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第2章 もう弱虫は卒業


『ネロ・ストンプ』

ガキィン!


頭上から現れた巨大な脚を、片腕を突き上げ止めるヴァイス。


『グラビティプレス』

ズゥン!!


「ふんっ!」

バシンッ


ヴァイスの足元に重力場が出現するも、一切の重力を感じさせない軽い動きで、魔力を込めた剣撃を、自身よりも少し右斜めの位置にある、地面に向けて飛ばすと、重力場が消える。


「ほう、魔枢を感知できるとは分が悪いですね」


「下らない魔法だな」


ウズベルトの眉が吊り上がる。


「なら全力でお相手致しましょう!」

ズゥン!!


魔力を解き放ったウズベルトのプレッシャーに、カイトとセニカが目を見開く。


「なんだよあのプレッシャー」

「先生に加勢した方が、、」


しかし次の瞬間、カイト達の不安は払拭された。


ブゥン!


「ネロ!ガハッ」

ドォン!!


空中にいるウズベルトに向かってひとっ飛びで、目の前まで近付き、それに反応したウズベルトが魔法を展開しようとした次の瞬間、震残で体をブレさせ出方を伺ったほんの一瞬の隙を見逃さず、背後からウズベルトを蹴り飛ばした。


ズバババババンッ


そのまま間髪入れずに、斬撃を複数飛ばした後、再び斬りかかる。


ズガァン!!


シュルルルッ

ガキィン!


剣をウズベルトが吹き飛んだ辺りに突き刺すと、違和感を感じたヴァイスは後ろへステップバックするも、黒い鎖は瞬く間にヴァイスに巻き付いた。


『グラビティプレス』×『ネロ・レッキングボール』


「ふんっ!」


「魔力を吸収する鎖を、力技で破壊とは、、まともに動けないこの重力場でどう凌ぎますかぁ?」


ズガァン!!

バシュン!


頭上に落とされた鉄球を、先程ウズベルトが仕掛けた10倍の重力場でなく、その2倍の重力場の中でも、一振りで鉄球を破壊し、直ぐに重力魔法の魔力の流れの真ん中である魔枢を破壊するヴァイス。


「まだ抗いますかぁ!」


ウズベルトの気配が一気に変わる。


(なんだこの異様なプレッシャーは!?)


全神経が放たれた重圧に無抵抗になるのを感じその場に竦むカイトとセニカ。


「いいでしょう!魔法が効かなければ、不本意ですが得意な肉弾戦に変えればいい話!」


『魔転』


魔力を全て身体強化に上乗せする無属性極級魔法を使い、纏っていたローブを放り投げ、痩せ細ったシワシワの体が露わになる。


ブゥンッ


刹那ウズベルトが空中から消え、ヴァイスの目の前で拳を放っていた。


スッ!

パパァンッ!


しかしヴァイスを見事に反応をし、右に避けると、突きを放った拳に遅れて空を切る音と衝撃波が2回鳴り響いた。


「避けましたねぇ〜」


直後にまたも姿を消し、次の瞬間にはヴァイスの懐迄にいたウズベルト。


ブゥン!

パシッ


ドゥンッ

「それが全力なんだな」


「なっ!私の拳を止めただと!?山をも揺らす程の技だぞ!?」


聞き慣れた言葉に思わず笑ってしまうヴァイス。


「ふっ、、山をも揺らすか、この拳で」


ヴァイスの握る力が強くなり、徐々にそのプレッシャーも凄まじい物となっていき、やがてカイトが一度見せてもらった本気の重圧よりも、遥か重く、呼吸すらも辛く感じるような重みを感じる。


グッ!

「いつまで自分が俺より上だとメルヘンな事考えている?何がお前をそこまでの自身にした?」


「ぐああああっ!」


次第にウズベルトの腕が握り潰され悶絶するも、離さないヴァイス。


「シェインを倒したからか?1つ言っておくが彼女は今力を失っているだけだ?お前は俺に生かされていたんだこの数分間、苛立ちを抑えて本気を出させるまで泳がせた意味を教えてやる」


スパァン!

ガガァン!


「ぬああああっ!」


手刀で自身の腕を切り落として逃げようとするも、一瞬で片足を踏ん付けて粉砕し、もう片方の足を踏み付け固定した。


「力の差を身にしみさせて、居場所を聞き出すためだ、娘を何処にいる?」


グッ

踏みつけた足に更に力が入るヴァイス。


「んぐぅ、、、貴様に話すものか!」


「不正解だ」


スパァン!


またも捉えられない速度で今度は握り潰した逆の片腕を斬り落とす。


「四肢も残り3つ、意味は分かるな?娘を何処にやった?」


「はぁ、、、はぁ、、、、分かった、教える、、、」


「言え」


「ザルト国境、、貴様の娘は既にシグニカの領域だ、、」


スパパパッ


残りの四肢を全て斬り落とし、その場に放置し、カイト達の方へと向かうヴァイス。


「、、ゴフッ、、、おのれぇえええ!!」


「もう大丈夫だ、安心しろ」


「シエルは無事なんですか!?」


「シグニカに連れ去られた、お前達はあの男をエリュード王に身柄を引き渡しに行ってくれ、俺の名前を出せば通してくれる筈だ」


そう言い残し、ヴァイスはひとっ飛びでその場から去ってしまった。



~場所は変わりザルト平原に位置する国境~


*「お迎えにあがりました、シエル様」


一辺の草原に横たわる紺色の髪の少女に、全身銀と青が交互に折り混ざった甲冑の数人が近付き、抱え上げる。


「んぅ、、、」


持ち上げられたと同時に目を覚ますシエル。


「、、あれ?、、ここは、、そういえば突然、変な所に高い所から飛ばされて、、そこからの記憶が、、」


*「目を覚まされましたかシエル様」


「、、え?どうして私の名前を?それにその格好、、」


シエルを抱えた甲冑姿の男性が、シエルを下ろし、右膝を着き、深々と頭を下げ、それに続き数人の甲冑も後に続いた。


*「ノエル・ファウスト様の命を受けまして貴方様をお迎えに上がりました、わたくしシグニカ王国騎士団副長リーライト・ノルシアでございます」


「、、帰りたいです、、」


「、、その様に命をお預かりしておりますので、御安心を」


シエルの怯えながら呟いた一言に、一瞬の曇りを見せるも、すぐにまたリーライトは笑顔を取り繕い目の前の少女に優しく微笑みかける。


「それでは迎えの獣車へとどう」ドォン!!


「総員戦闘配置!!!」


リーライトがシエルに手を差し伸べた瞬間、身の毛もよだつ程の殺意が、獣車を潰し着地した。


「やはり一介の闇ギルドでは長くは太刀打ち出来ませんでしたか」


「今の一言でお前達が繋がっていたという事は確定した」


「これは明らかな我が領土への不法な侵入ですよ、、それも敵意を向けるだけではなく、獣車まで破壊したのですから」


「お前達の企ぐらい容易に想像できる、闇ギルドがいつもの様に人攫いをし、不慮の事故でテレポートをさせ、それも敵国の領土に飛ばしてしまった、国境付近で警備していた兵士がそれを見つけ、そこからもし俺らが正式な手続きで調査をしてもお前達はシラを切ればそれだけでいいと」


「まぁあながち間違ってはいませんが、1つだけ見落としがあります」


「なに?」


「正義は我々にあるのですよ、元々戦争法に違反したのは貴方達ですよ?異能である操剣術をそもそも我が国から奪ったのは貴方なのです、それを我が国との戦争で使わないと協定を結んだものの、今度は新たに生まれた子供に操剣術を託すときました、自国独自の異能や技術を他国に流出または譲渡、、これは立派な戦争法の違反ですよ?」


「どちらにしろ互いに法を犯している立場、そもそも話し合いに来たのではない、娘を返しに来てもらっただけだ、それと、、」


ヴァイスが剣を構える。


「暗愚な王に伝えておけ、下手な三文芝居で俺達エリュードは引きもしなければ、乗せられる事もない、戦争がしたいのなら直接言ってこい、すぐに壊滅させてやると」


「総員、、、奴の首を落とすぞ」


ノーライトを含んだ7体の甲冑の兵士が同時に動き、一瞬でヴァイスを取り囲む。


『四法陣・アルカナヴァースト』


キキキィン!!


ノーライトの目の前に現れた4つの魔法陣から、炎熱が放たれるも、全て正面から叩き潰すヴァイス。


『四法陣・アルテマ』


全ての炎熱を叩き潰し、即座に斬りかかるも、ノーライトの周りを結界が守っているのを見えた瞬間、頭上を見え上げるヴァイス。


ゴォォォォォォン!!


「お父さん!!」


シュウウウウゥ


砂煙から闘気を露わにしたヴァイスが現れる。


「なっ!闘気のみで防いだだと!?」


ブゥン!


「後だ!」ドォン!


「ガハッ!」


砂煙から姿を消した次の瞬間、シエルの目の前にいたシグニカ兵の胸から刀身が現れる。


「おのれっ!よくも!」


ノーライトが目の前で力が抜けた様に倒れる部下を見て逆上してヴァイスに飛びかかった。


『四法陣・サザンクロス』


4つの魔法陣から、クロス状の斬撃がヴァイスに向かって放たれる。


バキィン!!


『四法陣・アビスストーム』


ヴァイスが放たれた斬撃を叩き潰したと同時に、足元から突如現れた魔法陣の突風によって体を浮かされるヴァイス。


『四法陣・アビスブレイク』


浮かされた直後、前後左右の各方向に魔法陣が出現し、無属性極級魔法が放たれる。



ダッ!

ガァン!


「結界か、、」


天歩で上に逃げようも、他の兵士に結界で閉じ込められ阻害される。


「ここで息絶えろ!」


キュイン!ドォォォォォォン!!


煙が球体の結界内で巻き起こる。


「いやっ!離して!」


シグニカ兵腕を強引に引き離し、結界に向かって走り出すシエル。


「シエル様!危ないですぞ!」


ノーライトが手で団員を抑止する。


やがて結界内の煙が消えると、中には何も無かった。


「そん、、、な、、」


目の前の光景に、足の力が抜け、崩れ落ちるシエル。


「シエルちゃん!」


悲しみに打ちひしがれる間も無く上空から聞き慣れた声が聞こえ見上げると、ヴァイスとカイトが結界の上にいた。


スタッ!


「いいタイミングだったカイト」


「ギリギリ間に合いましたね、、ってシエルちゃん?泣いてる?」


「ぐすっ、、すいません、てっきりお父さんが、、」


「ハハッ、師匠が簡単に死ぬわけないだろ?ほら立てるか?」


カイトが両手を地面に着いているシエルの手を取ろうと手を伸ばすと、横から風の刃が飛んできた。


バシュン!!


「私の魔法を闘気のみで弾いただと?」


「お前の相手は俺だ」


ズガァン!!

目の前に突如現れたヴァイスの袈裟斬りをギリギリ反応し、ステップバックで避けるノーライト。


『サザンクロス』

ガキィン!


バッ!

ドォン!


避けながら刃を飛ばし、反撃するも軽く弾き飛ばされ、一気に距離を詰め寄られ背負い投げをされるノーライト。


「ガハッ!」


「副長!」


「来るな!こいつはお前達の手に負える相手じゃない!シエル様を任せる!」


「ならなぜ大人しく降参をしない?」


「、、勝てない戦いには部下を巻き添えできない」


「なら死んでから後悔するんだな」


シュイン

ズガァン!!!


渾身の剣撃を地面に倒れているノーライトに打ち付けるも、テレポートで回避する。


『アビスブレイク』


シュイン

ドゥガァン!!


先ほどと同じ様に結界に閉じ込められ、左右前後に展開された魔法陣から放たれた破壊の光がヴァイスに襲いかかるも、正面から斬り伏せる。


「なにっ!?極級魔法を斬り伏せるだと!?」


「実力の差が分かったか?」


剣に魔力を込め、巨大な斬撃をノーライトに飛ばすヴァイス。


ドォォォォォォン!!


「、、はぁ、、はぁ、まだだ!」


放たれた斬撃をテレポートで躱し、息を切らしながらもその目には諦めの2文字がない事に違和感を感じるヴァイス。



「なっ!このガキ!」


『天烈拳』


パァン!!

「ぐはっ!」


『サザンクロス』


『刀旋脚』

ドォン!!


放たれた斬撃を回し蹴りで打ち消すも、連戦でそろそろ魔力が消えそうなカイト。


(こんだけ戦って誰もやれないのはキツいな、、それにこいつら子供相手に6人って、、)


((馬鹿野郎!上だ!))


上空から飛来してきた氷槍に気付かず躱そうとするも足場を土魔法で固定され、動けないカイト。


「くそっ!」


ズガァン!!


氷槍がカイトの体に当たる直前、一本の剣が氷槍の側面から飛来し貫いた。


「カ、カイトさん大丈夫ですか!?」


「シエル!危ないから下がってるんだ!」


ズガァン!!


足場を固定していた岩を破壊し、背後にいるシエルに注意をするカイト。


(シエルはまだ入学したてでまともに戦う事すらできない、、)


「さっきはありがとうシエル、助かったけどもう油断はしない」


「、、、はい」


自分の力がなく、目の前で命をかけて戦ってくれている先輩や両親を見て、自分の力不足と臆病でへこたれた性格を呪うことしかできないシエルは顔を俯く。


(操剣術もまだ一本しかまともに使えないし、セニカさんやお母さんみたいに努力も出来なければ、才能もない、、、なんで私がこんなに優れた異能貰っちゃったんだろう)


異能を自身の母親から受け継いでからそんな考えばかりがシエルの脳を過ぎる。


戦いが好きでもなければ、異能を受け継ぎたいと一度も口にした事はないシエル。ただ母の様に凛々しく、父の様に優しい人間になれればよかった自分に、誰もが喉から手が出るほど欲する異能を授かり、まるで重荷とプレッシャーを授かった様に感じるシエル。


「シエル!危ない!」


「、、え?」


戦闘での流れ魔法の風刃がシエルに飛んでいく。


(使うしかない!)


『テレポート』

シュン


ドォン!!


「んぐっ、、、」


残り少ない魔力でテレポートを使いシエルの目の前に瞬間移動し、盾になり風の刃を背中に受けるカイト。


闘気で何とか真っ二つに切れる所を、裂傷で済んだ。


「くっ、、大丈夫かシエル?」


「ごめんなさい!私が、、不甲斐ないばかりに、、」


「くそ、、ヒールする魔力すらねぇ、、」


背中から血を垂らしながら立ち上がるカイト。


「、、、もう、、やめて、くだ」


シエルが話し終える前に、カイトはこちら側に走ってくるシグニカ兵の1人に向かって行った。


ぐらっ


しかしシグニカ兵を目の前にしてぐらつき始め、倒れるカイト。


「子供だからといって我らに楯突いた罪は重い、死んでもらうぞ!」


「カイト!!」


ヴァイスが倒れるカイトに気が付き、支援に行こうとするもノーライトが立ち塞がる。


「邪魔だ!」


バキィン!!

「はじめて感情的になりましたね?」


ヴァイスの剣を、岩魔法で後に受け流すノーライト。


「へっ、うっそぴょーん」


うつむせに倒れるカイトは、胸から闘気の腕を伸ばし、地面を弾いて跳躍する。


「なに!?」


「せめて1人は持っていくぜ!」


『寄手』

グワンッ!


『烈拳』


闘気の腕を伸ばし、自分の方向へ引きずり闘気の拳を甲冑に減り込ませる。


『アイスインパクト』


1人の撃退は叶ったものの、すぐさま空中にいるカイトに氷塊が放たれる。


パゴォン!!


シエルの目の前まで吹き飛ばされるカイト。


「カイトさん!!」


すぐさま駆け寄るシエル。


「ぐすっ、、、カイトさん!、、しっかりして下さい!」


「うぷっ、、シエル、、ごめん、、俺が連れ出したせいで、危ない目に、、」


「違います!、、うぅ、、カイトさんは悪くないです、、私が、、何も出来ないのが、、、お母さんに異能を貰ってからずっと重荷に感じて、、」


「ハハッ、、セニカがあんだけ欲しがって異能が重荷か、、なんで重荷に?」


「本当は嫌なんです、戦うのが、、、誰かを傷づけるのも、傷付くのも、、、、だから本当はこんな力欲しなかった、、何の役にも立てないこんな私に、、なんで」


「、、そっか、、優しいんだなシエルは、間違ってないよその考え」


「、、、え?」


「、、いいんだよそれで、でも1つだけ間違った解釈をしてるよシエルは、、シェインさんも師匠もみんなシエルに強くなってほしいからその異能を渡したんじゃないんだよ?、、ゴフッ、、たださっき言った様に傷付けられない為に、それと自分だけじゃなくて大事な人を傷付けられない為に、それを守るだけの為に異能を渡したんだと思うよ俺は」


「、、守る為だけに?」


「、、そう、だから強くなろうだなんて考えなくていいんだ、、ただ自分とその大切な人を守れるだけの力でいいんだよ、、お母さんの様に強くならなくても、なろうとしなくてもいいんだ、重荷にも感じなくていい、自分らしく、、生きていけばいいんだよ」


「自分らしく、、、ぐすっ、、そういう、事だったんですね、、」


「、、あぁ」


そう言い終えた後、ゆっくりと眠るカイト。


シエルの手からは淡い光が輝き、カイトの傷をみるみる癒していった。


ファミルに教えて貰った光の得意属性だったシエルはそれも無意識の内にヒールを使っていた。


「守るだけの力、、それだけで良かったんだ」


シエルの脳裏にふと両親の記憶が蘇る。


小さい頃、家の庭で良くすっ転んで泣いても泣くなとは言わなかった母親。


剣術の修行をして上達しなくても、ゆっくり強くなればいいと優しい顔で咎めなかった父親。


思い返せば自分に今できない事を求められた事は一度もなかった。敵国同士の親の間で生まれた事で少しも不便に感じさせない様に育ててくれた2人に改めて心から感謝をし、カイトを地面に寝かせ、甲冑の男の剣を操るシエル。


「もう弱虫は卒業する!」


「おい、、シエル様が剣をこちらに、、」


「落ち着け、敵対した場合についての作戦は聞いている筈だ」


「あぁ、どんな手段を使ってもいいから生きている状態で連れて来いだったな」


『一ノ劔・凛』


シエルの目の前に浮いた剣が、捉えきれない程のスピードで1番前に立っていたシグニカ兵を吹き飛ばした。


「なっ!」


「総員!殺すつもりで行け!」


『アイスインパクト』


『一ノ劔・乱』


氷塊を生成したシグニカ兵の腰にある剣が突如浮き出し、斬り刻まれる。


(もう一本付けても大丈夫そう)


『二ノ劔』


「させません!」


『四法陣・アストラルインパクト』


背後に現れたシグニカ兵を見向きもせずに、鞘に入っている剣を利用し、剣を地面に叩きつけると、身体ごと引っ張られ同時に地面に叩きつけられる。


「剣を捨てて地面に固定させろ!ファウスト家の異能が開花している!!」


『二ノ劔・繚乱』


地面に投げつけられ、岩魔法で固定する前にシエルが剣を操り、2体の兵士を同時に斬り刻む。


「くそっ!ノーライト副ガハッ!」


最後の1人がノーライトの方を向いて助けを求めた瞬間に、剛速の剣が最後の1人を吹き飛ばした。


「まさかこんな所で開花するとはな」


「終わりだ!」


右手に握った剣を左脇まで持っていき、少し溜めたあと、勢いよく振り払う。


ブォンッ!!

バキィン!!


「グハッ!」


斬撃がノーライトの腹部に直撃し、致命傷を負う。


「こんな所で、、くそっ!」


ノーライトの目の前まで歩み寄り、剣を振り上げる。


ザスッ


剣はノーライトの首ではなく、地面を突き刺した。


「国王にでも言っておけ、次また同じ様な事をしたら手加減無しで全員を殺すと」


カイトの様子を見ているシエルの所へ向かい、カイトを抱き上げる。


「父さん、、」


「どうした?」


「今までわがまましててごめんなさい」


「ふっ、急にどうした?カイトに何か吹き込まれたか?」


「ううん、とにかくありがとう、今まで本当に大事に育ててくれて」


「俺の娘だから大事に育てるのは当たり前だ、それより、、」


ヴァイスがシエルの頭に手を乗せ、優しく撫でる。


「よく頑張ったぞシエル」


「うっ、、ぐすっ、、うん」


こうしてシグニカのシエル奪還は失敗に終わり、無事救出する事に成功したカイト達。


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