第2章 タッグマッチⅠ
「して謁見の理由を聞こうノイド学園長」
後日謁見の間に通してもらったノイドは、アウランの父で、エリュードの現国王であるルイノルド・エリュード3世に事情を伺う。
「お主の倅についてじゃが、昨日城を抜け出してワシの所に来よった、お主がアウランの入学を認めた推薦状の様な物と共にな」
「そうであったか、それは私の息子が申し訳無いことをしたな、苦労をかけた」
「推薦状の中身ですが、、」
「本物だ、私自ら書いたものだ」
「そうですか、、ならワシは何も文句は言わん、じゃがあれ程頑に反対していたお主が何故急に?」
ノイドの質問に国王が眉のシワを寄せる。
「あの子の民を想う気持ちは本物だ、小さい頃から民のためにあれこれと画作したり、時には城を抜け出して民に直接手を差し伸べていた」
「しかしその優しさだけで王にはなれるかも知れないが王は務まらん、国を守れないのだ、国があっての王だとあの子に説いてやろうと言ったら、初めてあの子に反発を食らってな、、」
「『それは間違いです、民があってこその国で王なのです父上、国が国として維持できるのも皆民のお陰と言えましょう、国民は国の宝という初代の御言葉があります。決して王があっての民ではありません』とな」
「この歳になって久しぶりに説かれたんだ、初代の御言葉を私も知らなかった訳ではない、ただ長年王となっていると、大事な何かを失っている事に気が付かなくなる。私はそんな芯がブレないあの子が何処までいけるのか賭けてみたくなったのだ」
ルイノルド王の話を聞いて少しばかり口角が上がるノイド。
「ほっほっほ、、親子揃ってよく似ておるのぉ、あの子からはいつかのお主と同じ面影を感じる」
「はっはっは、、懐かしい、今度は昔話でもしながら飲みましょう先生」
「ほっほっほ、部下の前じゃ、先生はやめんか、それじゃあワシは帰るとするかの」
「王兵!ノイド学園長を城下まで丁重にお送りしてくれ」
「「ハッ!」」
こうしてノイドの謁見は終わり、その日にアウラン王子の学園の入学が決まった。
そして後日...
「ねぇカイト聞いた?この前会った王子が一個下の剣術科に入ったらしいよ」
「ほぉーん興味ないね」
授業前のアップをしながら、セニカと話すカイト。
「まだ怒ってるのこの前の事?」
「アレのせいでアルベルトには芋虫君呼ばわりされたんだぞ?今までは俺の方に軍配が上がってたのに」
「まだアルベルトとそんな勝負事してるのカイト...」
呆れた表情になるセニカ。
「てかセニカちょっと重くなった?おぉふっ!」
開脚ストレッチで背中に乗って貰いながら感じた事をバカ素直に話すカイト。
「もう1人ですれば?」
カイトの空気の読まない一言に腹を立てたセニカが何処かへと行ってしまった。
(俺はムチっとしてる方が好きなんだけどなー)
「それでは実戦訓練を始めるぞ!」
突如ヴァイスの号令で整列する一同。
「今日は少し特殊な実戦訓練をする」
(何だろ?面白そうだなー)
「互いにペアを組んで、2対2の対戦を行なって貰う、ただしカイト、アルベルト、セニカ、ジュラン、、今名前の出た生徒同士のペアは許されないものとする」
「えぇー!セニカとが良いー!」
「私は嫌だけどね」
ムスッとしたセニカの顔をカイトがたまらなくなり、ほっぺを突き火に油を注いだカイトであった。
「ならこのニューロと!」
「無理」
瞬殺で断られるニューロ。
「メルトー!組もうぜぇーい」
「悪りぃ、タリカともう組んじまった」
(序列5位のメルトと6位のタリカか、、)
そうこうしている間に次々とパートナーが出来ていった。
仕方なく残った者同士という事でオルグと組んだカイト。
「それでは今から右から順にくじ引きで対戦の順番を決める」
そしてくじ引きの結果...
1: アルベルト×グレイルvsルシータ×オーロン
2: カイト×オルグvsタリカ×メルト
3: ニューロ×マシューvsセニカ×メイダ
4: ジュラン×メウィンvsソロカ×モルス
それからすぐさま最初の対戦が始められた。
「ルールは何でもありの2本先取、パートナーのどちらかでも攻撃が当たれば1本となる。そして1本を取られた奴は3分の間は1本取られても無効とする。いいな?」
舞台に上がる両チームにルールを説明し、うなずく両者。
「それでは用意、、始め!」
先に動いたのはルシータ。オーロンは走り出したルシータの後に続く。
「作戦はさっき言った通りだ、行くぞ!」
ダッ!
アルベルトがグレイルに確認をした後、グレイルが1人で前に走り出す。
ガキィン!
スッ
「うぉっ!」
グレイルとルシータの剣がぶつかり合うと同時に、ルシータが剣を後ろに引いて、グレイルのバランスを崩した。
『隼斬り』
『風斬破』
ズパァン!
バランスを崩したグレイルにオーロンがすかさず持ち前の速さで2回斬りかかろうとするも、奥から高速で地を這う斬撃がルシータに襲いかかり、やむ終えずガードするが、纏わせた風属性の魔力が発動し、オーロンの剣が弾き飛ばされた。
「しゃがめ!」
スッ
アルベルトの命令に、すぐさまバランスを崩した勢いを利用し、グレイルがしゃがむと、今度は火属性の刃がグレイルの背後から2発放たれた。
「くそっ!剣が!」
「まずい!」
ドンッ
キィン!
オーロンが刃に直撃し吹き飛び、ルシータは何とか剣で防ぐ。
「今だ!」
「あいよう!」
『烈風一閃』
アルベルトの合図で、グレイルが風を纏った高速の刺突攻撃でルシータに迫る。
『岩流し』
ズィン!!
今度は剣をいなされるも、グレイルの上がった口角を見て、すぐさま上へ飛ぼうとするも...
ピタッ
背後まで移動していたアルベルトに剣を首に当てられ、アルベルト×グレイルの勝利となった。
2回戦カイト×オルグvsメルト×タリカ。
「始め!!」
試合開始の合図と共にカイトが走り出す。
「任せぃ!」
「おいっ!1人では流石に!」
「甘いなカイト!お前でも流石に俺ら2人は!」
『闘刃』
メルトが言い切る前に、闘気の刃を放つ。
『氷熱』
メルトがカイトの闘刃を弾いた後、タリカが風水火の3属性を同時に操り、蒸気をカイトに放つ。
「あっち!」
熱気で前が見えなくなり、おまけに右足が蒸気に触れると熱傷した。
「カイト!上だ!」
風魔法で蒸気を吹き飛ばす暇もなく、次の攻撃が仕掛けられ、背後にいたオルグがカイトに走りながら叫んだ。
ガキィン!!
上空から飛んできたメルトの双剣を正面から受け止めるカイト。
『華剣・撓り』
正面の蒸気から現れたタリカを見て、すぐさまメルトの攻撃を弾こうとすると....
パキパキッ!
「くそっ!」
『三臂』
メルトが剣に氷の魔力を流し込み、カイトの剣と自身の剣を、引っ付けて離れない様にしていたため、咄嗟に右肩から闘気の腕をタリカの剣に放つ。
ズッ
シュイン
ザスッ
タリカの剣はカイトの闘気の腕とぶつかる前に撓り、闘気の腕を避けた後、カイトの右腕に軽く突き刺さった。
『岩鉄剣』
バキィン!!
もう1発攻撃を喰らうギリギリで、オルグが現れ、タリカの剣を弾いた後、持ち前のパワーで、メルトの剣を攻撃して身体ごと吹き飛ばし、カイトと引き離した。
「1人で無茶するな、チームだぞ!」
「悪りぃオルグ!助かった!」
(成る程、、1人増えただけで足し算になるだけかと思ったが、掛け算みたいな感じか、、)
「次どうする?」
「そうだな、、、俺がしっかりと後衛やるから、好きに剣を振れ」
「分かった」
作戦とは言えない程の打ち合わせを、直ぐにした後メルトとタリカが同時に迫ってくる。
「カイト!跳べ!」
『崩震』
刀身を横にし、力いっぱい地面を叩くオルグ。と同時にオルグの合図で上空に跳ぶカイト。
ゴゴゴゴッ!
すると地面が揺れ始め崩れ始める。
「うぉっ!」
メルトの片足が崩落した地面にハマり片膝をつくが、タリカが咄嗟の判断で上に跳ぶ。
カイトとタリカは互いに天歩を使い、空中で剣戟を始める。
『華剣・狂咲』
太刀筋の見えない斬撃を、カイトは避けながら剣ではなく、タリカの腕を掴み止める。
「悪いなタリカ、ちょっと乱暴に行く」
タリカの腕を振り回し、地面に投げつける。
ガバッ
タリカは地面にいたメルトにぶつかり、オルグが2人を岩の壁で覆う。
そして開いた天井から、カイトが闘気を纏って構える。
『八闘刃』
今度は威力を抑えた牽制の闘刃ではなく、全力で放つカイト。
ズドドドドドッ!
岩の壁は粉々に砕かれ、中にいたメルトとタリカは剣を地面に置いて降参し、カイト達の勝利となった。
3回戦ニューロ×マシューvsセニカ×メイダ
「ヌッフッフ!今度こそセニカたんに拙者の凄さを感じさせましょう」
「そんなんだからモテねぇんだよニューロ、もう少しその陰湿な笑いをどうにかしろよ」
クラス1モテないニューロと、クラス1の美男子マシューが舞台の上に上がる。
「行くよメイダ」
「うん!」
セニカ達も舞台に上がり試合が始まった。
「始め!」
ダッ!
試合開始の合図と共にメイダがマシューとニューロに向かって走り出す。
『ドロヌマ』
目の前に沼を展開するニューロ。
やむ終えずジャンプで近づくメイダにマシューが迎え撃つ。
『降風斬』
風を纏わせた剣でメイダに斬りかかろうとすると、メイダの背後から3本の魔法剣が飛翔し、華麗に足場として利用し、剣を避けつつ、通りすがりに剣撃を1発打ち込む。
そのまま流れる様に、もう1本の魔法剣を足場にした後、ニューロに斬りかかる。
スパンッ!
「え!?」
斬りかかったメイダ自身が驚いた表情をする。何故なら無抵抗に斬られたニューロの斬り応えに違和感を感じたのだ。
ドロォ
斬られたニューロが泥になり、地面に倒れる。
ゾワッ
瞬間、セニカの背後からなんとも言えない薄気味悪い気配をセニカが感じ取り、咄嗟に魔法剣を6本生成し、星回不天で背後から卑しい表情を浮かべたニューロを斬り裂きかけ、縮み上がったニューロが降参をした。
「死ぬかと思ったでござる、、でもあの表情!!もう一本でござるよぉ〜!」
「こ、今度は本気でやっちゃかも知れないから気を付けてね」
「これが世に聞くツンデレ!御馳走様でぇーす!!!」
土下座でセニカに感謝した後、舞台から下がる両者。
「ハッハッハ!相変わらずだなニューロは!セニカちゃんも一回くれぇ付き合ってやったらいいのにな」
側から笑うジュランに、カイトが軽く小突く。
「バカ言ってねぇで早く上がったらどうですかい?おぉ?」
「うっしゃあ!やっと俺の出番だな!」
張り切った様子で舞台に上がるジュランとメウィン。
4回戦ジュラン×メウィンvsソロカ×モルス
「始め!」
試合開始と共にジュランとメウィンが左右別々の方向へと移動する。
「別々の方向に?どうするソロカ?」
「さっき言った通りの作戦で行きましょう」
「わかった」
ソロカとモルスはメウィンの方へと走っていく。
「まずは一本!」
『ミラルリア流・スパイラルエレメント』
『海烈斬』
螺旋を描いた斬撃と、細くもその威力は建物をも容易に真っ二つに割るほどの威力の斬撃を目の当たりにし、メウィンは丁度2人から隠れた左手から焔剣エニスを横に振るった。
ズウォン!!
炎の壁が両者の間を隔て、次の瞬間にはメウィンが消え、瞬く間に背後から突如現れたジュランとメウィンに剣を突きつけられ、試合が終わった。
「ずるーい!ジュランの魂装剣持ってるなんて聞いてないしー!」
「にっしっしー!いいでしょー!」
「カッコいいなぁ〜」
試合が終わると同時に文句を言うソロカにメウィンが自慢げに焔剣エニスを見せびらかす。
シュインッ
突如焔剣エニスが光だし、ジュランの体の中へと収束していく。
「次の試合の作戦練るぞメウィン」
「も〜!せっかくみんなに自慢してたのにー!」
「人のもん自慢してお前になんのプラスがあるってんだ全く」
「いいじゃん〜ケチな男はモテないよ〜?」
「うるせっ!」
15分の休憩の後、次の対戦表が出される。
1回戦セニカ×メイダvsカイト×オルグ
2回戦ジュラン×メウィンvsアルベルト×グレイル




