第1章 大陸大会 Ⅳ
『始め!!』
「ねぇリアンナ」
「な〜にセニカ?」
質問を返すと同時にバレないように、会場全体に幻影を見せるリアンナ。
「何でさっきから魔法でみんなに違う戦いを見せていたの?」
「え?」
突然のセニカからの言葉に少し焦りを感じるリアンナ。
「具体的に何が起きていたか分からないけど、私の精霊が今見えている戦いは偽物だって言ってたからさ、気になっちゃって」
必死に笑顔を作ってリアンナに問いかけるが、その顔には誰から見ても心から笑っていないとわかる程不器用な表情だった。
「それと、、あの時本当は何があったのか、、」
「本当の事って何が知りたいの?セニカは?」
「本当はスカーレットがあんな理由でリアンナを傷付ける訳ないって何故か今になっておかしいって思ったの、もしそうだったら嘘偽りなく教えて欲しい、、」
「あの時、私とスカーレットが仲違いを起こさせる様に魔法を使ったのはリアンナなの?」
「私じゃないよ?この子」
ベリトがセニカの背後で姿を現し、ダークマターで背中を突き刺そうとした瞬間。
ガキィン
『グルルルルゥ』
「レオ!」
レオがセニカ背後に現れ、放たれた棘を噛んで止める。
「ちっ!たかが上級精霊の分際で、、」
「今本気で殺そうと、、」
地面に両手を付きながら、先程のリアンナの攻撃に衝撃を受けるセニカ。
「あ〜もう!いつまでいい子ぶってんのよ〜ホント嫌いだわ〜あんたみたいなタイプ、本当の事聞きたいんでしょ?」
『ビジョン』
セニカの脳内にリアンナの中等学園の映像が流れる。
=====================
「いってらっしゃいリアンナ」
「うん、行ってきます」
母親に見送られ何処かへ向かうリアンナ。時間が早送りされ、着いた先はスカーレットの屋敷だった。
「大きい、、」
「来たわねリアンナ」
「よろしくね、今日は」
スカーレットへ案内され、屋敷の中にある道場の中へ入るリアンナ。
ボフッ
(いい匂い、、)
「それじゃあそれに着替えて始めようか!」
「よ、よろしくお願いします」
動きやすい服を渡され、着替えた後、スカーレットとの格闘術訓練が始まる。
シュッ
パシッ
「もっと腰を入れて踏み込まないと!」
「うん!」
(スカーレットちゃんって近くで見ると綺麗だな、それにいい匂い、あっ!)
リアンナの目の前で拳が止まる。
「何か考え事?」
「ごめん、ちょっと怖くなっちゃって」
ポフッ
「大丈夫、何かあった時は私とセニカが守るから!」
頭を撫でられ、何故かドキドキするリアンナ。それから週末はスカーレットの家で訓練をするリアンナは、段々とスカーレットに対する気持ちが強くなっていき、次第に独占欲が強くなっていった。そしてとある朝。
「いってらっしゃいリアンナ」
「行ってきまーす!」
いつもの様に学校へ向かう途中でリアンナは何故かいつもと違う道から学校へ行こうとする。
(あれ?何でここに?)
気が付くとリアンナは見覚えのない森の中にいた。
(どこなのここは?)
((マエ、、))
「ひゃっ!」
突如脳内に声が響き、恐怖のあまり足が竦むリアンナ。
(早くここから逃げないと)
((ズットミテイタ、、))
「な、何を?」
((オマエ、、アノオンナ、スキ))
「、、、、」
何も返事をせず足が動けるのを待ちながら、相手の話を聞く。
((デモカナワナイ、、オレ、、カナエル))
ザッ
「リアンナ?」
突如背後から聞いた事のある声がして振り向くとスカーレットが立っていた。
「貴女の気持ちには気付いていたわリアンナ、ごめんね」
「ごめんね?、、それってどういう」
ボフッ
スカーレットから優しい抱擁を受け、少し焦るリアンナ。
「ごめんね、貴女の気持ちにもっと早く気付けなくて、私も貴女が好きよリアンナ」
ファンッ
突如スカーレットの体が四散した。
((ドウダ?、、キニイッタカ?))
「な、何をしたの?」
((イマノハマボロシ、、オレトクメバホンモノトアアナレル))
「スカーレットちゃんとずっと愛し合えるの!?」
((アァ、、オレヲカイホウシタラ、、チカラヤル))
「どうすればいいの!?」
最初の幻を見せられて最早恐怖心など忘れ去り、スカーレットと一生を過ごせるのならどんな力だろうと利用したいと妄想していたリアンナは更に質問をする。
((ケイヤクスレバ、、チカラヤル、、))
「する!契約する!!」
ズキンッ
リアンナの背中に痛みが走る。
((ケイヤクセイリツ、、アトハオレガウマレレバ、、))
「え?これで終わり!?」
コロッ
目の前を見ると光の球が転がっていた。
「綺麗、、」
その日リアンナは学校へ向かわずずっと光の球が孵化するのを待った。
そして学校を休み始めてから3日後、光の球にヒビが入る。
パキ
「あ、割れた!」
パキパキッ
スゥゥゥゥッ
光が溢れ中から現れたのは髑髏の顔をした二足歩行の鹿だった。
『オレノナマエハベリト、、オマエガキョウカラオレノシュジン、、』
「よ、よろしく、それよりスカーレットちゃんと一生添い遂げるにはどうしたらいいの!?」
『オチツケ、、マズハジャマモノカラ、、』
「邪魔者?」
『イエニモドレ、、ソシタラワカル』
言われるがままに家に帰るリアンナ。
ガチャ
「あら、リアンナ?どうしたのこんなに早く帰ってきて」
トンッ
ベリトがリアンナの背後から指でリアンナの母親の額を突くと...
「何をしたの?」
『センノウダ、、コレデオレノイウトオリニウゴク』
「お、お母さん?」
「リアンナの為になら何でもやるから安心しなさい」
コンコンッ
「お客さんだわ、部屋で待ってなさい」
ニッコリとリアンナに優しい笑みを浮かべ、ドアを開ける母親。
『イマカラツジツマヲアワセニイク、、ツカマレ』
「えっ?」
『テレポート』
ベリトを掴んだ次の瞬間、場所が自分の家ではなく、誰かの大きな部屋の中にいた。
「ここは?」
『イマニワカル、、』
ガチャ
「えっ」
「え?」
大きな部屋の中に入ってきたのはルルナだった。リアンナがベリトに飛ばされた場所は、ルルナの家の屋敷にあるルルナの部屋だった。
トンッ
すぐさまリアンナの背後から現れ、ルルナの額を指で突く。すると目から生気がなくなりボーッとその場で立っているルルナ。
「ルル、、ナ?」
ルルナの目の前まで歩き顔を覗いた瞬間。
ドガァッ
「私に歯向かおうとするなんてバカね!スカーレットの屋敷で何を学んだか知らないけど、そんな実力で私に勝とうなんざ100年早いのよ!」
顔を力強く殴られ、体を蹴られるリアンナ。
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
「これって?」
『ルルナニミセタゲンエイダ、、コレデツジツマハアッタ、、イエニモドルゾ』
再びベリトに掴むと家に瞬間移動した。
「それじゃあ失礼しました」
部屋の向こうからスカーレットとセニカの声が聞こえ、ドアが閉まった音がした。
『アイツガジャマモノダ、、』
家の窓からセニカの方を指差すリアンナ。
「セニカ?あの子は私の事を助けた大事な友達よ!」
『アイツガイルカラスカーレットハオマエニメヲムケナイ!、、アイツサエイナクナレバスカーレットハオマエノモノ!』
「でもセニカは」
『スカーレットガホシケレバセニカヲステロ!、、オマエニノセンタクシハヒトツダケ、、アイツハオマエトスカーレットノナカヲジャマスルモノ、、ユルシテイイノカ』
ベリトがリアンナの額に指を当てながらルルナに虐められたときに感じていた憎悪を利用し増幅させ、セニカへと仕向ける。
「許してはいけない、、スカーレットちゃんは私の物」
『ジャマモノハドウスルンダ?、、」
「誰一人として許さない、私とスカーレットちゃんの間に入る人、邪魔する人は全員許さない!」
こうしてベリトの洗脳が終わり、その後セニカはルルナに詰め寄り、退学にさせられた後、スカーレットの屋敷の中の道場にて。
(あぁ〜今日も可愛いわスカーレットちゃん)
「リアンナ、聞きたい事があるのだけどいいかしら?」
(やだ!向こうからのお誘い!?)
「うん、どうしたの?」
「リアンナの父親が退職させられたのは本当にバルキア大公なの?」
((何のこと?))
((カワレ、、オレガシャベル))
「うん、だってそれしか思い当たる節がないし、現に私がルルナにひどい仕打ちを受けてからっ!」
「リアンナ?貴女父親が4年前に亡くなってるんじゃない?」
((オイ!、、オマエノチチハナクナッテイタノカ!?))
((うん、それがどうしたの?))
((シクジッタ、、ソコマデカンガエテナカッタ、、コウナッタラ))
スッ
ガシッ!
ズルンッ
リアンナの背後からベリトが腕を伸ばし、スカーレットの額に当てようとした途端、腕を掴まれた、引きずり出された後、その場に倒される。
「リアンナ!?これは一体!?」
「ちょっと待ってスカーレットちゃん!」
「これは一体どういうことリアンナ!貴女の父親が退職したっていうのは嘘なの!?貴女の父親に接触しようとしたけど見つからないから家系図を調べさせてもらったら4年前に亡くなられてたじゃない!」
「分からない!私はただスカーレットちゃんが好きなだけ、セニカは邪魔だったから、その、、」
「何ですって!?」
『掌波』
ズパァン!!
ベリトの胸に掌底を力強く当て、衝撃で動けなくなるベリト。
『ウグッ、、』
ガシッ!
「貴女の事をいじめから助けたのは私でもなくセニカなのよ!貴女のために大公の娘に立ち向かったあの子の気持ちを貴女は邪魔って!」
「だって仕方ないじゃない!セニカがいたら貴女はセニカだけを見て私を見ないじゃない!」
「そんなつまらない気持ちの為にセニカを退学にさせるなんて、、」
「絶対に許さない!!」
スカーレットが怒りに身を任せ異能の力を解放させる。
空中に魔法陣が展開され、中から武器が雨の様に降ってくる。
目の前の地面に突き刺さった剣を引き抜き、リアンナにステップで近づくスカーレット。
『火炎剣』
ジュッ!
炎を纏った剣でリアンナの目の前まで近づき剣を横に振る。
「キャッ!」
リアンナは咄嗟に後ろに避けるも、剣先がリアンナの頬のカスれて炎が少し燃え移る。攻撃が擦りもう一度踏み込むスカーレット。
ガキィン!!
ベリトがリアンナの前に出て、金属の腕でスカーレットの剣を弾く。
パシッ
『打棍』
スカーレットは剣を弾かれた後、すぐさま近くにあった細長い棒を拾い、リアンナの頭に打ち付けた。
バタンッ
『テレポート』
シュッ
「はぁ、、はぁ、、」
バタン
最後の一撃をベリトがテレポートを使い逃げた所で魔力を使い果たしスカーレットはその場に倒れ気絶した。
そして再び時間が経過し、セニカがスカーレットの家を訪ねている場面になる。
「ねぇスカーレット、貴女とリアンナの間に何があったの?」
「リアンナが嘘をついていたの、ただそれだけよ」
「嘘ってなんの嘘なのよ!」
突如セニカが怒りをコントロール出来なくなり、スカーレットに吠え出した。
「ちょっと、いきなりどうしたのよセニカ、、」
「そんな下らない理由でリアンナを意識不明の重体にする方がおかしいじゃん!」
「下らない理由って、、そもそもわたしはセニカの為に、、」
「そういうのいい!私の為だとか!リアンナを傷つけた理由に私を挟まないで!」
スカーレットの顔から表情が消える。
「もういいわよ、、」
バタンッ
スカーレットは無表情のまま背中を見せ、扉を力強く閉めた。
そして何故か原因不明の怒りがおさまらないセニカも家に帰り。
物陰からベリトが消える。
=====================
「、、、あの時の苛立ちも貴女が仕組んだ事なの、、」
「えぇ、あたしのベリトちゃんの計画は完璧にはいかなかったけど、貴方達2人を引き離す事は出来たわ」
「、、許さない、、人の気持ちを踏みにじって、私とスカーレットの仲を引き裂いた貴方みたいな人間、、」
「あらあら、怒っちゃいやーよ?」
「哀れな人間に持ち合わせる怒りなんてないわよ」
『四ノ劔・御劔の舞』
魔法剣を4つ生成し、リアンナに向け飛ばす。
『ダークマター』
黒い球体が4つに分裂し、セニカの放った魔法剣と同じ形になりぶつかり合う。
『テレポート』
『明鏡止水』
ダークマターとぶつかり合っている魔法剣が消滅し、セニカの周りに魔法剣が4本生成される。
「うぉっとっと!危な〜」
『シネ!』
『ガァウウウウ!!』
『クッ、、イヌッコロ、、』
((レオ、その変なガイコツは任せるわね))
((ガウッ!))
(見たところ、あの球体は体積分しか分裂が出来なそうね、4本でギリギリこっちの剣の方が大きい、だったら)
『伍ノ劔・星回不天』
生成されていた4つの魔法剣に更にもう一本追加するセニカ。
「これで終わらせる!」
ジュイイイインッ
5つの魔法剣が高速回転し、手裏剣の様になる。
「あら〜、もう一本出せるんだ〜」
『ダークマター』
「ん〜はいっ!」
リアンナがダークマターに魔力を込めると体積が大きくなり、セニカと同じ本数に分解させ、高速回転させた。
シュッ
シュッ
ギギギギギギンッ!!
互いの技がぶつかり合い、激しい火花が舞い散る。
『黒閃』
ガキィン!!
「やっぱそうくるよね〜」
セニカが一瞬消え、次の瞬間にリアンナの目の前に現れ剣を抜き、刺突を行ったが予め用意していたダークマターで防がれる。
『ダークホロコースト』
リアンナを守っていた球体の形が無数の針に変化し、セニカに襲いかかる。
「ハァッ!」
セニカが腕に魔力を流し、魔法剣の威力を上げ、ダークマターの手裏剣を押し除け、自身の手前で回転させ針を全て防ぐ。
「アハハ!隙だらけ〜!」
『ナイトメア』
ベリトが突如セニカの背後に現れ、両手でセニカの頭を掴む。
「キャアアアアッ!!!」
「もっと聞かせてぇその悲鳴!!」
幻術にかけられ、精神的にダメージを負ったところ、レオがセニカの中に戻り治癒魔法で元に戻す。
「はぁはぁ、、ありがとうレオ」
「でももう動けなさそうね、ハイッ!」
ズサッ
「んぐっ!」
セニカの太ももに短剣を突き刺すリアンナ。
「セニカもスカーレットちゃんと同じ全然声を上げないタイプなんだね〜つまんな〜」
「、、あんたなんかに弱みを見せるわけないでしょ、、」
セニカがリアンナと死闘を繰り広げている最中、カイトは覇気のないスカーレットの表情を見て、ほうっておけなくなり控え室から出て行き、スカーレットを探しに行っている。
「あれ?確かここに、、あ!いた!」
スカーレットの後ろ姿が見え、肩に手を置いて呼び止めようとした途端。
ブゥンッ
突如スカーレットの体が消えた。
「えっ?」
((カイト、多分だが控室に戻ってきたスカーレットはスカーレットじゃねーかもしれねぇ))
((って事はじゃあ本物は一体、、))
「あっ!そうだいいもの見せてあげるよセニカ!」
そう言って嬉々として、黒い球体を目の前に出現させ、黒い球を半分に分解すると、中からスカーレットが現れた。
「スカーレット!」
スカーレットの服はボロボロになっていて、身体中に痣などが見受けられる。
「じゃ〜ん!紹介しまーす!こちらが私の愛おしの彼女スカーレットちゃんでーす!」
リアンナがスカーレットの背後に回り、スカーレットの腕を持ち上げ手を振る動作をさせる。
「そこまで落ちたのね、、本物の愛を手に入れれないからってスカーレットを操って、それであなたの心は満たされるわけ?」
「うん」
キョトンとした顔でなんの罪悪感も見せない表情で頷くリアンナ。
「ほんとバカで下劣な人間、ここまで見せられると怒りを通り越して殺意を抱くわ、決めた、あなたを殺して終わらせる」
「レオ!」
『ガゥ!!』
(魔法操剣は陸ノ劔までしか教わってないけど、、今ここで自分が想像できる範囲で最強の技を作り上げる!)
(ネロゴート学園の四貴族の人は自分の武器と精霊を一体化させていた、だったらレオにも)
『魔法操剣・漆ノ劔』
魔法で生成した剣にレオが光の球になり7つに分散する。
「いいのぉ!?スカーレットちゃんがどうなっても!?」
シュッ
生成した魔法剣7本の内1本が高速でリアンナの頬を斬った。
「スカーレットに手を出す前にあなたを殺せればそれでいいわよ」
『ファントムブレイド』
リアンナが場にある全てのダークマターをかき集めて一本の巨大な剣を生成し、セニカの魔法剣に斬りかかる。
しかしいくら斬りかかろうともセニカの魔法剣には触れられない。
「ここに来てスピードが?」
「その魔法、四貴族の人が使ってた技でしょ?人から盗んだくらいじゃ強くならないよ?」
「うるさい!だまれ!」
『漆ノ劔・陽炎』
7つの魔法剣が一斉にドリルの様に回転し、リアンナに放たれる。
『ベリト!守りなさい!』
『ワカッテル、、』
巨大な剣が瞬時に黒い球体に戻りリアンナを飲み込む。
「この技に防御は無駄」
「レオ!」
『ガゥ!!』
セニカが合図をすると全ての魔法剣が紅く燃えだし、瞬く間に黒い球体を貫いてた。
「なっ!」
『ダッタラ、、』
リアンナの元を離れ、ベリトがセニカの真後ろにテレポートする。
「ちょっと!ベリト!」
「バカね」
『一ノ劔・辻斬り』×『陸ノ劔・無明』
魔法剣の一本を即座に自身の方に引き寄せ、ベリトを斬り伏せる。
すると舞台全体を包んでいた幻影が消え、地面に倒れているリアンナと、その傍で洗脳が解かれ倒れるスカーレット、そして今まさにリアンナを殺そうと6本の魔法剣がリアンナの目の前まで迫っている。
ガギギギギギギンッ!!
誰よりも会場全体を包む幻から現実に切り替わった瞬間に反応したのはカイトだった。
すぐさまセニカの魔法剣に殺意を感じ取り、闘気を全身に纏い、テレポートでリアンナの元に飛んだ瞬間、セニカの魔法剣を全て体で防いだ。
「カイト!どいて!その子は生きてちゃいけない人間!私が、、私が殺さないと、、何で?、、どうしてそんな表情で私を見るの、、」
カイトの闘気を所々貫き、肩や太ももなどにセニカの魔法剣が突き刺さるも、セニカの目を見ながら魔法剣を一本一本抜く。
「バカやろう、、どんな理由があっても彼女を人殺しなんかにさせねぇよ、何があったかは知らないけど、な?あんな表情はもう見せないでくれ、頼む」
「、、、、」
黙って俯くセニカ。
「審判、俺らの勝ちだろ?」
「しかし先程の攻撃は明かに大会のルールを違反した行為だ」
「でも俺が止めました、見てください、舞台にうちのメンバーが何故かいます、きっと何か事情があったに違いません。事情聴取っていう形で大目に見てください」
「分かった、それではこの試合、リアンナ選手VSセニカ選手はセニカ選手の勝ちとします」
こうしてなんとか場を納め、セニカは魔力の過剰消費で倒れ、カイトは自分の足で診療所に向かい、スカーレットはセニカと同時に診療所へと運ばれた。
そして夕方に3年生の部が終わり、大陸大会の主催者と執行役員が診療所を訪ね、セニカの事情聴取が始まった。
「なるほど、つまりリアンナ選手がスカーレット選手を人質にとり、それで我を忘れてあの様な行動をとってしまったと」
「はい」
「そうか、だがルールはルールだ、どの様な状況があったとしても人の命を取ろうとする様な行為は許されない、よってセニカ選手の決勝の出場権を剥奪する」
「分かりました」
「本来ならば大陸大会の出場権永久剥奪を申し上げるが、状況が状況だ、自身の犯しかけた過ちをしっかりと反省し、来年度の大会での出場を期待している」
「すみませんでした」
「寛大な処置ありがとうございます」
セニカが謝り、カイトが礼をいい、事情聴取はこれで終わった。
「よし!後はスカーレットが起きるのを待つだけだな」
「ごめんねカイト」
「あぁもういいよ!反省したんだろ?次からはない様にな!」
「うん」
「それに本当に謝らないといけないのは俺じゃなくてスカーレットだろ?セニカが感情をベリトに操られてたとはいえすげぇ傷付いたと思うぜ?」
「うん」
「んぅ、、」
スカーレットが起きそうになる。
「んじゃあ後は2人でちゃんと話し合うんだぞ?邪魔が入らない様に外で見張っておくからなんかあったら言ってくれ」
部屋を出てセニカとスカーレットを2人きりにする。
「んん〜!、、はぁ〜」
体を起こし背伸びした後目を開け、周りを見回すとセニカと目が合うスカーレット。
「、、、、」
「、、、、」
気まずい空気が流れ、スカーレットが部屋から出ようとベッドから上がろうとすると…
「まって!」
「何か話す事でも?」
「うん、言わなきゃいけない事が、、一杯」
「、、私にはないわ」
パシッ
ベッドから離れようとするスカーレットと腕を両手で掴むセニカ。
「ごめんなさい、、んぐっ、、私の為に一人で戦ってくれたのにあんな酷い事言って」
「何を言ってるの、、」
「リアンナと戦った時に全部見せてもらったの、、私の退学がリアンナの策略でなんの意味も持たなかった事を隠していてくれた事、スカーレットがリアンナに狙われて1人で賢明に戦っていた事、全部見せて貰った」
「、、、、」
「スカーレットが本当に辛い時に酷い事言って独りにさせた事。スカーレットが人に頼れない性格は私が他の誰よりも知っていたのに、気付いてあげられなかった事、、んぐっ、、全部、、ごめん」
スカーレットの腕を掴んでいる両手に顔を埋めながらすすり泣くセニカを見て、スカーレットも涙が溢れて、視界が滲む。
「本当に辛かったわ、この数年間、、、修行で父にしごかれて痣が出来るより、リアンナに短剣を突き刺されたり、この数年間孤独でいるより、貴女にあの時言われたあの言葉が1番辛かったんだから、バカ」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「でもね、セニカとこのまま縁を切る方がよっぽど苦しいって思ったの、だから許してあげる。もう1度私と友達になってくれる?」
「う゛ぅん、、ぐすっ」
セニカはスカーレットの胸に縋り、赤ん坊の様に号泣した。
「ありがとう、、スカーレット、守ってくれて!」
「ハハッ、、もういつまで泣いているのよ、相変わらず泣き虫は治らないの?」
「、、ぐすっ、、いいじゃん、これからは泣いたらスカーレットが励ましてくれるんだから」
「めんどくさいわねそれは、やっぱり許さないでおこうかしら」
「もうっ!前言撤回は出来ないから無理!」
スカーレットの胸に顔を埋めたまま子供の様なグズリ方をするセニカ。すると扉の奥から何やら声が聞こえる。
「ちょっ、バカ押すなルフト!今いいとこなんだよ!」
「うるせぇカイト!スカーレットちゃんが倒れたんだぞ?やっと面会が許されたんだ!俺が付いてやらないと可哀想だろ!」
「バッ!」
バゴォン!!
ドアが開き、外からカイト、ルフト、ラゼッタ、ジュラン、アルベルトが倒れながら押し入る。
「だから言ったじゃねーか押すなって!」
「いいじゃねーかよ!あっ!スカーレットちゃん!君の為に栄養のある食べ物を買ったしみんなで食べようぜ!」
「食欲が湧かないので結構です」
ポスッ
「スカーレット?もう嘘はダメよ?」
「わ、分かった、それじゃあ頂きます」
スカーレットがルフトが持ってきたご飯を受け取る。
「ウホッ!やったぜー!ようやく俺のアピールが日の目を見る日が!」
「これだけですか?」
「え?それでみんなの分何だけどー、、」
「スカーレットは昔から大食漢でね、通常の人の5倍の量を食べるの」
「ちょっとセニカ、それは言わなくていいのよ!」
「その見た目で大食漢、、」
「どうしたのよルフト?女の子で大食漢って聞いて引いたの?」
「んんんんんんん!良い!凄く良い!今すぐ追加で買ってきまーす!」
ズダダダダダッ!
ルフトが猛ダッシュでご飯を買いに行く。
「これで騒がしい奴はどっか行ったな、取り敢えず改めて決勝進出を祝うとするか!」
「いいねいいねぇ!」
「それよりセニカとスカーレット、明日の試合には出られるまで回復したのか?」
アルベルトがセニカとスカーレットに質問をする。
「私は大丈夫で、、大丈夫」
「私はルール違反で決勝の出場権を剥奪されちゃった、だからアルベルト、代わりに頼んでいい?」
「俺が?」
「あぁお前しかいないだろ?“補欠”で1番強い奴はお前だろ?」
「そうね、アルベルトで問題ないわね」
カイトに続き、ラゼッタも賛同する。
「分かった、期待に添えられる様頑張って見せる」
「よろしくね!」
こうしてルフトが買い出しからすぐに戻り、決勝進出のプチ祝いが始まった。
「プハァ、、いや〜でも仲直りしてよかったなセニカ」
ダハブ商業都市名物、各地の名物の果物を混ぜて作ったミックスジュースを飲み干し、改めてセニカとスカーレットの仲直りを祝うカイト。
「うん、これからもっとにぎやかになるし嬉しいな」
「そういえばスカーレットは2年生から学科変えるんだろ?今のところ何か候補はあるのか?」
「そうね、剣術は一通り極めたし、心配なのは弓術と棒術かな」
「だったら弓術科になんのか?」
「えー、剣術科に来てよ〜、そしたらジュランもいるし闘技大会優勝間違いないし!」
「あー!ずるいセニカ!それだったら棒術なんかは槍と似ている部分あるから槍術科に来なよスカーレット!」
「そうだそうだ!剣術科じゃなくて槍術科に来るんだ!そしたらもっと俺の良いところ見せられるからな!」
「お断りします」
「えぇー!さっきまでいい感じだったのに俺達ぃ〜また突き放されたー!でもめげなーい!」
「ガッハッハ!諦め悪いなルフト!俺もセニカちゃんにアピール続けようかな」
「おい、魔剣で斬るぞこの野郎」
ジュランの冗談に鋭い目つきで返すカイト。
「もう!あんたが余計なこと言うから断られたじゃない!バカルフト!」
「拳術科には興味はないのか?」
「確か今先生がいないから臨時でノイド学園長が指導をしてるってこの前拳術科の生徒が愚痴をこぼしてたの聞いたわ」
「ノイド学園長に直接ご教授して頂けるのなら話は変わってきますね」
「おいおい、セニカも余計な事言うなよ」
「やっ、やっぱり今の嘘!嘘だからねスカーレット!」
「嘘のつき方下手くそー」
カイトが顔に手を当て呆れる。
そしてその後もみんなで喋りながら、試合の順番を決め、その日は終わり、いよいよ大陸大会最終日決勝。
『さぁあああ!!いよいよ本日は大陸大会最終日!!果たして大陸最強の学園は一体誰の手に渡るのかー!?』
「「「「わぁああああああ!!!!」」」」
『それでは早速!大陸大会決勝1年生の部を始めたいと思います!!』
『まずはAグループで前大会覇者であるグレアモル学園と怒濤の激戦を勝ち破り、決勝に駒を進めたダークホース!ネロゴート学園の入場だぁあああ!!』
控え室からネロゴート学園の生徒が全員出てきて舞台へ上がる。
『そしてBグループ!!やはり前大会の準優勝学園は伊達ではない!!多少のトラブルはあったものの!未だ中堅戦までで全試合を終わらせているウルミスト学園の入場だぁあああ!!』
「よし!行くぞ!」
「「「「おう!」」」」
カイトを先頭に全員で控え室から出て舞台へ上がる。そこから両選手間で握手が交わされ控え室に戻る時。
「ジュラン?」
ラゼッタが後ろを振り向きながら呟き、カイトも振り向くと、レクトとジュランが睨み合っていた。
「おいジュラン」
カイトがジュランの肩を掴み戻るよう促す。同時に向こうはネフェトがレクトを促している。
「ほら、相手をあんまり睨んだらダメだよレクト、ね?」
しかし両者は一歩も動かない。
「そんなくだらねぇもんへし折ってやるから覚悟しておけ」
「だったら今すぐやり合うかい?」
レクトが魔力を解放しジュランを挑発する。
「おい、人が優しくしている内にやめろよ?」
ネフェトが怒りを露わにし、レクトの肩を力強く握る。
「分かった分かった、ちゃんと舞台で決着をつけるから、怒らないでネフェト君」
「分かればいい、手間を取らせるな、行くぞ」
「おい、お前も行くぞジュラン」
レクトが振り返るのを見て自身も振り返り控え室へ向かうジュラン。
『さぁそれでは大陸大会決勝!ネロゴート学園VSウルミスト学園!!』
『ウルミスト学園の先鋒はアルベルト選手!対するネロゴート学園の先鋒はジェイル選手!』
「せめて一回くらいは勝てよな補欠君」
「うるさい黙れ、バカイト」
「私の分まで頑張って来てねアルベルト!」
「あぁ」
みんなに見送られながら舞台へ上がるアルベルト。
『それでは大陸大会決勝先鋒試合、、始め!!』
ビュンッ
ガキィン!!
試合開始直後、ジェイルは持っていた槍を三節槍に変え、音速と同じくらいのスピードでアルベルトに放つも、しっかりと剣で弾くアルベルト。
「補欠だからこれで終わると思ったが、随分とやれるみたいだな」
「いい加減どいつもこいつも補欠補欠って、剣の腕なら俺は四貴族にも引けは取らん」
『青天四山』
ブゥンッ
「ほう、あやつ赤地四海をあの様に!」
「こらミドラ君!看護師さんに動いちゃダメって!」
「んむぅ〜、これしき!」
観客席で盛り上がりのあまり腕のギブスを破り取るミドラ。
『ソニックインパクト』
ビュンッ!キィン!
三節槍がアルベルトに向かって伸びてくる途中に前へ出て弾くアルベルト。
「くっ、もう見切りやがったのか、だったら」
『地這い双大蛇』
ジェイルは三節槍の真ん中を持ち、両端の切っ先をアルベルトに挟み撃ちで放つ。
『黙想六花』
キィンキィン!!
弾き返すも、再び襲いかかってくる。
スッ!
後ろへステップバックし、距離を取ろうとするも地面を這い追いつく切っ先。
『鬼哭』
両端の切っ先が後一歩の所でアルベルトに当たる瞬間、アルベルトは闘気を膝に纏い、地面を蹴り飛ばしジェイルの目の前まで一瞬で移動し、オルフォルト流奥義を放った。
「この距離では戻すのに時間が掛かるだろう!」
「ふんっ、そう来ると分かっていたぞ!」
ブンッ!
ジェイルが後ろへステップバックすると同時に三節槍を引き、切っ先をアルベルトの背中に向け放つ。
「だったら!」
ガキィン!ガキィン!
鬼哭を2回連続で左右に分かれている三節槍に放ち斬り落とす。しかし放たれた2つの切っ先の勢いは節面がちぎれていても真っ直ぐアルベルトに向かって飛んでいる。
「ふんっ!」
アルベルトは剣を宙に放り出し、闘気を両手に纏い背後を少しだけ振り向いて見た後、切っ先を掴み、ジェイルの首に当てた。
『勝者!アルベルト!』
「おぉ〜流石だなアルベルトの奴」
「何だよ〜負けたらしこたまバカにしようと思ったのに〜」
称賛するルフトの隣で明かに嫌な顔をするカイト。
「ふぅ、なかなか危なかった」
「悪いな補欠って馬鹿にして」
「あぁ」
アルベルトが倒れるジェイルに腕を貸し、ジェイルは控え室に戻った。
『さぁ続いてネロゴート学園次鋒イザベル選手の登場!』
控え室しつからジェイルに入れ替わり、イザベルが入場する。
『試合始め!』
『クリスタルファランクス』
12体の氷兵が地面から生成される。
ズンッ
そんな事はお構いなしにアルベルトは氷兵の中へと突っ込んでいく。
『囲陣』
氷兵は素早い動きで瞬く間にアルベルトを囲い込んだ。
「おいおい何やってんだよバカベルトの奴〜」
「あれでいいのよカイト」
「え?」
セニカがアルベルトを庇う様にアルベルトの動きを説明する。
「多分だけどさっきの試合で消耗しすぎちゃってもう余り動けないから、相手の手数を私達に見せて次の繋げようとしてくれてるのよ」
「、、くっ、少しは人の為に役立つ事を覚えたか上級貴族め」
『炎斬破』
目の前の一体に向け地を這う炎の斬撃を放ち破壊するも、背後から2体と左右の2体に技を放つ瞬間に間合いに入られる。
『黒閃』
右の一体に刺突で突進し破壊しながら、背後の2体と左の1体から距離を取る。
12体の氷兵に囲まれていたのが、前方に10体の氷兵を捉えたと思っていたが、目視で3体が消えているのを理解し、即座に警戒する。
ググッ
地面が盛り上がり、すぐに消えた3体だと気付き上に飛んだ後、他の氷兵3体がアルベルトに向かって槍を投擲する。
『漂水』
剣に水属性を纏わせ槍を全ていなした所で地中から巨大な氷兵が地面からアルベルトに向かって飛び大剣を振りかざす。
「舐めるなよ!」
剣に火を纏わせ地面にいた氷兵に投げつけ突き刺し破壊する。
『赤地四海』×『崩拳』
ドォン!!
パキパキ
ピキッ
『黒閃掌』
バキィン!
空を蹴り、巨兵に向かって崩拳で頭を殴るも、ヒビが入る程度で壊れはしない。なのですぐさま黒閃掌で追撃し破壊した瞬間、イザベラがアルベルトの真上にテレポートしていた。
『フロストバインド』
巨兵から氷の紐が伸び、アルベルトと巨兵を繋げるイザベル。
『ヴリズンインパクト』
パゴォン!!
丸い氷塊を生成し、アルベルトと巨兵にぶつけるイザベル。
もはや足掻く手段と魔力もなく、闘気を全身に集中させダメージ軽減を図るも、魔力切れで片膝を付き、イザベルの勝ちとなった。
「はぁ、、はぁ、、」
息を切らしながら自分の足で控え室に戻るアルベルト。
「んー惜しい!けど相手を結構消耗させたな!」
「補欠にしては悪くない出来だな」
「お疲れ様アルベルト!」
「後は私に任せてくれ」
「あぁ、悔しいがそうさせてもらう」
『続いてウルミスト学園次鋒スカーレットの登場です!!』
『それでは試合始め!!』
『武芸百般』
試合開始と共に武器を召喚するスカーレット。
『氷海』
しかし魔法陣から突き刺さった武器が全てイザベルの氷で地面と共に氷漬けにされてしまう。それからイザベルは残った6体の氷兵を一ヶ所に集める。
『氷魔像・イエティ』
6つの氷兵は巨大な両腕をした氷像に合体した。
それを見たスカーレットは、大剣に火属性を纏わせイエティに投げつける。
ガシッ!
ジュゥウウウ
イエティがスカーレットの投げつけた大剣を鷲掴みするも、腕が少し溶けるくらいで何もならなかった。
しかしスカーレットの狙いはそこにはなく、イエティの操作はスカーレットが大剣を投げつけた瞬間に消えたイザベルが行っていると推測し、囮で剣に炎を纏わせ、イエティを破壊しようと試みると思わせ、本命の動きを封じる一手に一気に出る。
ガシッ!
スカーレットは大剣に予め巻きつけておいた縄を掴み、イエティの周りを高速で回り、体をグルグルに巻き付けた。
ググッ
しかし縄の頑丈さが足りず、今にもはち切れそうな勢いになり、計画を変更。
『火炎縛縄』
炎を縄に伝らせ、イエティの全身を焼き尽くすスカーレット。
「ふぅ、、これでなんとか、後は本体が」
あたり一面氷漬けになっている舞台でイザベルの出方を伺うスカーレット。
『ヴリズンインパクト』
球体の氷塊が空から降って来るのを走って躱すスカーレット。
『アイスロック』
走って逃げる場所を予め予想していた様な動きで、スカーレットの足を氷で固めて身動きを封じ、側にあった氷からイザベルが手に氷の刃を纏ながら現れる。
(まずい!)
『百器夜行』
氷に埋まっている武器が全て氷を破壊し浮かび出し、イザベルを囲む。
バキィン!!
イザベルは囲まれた武器を1つ破壊するも魔力切れを起こしなす術なくして降参をした。そして同時にスカーレットも降参を申し出た。
片足を引きずりながら控え室に戻ってきたので急いでカイトがスカーレットの足を見ると、凍傷や技を使った反動で足首の骨が骨折していた。
「ごめんなさい、ちょっと無理をし過ぎたわ」
「大丈夫だ、まだお互いイーブンだし、今はゆっくり休んでてくれ、、よし取り敢えず応急処置はしといたから後は診療所で診てきてくれ」
「私がついていくわ、みんな後は頑張ってね!」
「あいよう」
「おう」
「任せなさい!」
ジュランに続きカイトとラゼッタも返事をする。
『続いてネロゴート学園中堅バルアスVSウルミスト学園中堅ラゼッタ!!』
「チャチャっと終わらせますかー」
「あのギザ野郎にやられて見せ場がねぇ、悪いがとっとと終わらせる」
互いに瞬殺を宣言し、試合が始まった。
『始め!!』
『ドラゴンフォース』
竜の力を解放し、身体能力を各段に上げる。
『ビーストフォース』
対するバルアスは獣の力を解放すると、体が膨れ上がり、骨格や体質、そして見た目が獣と化した。
「竜と獣どっちが上か見せてやるぅ!!グラァア!!」
『ビーストロア』
『ドラゴンロア』
バルアスが四足歩行で肥大化した両腕で地面を掴み、口から衝撃波を飛ばす。
対するラゼッタは槍を勢いつけて投擲すると…
「あっ!つい力が、、」
ズガァン!!
パリンッ!!
ドォオオオオン!!
槍がバルアスの咆哮を軽々と貫通しただけでなく、ミドラとネフェトが戦っていた時に結界をも貫き、観客席の下に大きな穴を開けた。
「、、、死ぬかと、、思った、、」
バルアスが力の差を見せつけられ、膝から崩れ落ち、降参を申し出た。
この時バルアスに闘気が現れたのをバルアスは後に知る。
『続いてネロゴート学園副将レクトの登場です!!』
「倒しちゃったらごめんねージュラン!」
ラゼッタが後ろの控え室を見て、ジュランに向け両手を合わせる。
『始め』
『魔剣バルムンク』
試合開始と共にレクトは魔剣を空間から取り出し、ラゼッタも竜の力を解放する。
『五月雨竜閃』
竜紋で飛躍的に上がった腕力とスピードで、音速の連続突きを放つラゼッタ。
『五冥閃』
対するレクトも魔剣技で同じ速度でラゼッタの技に合わせる。
『竜翼』
元々大車輪という技をアレンジし、槍を高速で回し風圧で相手の体ごと宙に浮かせる。
『竜爪』
バキィン!!
ラゼッタが技を放とうと槍を伸ばした瞬間、見えない斬撃によって技が中断される。
『影正』
中断され、槍が弾かれた所をラゼッタの影から斬撃が昇ってくる。
『竜翼』
ブォン!!
「うぉっとっとー、あぶなーい」
バランスを崩しながらも、岩を地面から生成し、岩に向かって竜翼を放ち、帰ってきた風を利用し自身の体を吹き飛ばし、斬撃を回避する。
ガキィン!!
しかし回避した位置に見えない斬撃が仕組まれていたのを咄嗟に感じ取り、ギリギリガードするも、威力が高過ぎて体ごと再度吹き飛ばされる。
「イライラするわねその斬撃!」
『ドラゴンロア』
「まずい!結界強度を5に上げろ!」
「威力が高いとは言っても所詮は魔力」
『喰魔』
すぐさま結界が貼り直され、ラゼッタの投擲した槍は、設置された見えないを全て破壊するも、レクトが槍の前に立ちはだかり、斬った瞬間、槍の威力が瞬時に消え、そのまま地面に槍が落ちる。
バキィン!!
そして地面に落ち槍に剣を突き立て破壊し、レクトの勝利となった。
「えー!あたしは槍がなくても戦えるのよ!」
「すいませんっ!ルールですから!」
勝敗の判断に納得がいかず抗議するも審判に連直訴するラゼッタ。
ポンッ
「悪りぃなラゼッタ、こいつだけは俺にやらしてくれ」
「んんん〜、はぁ、分かったわよ、でも絶対に勝ちなさいよ?」
「あぁ、もちろんそのつもりだ」
ラゼッタが食い下がり、審判もホッとした様子で試合を続ける。
『さぁラゼッタ選手に替わり!ウルミスト学園副将ジュランの登場だぁ!』
『始め!』
バキィン!!
試合開始の合図がなった途端、ジュランが緋剣イグニと焔剣エニスを取り出し、即座にレクトに斬りかかった。
「やる気満々だねぇ〜、もう少し落ち着いたらどうだい?」
キィキィン!!
見えない斬撃がジュランの足と肩の位置に来るのをジュランは見えている様な動きで2つの斬撃を双剣でガードする。
「両手が忙しそうだね」
『魔剣技・黒縄』
魔剣から黒い炎の縄が伸び、見えない斬撃に対処しているジュランの体を縛りつける。
ジュッ!
「んぐっあぁあ!!」
体を炎が燃やし始めた途端ジュランはエニスの力を解放し、即座に炎を吸い尽くすも、ダメージを負ってしまう。
「くっ、、」
「どうしたんだジュラン?さっきまで威勢が見当たらないぞ?」
「うるせぇよ、、」
『霊装・凰剣イグニス』
シュゥゥゥ
剣の特性で傷がみるみる回復し、元に戻るジュラン。
『炎魔絶閃』
レクトはジュランの傷が完全に治りきる前に、高速の刺突攻撃を仕掛ける。
『鳳炎扇』
イグニスから炎が扇状に地面を迸る。
ダッ!!
ジャンプで躱すと、炎の後ろにいたはずのジュランが消えていた。
『八斬夜蠎』
ズズズズッ!!
更に高い位置に飛んでいたジュランがレクトの真下から8体の蛇を形をした黒い炎を生成し、挟み撃ちにする。
『魔剣解放』
レクトの魔剣から黒い波動が放たれ、魔剣の中から黒紫色の管の様な物がレクトの身体に突き刺さる。
「フンッ!」
剣が管を伝ってレクトに魔力と血の色をした液体を流し込むと、腕が歪な形に変化し、軽く一振りすると…
ズバババババッ!!
バキッ!!
魔剣から放たれた一本の斬撃が8本の蛇を容易く切り裂き、観客席を守っていた結界にヒビが入る。そしてジュランは剣を振るった時に巻き起こった剣風圧で、結界に体を強く打ち付ける。
「流石魔剣、、しかし同調率はまだ70%ってとこか、、うっ!」
レクトが突如頭を押さえ始める。その隙にジュランの傷は全快し、再びレクトの方へ歩み寄る。
「ったた、、ったくもう少し手加減しやがれってんだよ、にしてもその程度か?ん?」
「、、ふふっ、強がりはよしなよ、さっきの一撃で腕が折れているのは丸わかりだよ」
「そんな力にたよんなくたってお前は強かったのによぉ、はぁ、何がお前をそこまで駆り立てるのやら」
「僕が何も気が付いていないとでも思ったかい?」
ジュランの目付きが変わる。
「生まれも何の素性も明かさない君を僕はスパこの数カ月興味本位で探っていたんだ、するとどうだ?東のアゴン大陸、霊峰大剣山出身だって?彼処がどんな場所かは誰だって知っている。表向きはオルフォルトの生まれの地でもあり、そして噂では魔剣を製造しているとの噂もある」
「、、、、」
ジュランの表情が苦渋に満ちる。
「おや?だんまりかい?まぁいい、取り敢えず僕が知ったのはそれだけだ、後は推測できる。大体そうだな、、西の大陸ヴァルトイス大陸のとある国で魔剣の製造が開始された。魔剣の製造法は我が霊峰の機密事項、裏で誰かが内通している、そいつを探し出し殺せ。ってな感じでしょ?スパイさん?」
「、、何がいいたい」
「何とか単身で大陸間を渡り、製造法が流出した先であるゾムルス連邦国にたどり着き、そして!、、スパディアム学園に僕達と同じタイミングで入学した」
「入学してから僕達は平穏に過ごしていたが突然君の元に衝撃的な物が現れる、そう魔剣だ、魔剣を握っていた先輩を見て君は自ら先輩に表向きはご指導頂く形で探ろうとしたが、本当は作られた魔剣の性能を確かめる為、しかし相手が思いの外強くて、ついつい本気を出してしまった。そこからだよ、僕達の学園生活から平穏という物が消えたのは」
「上の連中は気付いたんだ、君がアゴンから送られてきたスパイだって、どうやってかは分からない、連中は策を考えた、どうすれば事を大きくしないで且つ、君を退学に追い込めるか、そこで目を付けたのが〜?」
人差し指を突き立て、いろんな方向に向け、最終的に自分を指す。
「そう僕達だ、それを知った時僕は本当に怒ったよ、いじめに限界が来て魔剣を握り、上級生をこの手で殺した時よりさぁ?君は君の計画の為に僕達と友達ごっこを演じ、そして巻き込み、魔剣を握らせるまで追い詰めた、十魔剣の所為か?スパディアムの学園長の所為か?ゾムルスの上の連中の所為か?それとも霊峰の任務の所為か?」
レクトがジュランの目の前まで来て、下を向くジュランの顔を覗きながら指を指す。
「お前だよ、オ!マ!エ!そして魔剣に関する情報は何も掴めないまま、僕達は使い捨てにされ、見捨てられた、だから僕が剣を取り、みんなを守る手段に出た。これを誰が責められるんだ!?俺だけじゃない、俺たち人間は追い詰められたら何だってするんだよ?俺達の目を覚まさせたい?バカ言ってんじゃねーぞ?テメェがしたいのはただの罪滅ぼしだろ?」
穏やかな口調が変わり始め、怒りを露わにジュランを罵倒し始める。
「、、お前の言ったことは全て事実だ、だが1つだけ、それだけは訂正させてくれ、俺はお前達を決して嵌めようとも、利用しようとも、友達ごっこを演じたつもりは一度もない、結果的にそういう風に見られても仕方がねぇ、そればかりは俺の力不足や配慮不足だった」
「おいおいやめてくれよ〜、、今更謝られてももうおせーよ、お前の行動をどう受け取るかは俺たち自身だ、お前じゃねー、それとテメェとはもうダチでも何でもねぇよ、俺は今の状況に満足してんだ、勝手に救うとか言ってテメェの行動を正当化しようとすんな偽善者」
「あぁ、確かにお前達を裏切った事は俺自身にそんなつもりはないにしろ、確かに裏切った行為本当にすまねぇ、、ただ手に持ってるそれ、それだけは譲れねぇ、そいつは人の命を犠牲にして作られた物だ、俺は俺の使命を間違ってるとは思わねぇ!魔剣なんてもんはこの世にあっちゃならねぇもんだ!お前を救うとかって勝手な罪滅ぼしや、偽善に捉われてもいい、それに俺の勝手に救いたい自分勝手なわがまま所をお前は尊敬してくれてるって言ってくれたろ?」
「開き直りやがって!殺してやる!」
ガキィン!!
振り下ろされた魔剣をジュランは片手で受け止める。
「なっ!俺の一撃を素手で!?」
「これが俺の奥の手だ」
『霊気解放』
ジュランの剣が光となり、ジュランの体へと入っていく。すると全身から淡い光のオーラが出現する。
「悪いがお前達の大将に使う予定だったがそいつはウチの大将に任せるとするか」
『阿ヶ閁伽』
肥大化した巨大な魔剣の払い斬りを、再び片手で掴むジュラン。
「それ以上俺のダチの体ん中入るんじゃねーよ」
『灰燼』
掴んだ手から凄まじい炎が噴きあれ、一瞬にして魔剣を塵と化した。
「うあぁああああ!!」
魔剣が破壊された事によって強制的にレクトの中から魔剣に宿っていた魂が分離させられる。
『勝者ジュラン!!』
「はぁ、、はぁ、、」
グラッ
「大丈夫か!」
パシッ
「あの言葉と俺を乗っ取った奴は関係ない、全て自分の言葉だよ、ただ、助けてくれたのは感謝する」
「悪かったから許してくれってもう」
「嫌だ、殺したくなる程憎んだのは嘘だけど、隠していたのは事実だし、、」
「俺もお前らと同じ歳なんだから勘弁してくれ、そこまで器用じゃないんだよ」
「それだったらこれからの僕に対する態度を改めてくれたら考えてもやらない事はうぉっ!」
「お前達を巻き込んで本当に悪かった、一生かけて償わせてくれ」
突如ジュランに抱擁され、言葉を止められるレクト。
「わかったわかった!浮気した時みたいな謝罪はいいから離してくれ、男好きだと思われたくない」
「なっ!オメェいつまでそのいじりしてくるんだよったく!」
「あっはは!ごめんよ!つい久しぶりだったからね!」
「それよりお前のネチネチした拗ね方いつになったら治るんだよ」
「ん?聞こえないな」
「あ、そういえば審判降参で!」
観客席でマクベスとランカが昔のようにジャレ合う2人を見て優しい笑みを浮かべる。
「お疲れジュラン、ちゃんと解決出来たみたいだな、いい戦いだったよ」
控え室に戻り、カイトがジュランの健闘を称える。
「悪いな、思ったよりあいつのグレ方が半端じゃなかったもんで、魔力を全部使う羽目になった」
『いよいよ大陸大会1年の部最終決戦!!ネロゴート学園大将ネフェト選手!ウルミスト学園大将カイト選手の入場です!!』
「ふぅ、、緊張すんなー」
「大丈夫だよカイト、カイトなら勝てるって信じてるよ!」
「随分なプレッシャーをありがとうなセニカ、、」
バンッ!
「ホラッ!ビシッとしなさい!そんな仕合前にへこたれてたら勝てる試合も勝てないわよ!」
「うぉっ!、、そうだな、悪いみんな、一発ずつ背中に頼むわ」
ラゼッタの後に、ルフト、ジュラン、アルベルト、ウォルト、リリア、ウィス、セニカがカイトの背中を叩き送り出し、舞台へ上がるカイト。
「いってて、ルフトの野郎力加減考えろってんだ」
((緊張してんのか?))
((あぁ、これで負けたらあいつらが繋げてくれたタスキが無駄になるって急にネガティヴになってな))
((俺様がいるから安心しろ、寧ろ俺様だけで十分だけどな))
『それではこれより大将戦、、始め!!』




