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第2章 1層目攻略


剣術の授業が終わり、セニカと別れた後学園長の所に向かうカイト。


コンコンッ


「どうぞ」


「失礼しまーす」


「おぉ、カイト君か?何か用か?」


「ちょっとお願い事がありまして」


「なんじゃえ?」


「学園のダンジョン内への立ち入り許可の自由を申請したくて」


「なるほど、、ワシとしては許可してあげたいが、生徒の命がかかっておる、容易に許可は出来んがそれなりに何か案があるんじゃろ?」


「話が早くて助かります。100%の安全は自分では保証できませんが、もし僕がダンジョン内で大怪我などを負った場合は2度と立ち入りを許さない様にして下さい」


「ホッホッホ!それが交渉とはのぉ!死ななければいいという話ではないぞ?大怪我が大事に繋がることになるかも知れん、それにダンジョン内ではテレポートは使えん様になっておる、お主が大怪我を負うくらいの強敵と戦えば、その時点で大怪我を負ってからでは遅いのではないんじゃないかの?」


「確かに僕が大怪我を負えば、逃げられないかも知れません。しかし僕はあくまでダンジョンは一人だけで潜ろうと考えています。そう言った危機に晒されれば僕より強い精霊に身を守ってもらいます」


「つまりダンジョンは一人で潜り、限界が来たところで切り札である精霊に助けてもらうと?ん〜考えは悪くないのぉ」


「はい、余力を常に残した状態で潜るので、精霊と一緒に潜る事はありません。あくまで緊急措置として付いてきてもらうという考えです」


「それじゃあ許可しよう、お主に宿っておる精霊様なら問題無いじゃろう、それと1つだけ忠告しておこう」


「はい」


「あのダンジョンは40層からが本番じゃ、気ぃ付けなさい」


「ありがとうございました」


学園長室から出て行くカイト。


「ふぅ、、本当に血は繋がってなくともお主そっくりな目をしておるわルミラ」


学園長の机の左にあるトロフィーが飾られている棚の中に1つの銀板が飾られておりそこにはこう記されていた。


=====================



『迷宮最下層100層到達者: ルミラ』


未だ誰も到達し得なかったダンジョンの最下層の到達を見事成し遂げた事をここに証明する。



=====================


「お主の弟ならお主の成し遂げられなかった最下層の攻略が出来るのかのぉ」


場面は変わりダンジョン内。


ズサッ

「ふぅ、、朝に倒したゴブリン達がまた湧いてるな」


((とっととここの階層の門番を倒しちまって、次いくぞ))


「え?門番とかいるの?」


((授業の内容聞いてないだろお前?お前の師匠がちゃんと説明してくれてたぞ、各10階層には次の階層に繋がる場所に門番がいるって))


「ボスみたいなのがいるって事か、、いいねぇ!ゲームみたいだぜ」


((死んだらコンティニューできねぇけどな))


そこから足早に次々と道を塞ぐゴブリン達をなぎ倒していき、10分後、、


「ふぅ、、見た感じここが門番の部屋っぽいな」


((あぁ、奥からは今までの奴らとは違う異質の気配がする、気を付けろ))


「っし、いくぜぇい」

ギィイイイバタン


扉を開けると奥から殺気をこちらに放つ影が見える。


「ほぉ、武器を持っただけのゴブリンか、、何ゴブリンだお前?」


シュンッ

ガキィン!!


短剣を2本握った8頭身のゴブリンがその場から姿を消し、次の瞬間カイトの目の前に短剣を2本振り下ろしていたのを咄嗟にガードする。


「いきなり不意打ちかよ、、えぇ?」


ドスッ

「グアッ!」


腹部から闘気を押し出し、ゴブリンの腹部にめり込ませる。


「セイッ!」


よろけているゴブリンにワンステップで目の前まで近づき、下からすくい上げる様に斬りあげる。


タッタッタッ


しかしカイトが近づいたタイミングでゴブリンは身軽にバク転をしながら後ろに逃げていき、一定の距離を保った後、二体に分身し、再び同時に襲いかかってきた。


「一か八かだ、ソリャ!」


カイトは右から襲いかかってきたゴブリンを迎え撃つ。


『隼斬り』


スパパァン!


綺麗に3等分されたゴブリンは黒い液体を撒き散らし、四散していった。


「うあはっ!、、なんだこれベトベトだ!」


「ギアッ!」


ゴブリンは得意げな表情でスキありと言わんばかりにカイトの背後に回って、2本の短剣を振り下ろす。


ガシッ


「なんちゃってー」


肩から伸びた2本の闘気の腕が空中にいるゴブリンの首根っこを掴み、そのまま電流を流し込み、ゴブリンを焼き焦げにした。


プスプスッ


ガコンッ


「お!壁から隠し扉が!」


壁の一部が上に上がっていき、中から下に続く階段が現れる。


「このまま先に進みたいけど、、んー!我慢だ!」


((なんだ?もう帰んのか?))


「あぁ、まだ余裕はあるけどただの下調べだ、明日からはちゃんと色々用意してから奥に潜る」


((にしても呆気なかったな))


「まぁでもまだ1階層だしな、これで強かったらまじで先が思いやられるぜ?」


((まぁそりゃそうか、、これなら30階層あたりまでは楽勝かもよな))


「学園長も40階層からが本番だって言ってたしな、まぁ怪我しない程度に3年上がる迄には40は行っておきたいかな」


((その目標はセニカ達とでか?それとも、))


アッシュが言い切る前に、遮り叫ぶ。


「勿論俺1人でだ!」


とその後も色んな話をしていると入り口まで戻ってきたカイト。


「ちょっと日も暮れてきたし、そろそろ授業が終わる時間だな」


日の暮れた風景を見て急いで武活の道場へと向かう。


スゥーッ


襖を開けると道場の真ん中で楽しそうに会話しているシエルとそれをつられるように嬉しそうな顔で聞いているシェインがいた。


「家族の団欒邪魔しちゃって悪いですねー」


「ん?ちょうどお前の話をしていたんだ」


「俺の話?何のことですか?」


「今朝の事ですよ、カイトさんが私が絡まれてると勘違いして助けてくださった話です」


すぐにでも忘れたかった話が再び当人によって呼び覚まされ、一気に恥ずかしくなるカイト。


「正義感が裏目に出たな」


「でも嬉しかったですよ!去年も同じ様に助けてくれましたし」


恥ずかしそうにアップに入るカイトをシエルがフォローする。


「ま、まぁ、困ったらいつでも俺でもいいしセニカでもいいし相談しろよ?そう言えば今日から武活入るの?」


「武活は1週間してから入れるので、それまでは見ているだけです」


「訓練しててもバレないだろ?」


「あぁそうだ、バレても咎められる事はないから訓練していきなさいシエル」




「いいのママ?」


「あぁ、ちょうど今後の課題を色々と見つけていかなければいけないからな」


「それじゃあ私も準備するね!」


そう言って嬉しそうに更衣室に入っていき、運動着に着替えたシエル。


「セニカはまだ来ていないが始めようか」


「「はい!」」


こうして今後の武活にシエルも入り少しばかり賑やかになったへなちょこ流道場。


「今日はここまでだ!」


「あぁーーーーー!疲れたー!」


「ふぅ、、ありがとうございました」


その場に倒れるカイトと、呼吸を整えた後礼をするシエル。


「また今日も百本打ち込んだな」


「そりゃあね、みんなより2倍以上頑張らないと!」


「凄いですねカイトさんは、私なんか40本が限界ですよ」


「まぁシエルも慣れたらこのくらいはできるさ」


「はい!がんばります!」


こうして今日1日の授業と武活動は全て終わり、帰宅するカイト。


「これから当分の目標はダンジョン攻略になるな」


((だな、てかたまには俺様にも戦わせろ、腕が鈍りそうでダメだ))


「そうだな」


((そう言えば聞いたか?今年の建国記念祭は行われないらしいって?))


「え!?誰から聞いたんだ?」


((今朝お前が登校しているときにスレイムを歩いていた人らが噂してたぞ?))


「なんか理由があるのか?」


((さぁな、明日ジルにでも聞いてみたらいいんじゃねぇのか?))


「そうだな、一応母さんにも確認してみる」


ガチャ

「ただいまー」


「にーにおかえりー!遊ぼー!」


「今日は何して遊ぼっか」


「今日は学校でねー、みんなで追いかけっこしたのー!楽しかったら続きやりたーい!」


「いいぞ!それじゃあアッシュが鬼やるから2人で逃げようなー」


((おい、勝手に巻き込むんじゃねーよ))


「ううん、にーにが鬼ー!」


「え、、なんで?にーにと逃げるの嫌なのか?」


「だってこの前にーにがお寝坊さんのとき、アッシュがにーにの代わりに鬼やってくれたもん、だから順番っ子だよ!」


「そんな事してたのかアッシュ?」


シュイン


『あぁ、散々だったぞ、走るのおせーから秒で追いついてタッチしたら泣きやがって、距離ができるまでじっとしてたら怒られて、しまいにゃあ鬼なるの嫌だーつって泣いてずっと鬼をやらされるハメになったんだぞ』


「あっはは、それを今から俺もやらないといけないのか?」


「んじゃあ10秒数えた捕まえにきて!」


10本の指を精一杯広げてるのを見て愛おしくなりながらも、家からアッシュと出ていくエリーゼ。


「おーい!森の方には近づかない様にしろよー!」


「はーい!」

と返事をし、アッシュとこそこそ嬉しそうに話をしながら走りこむエリーゼ。


「要は捕まえずに楽しませてやればいいんだろ?」


10秒数えた後、エリーゼが逃げたであろう場所に走るカイト。


ガサッ


家の裏にある庭の茂みで音が鳴り、茂みの方を見ると可愛い左足が茂みからはみ出ていた。


「んー?どこ行ったエリーゼ?見つけたらこちょこちょしてやるぞ〜」


ガサガサッ


こちょこちょという言葉に反応して再び茂みが動く。


「ん〜?今そこで音が聞こえたぞ〜」


茂みに近寄るカイト。


ゆっくりとはみ出た左足に手をかけようとした途端。


ドッ!


突如茂みの中から現れた闘気の腕に押され、尻餅をつくカイト。


『走れエリーゼ!俺様が食い止めてやる』


「おいっ!鬼は攻撃しちゃいけないんだぞ?」


『あぁ?んなもんルールにねぇだろ?こっちはガトーショコラがかかってんだよ!』


凄まじいプレッシャーを放ちながらカイトを威嚇するアッシュ。


「お前ガトーショコラの一つで釣られるとか恥ずかしくねぇのかよ!」


『ふんっ、生憎俺様は偉そうな精霊共の様に高いプライドは持ち合わせていないもんでね』


「だったら正面から突っ切ってやるぜ!」


『雷走』


ガシッ

『相手の右側から通り抜ける癖直した方がいいぜ?』


目にも止まらぬ速さで移動するも、長い時間共にした事で見えてくるカイトの癖を1番理解しているアッシュが、難なく雷走で抜き去ろうとしたカイトの首根っこを寄手で引き寄せる。


「ぬわぁっ!」


『おめぇにとって動きやすいかも知んねーけど、戦い慣れてる奴だと3回目で読まれる』


「ご忠告どうもっ!」


再び雷走で右側から通り抜けようとするカイト。


『どうせ何か狙ってんだろ?』


スパァン!


伸ばしてきた闘気の腕を斬って、そのまま走り抜ける。


「ハハッ!バーカ!そのまま突っ切るのを狙ったんだよ!お前と戦うと思ったかー?」


挑発しながら走り抜けていくカイトを見て、額に筋を浮かべるアッシュ。


『ぶっ殺しじゃ!んのやろぉ!』


目の前で必死に走るエリーゼの後ろからわざと速度を落として追いかけるカイトと、その後ろから殺気を放ちながら猛スピードで走ってくるアッシュ。


「ちっ!しつこい精霊だな」


『三刃』


『フンッ!』


カイトの放った斬撃を闘気で難なく耐えるアッシュ。


『皕輪』


ズドドドドドドッ


数多の闘気の腕が絶え間なく、カイトに襲いかかる。


『皕輪』


ドドドドドドッ!!


剣を鞘にしまい、闘気を纏った両腕で飛んでくる闘気の腕を一つずつ殴り壊していくカイト。


「ハァ、ハァ、、手加減しろっつーの」


『まだまだぁ!』


『刀旋脚』


背後から声が聞こえ、振り向くと頭上まで足を振り上げたアッシュの足が今まさに振り下ろされようとしていた。


スッ

ズガァン


すぐさま横にステップで避けると、振り下げた足が地面を抉り出した。


「おいおい殺す気かよ!」


『じゃねーと面白味がねぇってもんよ!』


「この快楽殺人鬼が、、だったら」


鞘にしまった剣ではなく、純白の刀身で獅子の鍔をした剣を取り出すカイト。


『雷鳴剣』


剣に雷の魔力を纏わせ、同時に纏雷も発動するカイト。


『撫雷』


剣を横に斬り払うと同時に、雷の斬撃を飛ばす。


『烈拳』


『オラァ!!』


放った斬撃を正面から拳で打ち砕くアッシュ。と同時にステップでカイトの目の前まで近付き、腰に添えた2本の拳を引き抜く。


『闘砲』


素早く放たれた2本の闘気の拳が重なり、1つの砲弾の様な形となり、至近距離でカイトに放たれる。


スゥッ

ザスッ

ブァアアアン


雷鳴剣を解除し、剣を地面に突き刺し、闘気を自身の前方にシールドの様に展開する。


ドォンッ!!


展開したシールドは闘気の砲弾をギリギリ防ぐも、爆風で吹き飛ぶカイト。


『貰ったぜぇ!』


爆風の中からアッシュがジャンプで現れ、拳を構える。


「に”ぃーに”ぃ!!!」


突如背後から叫ぶ様にエリーゼがカイトの名前を呼び振り向くと、頭が2つある狼の様な生き物が3体、カイトの方に倒れて這いつくばるエリーゼに襲い掛かろうとしていた。


『テレポート』

シュンッ


『んのぉやろぉ!』

ダァン


カイトが即座にテレポートでエリーゼの目の前に現れ、アッシュも空を勢いよく蹴り、即座に魔物の背後に着地する。


互いに目で合図した後、右腕に闘気を纏う。


「妹に触んじゃねぇ!!」


『オラァ!!』


左右にいた魔物を1発で仕留め、真ん中にいた魔物をクロスラリアットで仕留める。


「エリー!大丈夫か!?ケガは!?」

『ホラ、立てるか?』


すぐさま回復魔法で全身を包み込む。


「驚いてこけちゃったの、にーに達が助けてくれたから大丈夫だよ」


「ふぅ、、よかった、にしてもすぐににーに達を呼んだのは偉かったぞ!」


『次からはあんな雑魚共倒せる様に俺が訓練してやる』


「それはやめろ、、てかなんでこんな所に魔物が湧いてるんだ?」


カイトの家の近くの森は普段野生の動物は生息しているも、魔物が現れた事は一度もない。あたりを見渡すも魔物の気配はない。


『一回帰ってルドガーに報告した方がいいんじゃねーのか?』


「うん、エリー、今日は危ないからおうち帰ろうな」


「うん」


帰り道エリーゼに肩車を要求され渋々了承し、肩車するアッシュ。


『ホラ、着いたから降りやがれ』


「ヤダヤダ!家の中までなの!」


『ダァーッ!めんどくせ!』


「まぁまぁそう言わずに、エリーゼが襲われた時めちゃくちゃ心配した顔で助けてくれただろ?」


『いちいちそう言う事言うんじゃねーよ』


ガチャ


家の中に入ると、ちょうどルドガーが帰宅していて、アッシュにエリーゼを任せて、リビングのソファーに座る。


「あのさ父さん」


「なんだカイト?」


「さっきエリーと外で遊んでたんだけど、家の近くにある森あるじゃん?」


「あぁ〜そこの森だろ?」


森の方角に指を刺して確かめるルドガー。


「そうそう、さっき多分だけどあそこの森から魔物が現れてさ、頭が2つのルプみたいな魔物が3体」


ルプとは前世でいう狼に似た生き物。


「ツインウォルフだな、、あそこの森は確か魔物が沸かない様に、結界石をちゃんと森の四方に設置してある筈だが、、」


「それでエリーゼが今日襲われそうになってたから一応報告だけ」


「そうか、エリーゼは無事か?」


「うん、そのツインウォルフって奴にエリーがビックリして転んだけど一応軽傷は治したし問題ない」


「偉いぞー!よくやった!流石俺の子だ!今日はゆっくり休んで、森で出現した魔物は父さん達に任せろ!」


「うん、一応2年からの授業でダンジョンに潜る様になったから手伝える事あったら教えて欲しいな」


「あぁ!もし何か手伝える事があれば話そう、今日はもう休みなさい」


「はーい、んじゃあおやすみ父さん」


「お休み〜」


「母さんもお休み〜」


「お休み」


台所で皿を洗っているカミラにも一応伝え、シャワーを浴びた後、ベッドに入るカイト。


(ふぅ、、今日は疲れたな、、明日は3層目を目指して頑張るかー)


ゆっくりと重くなるまぶたを閉じ、眠りにつくカイト。





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