの出番である第3試合になった。
「シエルーーー!!!頑張れぇー!!!」
カイトの声に気が付き、更に緊張したのか、舞台の段差に引っかかり顔を地面に強打する。
「うぅ、痛そう〜、もういきなり叫んだらダメだよカイト!」
「ハハッ、ごめんごめん、ついついからかいたくなっちゃって」
パートナーの男性が心配そうにシエルに手を貸し、立ち上がるシエル。
パンッ
ほっぺを観客席にいたカイトにまで聞こえるくらいに気合の入った勢いで叩く。
「おほ〜、気合が空回りしてるなー」
「大丈夫か〜あんなので、ハハッ」
「可愛いらしい子だね、戦えるのかしら」
「華奢な体して実はとんでもなかったりしてな」
そんなカイトと観客の言葉とは裏腹にいざ試合開始の合図が始まるとシエルの雰囲気は一瞬にして変わった。
『魔法操剣』
1年のルールで『操剣』の異能が禁止されたため、セニカに魔力量を増やす意図も兼ねて、魔法操剣を教えてもらっていたシエル。
しかしセニカが驚いたのはその数であった。
『陸ノ劔・晦冥』
いつの間にか出来ていた水溜りから、6本の魔法剣が出現し、目に見えない速度で一瞬にして相手選手2人の首の左右と、額の僅か数センチで魔法剣がピタリと止まった。
「勝負あり!」
「ふぅ、、緊張したー」
「さっすがシエルちゃーん、俺の出番は無しだね!」
息を整えるシエルに笑顔で近付きハイタッチする2人。
「早っ!俺でも捉え切れてなかったぞ!?」
「やっぱり操剣術を会得しているだけで同じ技でも、動かし方にもコツはあるのね」
何かをぶつぶつ喋りながらセニカが観察する。
そして最後のノイド学園長の孫の出番が来たと同時に、集合時間になったカイトは、その試合を見る事なく控え室へと急ぎ足で向かった。
「シエルが1回戦突破しましたね師匠」
「そうみたいだな、だが今は自分の心配をしておくんだカイト」
それから数分後、観客席が盛り上がる声が聞こえ、入場口へと向かう一同。
『さぁ続きまして今度は2年生の部となります!!選手を暖かい拍手でお迎えください!!』
再び開会式と同じように入場し、布が被った対戦表の書かれたボードの前に整列させられる。
『それでは対戦表を発表します!』
バサッ!
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剣術科アルベルトチーム
vs
魔術科リリアチーム
槍術科ルフトチーム
vs
弓術科スカーレットチーム
拳術科ウィスチーム
vs
剣術科カイトチーム
槍術科ラゼッタチーム
vs
魔術科ロンチーム
拳術科オウケンチーム
vs
弓術科プラミルチーム
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「ほうほう2回戦はラゼッタかロンのチームと当たる事になるのかー、どっちと戦うのも楽しみだな〜」
『それでは早速第1試合を始めたいと思います!!該当選手以外はベンチにて待機をお願いします!!』
アルベルトチームとリリアチーム以外の生徒が舞台から降り、ベンチに座る。
『それでは第1試合剣術科アルベルトチームvs魔術科リリアチーム!!!始めぇ!』




