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第1章 大陸大会 Ⅰ



『それでは本戦の対戦形式を発表します!』


本戦はAブロックとBブロックに分かれたトーナメント形式になっており、決勝でAで勝ち進んだ学園と、Bで勝ち進んだ学園が戦う事になり、前大会の優勝校と準優勝校はシードとなっている。


1年の部では前回の優勝校がグレアモル学園と、ウルミスト学園だった為、カイト達は本日は戦う事はないとの事であった。そして対戦の仕方は団体戦で、先鋒、次鋒、中堅、副将、大将の順での勝ち抜き戦。



=====================


『Aブロック』


『グレアモル学園』



『焔相寺学園』×『ワミューエル学園』

=『VSグレアモル学園』


             

『マギア王立学園』×『ネロゴート学園』

=『準決勝』


=====================


『Bブロック』


『ウルミスト学園』



『スパディアム学園』×『トーエン学園』

=『VSウルミスト学園』



『エマリア女学園』×『エリュムヘルト魔法学園』

=『準決勝』



=====================



『さぁそれでは本日第1回戦!!焔相寺学園対ワミューエル学園を始めます!!』


両学園各5名の生徒が舞台へと上がり、軽く握手をする。


『それではまず先鋒の選手以外は舞台へと下がりください!!』


『それでは先鋒、焔相寺学園アドウ選手VSワミューエル学園タララ選手、、始め!!』


『火撥』


手に炎を纏わせ、先に仕掛けに距離を詰めるアドウ。


『ウォーターエリア』


バシャンッ!


エリア全体を水で囲うも、アドウは気にする素振りを見せず、まっすぐタララへと走る。


「それ以上近づくと食べられますよ」


真下を見ると背びれの様な物が見え、足を止めるアドウ。


「ふんっ!」


『炎撥』


ドガァンッ!!


地面に勢いよく掌底を放ち、地面の水を全て水蒸気へと変え姿を隠すアドウ。


『豪炎脚』


水蒸気がゆっくりと消えるも、アドウの姿が見当たらないタララ。


『ウォータードーム』


ズシュウウウウッ


『シャークスマッシュ』


ドーム状の水壁から魔力によって形作られたサメがアドウの技とぶつかり合い、アドウの足を纏う炎がゆっくりと弱くなっていく。


『ソードフィッシュ』


今度はドームの両脇から水の魔力を帯びた鼻先が剣の形をした魚がアドウに飛んでいく。


そこから形勢がタララに傾き防戦に一方になるアドウ、最終的には魔力切れを起こしアドウの敗北で第1回戦はタララの勝利となった。


そこから火属性のみを使う焔相寺学園と海に隣接された水魔法特化のワミューエル学園が相性の有利を活かし、先鋒のみで焔相寺学園の副将まで倒して行った。


『いよいよ焔相寺学園最後の砦、大将エンの登場です!!』


「全く、、予選の時といい舐められる様な醜態ばかり晒しおって、帰ったら俺がシゴいてやるから覚悟しておけよお前達、はぁ、、後は俺に任せろ」


赤い坊主頭で額に赤い丸の点が付いた男が舞台へと上がる。


『それでは先鋒タララVS大将エン!!始め!!』


『ウォータードーム』


「このまま私1人で」

ズパァンッ


「でしゃばり過ぎだ先鋒の癖に」


『なぁんと!!ドームの中にいるタララ選手のみを場外に吹き飛ばしたぁああ!!』


「さぁ、返り討ちの時間だ」


そこから焔相寺学園のエンが怒涛の巻き返しを見せ、遂に敵の大将まで勝ち進めた。


『まさかの巻き返し!!続いてワミューエル学園大将ミゲルの登場だぁ!!』


水色の長髪をした男性が舞台へと上がる。


『大将戦、、始めぇ!』


『ウォータードーム』


「同じ事を、、成る程」


ミゲルは自身を水壁で覆ったのではなく、会場全体を覆った。


「いっくよ〜それっ!」


ミゲルは右手に持っていたタクトを振り始める。


『オーシャンコンツェルト』


タクトが振りはじめられた瞬間、次々と水魔法で具現化された海洋生物たちが現れる。


「これ程の数を具現化させるとは、流石だな」


『千炎武脚』


エンは上空に飛び、具現化された海洋生物達を次々と足に纏った火の衝撃波を無数と放つも、海洋生物達は全てドームの水壁へと消えて身を潜めた。


「だったら」


「まだ一番だよ」


ドームそのものを破壊しようと、そのまま空を蹴り、真上の天井に向かって蹴り技を放とうとした瞬間左右から物凄い速度でソードフィッシュが飛来する。


『双火撥』


ズパァン!!


技を中断し、同時に左右から飛来してきたソードフィッシュを火力で吹き飛ばす。


スタッ


「出番だよ、ロークフート」


地面に着地した瞬間、周りが暗くなる。


「でかいな」


真上を見上げると、ロークフートと呼ばれる海に生息する巨大な一本の角を生やした鯨がエンのいる場所に落下している。


『焔相寺拳法奥義・灰炎』


エンが構えを取ると、全身が燃え上がり、洗礼された上半身が露わになり、ロークフートに向かって真正面から飛び上がる。


ズドドドドドドドドドッ!!!!


激しい爆音が会場全体に鳴り響く。


「おいおいマジかよ、、」


「すごい、連打でロークフートが浮かされてる、、」


会場に映るドーム内の映像にはっきりとエンが連打で5メートル近くあるロークフートを殴り浮かせている。


「それはやばいねぇ、、」


ズドォン!!


最後のトドメの一撃でロークフートを吹き飛ばし、ドームごと破壊するエン。


ガァンッ!!


上空から地面に足をほんの少し触れさせた途端、地面に穴が空き、ミゲルの目の前でミゲルの顔の横で足を止めた。


「強いね!」


「これでもまだまだ修行の身だ、強くなりたければいつでも寺に来い」


「そ、それはいいかな、ハハッ」


『勝者焔相寺学園エン選手!!よって次の対戦へと駒を進めたのは焔相寺学園です!!』


「めちゃくちゃ強かったな、、」


「あんな大きい浮かせるくらいだもんね」


「まぁでも次の対グレアモル学園で負けるよ」


「いくらなんでもそんなに実力は離れてないだろラゼッタ」


「聞いた情報、じゃなくて聞かされた情報だと予選に出てたグレアモル学園の生徒の人、あれで先鋒らしいよ」


「マジでバケモン学園だな」


「でも勝つのはあたし達だけどね」



『さぁ続いてマギア王立学園VS大陸大会初参戦ネロゴート学園!!』


『注目すべき選手はやはりネロゴート学園の先鋒大陸四貴族が一家、アドラス家出身、ネフェト・アドラス選手だ!!』


「先鋒で四貴族?どう言う事だ?」


「アドラス家に関してはどうやって四貴族に加入したか分からないし、今まで代理戦争(子を使って四貴族内で優劣をつける)にはずっといなかったみたいだし、あたしに関しては7年前くらいに初めて四貴族が行うパーティーに呼んでもらった時にミドラにめちゃくちゃ言い寄られてから一回も参加してないから全然情報がないの」


「て事はあの男のストーカーって7年くらいも続いているもんなのか」


「大変ねラゼッタも、気持ちはわかるよ」


「まだニューロに付き纏われてるのか!?」


「ううん、ただ自分もラゼッタの気持ちがわかるって言うか、、」



『それでは只今より!マギア王立学園先鋒レーシャVSネロゴート学園先鋒ネフェト!!始め!!』


「、、、、」


「来ないならこちらから行くぞ」


『闇落とし』


躊躇するレーシャにネフェトがゆっくりと近づき、地面に吸い込まれていき姿を隠す。


バキィン!!


突如レーシャの真上から現れ、黒紫色に光る黒剣を振り下ろすと、防衛本能のみで反応しガードしたレーシャの槍が瞬時に砕け、ネフェトの勝利となった。


「早っ!!」


そこからネフェトの快進撃は大将戦まで進む。


「なにをやってんのかマジで分かんねぇ」


「思ってたよりも強いわね」


「先鋒であれだよ?大将とかになるとほんと五星クラスなんじゃないかな」


「もしそうだとしたらグレアモル学園に勝てるかもな」


「あ、そう言ってるうちにほら!」


『ホーリーキャノン』


『ブラックインパクト』


放たれた光の弾丸を、ひとまわり大きい弾丸で吹き飛ばすネフェト。


『グラビティソード』


ネフェトが剣に重力を纏わせマギア王立学園の大将グランベルをぐいぐいと引き寄せる。


ズズズッ


『月影剣・夜九魔』


九つの斬撃が同時にグランベルに襲いかかり、寸止めを喰らいネフェトのストレート勝ちとなった。


『なんと大陸大会初の先鋒で単身で相手の大将を負かすストレート勝利!!次の試合に駒を進めたのはネロゴート学園!!』


「へぇ、大陸大会初なんだなストレート勝ちって」


「まぁね、簡単にできる事じゃないのは確かよ」


「でも聞いた話だとガルハート先輩が昔大陸大会でストレート勝ちしたみたいな話は聞いた事あるんだけどね」


「さっき主催者が言ってた単身ってそう言う意味か、ガルハートさんは多分精霊ありきでストレート勝ちしたんだと思う。


「なるほどねぇ、、グレアモル学園とどっちが勝つんだろ」


「お?ミドラって奴のことが心配なのか?」


ガシッ


「冗談でも許さないわよバカルフトォォ」


「ギブッギブッ!」


ルフトの一言で額に血管を浮かべ、アームロックでルフトの首を絞めるラゼッタ。


『さぁ続いてはBブロックの対戦だぁ!!最初の対戦はスパディアム学園VSトーエン学園!!』


「おっ!ジュランの元いた学園だな」


「学校の制服が軍服って斬新よね」


「どうしたんだジュラン?そんな顔して」


カイトが苦渋の表情を浮かべるジュランに話しかける。


「おーいジュラン、カイトが話しかけてるよ」


「、、ん?悪りぃ聞いてなかった、なんだって?」


セニカに肩を叩かれ表情を戻すジュラン。


「なんでそんな顔してんだよって聞いたんだよ」


「いやな、なんか俺の知ってる奴らが雰囲気が違うくてよ、嫌な予感しかしねぇんだ」


「そうなのか?」


((何か感じるかアッシュ?))


((何も感じねぇな、ただずっと言いたかったが俺と同じ反応の奴がいっぱいいる))


((精霊か))


((あぁ、それも最上級精霊だ))


((え?誰だよそんな物騒なもんと契約してる奴は))


((上手いこと隠れてやがるから特定はできねぇ、ただ向こうは間違いなくこっちの存在に気付いている))



『さぁそれではスパディアム学園先鋒ランカVSトーエン学園先鋒オーリン、、始め!!』


最初に仕掛けたのはオーリン。象に似た生き物の炎属性の精霊を呼び出し、頭に乗りランカに向かって突進する。


『鐵火花』


ランカが剣を地面に突き刺した直後、ランカを中心に炎の花が咲き始める。


ブシュッ ブシュッ


花を踏み潰しながらスピードを緩めることなく突進する象の精霊とオーリン。


「この程度の火属性魔法で俺のファントガンは止まらんぞ!相性が悪かったな!終わりだ!!」


「花はただの飾り、行くわよ」


字面に突き立てた剣を引き抜くと、熱で真っ赤に染まった刀身が露になり、構えをとるランカ。


『花炎』


赤く焼けた剣を横に振ると、炎が刀身から火花を撒き散らしながら燃え広がり、会場の半分を炎で満たした。


「あっつ!熱気がここまで、、」


「ルフト!アイス」


「ほーい」


『アイスウィンド』


「ふぅ〜」


「便利だなルフト〜」


『なんと凄まじい熱気!!炎が会場の殆どを包み込んだぁ!!オーリン選手無事か!?』


やがて炎が消えると、オーリンの上半身の右側が炎によって焼き消され、はだけていた。


「何て火力だ、、」


オーリンがドーム状の水壁を解き、剣を再び構える。


「ガッツがあっても実力が無くても意味はないの」


『花炎』


技をもう1度放ちながら一言言い放った瞬間、ランカが自分の方に目線を流した気がしたジュラン。


「なっ!」


ブォォォォンッ


炎がオーリンをわざと避けながら流れていく。


「危ないっ!」


突如流れた炎が方向を変え、カイト達のいるウルミスト学園の席へと飛んできた。


「おい!こっちに来てるぞ!」


カイト達がそれぞれ立ち上がり、武器に手を置くが、ジュランが炎の方へと歩き出しながら腕でカイト達を制する。


「フンッ!」


ジュランが剣を空間から取り出し、横に切り払い剣風のみで炎をかき消した。


「まじか、、」


「あんな攻撃をただの剣風で?」


「初めて本気を見せやがったなジュラン」


カイト達が驚くなか、ジュランが険しい顔を浮かべながらカイト達の方へと歩き一言。


「すまねぇ、俺への八つ当たりで巻き込みそうにして」


「八つ当たり?」


「今は説明する気になんねぇ、悪いなセニカちゃん」


「あ、ううん、私の方こそごめんね」


いつもの開放的なジュランと違い、今日は何故かいつもの雰囲気の違うジュランにカイト達が話題に触れないように気を付ける。


それから試合が進んでいき、相手の中堅モルガとの戦闘で先鋒のランカが途中で魔力切れで敗北し、次鋒のレアルドが舞台へ上がる。


『さぁ続いてトーエン学園中堅モルガに挑むのはスパディアム学園次鋒レアルド選手です!!それでは両者構えて、、、始め!!』


『グレイシャルランパート』


先に仕掛けたのはトーエン学園中堅モルテン。自身を中心に、氷の城壁を瞬く間に作り上げる。


『蒼炎剣・百灼』


レアルドの剣から青い炎が放たれ、氷の城壁とぶつかるが、表面を溶かすぐらいで、溶けた部分が再生する。


「はぁ」


めんどくさそうに後頭部を掻いた後、城壁を無視し、飛び越えようとした途端…


「キャバリア!」


モルテンが叫んだ瞬間、氷壁の後ろから氷の兵士が複数現れ、空中にいるレアルドに槍を投擲する。


『蒼炎剣・青壁』


空中で高速で回転しながら、青い炎を全身に纏い、投擲された槍を熱で溶かしながら弾く。


「ふぅ、、これで王手っ!」

ドガァンッ!!


突如飛来した氷の弾丸にギリギリ反応し、ガードするも身体ごと吹き飛ばされるレアルド。


「まだめんどくさいものがあったのかよ、、」


「お前達に我が城を突破する事はできん」


「わかったわかった、、降参、あんなめんどくさい大将相手してられないよ」


ダルそうに舞台へ戻りながら文句を言うレアルド。


「ん?今あいつ大将って言わなかったか?」


「多分中堅で相手の大将が出てきたんじゃないの?」


「なるほど、そういう事も出来るんだな」


『おっとここでスパディアム学園次鋒レアルド降参しました!そして交代して出てきたのはなんと大将マクベス選手!!』


選手控え室から出てきたのはスパディアム学園大将マクベスであった。


「マクベス、、」


『それでは中堅戦始め!!』


『ラヴァゴーレム』


モルテンは大将マクベスが出てきた事で先程までの試合と打って変わって、氷の魔法では無く、火属性魔法のゴーレムを複数生成し、マクベスに向け放った。


「、、、、」


ズィンッ!!!


金属と金属が擦り合う音がした後、ゴーレムが溶けてなくなり、モルテンが倒れた。


『なっ、、何が起きたんだぁ!?モルテン選手がゴーレムを放った瞬間、モルテン選手が地面に倒れたぞ!!』



「何だ今の?」


「剣を抜いたのは見えたけど、その後は見えなかったわ」


「あたしも何が起きたのか、、」


それから次鋒で出した副将と中堅で出した大将を倒されたトーエン学園は、スパディアム学園の大将を倒せる筈もなく、棄権して試合が終了した。


試合が終わった途端、ジュランが控え室から出て行くも、誰も止めはしなかった。


「止めなくてよかったのかな」


「分かんなねぇ、どうしようか」


「取り敢えず行ってきなさいよカイト」


「えー何で俺がー?」


「早く!早く!」


「一緒に行こうぜセニカ!」


「ちょっ、何で私まで〜」


こうしてジュランに気付かれないよう、セニカと2人でジュランの後を追う事になった。



「まさかお前の方から話掛けてくるとはな、マクベス」


「久しぶりだねジュラン」


軍服の様な制服に身を包んだ銀髪の男がジュランと話しているのが見え、物陰に隠れて様子を見るカイトとセニカ。


「髪の毛の色といい、体格、声、目つき、それにさっき使った技、お前魔剣握っただろ?」


「やっぱりバレてたか、まぁ君が転校してから僕達も色々あってね、魔剣の力を使わざるおえなかったんだよ、分かるよね?」


「レクトはどうしたんだ」


「そうだなー、彼には最後まで魔剣に触れる事を反対されたからね、僕が反発できないまでに叩きのめしたよ」


「てめぇ、、いくら相手が十魔剣だからといって俺達の約束破りやがって」


「じゃあどうしろって言うんだよ?君がいたから約束を破らないで済んだんだ、でも君はいなくなった、僕達も破りたくて破ったわけじゃない、それに約束を破ったおかげで僕はとてつもない力を手に入れたんだ!そのお陰で十魔剣の1人を倒してその座に座れたんだ、今思うととんだ下らない約束だったよ!最初から正々堂々じゃない奴らに対して正々堂々勝負を仕掛けるのがダメだったんだ」


「もう剣士だったあの頃のお前は居なくなったんだなマクベス、、」


「それは君がそう思っているだけだよ、最初から生まれも特殊で強かった君には僕達凡人の気持ちなんか分からないんだよ、正々堂々は強い人間達が自分達で勝手に作ったエゴでしかないんだよ」


「次の対戦うちの学園とだろ?俺がお前ら全員の目覚まさせてやるよ」


「あぁ、君のその自分勝手なエゴを正面から叩きのめしてやるよ」


ブゥンッ


マクベスが黒い炎となってその場から消える。


「て言う事だ、明日の試合俺が先鋒で行くからなカイト」


カイト達の方へと顔を向け話しかける。


「バレてたのかよ、、」


「バレバレだよ」


「ごめんね、変なつもりはなくて、ただ問題起こさない様に」


「あぁ、心配してくれたんだろお前達、ちょっと話さねーか?」


「話してくれるのか?」


「ずっと気使わせてたら申し訳ないからな、自分勝手な事をしようとしてんだ、話さなきゃ筋が通らねぇ」


「じゃあ、聞かせてもらえる?」


「あれはまだ俺たち1年生が十魔剣にまだ目をつけられてない頃だった、当時俺とさっきの試合に出てた奴らともう1人レクトっていう男がいてな、俺らはいつも互いに剣の腕を上げる為に研鑽しあってたんだ、スパディアム学園にはちょっと変わった風習みたいなのがあってな、3ヶ月に1度学年の1位から3位を決める本気の決闘があってな、3位迄には記念で魔剣が贈呈されるってのがあったんだ」


「魔剣って何だ?」


「魔剣ってのは魂が宿っている剣で、ゾムルス連邦国が独自で開発した技術の1つだ。詳しい工程はわかんねぇが、死者の魂をなんの合意もなしに使う道徳心のかけらもねぇ技術だ、その力は強大で、実力がねぇ奴が握ると魂に乗っ取られて人が変わると言われていてな、とにかく危ねぇもんで、俺達は魔剣は使わず強くなって十魔剣を目指そうって当初は約束してたんだがな、ある日十魔剣の1人に俺が2年との合同訓練で手合わせしてもらって惜しいとこまで押せたんだが負けちまってな、それを1年にてこずって向こうは恥をかいたと思ったのか、気に入らなかったらしく、俺じゃなくて俺と仲よかったマクベスとレクトに目をつけ始めてな」


「事あるごとにマクベス達に難癖付けてきてな、我慢ができなくなった俺がケリをつけにいって倒したんだ、それからカイトにも言った様に不意打ちやら卑怯やらない事ばかり言われて学園を去ったんだが、今日の試合を見て久しぶりに会ったみんなの雰囲気が変わっていてな、もしかすると俺が学園を去ってから自分達で解決しようとして貰った魔剣を使いやがったんだ」


「でもお前の話を聞くと向こうは仕方がなく魔剣を握ったんじゃねーのか?もし俺がそいつらの立場だったら抜くと思うけどなぁ」


「あぁ分かってる、それで返り討ちにするだけならな、魔剣は呪われてんだ、さっきも言った通り実力がねぇ奴が握ると、剣に宿った魂に身体を乗っ取られちまう、俺はそれを懸念してんだ、それにあいつの場合は魔剣の力に溺れて暴走し始めてやがる、アイツだけじゃねぇ、何故か全員だ」


悔しそうな面持ちで壁を見つめるジュラン。


「力のない人間が突如力を持ち始めれば必ず狂う、例えばお魔法が存在しねぇ世界で1人だけ唯一魔法が使えると想像してみろ」


(生憎小学生の頃からそんな想像ばっかしてましたんですけどねぇ、、)

「まぁ使わないと言ったら嘘になるな」


「100%に近い確率だろ?使わないと最初に決めたとしても使う日が必ず来る、問題はその瞬間だけで止まれるか止まれないかだ、マクベス達は止まれなかった内の1人だ。俺が止めさせるように全員纏めて目を覚まさせてやる。お前らにはすまないが手は出さないでくれ」


「分かった、でもお前が負けそうになったり、限界だと俺達が判断した瞬間、大人しく身を引くんだぞ?俺達はチームという事だけは忘れんな、わがままは多少は聞けるが一応お前は俺達の大将なんだ、優勝するにはお前の力が必要だ、いいな?セニカもそれでいいか?」


「うん、私もカイトと同じ、無茶だけはしないで」


「あぁ、最後のわがままだ、ありがとうな2人とも」


「そろそろ会場に戻るか」


「試合はもう終わってるよね」


急いで会場へと戻るカイト達。


『な...なんと!大将戦、エリュムヘルト学園四貴族のサティアを倒し大金星を上げたのはなんと大会初出場!エマリア女学園、リアンナ選手!!』


舞台上を見ると激しいの後はなく、ただ黒い髪の三つ編みで頬に火傷痕がある女性とその女性の目の前で倒れたサティアがいた。


「おいおいどうなったんだよ?四貴族が倒れてるぞ?」


「あ、戻ってきたのねあんた達、ちょうど終わった所だったんだけど、試合が始まった瞬間にサティアが攻撃を仕掛けたんだけど、何故か全部当たらなくて、そしたら急にサティアの体が動かなくなってそのまま倒れたのよ」


「幻影魔法かなんかか?」


「よくわからないわ、リリに聞いてみたけどそんな魔力は感じなかったって」


「要注意人物だなあれは、見た感じ危なそうな人物だ」


カイトの目に映る舞台上の人物は何処か前世の自分と似ている部分があった。


(あれは危ない奴の目だ、自分さえよけりゃなんでもしでかせる人間の目、狂気の目だ)


「セニカ?どうしたの?」


「そういえば選手の名前聞いた事あるけど、まさかあの子がそうなのかセニカ?」


「う、うん、でも昔と雰囲気が全然ちがう、ちょっと後で話してくる、大丈夫問題は起こさないから安心して」


こうして大陸大会1年の部が終わり、2年の部へと準備休憩が始まった。セニカの後を追うのか迷ったカイトだが明日の出番に備えて軽くトレーニングをする。


(リアンナ、、)


すると突如目の前を覆い被されるセニカ。


「キャッ!」


「だーれだっ!」


氷の様に冷たい手がセニカのまぶたを押さえつける。


「その声、リアンナ!?」


「せいかーい!」


「元気してた?スカーレットにやられた傷ってまさかその火傷?」


「まぁね、、もう気にしてないから平気よ、それより見ない間に綺麗になったねセニカ!」


(なんかちょっと明るくなったわね)


「もうやめてよ、、それより大陸大会に参加してたなんて、お陰で久しぶりに会えて嬉しいよリアンナ」


「私も会いたかったよセニカ、ごめんね急に転校してから会いにいかなくなっちゃって」


「いいよそんなの!それよりずっと言いそびれてたんだけど、ごめんね、あの時はそばにいてあげられなくて、凄い辛い筈だったのに」


「いいよいいよ!もう気にしてないからっ!お陰でこうして四貴族を倒せるほど強くなれたんだから!」


「リアンナ!!」


突如スカーレットが現れ、リアンナに向けて大きな声を放った。


「セニカに近づくと斬ると言った筈だ!」


「やだー、そんなに眉間にシワを寄せちゃって〜、なんでいつもスカーレットちゃんは私を見るなり不機嫌になるのよ、それに私の方から近いたんじゃなくてセニカの方から来てくれたのよ〜」


セニカの後ろに回って、セニカに抱きつくリアンナ。


「黙れっ!セニカ、その女から離れなさい!」


「やめてスカーレット!またリアンナを傷付けようとするなら私が相手よ!」


「こわ〜いスカーレットちゃん、もう貴方に会うのもトラウマで、ごめんねセニカ、私気分悪くなったからもう行くね」


そう言った後リアンナはテレポートを使いその場から姿を消した。


「リアンナにそれ以上近づかないで、何をしでかすか分からないから」


「ちょっと待ってスカーレット!ちゃんと説明して!」


「しようとしたわ、それを拒んで私じゃなくてリアンナの手を持ったのはあなたよ、、あなたの為にした事なのに、私をあんな風な目で見て、今は一応大会のチームメイトだから守っただけ、次は知らないわよ」


悲壮を浮かべた表情で後ろを振り向き、その場を去るスカーレット。セニカはどうしていいか分からず、トレーニング後にカイトに相談する事にした。


「リアンナだったんだな、あの女」


「うん、昔とだいぶ変わったけどね」


「なんか話して良くない事が起きたみたいだな」


「スカーレットが来てね、、もう自分でも何が何やら分からない、リアンナは変わったし、スカーレットには恨まれる様な目で見られるし、ほんと、、どうしてっ、、グスッ、、私だけ蚊帳の外みたいで、、」


話の途中で積もり積もった物があったのか、突如目に涙を浮かべながら話すセニカに優しく抱擁をするカイト。


「きっと解決できる、俺で良ければ力になるから今はたまってるもん全部吐き出せ、ずっと気にしてたんだろ?スカーレットの事も、リアンナの事も」


そこからセニカは思う存分カイトの胸の中で泣いた。



「グスッ、、」


「大丈夫、、」


優しく背中を撫でながら、あやすカイト。


「ありがとう、、もう大丈夫」


「そうか、、今日はもう休憩して、明日に備えよう」


「うん、、頑張って解決してみせるっ」


目を充血させながら、カイトを扉まで見送るセニカ。


「それじゃああおやすみセニカ」


「うん、また明日」


扉を閉め、カイトは自分の部屋ではなく、スカーレットの部屋の扉をノックした。


ガチャ


「なんの用ですか?」


「ちょっと話さないか?」


「貴方と話す事はなにも」

「そう言わずに、、な?」


「、、分かりました、明日の準備もあるので手短にお願いします」


部屋を出てホテルのロビーのソファーで腰をかけ座るカイト。


「ちょっと色々聞きたいことがあってな」


「聞きたいこととは?」


「あんたとセニカ、リアンナについてだ」


「その事なら話すつもりはありません、失礼します」


「待ってくれ!セニカはあんたに申し訳ないと思っている。1人だけ蚊帳の外で何を信じていいか分からなくて1人で色々抱えてたんだ、お前も昔友達だったんなら分かるだろ、あの子はなんでも1人で抱え込んでしまう子だって」


「えぇ」


足を止めるスカーレット。


「セニカに直接話せないなら、なんの関係もないけど俺に話してくれないか?本当は裏で何が起こっていたか、あんたと戦ったから分かるが、セニカに聞いた様に下らない理由で人を傷つける様な人間じゃない事は分かる。むしろあの今日初めて会ったリアンナって子の方がよっぽど危ない様に俺は思えた」


「あなたはセニカの何ですか?なぜそこまでセニカに肩入れするのですか?」


「ん?彼氏だ」


「ヘッ!?、かれっ、、コホンッ、失礼しました」


「どうしたんだ?」


顔を赤らめながら口を手で覆い隠すスカーレット。


「ど、どうりで仲が良いわけですね」


「話してくれるのか?」


「わかりました、貴方に話しましょう、本当は何があったのか全て、しかしセニカには必ず話さないことを誓えますか?」


「あぁ、自分で解決したいって言ってんだ、そんな野暮な事しねぇし、無茶苦茶信頼してるっつーの」


「ではお話しましょう」


カイトは一晩中、裏で本当は何が起こっていたのか、そしてリアンナという女性がいかに狂気に満ちていたかを…


「そうか、、あんたも大変な思いしてたんだな」


「それなのにセニカがあの様な態度で私に怒鳴って来た事に信じられなくなって心を閉ざしてしまったのです」


「まぁ親友の為にそれだけやったのにそんな事言われるとなぁ、心の中で何かが取れた様な感じがするよな」


「そうです、なので弁明するつもりもなくなってしまい、それ以降2人だけでなく他の人間に対して関わりを持つのはやめました」


「でも説明すればセニカも分かってくれたんじゃないのか?天然な所はあるけど、物の判別はちゃんと見分けられる子だと俺は思ってるけど」


「私も大人ではないのでそこまでの冷静さを保つ事が出来ませんでした、何度あの時ちゃんと説明していなかった事に後悔したのか」


「今でも後悔してるのか?」


「はい」


「そうか、、だったら何も言うことはないよ、後は当人同士でしっかりと決着をつけるしかないな、大丈夫だ!親友同士でちゃんと話せば分かり合えない事はねぇよ、俺より付き合い長いんだから」


「そうですね」


「それと敬語やめてくれ、チームメイトで俺の大事な人の1番の親友なんだ、もうちょっと気楽に行こう、こんな時間まで語ったんだ、友達みたいなもんだろもう」


「そう言ってもらえると助かり、助かるわ、ありがとう」


「あぁ、じゃあまた明日」


自室に戻り睡眠を少しとり、大陸大会2日目を迎えるカイト。

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