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第1章 本線出場権争奪戦2日目



1日目にまさかの3人の脱落者が現れ、7人での大陸大会本戦の座をかけた試合の2日目が始まった。


現時点での各選手の持ち点はこうだ。


=====================


カイト: 0点


ラゼッタ: 0.5点


セニカ: 1点


ルフト: 0点


スカーレット: 1点


ジュラン: 0.5点


アルベルト: 1点


=====================


「それでは2日目の試合を始めます、第一試合の選手は舞台へどうぞ」


ルフトとジュランが舞台上へ上がる。


「頑張れルフトー、ぶっ飛ばしちまえー」


「はぁ、ラゼッタ相手に引き分けた奴だろ?勝てねーって」


「バカやろう、お前どうせソーマさんに特訓してもらってんだろ?」


「頼んだけど無理だった」


「、、、、グッドラック」


カイトは無表情でルフトに向けサムズアップする。


舞台へ上がり、槍を構えるルフト。対するジュランは剣を抜かずに仁王立ちしている。


「始め!!」


『烈風刃』


ルフトが槍を振り回しながら、風属性の斬撃をジュランに向け、無数に放つ。


「へっ!」


ジュランは鼻で軽く笑った後、斬撃を避けながらルフトの方へ走り出した。


「なめやがって」


『風輪の構え』


槍に風を纏わせ、走ってくるジュランを逆に迎え討ちにいく。


『五月雨烈風』


通常の五月雨突きより2倍の速度で連続で突き技を放つルフト。しかしどれも紙一重で避けていくジュラン。


「正直1日目は余裕ぶっこいて痛い目見たが、今回からは格の違いって奴を見せてやるぜ」


ジュランがルフトの技を避けながら、剣を抜いた。


ガキィンッ!!


シュゥゥゥ


「ほぉ、今のガードするとはな、これならどうだ」


そう言ってただ無造作に縦から下に振り下ろした剣を受け止めようとした瞬間…


ズガァ


衝撃に地面が耐えられずルフトの足が地面に埋もれ、その後のもう一撃で片足を付く。


(重すぎるっ!このままじゃ、、)


シュパンッ


ジュランがもう一撃を放とうと剣を振り下ろした瞬間、槍だけが宙に浮き、ルフトの姿が消え、ジュランの頬から血が一滴滴る。


「とうとう本気で来たな」


「生憎やられっぱなしでは終わりたくないんでね」


『カマイタチ』


シュンッ


腕から風の斬撃を無数に放つも、全て剣で弾かれる。


『風魔手裏剣』


両手に巨大な手裏剣を生成し、一つはジュランに、もう一つは持った状態でジュランに近づく。


「当たるかよ!」


ジュランが軽く横に避け、ルフトの方へ走り出す。


ガキィン!!


剣と手裏剣がぶつかり合う。


スゥッ


ルフトが左手を後ろに引いた瞬間、最初に投げた手裏剣がジュランの背後からジュラン目掛けて飛んでくる。


「つくづく後ろを取りにきやがるな、もう無意味だって事教えてやんよ!」


ジュランは背後から襲いかかってくる手裏剣が当たり寸前で上に飛び、剣に魔力を溜める。ルフトは飛んできた手裏剣に魔力の糸を引っ付け、器用に2つの手裏剣を操り左右からジュランを挟み打ちにする。


『月影剣・影正』


ジュランの剣が黒く光り、吸われる様にルフトの影の中へ入っていき、影の中から巨大な斬撃が飛び出して来た。


すぐさま横に回避するも、回避している最中に影から出てきたジュランに転がり終えた所を剣を突きつけられ、ルフトの負けとなった。


「ふぅ、いい勝負だったぜ、案外つえーじゃねーか」


「いやー、やっぱ強いね転校生君は」


「ジュランだ、またいつでも勝負受けて立つぜ」


「ルフト、カイトの幼馴染みだ」


握手をし、舞台から降りる2人。


「続いて第二試合、選手は舞台へ」


カイトとスカーレットが舞台へ上がる。


「うっし!負けねぇぞ」


「よろしくお願いします」


「始め!!」


先に仕掛けたのはスカーレット。レイピアを取り出し、素早くカイトと距離を取ろうとするも、土魔法で行手を阻むカイト。


『ロックキャノン』


「ハアッ!!」


放たれた岩石の弾を渾身の刺突で粉々に粉砕するスカーレット。次々放たれるカイトの魔法攻撃を凌いでみせるスカーレット。やがて間合いまで詰め、一歩前へ踏み込んだ瞬間。


バチンッ!


中距離からの魔法攻撃を放っている最中に仕掛けておいた雷のトラップが発動し、スカーレットの動きを止める。


「もらったぞ!」


カイトが剣を横から振り払う。


ガキィン!!


「なっ!」


動きの封じられたスカーレットの上から突如剣が降ってきて、カイトの一撃を止めた。


「ハァッ!」


スカーレットが魔力を内側から解き放ち、麻痺を解除し、武器を2本のダガーに変換し、再びカイトの間合いに入り込む。


キィンキィン!!


激しい剣撃に火花が飛び散る。


ストンッ!


戦っている最中、上から武器が落ちてくる事に気がついたカイト。


(何を企んでるか分からないけど、長引くとヤバそうだな)


『闘剣』


カイトが剣に闘気を纏い、スカーレットのダガーを2本纏めて破壊する。しかしスカーレットは武器が破壊され、止まるどころか更に深くカイトの懐に入ってきた。


「なっ!」


パシッ


剣を握っている右手を掴まれ嫌な予感がし、放電しようするも、スカーレットの達人が見ても完璧と言わしめる程のスピードと無駄の無い動きでカイトが背負い投げをされ、地面に叩きつけられる。


「がはっ!」


肺の空気が全て叩きつけられた衝撃で抜け出し、少し頭がクラクラする。歪んだ視界から、スカーレットが武器を地面から取り、カイトの首に突きつけようとした途端。


『テレポート』×『オールヒール』


テレポートでその場から脱出し、状態異常、傷、体調の快復をかけ、なんとか体制を整えた。


「危ねぇ、、」


「いいえ、終わりです」


上空から声が聞こえ、上を見ると、スカーレットが身の丈に似合わない大剣を担いでカイトに振りかぶっていた。


『剛破斬』


ズドォン!!


ギリギリ雷走で避けたカイト、地面に技が衝突し、砂煙が舞い上がり、スカーレットの姿が見当たらないカイト。


ブォンッ


砂煙から大剣が放り投げられ、しゃがんで避けるカイト。


『秘技・武芸百般』


上空に魔法陣が展開され、あらゆる武器がカイトに降り注ぐ。


(なんだよそれ!、、くそ使いたくなかったけどやるしかねぇな)


『纏雷』


全身に雷を纏い、上から次々と降りかかる武器を全て目にも留まらぬ速さで避けていくカイト。


「今のを避けますか、、しかし武芸百般の真骨頂は此処からです」


スカーレットは地面に突き刺された剣を取り、カイトに斬りかかる。雷を全身に纏ったカイトは、闘気を纏った手でスカーレットの剣を掴み、雷を伝わせようとしたが、ギリギリで剣を放され、近くにあった槍を投げられ距離を取られる。


「まさか、此処に落ちてる無数の武器全部使いこなせんのかよ」


『レインアロー』


スカーレットが弓を取り、カイトの真上から矢の雨を降らせる。


「こんなもん!」


魔力の消耗が激しい為、纏雷を解除し、闘気を全身に纏い矢を全て弾くカイト。


バシッ


「ん?」


ズルッ!!


足に何かを感じ、下を見ると縄の様なもので足を引っ掛けられ、後ろに思いきり引っ張られ顔を強打するも、足から電流を流し込み、スカーレットの動きを封じ込め、土魔法で壁を作り雷走で一気に壁を蹴り距離を詰め斬りかかる。


『シールドバッシュ』


「ぬあっ!」


剣を振り下ろしたと同時に背後にあった盾を拾い、剣にぶつけられ大きく後ろののけぞった所を、盾の後ろから剣を取り出し斬りかかるスカーレット。


ニッ


スカーレットが襲いかかって片足上げたのを見て、カイトは口角を上げる。嫌予感がしたスカーレットは攻撃を中断しようとするも時すでに遅し。


ズルッ


先程カイトが足に引っ掛けられていた縄を今度はカイトのクローンが雷走で距離を詰める前に作った岩の壁に隠れていて、バレない様に予め足に掛けており、スカーレットが襲いかかってくるタイミングを伺って片足が上がり切った瞬間、思いっきり引っ張り、スカーレットが倒れ、カイトが首に剣を当て、カイトの勝利となった。


「はぁ、はぁ、、危なかったー!」


「流石優勝者ですね」


「いやー本当にギリギリだったよ、」


「対戦ありがとうございました」


「息一つあがってないな、ありがとう」


続いて第三試合の選手、ラゼッタとアルベルトが舞台に上がる。


「初めて戦うわねアルベルト」


「あぁ、負けないぞ」


「始め」


『ドラゴンフォース』


「もう負けるわけには行かないからね、本気で行くよ!」


『ドラゴンロア』


『青天四山』


アルベルトの剣が青く光だし、ラゼッタの槍を正面から受け止めようとする。


『天斬』


オルフォルト流奥義天斬をラゼッタの槍に放ち、鍔迫り合いを起こす。


「ぐっ!思った以上に威力があるな」

(次の試合ではあいつと当たる、その為にも力は温存しておこう)


アルベルトは技を途中で解除し、ラゼッタは攻撃の手を緩め、槍の軌道をアルベルトから逸らす。


「うわわっ!ちょっとどういうつもり!?危うく当てるところだったじゃない!」


「思った以上に威力の高い技で足を挫いてしまった」


「もう!何よそれ!せっかくいい試合ができると思ったのに〜」


「悪いな、お前の勝ちだ」


「勝負あり!」


そう言ってアルベルトは舞台から降り、ラゼッタの勝利となった。セニカの試合は人数の関係性保留となり、休憩を挟み午後の試合が始まる。


第一試合セニカvsスカーレット。前半スカーレットの巧みな武芸百般による攻撃に魔法操剣を使いながらセニカが苦戦するも、セニカの魔法操剣を前に決め手がなく、スカーレットが降参する。


第二試合カイトvsルフト。


「両者舞台へ」


「うっし!」


「7歳以来だな本気でやり合うの」


「あれはカイトが悪いんだぞ?」


「だって先にお前が俺のおもちゃ壊したからだろ?」


「わざとじゃないって言ってるのに」


「その後姉ちゃんに2人纏めてボコボコにされたのが懐かしいな」


「そうだな」


いつもの様に軽い会話をした後、武器を構える。そんな2人の顔は親友という関係を一旦下ろし、座をかけたライバルを見据える顔付きになっていく。


互いに相手の技は殆ど知っている為探り合いは無意味、倒せるとしたら最初から全力で切り札を切らないと負けると認識し…


『雷鳴剣』


膨大な雷の魔力を剣に纏わせ、纏雷で身体能力限界まであげる。


『暴嵐槍』


凄まじい風がルフトの槍を中心に吹き荒れ、会場全体を靡かせる。


ビュインッ!!


雷の残映を残し、目にも留まらぬ速さでルフトの目の前から消える。しかしルフトは棒立ちのまま静かにカイトが攻撃してくる時の一瞬を見逃さない為、集中する。


『雷貫』


ルフトの真上に現れたカイトは剣から魔力を解き放ち、雷撃を放った。


『嵐牙』


迸る雷にルフトは風を一点に集中させ、雷撃を相殺した。


ルフトが上を向いて技を放っている間、カイトはテレポートでルフトの懐に入るも、ルフトの体から吹き荒れる風に剣を思うように動かせず、1度後ろへステップバックする。


(あの風が厄介だな、、逆風を利用して押し返せればいいけど、風魔法に関してはあいつの方が上だ)


そうこう考えている間にルフトが攻めに入る。


『テンペスト』


巨大な竜巻が舞台全体を覆い、空中にカイトの体が投げ出され、乱風によって右へ左へ様々な方角へと吹き飛ばされ方向感覚を乱される。


「くそっ!、、やばい方向感覚が!」


『テレポート』


方向感覚を完全に失う前に地面にテレポートし、魔力の中心を探すカイト。しかしルフトの放った魔法は1つではなく四重に重ねられた風魔法であったため、魔力の中心地がバラけていた。


「取り敢えず潰せるだけでも!」


『憮雷』


雷を纏った剣から放たれた斬撃に乱風に飛ばされない様闘気を纏わせ、魔法を2つ何とか吹き飛ばす。


(これでまた魔法が出される前に)


ルフトの方を見ると、額に汗を垂らしながら目を瞑り、何かに集中している様子だった。そのおかげでカイトは上空に再び打ち上がられて、方向感覚を失いそうになるも、ゆっくり時間をかけて感覚を戻し、残り2つの風を吹き飛ばした。


『ニルヴァーナ』


カイトがルフトの魔法を完全に消した瞬間、会場全体が更なる暴風にさらされ、上空を見ると雲に丸い円が描かれており、円の中心から吹き荒れている暴風の正体であるルフトの槍が、今までの風と比べられない程膨大な量の風を纏いゆっくりと落下してきている。


「おいおい、なんだよそれ!」


(今俺が現時点で使える最強の魔法だ、ファミル先生が言うには極級に見劣りしないレベルら、上級通り越して、まさか極級レベルの魔法を出来るとは)


(本気も本気だなルフト、、)


「あいつ、やっぱりまだ実力を隠してやがったか!俺でも止められるかわかんねぇぞあれは!」


ジュランがルフトの魔法を見て、思わず声を漏らす。舞台の傍にいた教員もいつでも止められる様に準備をしている。それだけでもその魔法の凄さがカイトには分かっているが、向けられる対象が自分か自分以外で感じ方はかなり違う。


(正直大陸大会に出られなくていい、五星になれなくてもいい。ただ俺はお前の横に立てれる様になれればいいんだ、カイト。信じてるぜ、お前は俺の出した全力に応えてくれる事を)


カイトと目が合い、カイトは笑っているルフトの顔を見て全てを理解する。


(ばかやろう、そんな全力出された上にそんな顔されたら応えるしかねぇだろ!)


『闘剣』


カイトは纏っていた雷を全て解除し、闘気を剣と全身に纏い始める。


((ここで使うのか?))


((あぁ、本気でやる))


((技の完成度はまだ70%って所だ、下手すると押し負けるかもだぞ?))


「だったら今完成させればいいんだよ」


全身に纏っていた全ての闘気を剣に収集させ、剣を掲げる。その間にも槍はカイト目掛けて振り下ろされているが、今のカイトにはそれに意識を向けている暇はない。


『非天・千切星』


全魔力を闘気で纏い、斬撃に乗せニルヴァーナに目掛け放った。


ズオォォォン!!!


強大な技同士がぶつかり合い、衝撃波が結界にヒビが入り、割れる。


スタッ


技同士が激しくぶつかり合う中、ルフトが空中から降り、魔力を使い果たし、片膝を着いたカイトの方へと歩き出す。


「もう終わりか?」


「へっ、、ばかやろう全然余裕」


『ウィンドジャベリン』


ピタッ


風魔法で生成した槍をカイトに放つも、命中する前に止める。


「反応も出来ないくらい魔力全部使ったんだな、、、審判、降参で」


「いいのかよ」


「うん、こんなの勝ったうちに入らないし、大陸大会に関してはそこまでモチベーションないんだ。言ったろ?お前と肩を並べられるだけの強さがあればいいって」


「はぁ、調子狂うわお前と戦うってなると」


「それに俺のわがままにも付き合って貰ったからな」


ルフトは元々この試合に対してどちらが強いかを比べるつもりはなく、ただカイトに自身の力を全力で戦う事で証明したかっただけなので、カイトもそれを理解し、本来ならニルヴァーナを放たれても、真正面から受けないで他の方法でやり過ごす事も出来たが、敢えて全力で真正面からぶつかりルフトの気持ちを受け止めた。


「それにしてもなんだよあの斬撃、真正面から食らってたら危なかったわー」


「そりゃあ全魔力使ったからな、でもまだ未完成なんだよ」


結界を見ると、カイトの放った斬撃がルフトの槍を砕き、巨大な穴が開いていた。


「やめてくれよな、本番で使って間違って殺すの」


「ハハッ、うぉっ、悪りぃ肩貸してくれ」


「ほらっ、あんま無茶すんな」


ルフトがよろけるカイトを見て、腕を取り自分の肩に回し、一緒に舞台を降りる。


「なんかよく分かんなかったけどいい試合だったわ」


「改めて仲がいいね、2人とも」


降りた先でラゼッタとセニカが2人の戦いを見て、感じる物があったのか、涙ぐんだ目で2人迎えに来る。


場内からも自然と拍手が鳴り、結界の修復をした後、第三試合が始まる。


舞台へ上がるのはジュランとアルベルト。


「っしゃ〜出番だぜ〜」


「それでは第三試合、、、始め!!」


「やっと当たったな!アルベルト!戦ってみたかったんだよな〜実力じゃあ剣術科一位のお前と全力で!」


「悪いが剣術科の1番は今は俺じゃない、が2番も譲る気はない、全力でこい!」


アルベルトが剣を抜いた瞬間、ジュランが影の中に落ちていく。


『月影剣・影正』


シュインッ!!


『青天四山』


アルベルトの真下の影から黒色の斬撃が放たれるも、アルベルトは動じる事なく真上に飛び、斬撃を陰の中に跳ね返した。


ズボンッ


返された斬撃を陰の中から現れたジュランが自身の剣に吸収し、黒い光を纏わせた状態でアルベルトに打ちかかる。


ガキィン!!


『月影剣・影纏い』


ジュランの剣に纏っていた黒い光が剣と剣がぶつかり合った瞬間、アルベルトの身体を影が全て包み込んだ。


『月影剣・影縫い』


ガキィン!


スパァン!


「やるねぇ、やっぱ本気出さないとダメみたいだな」


影の中に閉じ込められた後、内側の壁から棘が現れるも、アルベルトは闘気を全身に纏い棘を全て砕き、その後真っ二つに影を斬り、中から何もなかったかの様に出てくるアルベルト。


「出しても出さなくてもどちらでもいい、ただ出さなければ負けるのはお前だ」


「んじゃあいくぜ!」


『魂装・緋剣イグニ』


「こい!」


『流火一閃』


呼び出した剣に火属性を纏わせ、高速で近付きアルベルトに斬りかかるジュラン。


『オルフォルト流・飄水』


アルベルトは剣に水属性を纏い、川を流れる水の様に漂いながらジュランの攻撃を回避しながら剣を受け流し、背後を取る。


『魂装術・炎輪』


背後からアルベルトが斬りかかろうとした瞬間、ジュランの剣から炎が噴き出し、ジュランの周りを一周し、アルベルトが引き下がる。


(まともにくらえばただじゃ済まないな)


闘気を纏っていた服の先が焼け落ちるのを見て、更に警戒をするアルベルト。


(どうしたものか、、)


その後幾度か打ち合うも、剣術の腕ではアルベルトが勝っているも、ジュランの魂装術を前になす術がないアルベルト。


「ふぅ、なかなかやるな、下手すると剣術科の中じゃあお前が1番強ぇんじゃねーか?」


「そう言いたい所だが、本番であいつ達と戦って決着つけるまではまだ2番だ」


「そうかそうか、、よぉし、じゃあそろそろ終わらせるか」


「なに?」


「いやー、本気だったぜ?俺も?ただこのままじゃどちらかがへばるまで続けねぇといけなくなっちまう、そんな勝ち方はダセーからな、かっこよく奥義なんか使って終わらせる事にした」


「上等だ」


「悪りぃな、少しだけ起きてくれないか?」


「誰と喋っている?」


ジュランが胸に手を当て、目を閉じながら優しい口調、柔らかい表情で誰かに話しかけている。


『魂装・焔剣エニス』


(魂装を2つ!?今はそんな事気にしてる場合じゃない)


『オルフォルト流奥義・鬼哭』


アルベルトがジュランの目の前から消え、ジュランの真上に瞬時に移動、蒼色に光り輝く剣の刀身が魔力により十倍近くの大きさに跳ね上がり、横から切り払うアルベルト。


ガキィン!!


そんなアルベルトの現状出せる最強の技をなんとジュランは左手に握る焔剣エニスでその場から動かず止める。


「悪いが今この瞬間だけ俺は無敵だ」


そう言い放った後、ジュランは両手に握る剣をクロスさせ、斬撃を放出した。


バキィン!!


放たれた斬撃はアルベルトを横切り、背後の結界を容易く貫通し、そのまた背後の壁をも貫通させた。


「これが俺の正真正銘の全力だ、いい勝負だったぜ!」


「、、、あ、あぁ」


余りにも桁違いな攻撃を見せられ、人生2度目の完璧な敗北を感じ、言葉を失うアルベルト。


「おいおいジュラン、やり過ぎだろいくらなんでも、手加減してやれよ、プフッ、見ろアルベルトの奴、言葉失ってるぞ」


「もぉカイト、そうやって何かある事にアルベルトに噛みつこうとしないの」


何故今の技を見て普通に会話が出来る?アルベルトの頭にはただそれだけの疑問が浮かんでいた。


(カイトのあの技、あれも確かに見たときは驚いたがまだあれの上をいく技を持っているからあんな余裕でいられるのか?それにセニカも、、)


この瞬間アルベルトは自身が如何に2人に追い離されたか理解する。この一年でアルベルトはかなり強くなったと自負していた。しかしそれを通り越してセニカやカイトは強くなっていた。闘技大会であれ程カイトにやられても、まだ単純に剣の腕、はたまた命を掛けた試合なら負けないと慢心していた。


しかし今回の予選で自分が如何に力不足だったかを知る。今の自分に足りない物、大事な人を奪われ、死に物狂いで練習していたあの頃、剣術科に入って、自分より強い人物がいない事に少し優越感を感じていた所為で少し成長したくらいで満足していた自分。


「フッ、、完敗だった、だが次は必ず全員抑えてやるくらい強くなってみせる、審判!この予選棄権する」


「なっ!おいアルベルト!冗談だって!」


「いやこれでいい、俺は今まで小さな世界で1番であった事に慢心していた。ジュラン、お前との戦いで痛いほど感じさせられた、感謝する」


「ん?よくわかんねぇけど、試合前の目つきよりいい感じになったな」


「あぁー、んじゃあ俺も降参しよっかな、修行不足だったし、このまま本戦で戦ってカッコ悪い所見せるのもなんかやだし」


ルフトがアルベルトに続き棄権を申し出た。


「ルフトお前まで!?どうしちまったんだよお前ら」


「まぁまぁ、みんなこの予選で戦って思う事があったんじゃないの?本人達の意思なんだし好きにさせたげた方がいいじゃん?」


「んーーーー、なんかそれでも納得いかねぇ、そもそも最初から俺は全員倒すつもりでいたし、全員倒してこそ学園の看板を背負う事に意味があるんだと思う!」


「ちょっと意味わからないけど、まぁもう本人達が棄権した以上何も言える事はないよ」


「ではアルベルト選手、ルフト選手の危険により、大陸大会1年の部、ウルミスト代表はこの5名に決まりました」


こうして大会の幕は、アルベルトとルフトの棄権により突如閉じたのである。


そしていよいよ大会予選から数日が経ち、12月末学園がカイト達含めた生徒30名の出場者を見送る式が盛大に挙げられた後、カイト達は学園の馬車に乗り込み、開催地であるモルバト都市国家の中でも国を超えて有名なダハブ商業都市へと向かった。



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