第1章 闘技大会1日目
「それではこれより闘技大会の予選を開始する」
闘技大会の執行委員である五星ヴェルトーバが今回も同じく剣術科の予選を執り行う。
「今回も同じ様に俺が自ら一人一人相手していく」
スッ
カイトが手を挙げる。
「ほう、やはりまたお前が一番手か、どうする?また前回のように俺に一撃でも入れられたら本戦出場にしてやろうか?」
「二撃入れれば本戦に入れてください」
「ハハッ、お前には前回といい驚かされてばかりだな、いいだろう!では制限時間は3分だ、来い!」
ヴェルトーバは剣を抜かずに腕を組む。
「舐めやがって、、」
腕を組む姿勢が構えた状態と理解し、カイトは
ズゥインッ!!
纏雷と雷鳴剣で身体能力と攻撃力を上昇させ、雷走で瞬時にヴェルトーバの背後を取る。
スッ
バチンッ
ヴェルトーバは横への斬り払いを背後のカイトを振り向かずにしゃがんで避けたが、剣に纏っていた雷が避けたヴェルトーバの後を追うように刀身から伸び、ヴェルトーバが被弾し、麻痺する。
「これで一本すね」
「ふんっ!なるほど、どうやら俺が思ってたより強くなったみたいだな、舐めた態度については詫びよう」
ヴェルトーバの目つきと雰囲気が一変し、圧が変わった事を瞬時に肌で感じるカイト。
(ふぅ、、大丈夫だ、前ならビビって手が震えてたが、師匠の圧とあの転生者の圧と比べればなんともない)
ビュンッ
再び姿を消し、今度はヴェルトーバの真正面に移動し、震残で体をブレさせる。
体をブレさせた瞬間、2体のクローンがカイトの体から左右に分裂し、3体同時に雷鳴剣を放つ。
『黙想六漂花』
目を瞑りながら、カイトとクローンの攻撃を次々といなしていくヴェルトーバ。
「おぉ〜、やっぱり五星は只者じゃないってのはホントみたいだな」
ジュランがカイトの技を目を閉じながらいなしていくヴェルトーバを目の当たりにし称賛する。
「私達が強くなっていく様に、五星の人達も強くなっていっている、、当たり前の事だけどその距離を少しでも縮めようとみんな頑張るのよ」
「クソッ!」
出鼻を大きく挫かれ、不満の声を思わず漏らす。
「残り1分だぞ?」
プランBが軽くいなされ、プランCに切り替えようとするも、思ったより魔力の消費が激しい事に気が付くカイト。
自身の拳を開いてまた閉じる。
(なんだこの違和感、、)
纏雷と雷鳴剣を解除し、闘気を全身に集中させる。
『三臂』
正眼に構えるカイトの右肩から闘気で形作られた腕が出現し、頭上から空間を出現させ中から降ってきた一本の剣を闘気の手が掴む。
「闘気をそこまで自在に操れるとは、、」
「まだ開発途中っすけどね」
身体強化を闘気でリミッターを外し、雷走ほどではないが、爆速でヴェルトーバとの距離を縮め縦に一振り。
シュインと剣と剣が重なり合う音を立てながらカイトの剣は後ろへといなされていく。
バランスを崩され、前屈みになるも踏ん張り、次の一撃を叩き出す準備をしながら、闘気の腕を動かし、構えているヴェルトーバに一振り。
同じくいなされるが想定済みの結果。次の一手が大事なのだ。
「残り45秒」
いなした所を足元を狙い横に斬り払う。
スッ
これをヴェルトーバがどう対処するかに次の一手が大きく変わる。ヴェルトーバは軽くジャンプをし、カイトの斬り払いを最小の動作で躱す。
(よしっ!)
相手は1番自身に有利な手を打ってくれた事に内心ガッツポーズをしながら、冷静に次の一手を打つ。
宙に少しの間浮いているヴェルトーバに再び闘気の腕を伸ばし袈裟斬りを行うと、空中に身を投げ出されているため、いなしではなく、剣で闘気の腕の剣を受け止める。
すぐさまカイトは剣を受け止めているヴェルトーバの背後に周り、剣を横に斬り払う。
バキィン!
背後からの攻撃をヴェルトーバはカイトの方に頭を向け、器用に剣身を蹴り上げカイトの剣を蹴り飛ばした。
「っ!?」
ヴェルトーバはすぐにおかしい事に気がつく。蹴り飛ばした剣は抵抗所か、蹴り飛ばす前にカイトは剣を離していた。まるで最初から剣で攻撃するつもりもないと。
ガシッ
右手でヴェルトーバの足を掴み岩で即座に固定し、左手の拳を構える。
スッ
パシッ
「惜しかったな」
ヴェルトーバが得意げにカイトの左手を左手で受け止め、力一杯握り離さない。
「へっ!」
ヴェルトーバの体勢は、右手は闘気の腕の剣を止めていて、左足は上がった状態でカイトに掴まれており、左手はカイトの左手を掴んでいる。
カイトの微笑みに嫌な予感がするも、この体勢ではなす術が無い。右足で空中に飛び回避しようと考えたがそうすれば勢いで四肢のどれか一つが千切れる。闘気を全開にして飛んでカイトを吹き飛ばすのもいいがそうすれば反撃となる。
ブゥンッ!
カイトは肩からもう一本闘気の腕を生やす。
ピタッ
拳はヴェルトーバの眼前で止められる。
「残り10秒で決着ついたか」
ヴァイスが舞台の袖から試験の終了を合図をする。
「ふぅ、、」
「出せる腕は2本だったか、またも一本取られたな」
「へへっ、少しでも先輩達に近づけたかっすね?」
「間違いなくお前が次期五星になるだろうな」
思わない返事が返って来て目を見開くカイト。
「まじすか!?いよぉぉぉっし!」
「冗談だ」
「なっ、、ちっ」
「ハハッ!最初に五星の座を頂くのは俺だぜカイト!」
ダァン!
舞台にジュランが飛んでくる。
「新顔だな」
「最近転校してきたもんでね、カイトが2回なら俺は3回攻撃当てられたら本戦に上がらせてくれ」
「ハッハッハ!本当んk面白いな今年の1年生は」
そう言ってカイトとは違い、初めから剣を構えるヴェルトーバ。
「っしゃ!行くぜ!」
結果ジュランが3回攻撃をヴェルトーバに当て、本戦に勝ち上がった。
そしてそこからセニカも負けられないと言い出しジュランと同じく3回攻撃を当てる条件で見事当て、本戦の出場権を手に入れる。
「はぁ、、いつからこんなにあいつらと差が開いちまったんだか」
「それを言うなメルト、悲しくなる」
舞台袖で明かに開いた差に落ち込むメルトとオーロン。
そして次の日、いよいよ闘技大会本戦が始まる。因みに剣術科でもう1人の出場者はメルトだった。
『さぁぁあああ!!始まりました今年最後の闘技大会!実況は私マイクが努めさせていただきます!それでは早速選手入場!!』
舞台に5つの学科の生徒が1年生から順に入場し、ノイドの挨拶が終わり、対戦表が発表された。
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『1日目』
1回戦: 『魔術科フィリアvs槍術科ラゼッタ』
×
2回戦: 『剣術科メルトvs弓術科ミロ』
3回戦: 『弓術科カルアvs魔術科レイニャ』
×
4回戦: 『槍術科フォルスvs剣術科ジュラン』
5回戦: 『拳術科バクトvs弓術科ウォルト』
×
6回戦: 『魔術科リリアvs剣術科セニカ』
7回戦: 『槍術科ルフトvs弓術科リーラ』
×
8回戦: 『魔術科エレンvs拳術科レツ』
9回戦: 『拳術科ウィスvs槍術科レン』
×
10回戦: 『剣術科カイトvs拳術科ゴウ』
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対戦表が発表された後、会場の壁に設置された選手用のベンチで待機させられ、10分後...
『さぁそれではいよいよ1年生の部から始めさせていただきます!!』
『それでは早速1回戦、魔術科フィリアvs槍術科ラゼッタ!!舞台へどうぞ!』
舞台上にラゼッタとフィリアが上がる。
「不思議と最初の頃の緊張感はないな」
「まぁまだ一回戦だしね」
「気軽に行こうぜお前たち!」
「俺ははじめてだからガッチガチよもう」
ドォン!!
なんと軽く会話をしていたら衝撃波と共に、爆音が鳴り響き、舞台を見ると相手選手が壁に減り込んでいた。
『勝負あり!!勝者ラゼッタ選手!』
「早すぎだろ、、てか手加減ぐらいしろよ」
「次メルトだよね、頑張って!」
「お、おう」
『続いて剣術科メルトvs弓術科ミロです!舞台へどうぞ!』
バシッ
「どうだ?気合入ったか?」
ジュランが緊張しているメルトの背中を強く叩き、緊張をほぐしてやる。
「おふっ!」
叩かれた衝撃でそのまま前に進み舞台へ上がるメルト。因みにロンはアルベルトと同様休学をしているとの事。
『始め!!』
試合が始まると同時にメルトが緊張していることに気が付き、即座に畳み掛けに行く。
『換装』
ミロが空間からボウガンを二丁とりだす。
『バルカンショット』
二丁のボウガンから無数の魔法で生成された矢がメルトに放たれる。
「うぉっ!!」
バババッ
辛うじて反応しギリギリ避けるも、放たれる魔法矢はまだ止まらない。
『斬破』
地を這う魔力の斬撃をミロの方向に放ち魔法矢を全て弾き反撃する。
放たれた斬撃を見てミロは全速力で横に走りながら魔法矢を放つ。
「くそっ!すばしっこいな!」
あっけなく避けられた斬撃を見て、不満を漏らしながら魔法矢をいなしていくメルト。
『クローン』
ミロはクローンを使い、自身は魔法矢を放ち、クローンにメルトの懐を潜らせる。この一手で勝負はついた。
ミロの本体が放つ弓矢になす術なく、矢に全神経を注いでいるメルトの横脇から、ミロのクローンがメルトの頬に強烈なパンチを喰らわせ倒れるメルト。
「おぉー、痛そー」
「緊張さえしなかったらいいとこまでいけてたのにね」
「メルトを医務室に運んでくる」
ヴァイスがメルトを抱え、ベンチから離れる。
続いて3回戦は魔術科レイニャが闇魔法で弓術科カルアを翻弄し、隙ができたところを狙われレイニャの勝利となった。
4回戦、ジュランvs槍術科フォルス。最初は相手の力量を図る様な立ち回りをし、満足したところでジュランが相手の武器を破壊し、ジュランの勝利となった。
5回戦、拳術科バクトvs弓術科ウォルト。序盤バクトがウォルトの懐に入り、弓術科が得意とする中遠距離から射撃を封じバクトが有利かと思われたが、魔法やトラップなどを巧みに利用したウォルトが得意の中距離まで距離を取る事に成功し、ウォルトの勝利となった。
6回戦、魔術科リリアvsセニカ。序盤はリリアの複合魔法に苦戦するも、魔法操剣が発動された瞬間、少しの間だけリリアが耐えるも、御劔の舞で全方向から飛翔する魔法剣になす術なくセニカの勝利となった。
7回戦、ルフトvs弓術科リーラ。何故か舞台に上がった時には身体中傷だらけのルフト。開会式にもいなかったため心配したが先程遅れて到着した模様。試合は一方的だった、リーラの弓矢は全てルフトに当たる寸前で見えない何かに弾き返され、風魔法のウィンドプレスで場外に弾き出されルフトの勝利となった。
8回戦、魔術科エレンvs拳術科レツ。レツの猛攻撃に防戦一方のまま、魔力切れをおこし、レツの勝利となった。
9回戦、拳術科ウィスvs槍術科レン。ウィスの独特なリズムでの攻撃になんとか付いていくのに精一杯のレンが降参。ウィスの勝利となり、ベンチではラゼッタにぶん殴られそうな所をルフトが必死に抑えている。
そして10回戦カイトvs拳術科ゴウ。
「1つ賭けをしないか?」
試合開始の合図と共に提案をしてくるゴウ。
「なんの賭けだ?」
「互いに一発ずつ殴って、先に膝を付いた奴の負けという賭けだ」
「はぁ、、付き合ってやるよ」
こういう賭けは大体提案してきた方が負けるという決まりが漫画やアニメではある。それを思い出し普通に戦って勝てないと悟ったのか逆に自らの首を絞める提案をしてきた。
「じゃあお前から来いよ」
カイトが仁王立ちで構える。
「先手を譲ってくれるとは大分自信があるみてぇだな!」
そう言って上着を脱ぎ、鍛え抜かれた体と痛々しい傷が露わになった。
「いくぜぇ、、」
拳を構え、腰を落とすゴウ。
少しするとカイトより体格が大きかったゴウの体が先程の2倍くらいになっている事に気がつくカイト。
(ん?なんかデカくなってない?)
「準備できたぜ、、いくぞ?」
(うーわ、溜めた分だけ威力が高くなる系の技か!ヤバイなこれ耐えれるか!?)
(あーもうどうでもいい!)
「おっしゃ!来いよ!」
仁王立ちではなく、前屈みになりながら腰を落とし、闘気を全開にするカイト。
ドォォォンッ!
強烈な衝撃が顔全体に走り、一瞬意識と共に身体ごと飛びそうになるが、踏ん張るカイト。
(、、やば!このままだと吹き飛ばされて場外になる!)
『ストーンウォール』
岩の壁を背後に作れる分だけ作り、衝撃を吸収させる。
ガァガァガァッ!
生成した岩が次々と音を立てて破壊されていき、残り2枚の所で衝撃が止まった。
「ハァッ、、、ふぅ、ふぅ」
「今の耐えるのかよ、、」
「おっしゃ!次は俺の番だな」
完全にスイッチが入るカイト。
「因みに俺は剣術科だから剣を使ってもいいんだよな?」
「あぁ、構わない」
魔力と闘気を全て剣に集中させるカイト。
(いい機会だ、この会場にいる全員に知らしめてやる、俺がまぐれで前大会を優勝したんじゃねぇって)
実は前回の闘技大会で優勝した後、色んな噂が流れていた。勿論カイト自身もあれを優勝とは思っていない。流れていた噂は全て根も葉もない噂だが、聞いててどれもいい気持ちにはならない噂ばかりだ。
(見てろよ?今大会も俺が優勝して全員黙らせてやる!)
今回の大会はカイトの前回へのリベンジも含まれている為、今大会にかける気持ちは誰にも負けないという自負がある。
不完全燃焼で終わった前大会の所為で嫌な噂を流され、逆に優勝者ではなく下に見られたあの悔しさを全てぶつける。
「賭けのルールを変えよう、お前が意識を保って入れれば、場外でもお前の勝ちにしてやる!」
右足を後ろに引き、上段に剣を構える。そして引いた右足を前に出すと共に剣を勢いよく振り下ろす。
『非天・千切星』
カイトの闘気が斬撃となった全魔力を包み込み、ゴウに向かって放つ。
「これはっ!」
ドォォォン!!
両手を眼前でクロスさせ技を受け止める。
しかしカイトの斬撃の勢いは1ミリ1秒も止まる事なく、放った時の速度をそのまま維持しながら、ゴウの身体ごと場外に吹き飛ばし、結界を破りそのまま観客席に届く寸前でヴァイスが斬撃の前に立ちはだかった。
「全く、、フンッ!」
ヴァイスが剣を下段に構え、斬撃に向かって走り出す。
剣を勢いよく振り上げ、観客席に届く寸前で斬撃を止める。
グワッ
斬撃を止めると同時に、気絶しながら飛んでくるゴウを掴み適当に横に投げ捨て、さらに力を入れ斬撃を上空に吹き飛ばすヴァイス。
ズォンッ!!
斬撃が空中で爆ぜ、何とか観客を守る事に成功したヴァイス。
「すいません師匠!ちょっとやり過ぎました」
「これくらいどうって事ない、いい一撃だったぞ」
叱られると思っていたカイトだが、帰ってきた言葉は称賛だった事に少し照れながら、ベンチへと戻るカイト。
拳術科の担当であるノイドがゴウへと駆け寄り持ち上げそのまま医務室へと運んで行った。
こうして1日目の1年生の部の幕が閉じられた。そしてこの日からカイトを悪くいう生徒や噂はめっきり減ったとの事であった。




