第2章 誘拐事件
「大体この辺りだと思うんですけど、、あ!あの荷台です!」
マーキングの位置を頼りにテレポートで移動し、カイトが空高くジャンプをして、周りを見渡し、荷台を発見する。
「行くぞ!」
シェインの操剣術で浮いた剣に乗り、その間にもセニカに事情を説明する。
「え!じゃああの荷台の中には拐われたシエルちゃんがいるって事!?」
「そうそう」
荷台の真上まで近付くと、並行移動し始めたシェイン。
「どうします?このまま3人で一気に襲えば無事に助けられると思いますけど」
「いやまだだ、このまま向かわせて、あいつらの合流地点まで泳がせた後一気に叩いて尋問する」
「分かりました」
「え?分かったのカイト?」
「うん、どうしたんだ?」
「だってシエルちゃんもしかしたら怯えているかもなんだよ?早めに助けに行って安心させてあげないと」
「まぁまぁ気持ちも分からなくないけど、このままシエルを確保したとこで、次またいつ襲われるか分からないだろ?その為に今殲滅できる物は殲滅しておくってのがシェインさんの考えだと思う」
カイトがシェインの考えを代弁するも、やはり何処か納得のできないセニカに、カイトが続けて話す。
「もちろんシエルがかわいそうなのも分かるけど、「そんな柔に育てていない」ってのもあると思うぞ」
「間違ってはいないが、私の猿真似は見過ごせないな」
「すいません、、」
そうこうしていると人気の少ない裏路地に荷台が入っていき、やがてエリュードの無法地帯と呼ばれる場所にある、無法地帯にはそぐわない豪勢で大きな屋敷の前で荷台が止まった。
「ほぅ、奴らが絡んでたとはな」
「奴らってのは?」
「あの屋敷は裏ギルドと噂のあるギルド『頭黒の鼠』だ。このスラム一帯を管轄しているギルドで、裏で他国の人身売買を請け負っていると噂では聞いていたが、事実だった様だな」
「ギルドって事はそれなりに戦闘員が居るって事ですよね、どうしますか?シエルの身が余計危なくなりましたね」
「作戦を言う」
「はい」
シェインの作戦に注意して耳を傾けるセニカとカイト。
「正面突破で敵を全滅させる、以上だ」
「え?」
「ちょっと待ってシェインさん!」
剣から飛び降り、操剣術で素早く荷台の周りにいた人達をなぎ倒すシェイン。
「敵襲だぁあああ!!!」
シェインの剣をギリギリ躱した男が大きい声で叫び、屋敷の中から人がゾロゾロと現れる。
「大丈夫かシエル?」
「お母さん!!」
抱き合う2人を見て、拐われたと報告した時に付いたシェインの少しマイナスなイメージが払拭される。
(自分の子が心配じゃない訳ないよな、馬鹿だな俺)
「なんだなんだぁ?敵襲だって聞いて慌てて出てきたが殆どガキだし女じゃねーかよ」
「お前がこのギルドのリーダーか?」
「あぁ?マスターは今いねぇよぶふぅっ!」
話終わる前に、カイトの目では捉えきれない速度の剣が、男の胸を貫いた。
「お前達全員を今から殺す、覚悟しろ」
「やれぇ!!」
「うぉらぁ!!」
『アイスインパクト』
『斬破』
仲間をやられて激怒した十数人の団員が一斉に魔法や武技を使い、シェインに飛びかかった。
『操剣技・奪』
剣を持った団員達の手から、剣が勝手にシェインの方へと飛んでいき、奪われていった。
『十ノ劔・冥響』
不規則に飛び回る剣に翻弄され、次々となぎ倒されていく団員達。
「すげぇ、、あれ程の剣を全部違ったリズムで動かして、、」
「うん、まるで1本1本が自分の意思で動いている見たい、、凄い綺麗」
感動しているセニカの方に目をやると、団員の1体がセニカの真横にテレポートし、剣を振りかぶっていた。
「セニカ!しゃがめ!」
『エレクトロ』
「えっ!?」
カイトの叫びにすぐさま膝を落とすセニカ。
バチンッ!
「ぐはっ!」
『闘剣』
後頭部を剣身で力一杯叩き、気絶させる。
「警戒を怠るな!」
「「はい!」」
とは言ったものの、あらかたの敵はシェインによって殺されており、数えきれない程いた団員達も最早両手で数えられる程になっていた。
「なんだ?先程までの威勢は何処に行ったのだ?」
「うぐぅ、、はぁ、はぁ、、なんだこの女、、」
致命傷を負って、地面に倒れた男の胸ぐらを掴み、シェインが質問をする。
「誰の差し金で動いた?」
「はっ、、くたばりやがっ!」
シェインの質問に男は鼻で笑った後、何かを喋り終わる前に、胸ぐらを離し、顔面を複数回殴りつける。
「知らないなら知らないでいい、質問にだけ答えろ」
「ガハッ、、、ぺっ!、、分かった!教えてやる、、耳を貸せ」
何の躊躇もなく耳を男の口に近づける。
「、、お前の負けだ」
ズッ
ガバッ
*「おっと嬢さん〜動かない方がいいぜぇ〜?にしても随分と派手にうちの団員を殺してくれたなぁ〜おぉ?」
男の言葉と共に背後から異様な気配に感付いたシェインが、即座に背後を振り向き様に剣を振るったが、気配のした方向には誰もおらず、背後からアフロヘアーでグラサンをかけた色黒の男にヘッドロックをされ、身動きを取ろうとするも、ビクともしない。
(いつの間に!?全然気付かなかった、、)
セニカに目で合図をし、雷走でアフロヘアーの男に近付こうとした瞬間...
*「ダメですよー!大人の会話に子供が入っちゃ〜」
今度は身長が小柄で、頭の天辺だけ緑色の髪を生やした甲高い声の男に、カイトとセニカは背中にナイフを突き当てられ、動きを止められた。
バキンッ!
*「おぉうっ!何すんだよいきなり〜」
ドスッ!
シェインはアフロ男の背後にあった剣を浮かせ、全力で放ったがアフロ男の背中に傷を負わすどころか、剣の方が砕け散っていった。
(闘気の密度が普通じゃない、、こいつがギルドマスターか!?)
『玖ノ劔・凋落』
*「厄介な技を使いやがる」
『冥響』
九つの剣が空から振り注ぐと、アフロ男は躱すためにやむ終えずシェインを離し、今度は別々のリズムで放たれた十本の剣を見るなり、剣に向かって走り出した。
『マッハコマンド』
「下..上上....右下...左.下上右....ストレートォ!!」
ボクシングの様な構えを取り出し、左右に揺れながら、不規則に飛び交う剣を、次々と拳で粉砕していくアフロ男。
『ライジングアッパー』
スッ
そしてすぐに身軽なフットワークで、シェインの目の前まで近付き、右腕から放たれたアッパーを懐に入りながら躱し、拳を構えるシェイン。
『剛掌』
パァン!
*「うぃ〜、いい腕してんねぇ嬢ちゃん、、だが甘いよ!」
『散打』
ダダダダァン!!
素早く放たれた4連撃を腕でガードするも、最後の一撃が腕ではなく、脇腹へ放たれよろけるシェイン。
「シェインさん!」
(まずい、、怯えているシエルの事を気にしてシェインさんが本気を出せていない、、俺らで何とかしないと、それと増援が来るまでもう少しかかりそうだし、動くか)
カイトの予想していた事にならなかった為、強行突破に行動を移す。
ガシッ!
シュンッ!
「シエルを遠くへ!じゃないとシェインさんが!」
「分かってる!」
カイトは纏雷で身体能力を限界まで上げ、振り向き様に小柄男の腕を掴み、上空へテレポートする。
セニカはカイトがテレポートした瞬間に、魔法剣を4本生成し、アフロ男を牽制しながら、怯えているシエルを抱き抱え、その場から離脱しようと魔法剣に乗り試みるが、真上から突如巨大な物体が飛来し、衝撃波で吹き飛ぶシエルとセニカ。
*「ごめんださい、、遅れましたぁ、あで?みんなしんだのかぁ?」
飛来してきた物体の正体は、かなり肥大した身体つきの男だった。
*「寧ろベストタイミングだイミー!そっちは任せたぞっと!」
「お前の相手は私だ」
*「おうおう、お熱いねぇ〜」
「こっちさっきので終わっただ、そっち手伝おうかジョーシュ?」
「いや!お前はサミーの方を手伝ってやれ!こっちは楽勝だよ!」
イミーと呼ばれた肥満体型の男が勢いをつけて、カイトがテレポートで連れて行った小柄の男サミーに向かって飛躍しようとしたところを、セニカが魔法剣で止めにかかる。
「行かせないわ!」
『伍ノ劔・咲乱れ』
5本の魔法剣が1本ずつイミーに向かって斬りかかる。
ボヨォン!
ボヨヨォン!
「いっひっひ、おでの肌は魔法を弾く異能があるんだべ、だから魔法は全部跳ね返しちゃうんだべさ〜」
『フラットプレス』
イミーはサミーの方ではなく、セニカに向かって大きく飛躍し、のしかかる。
ボヨンッ!
「聞いてもないのに、勝手に解釈ありがとう」
4本の魔法剣で自身を囲い固定させ、被さってくるイミーの体の中心より少し右にズレると、イミーの体が魔法剣で囲まれたセニカを弾き、横に押し出した。
「おでの異能を利用しやがったなぁ?賢い奴は嫌いだぁ!」
『御劔の舞・集』
4本の魔法剣が一本に収束し、イミーの腹部目掛けて吹き飛ぶ。
「おでの肌は魔法を通さないっぶあっ!」
ズドォン!!
「魔法を通さなくても、物理法則は通用するでしょ?」
ギルドの壁に吹き飛ばされるイミー。しかしすぐさま瓦礫の中から起き上がり、セニカに向かって走り出す。
「いででっ!もーう怒ったぞぉ!」
『バウンスクラッシュ』
セニカの目の前で弾ける様にジャンプした後、空中に天歩のような足場を作り、直角にセニカに向かって突進した。
「レオ!」
『ガウゥ!!』
セニカの胸から、光の玉となって現れた、獅子の子供が、セニカの7本の魔法剣に炎を灯す。
『漆ノ劔・陽炎』
ドリルの様に回転した魔法剣が、一本一本突進してくるイミーに向かって放たれる。
「こんなものぉ!」
ブシュン
「うげあっ!」
一本の魔法剣がイミーの肌に弾かれず、そのまま貫通し、技を中止するイミー。
ドスンッ!
「なんでだぁ!?なんで弾かなくなっただぁ!?」
地面に座り込みあたふたしだすイミー。
「お願いだからそのままやられてっ!」
残りの6本の魔法剣がイミーを囲い、同時に放たれたその瞬間...
「うわぁあああああ!!!痛いの嫌いだぁああああ!!」
ドォオオオオオン!!!
イミーは泣き叫びながら地上から見えなくなるほど高い位置へと一っ飛びし、回転をしながら落下し始めた。
『グランドインパクト』
「くそっ!イミーの奴!!」
アフロヘアーのジョーシュがイミーの癇癪を見て、嫌気をさしながら、その場から距離を取り始めた。
「何処へ行く気だ?」
ドォン!!
ジョーシュの逃げようとした先に、シェインが現れ、叩き落とされる。
「ここにいると巻き添え喰らって死んじまうぞ?」
「なに?」
「あのでっかい野郎がここに衝突したら、ここら一帯衝撃波でなくなるぞ」
「そんな自殺行為みたいな事信じるわけないだろ」
「ちっ、、死ぬなら、1人でも道連れにして死ぬのがウチのポリシーだ、ガキみたいな癇癪を起こしたアイツは自分が死ぬより、相手とその他諸々を殺す事だけに集中している、誰も止めらんねぇよ、あんなバカデケェ巨体の落下自殺なんか」
諦めた様にその巨体の落下自殺を見上げるジョーシュ、よく見るとその横に、一本の紫色の光が突如出現し、次の瞬間イミーの巨体がギルドではなく、別の方角へ吹き飛ばされた。
「なっ!イミーの落下自殺が止められただと?」
「ふっ、私も負けてられないな」
事が起きる5分前...
カイトがテレポートを使いサミーを引き離し、1対1の場に持って行った頃。
『五闘刃』
「よっ!ほっ!よほ〜っ!」
身軽かつ、何故か神経を逆撫でする様な避ける動きに、無性に腹が立つカイト。
「さっきからチマチマ避けやがって、、」
「だったらホラ!当ててみてくださいよ〜だ」
尻を横に振り更に挑発する小柄な男サミー。
((落ち着けカイト、相手のペースに飲まれすぎだ、技の精度が悪くなってるぞ))
((分かってるけど、なんか無性に腹が立つんだよアイツの動き、わかる?))
((まぁ正直言って、俺様も結構頭にくるもんがあるな))
アッシュと念話をしている間も、コミカルな動きでしっかりと挑発するサミー。
「その鬱陶しい動き、やめやがれっ!」
雷走で近付き斬りかかるが、距離を縮めようとした分、距離が離れ剣が空を斬る。
「あはっ!また外しましたね〜、ほら!こっちだよ〜坊や〜」
「んくぅ〜、こんなに殺してやりたい奴初めてだぁーーーーーっ!」
『闘斬破』
ヒュッ
『ボルテックス』
地を這う斬撃を横に軽いステップで避けたところを、雷走で近付きありったけの魔力を使い、広範囲を無差別に放電する。
「ヒュー!今のは危なかったですね〜」
「あっれれ〜?あんなコミカルに余裕こいてた子供みたいな大人が、子供の攻撃に汗かいて必死に避けてあげく危ないって、もしかして本当に子供だったでちゅかー?」
ピクッ
(よしっ!眉が少しだけ動いた!どうだ俺のこのネトゲーで鍛え上げた挑発技術は?無茶苦茶むかつくだろ〜?えぇ〜?ああいう風に人をからかい倒してる奴は、からかわれる事に弱いからな)
そしてカイトは更に挑発をし始める。
「あーあ!さっきから俺からしか攻撃してないし、ガキみたいな大人は避けてばっかだし、つまんないなー」
カイトは両手を後頭部で組み、右足を左膝の上に乗せ、寝転びだし、更に口撃する。
「あっれれ〜、もしかして攻撃手段がないとか言いませんよね流石に〜、、、、、」
「あr「え?本当にない奴ですか〜!?あらあらごめんなさいね〜痛いとこ突いちゃって〜、結構な年齢まで行って色々経験なさって挙句に覚えた技が挑発だけって、ぷふっ、口にできませんもんね〜ごめんなさいね〜」
相手が喋ろうとしたタイミングで再び話し始め、勝手に偏見を混ぜに混ぜて話していると、徐々にサミーの顔色が赤くなっていった。
(よし、そろそろ止めだな!)
「はぁ〜、、まぁね、こんな無法地帯みたいな所に住んでるんですもんね〜、そりゃあ立派な教育も受けられないですよ〜、でもこんな腐ったゴミみたいな場所でも、ちゃんと挑発だけですけど、覚えたのは偉い!偉いですよ〜!親も喜んでいるでしょうね〜!あっ、そもそも親とかいらっしゃいます〜?」
人として問題のある発言ではあるが、人を拐う犯罪者集団に持ち合わせる同情の心や気遣いなんてカイトにはない。悪者だからなにをしてもいいとは言わないが、善人や漫画の様な人生を諭してくれる様な主人公にもなるつもりもないカイト。
互いに命をかけて戦っているのに綺麗事や美徳なんぞ持ち合わせないカイト。
水を温める様なカイトの挑発は見事、サミーを真っ赤に沸騰させた。
「殺してやるぅ!!!!!!」
『殺烈一閃』
シュンッ
目にも留まらぬ速さでカイトに飛びかかったサミー。
「はい、俺の勝ち〜」
バチバチバチッ!!!
サミーがカイトの目の前まで来た瞬間、事前に仕掛けてあった電気トラップが作動し、サミーの動きが止められた。
「挑発の戦闘に持ち込むんなら、菩薩の心を持ってからだぜ?」
『天烈拳』
「ぐっふぁ!!」
サミーを再起不能まで殴りつけた後、凄まじい叫び声と共に、空に飛んでいく人影が見えたカイト。
「あれはセニカ達のいる方向!」
急いで走ってで人影の近くまで向かうと。今度は物凄いスピードで落下し始めた。
((なんだあれ!?魔法か?))
((どっちにしてもあれが落下すりゃ大変な事になるのは間違いねぇ、急げ!))
魔力の半分をカイトに渡し、テレポートで落下する巨体の近くまで移動して確認する。
「一か八かやるしかないな」
天歩で巨体の落下に合わせて空中で位置を調整する。
纏雷を発動し、雷走と天歩で徐々に加速していき、纏った雷がやがて紫色に変化していき、最後の天歩で巨体へと跳んでいくカイト。
『烈刀』
剣を象った闘気を、渾身の勢いで横に振り払う。
ズパァンッ!!
スルルルルルッ
ドォン!!!
闘気の剣に命中したイミーは真下ではなく、真横に回転しながら軌道を強制的に変えられ、吹き飛ばされていった。
カイトは急いで真下にいるセニカとシエルに向かって着地し、2人の無事を確認する。
「少し離れるぞ!」
「うん!シエルちゃん大丈夫?」
「すみません、、手の震えが止まらなくて、なにも役に立てなくて、、」
「何言ってんだ、今は守られる立場なんだから、無理に出来ないことに対して罪悪感を感じなくて良いんだ、いくぞ!」
「はい、、」
握ったシエルの手は冷たく、微かに震えていたのが伝わったカイトとセニカ。
それから直ぐにシェインの邪魔にならない様に距離を離れる。
「あちらはもう片付いた様だな」
「あぁ、こっちもすぐに肩が付くぜぇ」
『レイジングストライク』
シュイン
「もう貴様の踊りはもう見飽きた、死ね」
間合いに入り、ジョーシュが拳を放つも、綺麗に背後へいなされ、バランスを崩す。
『佰ノ劔・伊邪凪』
シェインが片手を挙げると、セニカの剣とカイトの剣、そして戦場にある剣と、シェインが空間収納から取り出した剣、合わせて百の劔が浮き出し、一斉にジョーシュに向かって放たれた。
「剣が100本だろうが、1000本だろうが、全部ぶっ壊してやる!」
『マッハブラスト』
ドドドドドドォン!!
シェインの操る剣を全て正面から叩き落としていくジョーシュ。
「まだ耐えるのかよあのアフロ!」
「まぁでも終わりだね」
「そうだな」
側から見れば、ジョーシュの負けが見えていた。
何故ならジョーシュは目の前の100本の劔に夢中になり過ぎて、背後から迫るもう100本の劔に気付いていないのだ。
「ぐっ!」
背後の100本がぶつかる前に、目の前の100本の打ち漏らしで徐々にダメージを負い、片膝を付くジョーシュ。
「へっ、、、、規格外だぜこりゃあ」
そう最後に言い残し、天を見上げるジョーシュ。
「よし、これで取り敢えずは俺らの勝ちだな」
「うん、もう大丈夫だからねシエルちゃん」
「、、はい、ありがとうございます」
シエルが涙目になりながら2人に感謝をし、シェインがこちらに向かって歩いて来た。
「無事か2人とも?」
「はい!あんなの余裕っすよ!」
「ふっ、そうでなくては私の教えが無駄になる、、シエル?もう大丈夫だから安心しろ」
*「いいえ、ここで終わりですよ」
『フォーステレポート』
バシュンッ!
空中から年老いたオカマの様な声が聞こえ、次の瞬間にシエルがその場から突如消えた。
*「幹部も含め全滅ですか、、さすが元シグニカ王国騎士団師団長シェイン・ファウストですね〜」
空中にいたのは齢60前後の顎に長い白髭を生やし、紺色のローブを纏った男性だった。
「貴様!シエルを何処へやった!?」
いつも落ち着きがあり、冷徹さを垣間見せていた表情のシェインが真逆の感情を露わにする。
『佰ノ劔・伊邪凪』
再び100本の劔を操り、空中にいる男に放った。
シュン
*「遅い」
『ネロ・フィスト』
シェインの目の前に瞬間移動したローブの男は、自身の前方に魔法陣を展開させると、中から巨大な腕を象った闇属性の魔力が現れ、シェインの目の前に放たれる。
『烈刀』
バキィン!!
黒い拳とシェインの間にカイトが瞬間移動し、拳を弾き返す。
「アッシュ!!」
『天烈拳』
*「ほう!精霊ですか!」
男はアッシュの放った拳をテレポートで避ける。
『星回不天』
手裏剣の様に高速回転した魔法剣が、精霊であるレオの光炎を纏い、男の背後から至近距離で投げつけられる。
『ネロ・クレードル』
セニカの魔法剣の周りに揺籠が現れ、徐々にセニカの魔法を中で吸収していった。
*「お返ししますよ」
『ネロ・ストンプ』
セニカの真上から魔法陣が出現し、中から巨大な脚がセニカを踏みつける。
ドォン!!
「セニカ!」
『トルネード』
地面に叩きつけられそうになるセニカの着地点に風魔法でクッションを作る。
「ありがとう!」
*「ん〜、実に小賢しい、、ん?はぁ〜」
『グラビティプレス』
ズゥン!!
真横から飛翔して来た無数の剣を、めんどくさそうな顔でローブの男が手をかざすと、全て地面に打ち付けられる。
*「もういいです、楽しみに来たのではないので、すぐに終わらせましょう」
『グラビティクラッシュ』
いつも感じるしたから引っ張られる感覚と違い、上から押しつぶされる様な感覚に、動けなくなるカイト達。
『そんなもんで止められっかよ!』
『皕輪手』
真正面から猛スピードで飛んできたアッシュの無数の拳を象って放たれた闘気に、驚きすぐさま目の前に魔力の盾を出現させた。
ズガガガガガガガピキンッ!
『天烈脚』
ズパァンッ!!
*「くっ!、、まさかの最上位の精霊ですか、面白い!」
『あぁん?こちとら上位なんだよカマ野郎』
『ネロ・ブレイド』
『刀旋脚』
放たれた1本の巨大な魔力の曲刀を、真正面から空中で横に一回転しながら放った側頭蹴りで粉砕するアッシュ。
『ネロ・ストンプ』
『天烈脚』
『ネロ・フィスト』
『天烈拳』
『寄手』
グワっ!
『1発殴らせろ!』
熾烈な攻防を繰り広げたのち、僅かな隙間を狙って、アッシュが闘気の腕をローブの男に伸ばし引き寄せ、剛拳を男の顔に減り込ませた。
シュルルルル
ガキィン!!
しかし殴った男の正体はクローンで、四散する前にクローンの体から現れた魔力でできた黒い鎖で縛られるアッシュ。
『ぐっ!これくらいっ!』
ガシンッ!
*「勝負アリですね」
『ネロ・ブレイド』
ズィンッ!
スッ
アッシュにトドメを刺そうとした男に、カイトが雷を放ち止めるも、軽く避けられ、その間に回転しながら飛翔する黒い曲刀に首を飛ばされるアッシュは、光となり四散した。
((くそっ!悪りぃ、やられちまった!))
(アッシュでもすぐにやられたのか、、強すぎる、、)
*「頭黒の鼠ギルドマスター、ウズベルト、貴方達を殺した男の名前です、冥土の土産に覚えておきなさい」
『ネロ・ブレイド』
重力魔法で押さえつけられ、動けないカイト達に、ローブの男がトドメを刺しに、黒い曲刀をそれぞれの首元を狙って放った。
スッ
キキキィン!!
直後、カイト達の動きを止めた魔力が消え、それぞれに放たれた黒い曲刀も何かに弾かれ四散した。
ドォン!!
カイトの目の前に何かが着地し砂煙が舞い上がり、やがて煙の中から見慣れた背格好と服装をした男が現れた。
「師匠!」
「先生!」
カイトがシエルの誘拐に気づき、助けを求めに学園へ戻った時、シェインとは別で、クローンをヴァイスに送っていたカイト。
「状況は?」
「シエルがテレポートで連れて行かれました、あの男がシエルを飛ばした本人です、セニカと俺はまだ戦えますけど、シェインさんが、、すいません師匠、俺がいながら不甲斐ない事になって、、」
「すいません、近くにいたのに守られませんでした、、」
ヴァイスがカイトの目の前に着地し、状況を確認する。
「何者ですか〜?」
ウズベルトの言葉を無視し、ヴァイスはシェインに歩み寄る。
「大丈夫かシェイン?」
「魔力を殆ど使い果たしてしまって動けない、、娘とあの子達を、、、、、すまない」
魔力の過剰消費で気絶するシェインを、抱き抱え、カイトの近くに下ろすヴァイス。
「そこから動かず休んでいろ、、ここまでよく耐えて戦ってれた、流石俺の教え子達だ、お前達を誇らしく思う」
先程死体から拾い上げた剣を正眼に構える。
「ぶっ殺してやる」




