第2章 救出作戦
ガチャ
「帰ったぞー」
ドテンッ!
帰宅して部屋に入るカイトに続き、ローブの男を家の外に捨てたアッシュが家に入る。
「うおっ!?何!?死体?」
「違うって悪者だよ」
「そうか、、ん?母さん!」
『気を付けて運んでやれよ』
後から入ってきたアッシュの背中で倒れているシュリカに近付き、駆け寄るルフト。
「2人とも今は眠ってるから大丈夫、、エリーゼ達は?」
「奥の部屋で寝てる、、今さっき寝かし付けた所」
カミラとシュリカをベッドに寝かせ、家の外へと出るカイトとルフト。
「っし!それじゃあ拷問するかー」
「さりげなくエグ事言うねカイト」
男の口に含ませた布を取り上げ、質問をするカイト。
「おい、さっきの続きだ、お前は誰で何をしに来たんだ?」
「、、、、」
「はぁ、、喋らないかぁ、、だったら俺にも方法はある」
そう言ってカイトは目を閉じ、意識を集中させた。
「ちょっと1人にするけど、そいつ逃すなよルフト」
「どこ行くんだ?」
シュンッ
テレポートしたカイトを待つ事数分。
シュンッ
「プハァッ、、、、はぁ、はぁ、はぁ、、」
((流石に2人分だとキツかったな))
カイトの横には見覚えのある人物が並んで立っていた。
「その人って、、」
「あぁ、星の宿オーナー、トメコさんの娘のフジコさんだ」
家族旅行の時にエリーゼの魔力眼が発症した時にお世話になったフジコを改めて紹介するカイト。
「カイト様の依頼でやって参りました」
着物を身に纏ったフジコが律儀に挨拶をした後、ペコっとお辞儀をする。
「この人が依頼にあったお方ですか?」
「はい、、ちょっと休憩!」
「それでは早速拝見させて頂きます」
そう言って男の方へと歩き出し、男のこめかみに両手を添え、目を閉じる。
『共感覚』
フジコは自身の意識と他人の意識を共有する異能を発動させ、パタリと意識が消えたフジコの体をルフトが支える。
そして10分後...
「戻りました、、」
「どうでした?」
ルフトがフジコを支えながら話を聞く。
「この男性の意識が強すぎて、部分部分しか見られませんでしたが、カイト様が仰っていた襲撃と関係がある事に間違いはありません」
「目的は何ですか?」
「目的は建国祭の阻害と、この国の王と直接関係のある事です」
「王様と?」
フジコの王様と言うキーワードにカイトが反応する。
「詳しくは見られませんでした、急いで方がよろしいかと」
「分かりました!ルフト、行くぞ!」
「ちょっと待て!行くって何処に?」
走り出すカイトをルフトが制止する。
「王様の所に決まってんだろ!?」
「それじゃあ家にいる妹達はどうするんだ?」
「相手の目的が建国祭と王様だろ?だったらこっちに被害は来ないはずだ」
「お2人は行ってらして下さい、私がこのお屋敷をお守り致します」
カイトとルフトが解決策を考えていると、フジコが護衛を申し出した。
「え?フジコさん戦えるんですか?」
「はい、こう見えても魔法は得意な方なので」
「ならお任せします!報酬は後でちゃんと払いますので」
「はい、どうぞお気をつけて下さい」
フジコが見守る中、カイト達は急いで王城へと向かった。
「よし!此処だな」
初めて目の前に立つ城にテンションが上がるも、感情を押し殺し、城内に入る方法を考える。
「門は堅そうだから、何処か別の場所から入るぞ」
「うん」
そう言ってルフトはカイトの肩に手を乗せ、風魔法で浮かせる。
「見た感じ場内に通じる扉はどれも閉ざされてるな、、」
城を見下げられる程の高度にまで達し、入り口を探すカイトに、ルフトが城に指を指す。
「あそこの窓を割って入ろう、今はもう考えてる時間はない」
「そうだな」
『ウィンドスラッシュ』
風の刃が城の窓ガラスをキレイに正方形に切り抜き、取れた部分のガラスを丁寧に城内の廊下に置いておく。
左右を見渡すも誰もいなく、物音すらしない事に気が付いたカイトは更に焦りを感じる。
((アッシュ!魔力感知を))
((左を向いて2時の方向だ、でけぇ魔力を感じるから気を付けろ))
「こっちだ!」
カイトが走り出し、それに続くルフト。
廊下の左を真っ直ぐ進み、突き当たりの右側にあった階段を降りると、広間のような所に出て、広間の奥の部屋に入ると、またも広間の様な部屋の真ん中に上に続く階段があった。
「この上から魔力を感じるよカイト」
「取り敢えず気を付けよう、、」
階段を1段ずつ音を立てないように進む。
やがて上の階の景色が見えた所で足音を消す。
薄暗い王の間の周りには人影は見えないが、奥にある椅子に誰かが座っているのが確認できたカイト。
「あれが王様か?、、おかしい、護衛らしき人物が誰も見当たらない」
「慎重に行こう、最悪待ち伏せされているかもしれない」
そう言いもう一段階段を登り、やがて王の間に足を一歩踏み出した途端...
キュイィィィィン!!
玉座から魔法陣が出現し、カイトの方向に伸びていった。
「トラップか!?クソ!こうなったら」
ダァンッ!
地面を勢いよく蹴り上げ、一気に玉座にいるエリュード王の元へと駆け寄るカイト。
「来るな!」
エリュード王の発した叫びにカイトがその場に踏み止まる。
「は?でも貴方を助けないと!」
「もうすぐ増援がぁっ!」
「王様!」
「クソ!何が何やらわかんねぇ!」
突如胸を押さえつけ悶えるエリュード王の命令を無視し、玉座に座る王を抱き抱え、逃げる事にするカイト。
ガキィン!!
突如激しくぶつかり合う金属音が聞こえ、階段で待っているルフトの方を見ると何やら見えない何かに襲われていた。
「ルフト!」
「いいから先に逃げて!この人は俺が止めてるから」
「絶対にすぐ迎えに来るから待ってろ!」
「うん!」
*「逃すかっ!」
『烈風』
見えない所から投げられた針を、寸分の狂いもなく刺突で放った風刃で撃ち落とすルフト。
*「ガキのクセに小癪な!」
ビュインッ!
今度はルフトの背後から投げられた針を、見向きもせずに風で弾く。
「そんなガキ相手に隠れて不意打ちばかりしてるのに、よく言うよ」
*「だったら本気で相手してやる」
スタッ!
ルフトの目の前にローブを纏った男が着地する。
「ほうほう、、カイトが教えてくれたあれによると、、、あ!思い出した!弱い人ほどよく本気を出すとか言うんだったっけ?」
ズィン!
ルフトの言葉が放たれた刹那、背後からもう1人の男が影から現れ、ルフトの背に剣を伸ばす。
「ウィス」
バサンッ!
スパパパパパッ
ルフトの腰、背中、肩から三対六枚の翼が生え、その内の腰の二枚が上下に動くと、背後の男性が斬り刻まれた。
「俺に不意打ちや、隠れんぼは意味ないよ」
「だったら!」
ブゥンッ
ドガァン!!
「ふぅ、、ちょっとやり過ぎちゃったかな、、まぁいいや」
正面のローブの男が一瞬姿を消すも、槍から放たれた風圧で壁にめり込むローブの男。
「それよりいつまで見ているつもり?玉座の後ろに隠れているそこnっ!」スパンッ
キィン!!
(玉座の背後の反応が一瞬で消えた!?)
シュルルルルッ
(上か!)
*「遅い!」
同じくローブを羽織った男性が、ルフトの真上から両手で展開させた風をルフトに投げつける。
『ネロ・テンペスト』
黒い暴風がルフトを中心に巻き起こる。
『ウィンドブレイク』
逆向きに回転する風を内側から槍を振り回しながら発生させ、黒い暴風をかき消すルフト。
『ネロ・フェニックス』
ルフトの目の前に着地したローブの男は、黒い炎の鳥をルフト目掛けて飛ばす。
『雅風一点』
投擲の構えを取り、槍に大量の風を纏わせ4歩勢いをつけた後、全力で投げ飛ばすルフト。
ズォンッ!!
ガァン!
*「なっ、、闇を纏わせた炎をただの風如きで」
「へへーん、どんなもんよ」
*「だが槍は手から離れたぞ?」
『ネロ・ブレイド』
男がそう言い放った瞬間、両手に柄頭がチェーンで繋がれた黒い剣を生成し、ルフトに向かって走り出した。
ブゥン!
ローブの男がルフトの間合い入った途端左手に握っていた剣を離し、力いっぱい払う様に投げる。
『カマイタチ』
腕に溜めた三日月型の風刃で飛んできた黒い剣を弾き、すぐさまもう1発飛ばす。
*「おそい!」
ルフトがもう1発風刃を飛ばそうと構えた瞬間、一気に目の前まで加速し、右手に握っていた魔法剣の剣先をルフトに突き刺す。
『風流し』
放たれた剣を右手に纏った風で、巧みに背後へと受け流すルフト。
『風掌』
ドォンッ!
ジャキッ!
受け流した事によって生まれたほんの少しの隙に、風を纏った掌底でルフトが男の腹部を捉え、吹き飛ばすが、ルフトの掌底が男の腹部を捉え切る寸前にローブの男は左手に握っている鎖を前に投げる。
「んおっ!」
スパンッ
ローブの男と入れ替わりで、最初の風刃で飛ばした魔法剣がルフトに顔目掛けて、音速の速度で飛来し、寸前で躱すも、頬を切り血が滴る。
「うぅっ、、、毒か、、」
ガラッ
*「くぅ、、ガキのくせにやるじゃねぇか、、」
羽織っているローブのフードが降りた事に気がつかないローブの男は、瓦礫の中から立ち上がる。
「あれ?その顔何処かで、、」
バッ!
急いで顔を隠すローブの男を見て咄嗟に仕掛けに行くルフト。
『絶風の構え』
シュルルルルッ
宙に浮きながら加速し、右手を脇に構える。
『木枯回風』
横に風の勢いを纏わせ、回転しながら叩き付ける。
『テレポート』
シュンッ!
ズシュッ!
攻撃が当たる寸前、ローブの男はテレポートでルフトが最初に倒したローブの男の胸を突如抉り出した。
「ガハッ、、、」
「何やってんだお前!」
ルフトが怒りを露わに、手に持った風槍を投げつける。
バシュン!
『生贄召喚・凶魔』
(三元帥様の様に最上位の浄魔は出せないが、中級浄魔で十分だろ、、)
胸を突かれた男性の死体から魔法陣が出現し、魔法陣の中から1本の細い腕が伸び、ルフトの放った風槍を容易に貫き、そのままルフトに伸びていく。
『ウィンドドーム』
ズウォン!
ザスッ
腕はルフトの展開した本来なら風の力で別の方向に受け流す筈の風の防御魔法までも、真っ直ぐ貫きドームの中にいるルフトにまで届いた。
「ぐっ、、あっぶねー、、」
ドームを貫通し、胸に伸びてきた細い腕を左腕で咄嗟にガードするルフト。
この瞬間にルフトには感じていなかったが、僅かな闘気の出現で、腕を貫通し、胸に届くまでは避けられていた。
しかし細い腕はルフトの左腕に突き刺さったまま、どうにか外そうと試みようとした途端に、大きく体を持ち上げられ、地面に叩き付けられようとした。
「ウィス!」
シュインッ!
スパッ!
叩きつけられる直前に、ルフトの背中から出現した6枚の翼から放たれた風刃で、腕を斬り離す事に成功し、風を地面に向け放ち、叩きつけられた勢いを殺す事に成功する。
ピタッ ピタッ
左腕から滴る血を見ながら、手に力があまり入らない事を確認するルフト。
「、、、ちょっと、まずいかなー」
*「行け」
細長い四肢と顔のないのが特徴の凶魔がルフトに斬られた右腕を即座に再生させ、ルフトに向かって大股に走り出す。
『熾風刃』
三対六枚の翼から風刃を放ち、後ろへステップバックするルフト。
ドバァッ
ズゥンッ!
放たれた風刃を目の前に、凶魔が口から黒い粘液を壁の大きさの量を目の前に吐き出し、風刃とぶつかり合うと突然ゴムの様に伸び、風刃の勢いを殺した。
ダァンッ!
『五月雨烈風』
黒い粘液で風刃を止められた瞬間、凶魔が粘液の背後から大きく真上に飛び、天井に足をつけ、今度は勢いよくルフトに飛びかかったのを見て、右手に握った風槍で連続の刺突攻撃を行う。
ドバァッ!
再び凶魔は黒い液体を吐き出すも、ルフトは攻撃の手は緩めず、黒い液体を突き刺すと、まるで何も通さないゴムを突き刺している様に、そのまま勢いを殺さず、瞬く間にルフトの全身を覆い込んだ。
*「手こずらせやがって、、」
直ぐに凶魔の背後から男が遅れて現れ、ゴムの液体の中で必死に悶えるルフトを見て、凶魔に合図を送る。
*「よし」
凶魔は細い二本の腕で液体に覆いかぶさっているルフトを抱き抱え、突如腹を上下に口の様に開け、ルフトを捕食する。
『ニルヴァーナ』
ガァァァァァンッ!!!!
突如膨大な量の風を纏った風槍が玉座の間の天井を突き破り、凶魔と男のいる位置に直弾し、玉座の間が吹き飛んだ。
同じく凶魔と男も吹き飛び、凶魔は四散し、男は烈傷だらけで、瀕死になった。
ガバッ!
「バハァッ!、、、あー、死ぬかと思ったー、、この技を喰らう側の気持ちってこんな感じだったのかー、、」
黒いゴム状の液体を地道に風で削っていき、出てきたルフト。
「ふぅ、、一か八かだったけどこの変な黒い物にかけて正解だったわ、これからはウィスの魔力を上乗せしたニルヴァーナは使わないでおこう、うん」
*「んぐっ、、」
男の苦しむ声が聞こえ、ルフトが思い出した様に男の方へと駆け寄る。
「どうだ見たか!」
ドスッ
持ち上げた瓦礫を男の後頭部に投げつけ気絶させる。
「一応、、重要参考人として来てもらうぜっとぉ、ウィス!もう魔力カラカラだから宜しくー」
バサァッ!
カイトの家の方へと翼を生やし飛んでいくルフト。




