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第2章 タッグマッチⅡ



第1回戦セニカ×メイダvsカイト×オルグ


「始め!!」


ヴァイスの掛け声と共に、カイトが走り出す。


「いけぇー!」


勢いよくカイトに向かって飛翔するセニカの魔法剣にメイダが飛び乗り、剣を構える。


『烈火斬』


上段に構えた燃え盛る剣を魔法剣から飛び降り、空中で縦に一回転した後、振り下ろすメイダ。


『雷鳴剣』


纏雷で身体強化を更に上げ、正面からメイダと打ち合うカイト。


キィン!!

『御劔の舞』


カイトとメイダ、互いの剣が交差し、火花を撒き散らす。と同時にメイダの背後から4本の魔法剣が上下左右の多方向から現れ、カイトに斬りかかった。


『クローンテレポート』


カイトは予め用意していたクローンにテレポートを使う様刻印し、魔法剣を操る事に集中しているセニカの真上ににオルグを飛ばした。


「ちょっ!セニカ!?」


「ごめんメイダ!」


ドスッ


それに気が付いたセニカは即座に魔法剣を解除し、カイトは魔法剣の後方支援がなくなったメイダの剣を弾いた後、メイダに1発入れ1本を先取する。


「す、すまないカイト、、」


メイダから1本を取った後、オルグの方を見ると、魔法剣で身動きの取れなくなったオルグが申し訳無さそうにカイトを見ている。


「ごめんねオルグ」

ドスッ


魔法剣で軽くオルグを突き、1本取り返すセニカ。


(マジか、、つい最近までオルグはセニカとの勝負で惜しいところまでいけてた筈だぞ?もうやられたのか!)


メイダはカイトに気絶させられ、オルグは身動きが取れない状態で、もはや1対1の状況。


カイトは足に魔力を込め、一気にセニカとの距離を雷走で縮め、剣を構える。


『黒闘閃』


『明鏡止水』


セニカは猛スピードで放たれるカイトの刺突を、魔法剣でいなそうと構えた瞬間、目の前でカイトが膝を曲げ踏ん張り、セニカの頭上に飛んだ。


『闘刃』


頭上から放たれた闘気の刃をセニカがいなすと、次の瞬間空中で天歩を使って勢いをつけたカイトがセニカの目の前まで来ていた。


「せあっ!」


ガキィン!


咄嗟に魔法剣でガードする。


『闘砲』


ドォン!!


盾にした魔法剣は全て破壊され、風圧でセニカが大きく後ろへ吹き飛ぶ。


そしてカイトがそのまま近付き剣を首に当てようとした瞬間、カイトの頭上から5本の魔法剣がセニカの周りを守るように降ってきた。


「あっぶねー、、」


「いたた、、」


むすっとした顔で睨んでくるセニカを見て、申し訳ない顔になるカイト。


体の砂を払った後、ファウスト流剣技の構えを取るセニカ。


『九十九夜』


前回の闘技大会では操れる魔法剣が4本だったのが5本になっている事に驚いたカイトは、高速で刺突攻撃をしてきたセニカを正面から迎え撃つ準備をした途端...


ダッ!


先ほどのカイトの様に、目の前で突如踏ん張り、カイトの頭上に飛んだセニカ。


「それさっき俺がやってた、、」


咄嗟にジャンプしたセニカに、闘刃を飛ばし、跳ね返した瞬間に、雷走と天歩を同時に使い、くの字に一気にセニカの頭上まで駆け上がるカイト。


『花月』


『撫雷』


上を取られたセニカは、即座に2本の回転した魔法剣をカイトに向けて放ち、カイトは全て正面から、撫でる様に雷を纏った剣で払い、斬り伏せる。


「あれ?どこ行った?」


2本の魔法剣に意識が向かったその瞬間を逃さず、今度はセニカが残った3本の魔法剣を足場に使い、くの字に駆け上がった後、カイトの頭上から一気に魔法剣を2本の魔法剣を生成し、決めにかかる。


『花鳥風月』


横に高速で回転しながらカイトに向かって落ちていくセニカ。


『千切り星』


闘気を全て1つの斬撃に乗せ、セニカに放つ。


『落下流水』


3本の水属性を纏った魔法剣がカーブの軌道を描いて、セニカの前に現れ、カイトの斬撃をゆっくりと右へと軌道を変える。


「なっ!そんなのありか!?」


「せあああっ!」


カイトは咄嗟に剣を前にガードするも、回転によって威力が増した剣の重みに、身体ごと吹き飛ばされるカイト。


「ごはっ!」


(まずい!早く立たねーと!)

シャキン


肺の空気が口から抜け、魔法で回復している間に、セニカの魔法剣が、カイトの首元に当てられ、セニカ達の勝利となった。


「はぁー、、まじかー!」


「ふんっ」


「ちょっとセニカー!おぶってくれよー、悪かったってーんごほっ!ごほっ!」


地面に座って咳き込むカイトを見て、セニカがほんの少しの情けで、魔法剣でカイトを舞台から下ろす。


「ちぇー、魔法剣かよ、、」


「何か言った?」


「いえ、ありがとうございます、、」


それから間も無くアルベルト・グレイルvsジュラン・メウィンの2試合目が始まった。


「始め!」


『影落ち』


試合開始と共に、ジュランが影の中へと落ちて行く。


アルベルトとグレイルは1人になったメウィンに走り込み左右から同時に仕掛ける。


『流刃閃』

『黒閃』


『蒼壁』

ブォン!


メウィンの足元から突如円形に囲う様に蒼く燃え上がる炎の壁が出現する。


「このまま行く!」


「あぁ!」


ズォン!


力付くで蒼壁を突破するアルベルトとグレイル。


「今だ!」


アルベルトの背後から聞こえたジュランの掛け声と、炎の壁を突破した直後に見えた、片手に焔剣エニスを携え、アルベルトに向かって構えを取ってたメウィンの姿を見て、急いでグレイルがアルベルトの元に走り込もうとした。


「大丈夫だグレイル!そのままメウィンに!」


「でも挟み撃ちにされて、、」


「信用しろ!」


そう言ってアルベルトは深く息を吸い込み、目を閉じた。


「少し早いが修行の成果を見せてやる」


ピリッ

(なんだ今の一瞬、、)


剣を構えず棒立ちするアルベルトから一瞬殺気の様な気配を感じ取るも、2対1なら必ず一本取れる自信の方が勝り、そのまま緋剣イグニを上段に構える。


『焔閃』

『千灼』


ジュランの放つ赤い軌道の剣筋と、メウィンの放つ蒼い炎は次の瞬間、軌道を変えられた様に曲がった後、四散していった。


『刹鬼道』


アルベルトから赤い闘気に似た様なオーラが出現し、ジュランに向かって走り出した。


「悪いメウィン!ちょっと貸してる余裕なくなった!」


目の前から走りこむアルベルトに、ほんの少しばかり恐怖に似た感情を感じさせられるジュランは、焔剣エニスを回収し、霊気を解放した。


『灰燼』


『鬼踊り』


目の前まで来たアルベルトに手刀で斬りかかるが、ひらりと容易に避けられる。


ダンッ


「ガハッ!」


払い終わった隙を狙い、まるで早送りした様な無駄のない動作で、剣を持った腕で、ジュランの溝内に肘を入れ、吹き飛ばす。


「くっ、、ずいぶんとまぁ雰囲気が変わったなぁ」


『鬼威し』


受け身を取り、前を見た瞬間にはアルベルトが目の前まで近づいており、剣を上段に構えて、袈裟斬りを放つ。


『焔浄刀』


剣にもした炎がアルベルトの攻撃を防いだ瞬間、まるでこんにゃくに包丁を通した様に、スルッと焔浄刀が斬られ、一瞬動揺したジュランの隙をついて、首に剣を当てた。


「勝負あり!」


グレイルの方を見ると、何とかメウィンを抑えて、剣を倒れているメウィンの背中に当てていた。


「ゴフッ、、んぐっ!」


「おいアルベルト!」


「カイト!」


目の前で血反吐を吐き、倒れるアルベルトを咄嗟に支えるジュラン。ヴァイスがカイトの名前を叫ぶ。


『ライトヒール』


「まさかさっきのヤバそうな技は諸刃の剣だったか?」


「悪い、、少しばかり無茶した、、だがお前には勝ったぞジュラン、、」


そう言った後、気絶したアルベルト。


「これじゃあ試合は続けられそうにないな、、今日の授業は以上で終了とする」


ヴァイスはアルベルトを抱え、診療所へと向かい、授業は中止となった。


「決勝どうなるんだ?」


「さぁな、明日やるんじゃあねえの?」


「にしても盛大に足元を掬われたな」


カイトが負けて舞台を降りながら答えるジュランを見て、揶揄いを含む笑顔でジュランに話しかける。


「よくもまぁ他人事の様に笑ってられるねぇ〜アルベルトは俺に勝って、セニカに負けたお前は今じゃ4強最下位なんだぜ?」


「ばっ!セニカに負けたのは技とだし〜?俺が本気を出せばセニカは無理でもお前なんかチョチョイのチョイだよバーカ!」


大人気なく罵声を浴びせ、逃げる様に修練場から出て行くカイト。


「はぁ、、」


((ジュランに言われたの事がそんなにショックだったか?))


迷宮へ行くまでの間に、カイトが吐いた大きな溜息を、アッシュが拾う。


((最初は闘気というアドバンテージがあったから、あんなクラスの中で突出してたのかな、、最近ずぅーっと負けっぱなしだしよ、、やっぱ俺は普通だったんだな))


((はんっ!情けねぇ野郎だぜ、そんないきなり力を得られる事なんか滅多にねぇんだよ、闘気術も操剣術も魂装剣もアルベルトの今日の技なんかも、どれも1から努力して手に入れた力なんだ。あるとしたら文句も言う暇がないほどに純粋に強さだけを求める欲求力だ、ただの努力不足を才能のせいにすんな、みっともねぇ))


((はぁー、、分かってるよんなの、ただ一瞬思っちまったもんを吐き出しただけだ、こういうのは心に残す方が毒だろ?))


((へっ!どうだかなぁ))


「うっし!今日はどこまで突破出来るんだろうなぁ〜」


迷宮に到着し、体を伸ばした後、テレポーターに魔力を通す。


シュン


20層のボス部屋の奥にある小部屋に転送され、21層目へと降りて行くカイト。


30層近くまで潜って分かった事は、10層毎に出現する魔物達の種類が変わって行く事だ。1〜10層はゴブリン種、11〜20層はオーガ種、そして21〜30はアダラ種と言われる、ボスのウヌスアダラの様な一つ目の蛇みたいな魔物達だ。


厄介なのがその擬態性で、明かりのない薄暗い迷宮の中ではまず肉眼で捉える事ができないくらい壁に擬態し、それも10体以上で待ち伏せしている為、とても厄介な魔物である。


なのでカイトが考えた案として...


「シャッ!」

バチバチバチ!!


剣を鞘に入れた状態で、道の真ん中を堂々と歩き、まるで襲ってこいと言わんばかりの無防備な状態で技と襲わせ、引っかかった所で闘気を全身に開放して、電撃で焼き尽くすという手法だ。


しかし下層に進むにつれ、さらに厄介なのが上位種のイフェニアダラだ、見た目大きさはウヌスアダラよりひと回り小さくて、1体なら問題なく倒す事が可能だが、群れを成されているとその脅威はウヌスアダラをも超えると言われている。


ジャキン!

ズィン!


雷鳴剣を下段に構え次の瞬間、紫色の閃光が、5体で群を成したイフェニアダラの中へと入っていき、次の瞬間5体のうち3体が目を斬り刻まれ、四散していった。


すぐさまカイトの前後を囲み、逃げられない様に瘴気を吐き連携をとる2体のイフェニアダラ。


ズィン!!

スパァン!


更に雷走のスピードを上げ、先ほど仕留め損なった物の、ダメージが入り動きが鈍くなった残りを綺麗に横に真っ二つにしたカイト。


ピシャッ


「前来たときはスッゲェやりにくかったけど、何か重力空間でのトレーニングのおかげで、体が更に軽く感じるぞ」


((まだまだくるぞ、油断すんな))


「分かってるよ!」


倒したイフェニアダラの奥から更に6体が戦闘モードでカイトに向かって地面を猛スピード這ってくる。


『雷貫』


バチン!


「くそ、やっぱり戦闘モード入ったら硬くなりやがった!」


貫通に特化した技であっても、外傷を与えられない。それが群を成したイフェニアダラの恐ろしい特性の一つである硬質化だ。


元々刃を通すのに苦労のかかる外壁を、イフェニアダラの群は、互いに攻撃・防御・瘴気によるデバフの連携で、相手が疲弊し切ったところを狙うという、狩の基本の様な動きをしてくるのだ。


硬質化で盾役のイフェニが1番先頭を這い、その後にデバフ役が瘴気を蔓延させ、攻撃役の2体が左右から攻めにくる。残りの2体は状況に応じて動く様な感じだ。


「まずは正面の盾役をなんとかしないと、、ふん!」


そのままもう突進してきた盾役のイフェニアダラの突進を剣で受けとめる。


ブォン!!

スッ


ダッ

((左から飛んでくるぞ!))


右から尻尾を鞭に様にしならせ、音速を超える尾先をカイトに放つも、冷静にしゃがんで避けるカイト。


その後直ぐに盾役の突進の力を利用し、後ろへ受け流すと、左から上空にジャンプしながら、尻尾を叩きつようとしてきたイフェニアダラを、ジャンプで迎え撃つ。


『天歩』×『黒闘閃』


放たれた尾撃を、宙で体を捻って避けた後、空を蹴り渾身の突きを弱点である目に向かって放つ。


ザシュッ!


肉を抉る音と、イフェニアダラの叫び声の様な音が迷宮内の道に木霊し、四散していった。


「シャアア!!」


すぐさま怒りを含んだ様な音を立て、残りの5体が一気にカイトを囲み、尻尾で一斉に叩きつけた。


ダッ

「仲間意識があったなんてな、悪りぃ」


ジャンプで避けると、すぐさま1体がカイトに向かって飛んで行く。


ガシッ!

「ふんっ!」


カイトは雷を纏わせた剣を瘴気を放っているイフェニアダラに投げつけ、魔闘術でイフェニアダラの尾撃を相殺した後掴み、下にいた他の1体に体を投げつける。


『天烈拳』

ズパァン!!


立て続けに、真下にいた1体に、腕の形をした闘気を飛ばし、顔を押しつぶす。


その後も魔闘術で数を減らしていき、残り2体になると、カイトは意識を集中させ、新たな技を試みる。


「試したい事がある、何があっても絶対に助けんなよ」


イメージするのは刀。それを闘気で形作り固定させる。


((おいおい、何回試みてもダメだったろ?お前も懲りねぇ野郎だな全く))


自分の五体を闘気で形作り、安定させる事は簡単だが、それが自身の体と関係のない物になった途端、不安定になる闘気の特性を発見したカイトは、闘剣で自分の剣に闘気を流し、その形を闘気に覚えさせ、武器がない状態でも形の安定化を試みたが、まだ剣と自身が一体化という境地にまで達していないカイトは幾度も失敗を繰り返していた。


なので今回はやり方を変え、技と自身を境地にまで追い込み、闘気の本質である、防衛本能に賭ける事にするカイト。目の前の魔物は強力で且つ、武器もなければ、アッシュの助けはない。此処でこの技が完成しなければ、死が待ち受けている。闘気とカイトのチキンレースが始まった。


仲間がやられ。更に激昂したイフェニアダラは、瘴気を吐いた後、毒牙をカイトに向け、地面と空中からの二方向から遅いかかる。


一方カイトは正眼を構えた態勢で、刀の形を絶えず意識している。あえて目を開け、イフェニアダラの攻撃を見る。


瘴気が先にカイトに到達し、もろに吸い込むカイト。


「ごほっごほっ!」

グラッ


直ぐに脳に瘴気が回り、目の前の景色が何重にもなり、意識が遠のきそうになるも、構えとイメージは止めないカイト。


そして2体の上下から飛びかかってくるイフェニアダラの毒牙がカイトに差し迫る。


((おい!このままじゃ死ぬぞ!))


カイトの腕が光り、中からアッシュが現れようとする。


((おい、、、助けんなつったろ?でてくんじゃねーよ))


光が収束し、毒牙がカイトに届く。


「グアアアッ!!!」


痛みで意識が今にも飛びそうなのを必死に堪え、刀の意識を止めないカイト。


ガクッ


今度は毒も回り、とうとう立っていられなくなったカイト。


両膝を着きながらも、正眼に構えるカイト。


ビュンッ

ドォン!


「ぐはっ!」


尾撃をもろに喰らい、壁にめり込むカイト。


「なる、、、ほどな、、まだ大丈夫だと、思ってんのか、、だったら」


カイトは大量の魔力を一気に雷に変換させ、その場で放電を始める。


シュゥゥゥ...


これで回復もできなければ、この場から逃げる事すらも、出来なくなったカイト。


「本当に、、、死ぬって、、」


2体のイフェニアダラが尻尾をクロスさせ、壁にめり込むカイトに向かって大きくしならせる。


ブゥン...


攻撃が当たる1秒前、カイトの構えた手の中に、ハッキリと木刀のような形をした闘気が薄く現れた。


そして攻撃が直撃し、現われていた闘気は消え、もう一度尻尾を構える2体の魔物。


ブォンッ!!


再び攻撃がくる今度は3秒前、今度はハッキリと現れた闘気の刀に意識を集中させ、残った微かな魔力を流し、安定化させ強く握る。


ガシッ!


握られた瞬間、闘気の刀はいつものカイトが見ている闘気の淡い光を放ち、その場に留まった。


ドォン!!


次の攻撃を放っていた2体イフェニアダラは、その3秒の間に、吹き飛ばされ、向かいの壁にめり込んだ。


「、、、ククッ、、俺の勝ちー、、」


そう言って意識を失った後、目を覚ますと、ラムカがいつもの不機嫌な顔より、更に不機嫌な顔でカイトの顔を覗き込んでいた。


「、、、うーんぅ、、あれ?天使ってこんな老けているもんなのか、、」


「バカ言ってないで早く目を覚ましなさいっ!!」


バシャンッ!!


「うぉっ!!!冷てーーー!!」


氷を含んだ水魔法を顔に当てられたカイトは、直ぐ様跳ね起き、状況を確認した。


「あぁ!ラムカさん!あれ?なんで俺こんなとこに?」


「気絶したあんたを精霊が担いできたんだよ、、全く今回ばかりはひどい無茶したらしいじゃないの?」


「あぁ、、なるほど」


「なるほどじゃないわよバカもんが!もう少しで死んでる所まで瘴気を吸い込んで、おまけに毒も体に回って、骨折も数カ所、特に顔だけでも6箇所、、事と場合によっちゃあ停学処分にするよ?状況を説明しな」


そう言ってカイトはその場で正座し、状況を説明していった。


「はぁ、、、」


「すいません、今回ばかりは無茶しすぎました、次からはないようにします、、」


「本当、若い頃の学園長にそっくりだねあんたは、事情は分かったけど次同じような怪我したら何がなんでも停学にさせるから覚悟しときな!」


「は、はい!」


「ほら!濡れたシーツ洗って、乾かして!」


「え?でもそれは俺じゃなくて、、」


「文句あるかい!?」


ダダダダッ


すぐさまシーツを得意の洗濯魔法で洗い、乾かした後、ベッドに掛け直し、診療所から出て行くカイト。


((おーい、ありがとうな))


((はっ、いいもん見れたから気にすんな、褒められた行為じゃねぇが、覚悟は一丁前だったぜ))


今日は久々に武活にも顔を出す事にしたカイト。


ガラガラッ


「あ、カイトさん!」


「よっ!シエル!」


「その怪我どうしたんですか?」


「迷宮潜っててちょっとドジっちまってな、それより他の2人は?」


「先程セニカさんと母さんが修行で使う剣を交換しにいきました」


「なるほど、、じゃあそれまで少し暇だしちょうど明日は休みだから、武活後ここの庭でBBQするか!」


「いいですね!ちょうど今日カイトさんの焼いたあのお肉食べたい所でした!」


「それじゃあ食材買いに行くか!」


「はい!」


カイトはテレポートで学校の近くにある、八百屋通りへとシエルと向かった。


「買う物はいつもと同じ奴でいいだろ、後一個新しいレシピ発見したから、試したい物あるんだ」


「また新しい料理ですか!?」


「そうそう、名付けてって言うよりももう名付けられているその名も、焼きおにぎりって奴だ!」


「おぉ〜!想像ができませんけど、考えただけでヨダレが〜」


恍惚の表情を浮かべ、よだれを垂らして喜ぶシエルに機嫌が良くなるカイト。


(後輩ってこんな可愛いもんなんだなー!)


「あっ!カイトさん!見てくださいあそこにニューガのお肉が売っていますよ!」


「なに!?それは売り切れる前に急いで買いに行くぞ!」


セニカの好物である鴨のような生き物のお肉が売ってあると聞き、急いで店の前の人混みにダイブするカイト。


「よっしゃ!買えたぞシエ、、ル、、?あれ?どこ行った?」


先程まで真後ろにいたシエルの姿がなくなり、辺りを見渡すカイト。


((アッシュ、シエルの魔力を探知してくれ))


((ん?猛スピードでお前から遠ざかっているぞ、、))


((ん?なんでだ?))


((わかんねぇが、この速さは何か乗り物にのってんな))


((なっ!それってまさか拐われた?))


すぐさまアッシュの感知した方角に体を向け、風魔法で空高くジャンプする。


すると猛スピードでこちらから遠ざかって行く一台の地龍ではなく、2頭のサイの様な生き物が引っ張る荷台を発見し、その方角にテレポートする。


シュンッ


「おい!なにやってんだお前ら!」


荷台の前に立ち塞がるも、止まる気配はなく、ぶつかりそうになった所を避ける。


『エレクトロニードル』


片方のサイの様な生き物の背後足に、細い針を刺すと、電気が流れバランスを崩した後、勢いよく前に倒れ、荷台が止まった。


すぐさま荷台に駆け寄ると、シエルを人質に取った覆面の男性が叫び出した。


「おい小僧!よくもやってくれやがったなぁ!おぉう!?コイツの命が欲しかったら、大人しく武器を置いて来た道走りやがれ!」


ジャキッ


シエルの首元にノコギリザメの頭の先端の様なナイフを当て、涙目になるシエル。


一気に雷走で近づいて武器を取るのもいいが、相手がどれ程の使い手か分からない以上、容易に手を出せないカイトは、相手の刺激しない様にする。


「分かった!何にもしないから目的だけ教えてくれ!その子は貴族出身だから下手に手を出すととんでもないことになるぞ」


「あぁん?からかってんのかガキテメェ?こいつが誰か分かってこっちは攫ってんだよ、いいから武器捨てて早く走れや!」


嘘で相手の出方を伺い、なんとか情報を引き出せたカイト。誰かと分かっての人攫いなので、まず殺しはしないと考え、次に裏に必ず誰かがいるのがわかったカイト。


「分かった、、走るから、落ち着け」


カイトは真っ直ぐに学校に向かって走って行き、見えなくなった所で武活の道場へとテレポートした。


「シェインさん!すいません!」


「どうしたのだカイト?そんなに慌てて、始まる時間でもないぞ」


「そうじゃなくて、シエルが拐われました!相手の場所はマーキングを付けているので把握しています!」


「そうか」


帰ってきた返事は意外にも淡白と言うよりかは、あっさりした感じに、カイトが疑問に思う。


「娘が拐われたんですよ?なんでそんなっ、、」


「案内しろカイト、拐った奴らの目安は大体付いている、潰しに行くぞ」


ちょうどそのタイミングでセニカが道場に現れ、事情を話さないまま無理やりテレポートで連れていった。


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