第2章 園外訓練Ⅲ
ーー園外訓練3日目
「昨日の報酬で貰ったルール追加のなんだけどさ、こういうルールってのは破らなければ基本何をしてもいいと俺は思っている、そして俺は昨日の夜作戦会議の後に閃いたんだ」
第2拠点の遺跡群にある岩でできた円テーブルに囲んで座りながら、カイトのゲスい笑みに苦笑いする一同。
「魔物との戦闘中においては魔法を好きに使って良いって事はよ?魔物をなんらかの方法で繋いでおいて、戦闘中の状態を維持しとけばずぅーっと魔法を使って良い状態になる、それすなわち無敵!俺は今日午前中拠点を守っとくから、魔石探しは任せて良いか?」
「了解〜、またこすいアイデアを思いついたわね」
「それって大丈夫なのでござるのか?」
「魔法が使えるんだったら魔物に出くわしてもそこまで怖く無いな」
「あ、そうそう昨日決めた探索係の編成なんだけど、各々で分かれないか?防衛時は2人でいいけど、探索は魔法が使える様になったんだし1人でも良いんじゃ無いかって思ったけどどうだ?」
「拙者は構わないでござるよ」
「わたしも」
「俺も大丈夫〜」
「よし、じゃあ決まりだな!取り敢えず俺は罠魔法を設置しておくから、各自で判断して動いてくれ、あ!それと尾行には気をつける事と!」
「敵チームを見かけたら逃げてこいだろ」
「承知しているでござる」
「じゃあ行ってくるわね」
「おう」
こうして各々違う方角へと探索に出かけ、カイトはひとまず魔石に引き寄せられる魔物が現れるまで待った。
そしてチームのみんなが出発してから5分も立たない内に敵の侵入を知らせる罠が発動した。
ガサッ
「おっ!結構早かったな」
腹筋トレーニングの途中で体を起こし、草木に括り付けた細い糸が、侵入者の足に引っかかり音がなる。
音の鳴った草木の方角を見ると、昨日対峙したうさぎの様な特徴的な耳と赤い毛皮が特徴のクペラの変異種がそこにいた。
「いいねぇ、丁度良いサイズだ」
カイトの姿を捉えるなり直進し、愛嬌のある見た目から想像できない程に鋭利に発達した歯を大きく開けながら、カイトの首を目掛けて飛んでいく。
ヒョイ
「こっちだ、ほらっ!」
クペラの噛みつきを軽い表情で躱し、昨日仕掛けた罠にかからない様に誘導しながら一定の距離を保ったまま走り始める。
「よっ!そいっ!ほいよっ!」
軽快な動作で次々と罠を仕掛けながら逃げる。
そして逃げる事数分後、魔石にある仕掛けを施した後飛びかかって来たクペラを剣で両断する。
「結構魔力使ったなぁ...よし、取り敢えず作業は終えたから、後は昼の交代までトレーニングでもして待つか」
トラップの設置作業を終え、昼の交代時間まで時間を潰すカイト。
結局この日は目立った事は何も起き無く、魔石も見つからなかった。
そんな日が3日ほど続いた頃...
「もう限界だ...」
遺跡群にあるアーチ状に掘られた石のトンネルの腕で、ため息混じりに呟く。
「魔物以外だーれも襲ってこねーし、魔石は見つかんねーし、ただただ生活レベルが上がっていってるだけだ...このままだと暇な時間を過ごしているだけの日々になる」
3日目、4日目と次々に他のチームが魔石を見つけたり強奪する中、カイトの縄張り地点だけ誰にも侵入される事もなく、また自分達から侵入する事もなかった為、何一つ目立った事が起きなかった。
それに加え4日目の夜にはヴァイスの口から、5日目からは魔石の保有最下位のチームには罰があると聞き、現状最下位であるカイトチームは更に気を引き締めなければならない。
「はぁ〜、そろそろみんな帰ってくる頃だし、魔石見つかんなかったら他の縄張りを攻めに行くのも視野にいれた作戦会議を提案するか」
ガサッ
草の罠の音が聞こえ、寝転んでいた体勢から体を起こす。
パシュンッ!
「うあっ!」
今度は草の音が聞こえた別の位置から風魔法のトラップの作動音が聞こえると同時に、慌てたグレイルの声が聞こえた。
(グレイルの声!?...ジュランのチームが攻めに来やがったな!)
「ちょっとグレイル!」
「ごめん、でも誰も襲ってこないみたいだし、大丈夫なんじゃ?」
そうフラグ立てた瞬間、グレイルの背後にふわりと笑顔で着地し、それを見たもう1人の声の正体モルスが悟った顔をする。
ガシッ
背中から生えた2本の闘気の腕が、グレイルの両手首を掴み、右手に持った剣をグレイルの首に当てる。
「これはこれはジュランチームのお二人じゃ無いですかぁ〜、こんな何もない所に何か用ですかぁ〜?」
「カ、カイトかよ...と、友達だろ?ほら..そんなあぶねーもん、じょ、冗談じゃ」
グッ
「誰が喋って良いって言ったかなグレイル?まぁでもせっかく遥々来たんだ、少し話でもしようか...そうだなぁ〜、君達の拠点を教えてくれた見逃してあげても良いけど、もしくは分かるよね?人の敷地に入り込んだんだから手土産ぐらいはね?」
「ひぃ〜、モルス〜助けてくれよ〜」
優しい口調のサイコパスを演じながら、グレイルの恐怖心を煽っていると、モルスが背負っていたリュックを下ろして、中から食料を取り出した。
「これで良い?早くグレイルを離してあげなよ」
パシッ
「はぁ、魔石は当たり前だけど持って来てないよなそりゃあ」
グレイルの腕を離し、剣を鞘にしまうカイト。
「マジで怖かった〜」
「おら、お前も出すもんだしやがれ」
「ですよね〜」
こうして2人の身ぐるみを剥いだ後、2人を逃してあげたカイト。
それから少し時間が経つと、チームの全員が戻り先ほどの出来事を報告した。
「え?まんまと逃したの!?」
「だって仕方ねーだろ?ボコボコにする訳にもいかないし、出すもん全部出させたし」
「向こうの情報は聞き出さなかったのでござるか?」
「考えたけど嘘の情報を掴まされるかもしれないだろ?だからもっとまともな方法を取った訳だ」
誰にも聞かれない様に、全員の顔を近づけさせて小さい声で囁く。
「グレイルに俺の魔力感知の刻印を施した、後は魔法が使える状況になればいつでもあいつらの位置に飛ぶ事ができる」
「つまり奇襲をいつでも仕掛けられるって事?」
「あぁ、今日から最下位には罰ゲームが課せられるだろ?だから手がかりが見つかんないもん探すより、相手から奪おうと思ってな」
「でもそうしたら家の防衛が疎かに...」
「たしかにそうなるけど、魔法トラップが作動すれば感知できる様になってるから、危なくなったらテレポートで戻れば良い」
「結構リスクね...」
「俺はお前達の意見を尊重するぞ、このまま引き続き魔石の捜索をするのもいいし、そっちの方がリスクは少ない、だけどリターンも少ない。俺のアイデアはハイリスクハイリターンだ。飛んだ先に魔石がある確証もないし、その間に魔物が俺らの拠点にある魔石を掘り起こす可能性もある、それに戦闘にもなるからな」
「拙者はカイトに1票入れるでござる」
「俺もそっちの方がいい気がする、結局今日も見つからなかったし」
「後はソロカだ?」
「はぁ...折角の吉報がみんなの判断を惑わせる事になるなんてね」
「え?もしかして?」
本来なら喜ぶ場面だが、複雑な表情で鞄から魔石を取り出すソロカ。
「魔物が集まってた場所があってね、怪しいと思って魔物が居なくなった隙をついて探したらあったの」
「流石でござるなソロカ殿!」
「折角満場一致で決まりそうな所でごめんね?私は1つ見つけたから、午後もちゃんと探せば見つけられる方に一応1票よ...」
「謝る必要ないだろ?見つけてくれただけでも功を立ててる、それよりも気になったのが一応って言わなかったか?」
「正直カイトの話を聞いてて私も納得はしてて、ギリギリ現状維持の方に傾いているの、魔石が見つからなかったらそっちに傾いてたけど...」
「何かもう一押しが欲しいのか...そうだなじゃあ一旦今の現状を纏めようか!」
リュックから紙、ペン、インクを取り出し、わかりやすく表を作るカイト。
=====================
【俺ら】 魔石の保有数: 3
【セニカ】 4
【ジュラン】 7
【アルベルト】 6
=====================
「俺らの今持っている魔石の数は3で、縄張りにはまだ残り3つある」
「セニカのチームは4つ持っていて、縄張りには残り1つ、それとジュランのチームに奪われたのが1つ」
「ジュランのチームは縄張りで見つけた全ての魔石に加えてセニカのチームから奪った1つの計7つ」
「アルベルトのチームも同じく全部持って入る」
「今日ジュランのチームが俺らの縄張りに来た理由は多分俺らの縄張りに隠れている残りの3つを探し出す為で、俺の予想だけど2:2の編成で防衛と、探索係で分かれている」
「それにアルベルトのチームももしかしたら俺らの縄張りに入って来てるかもしれない」
「でもセニカたんのチームにも魔石はあるでござるからそっちに行く可能性も...」
「それは無いだろうな、考えてみろ、こんな広い敷地に埋まった1個を見つけられる場所と、3個見つけられる場所があったら確実に確率が高い方を選ぶだろ?それに今3個って言ったけど向こうはまだ俺らが3つ目を見つけたことを知らないから、4個あると思って探索しに来ている」
「だから正直探索もリスクは大きいと思う。気付かない内に出くわせば付けられるし、それで拠点がバレたらお終いだ」
「だから向こうが探索にチームを割いている今がチャンスなんだ、4対2だったらこっちの方が有利だし、拠点に何かあってもテレポートで飛べばいい、最悪魔石もバレにくい位置に置いてあるから向こうのチームが見つけられない可能性だってある。魔物も仕掛けたトラップで殆ど倒せると思うしな、どうだ?」
「成る程ね...思ったよりこっちの事態は深刻ね」
「取り敢えず昼食の用意をしながらでも考えられる、食いながら考えよう」
空腹のサインが腹の底から僅かに唸り声を上げ、一旦話を中断して昼食の準備を始める。
今日の昼食は昨日捕獲した草食獣のカルンガを燻製した肉に、山菜を和えて作った肉サラダと、供給された調味料を使った山菜と魚で出汁を取ったスープだった。
魔石の保有数は最下位だが、生活レベルは夕食で見かける他のチームより圧倒的に高く、それだけでが唯一の誇りだった。
「ズゥゥゥッ...ハァ、本当にキャンプだけで来たんだったら最高だな...カイトがいなかったら俺らも魚を焼いただけって考えると身震いするな」
「本当でござるよ、こればかりはカイト殿に感謝でござるなぁ」
「はぁ...頑張って料理の勉強しよ」
「どうだ?どっちにするか決まったか?」
「そうね...このまま現状維持しても埒があかないだろうし、攻めに回るしか無いわね」
「よしゃ、それじゃあ食い終わったらすぐに向かうか、あまり腹一杯にしないようになお前ら」
「了解でござる」
「了解〜」
こうしてソロカの説得に成功した後、腹八分目辺りで昼食を食べ終え、軽い作戦会議を始める。
「まずは飛んでからの行動だが、相手が2人の場合は3:1で俺が1人を相手して、3人で残りを相手してくれ。もし3人だった場合は俺は変わらず1人を相手に、他は上手いこと3で判断してくれ、ジュランは俺が相手するから安心しろ。魔石探しは殲滅してからで」
軽い作戦会議を終えると、一同は魔物との接敵時に魔法は使えるが、テレポートは制限されているため、魔物を探しにいくのではなくアルベルト達の縄張りへと入っていく。
「しかしどうやって見つけるだよね」
「な〜に、方法は幾らでもあるさ」
そう言って20分程時間をかけてようやくアルベルトチームの縄張りである境界線を見つけたカイト達。
そして縄張りに入るなり、現れた魔物を見て、火の玉を上空に放つカイト。
「一か八かで誘い込む、近くで隠れておけ、何合か打ち合ってる間に刻印をそいつの身体に付けるから、合図したら出て来て俺に触れてこい、いいな?」
「「「わかった(でござる)」」」
それから数分かけて魔物を討伐し終え、少し時間を置く。
(まだ来ないか?...鞄を置いて休憩するフリでも..っ!)
シュインッ!
ズバァン!!
腰を下ろした直後、頭上から放たれた斬撃に気が付き咄嗟に躱して見上げる。
「1人か?」
「あぁ、十分だろ?お前こそ1人なのか?」
「貴様のセリフ、そのまま返す」
「うざ」
ズィン!!
雷走で一気に駆け出し、木の枝にいるアルベルトへと一気に距離を詰め、そのままの勢いで更にスピードを上げ、斬りかかる。
『紫電』
スピンッ!
キィンキィンキィン!!
まずは足場の枝を切り落とし、空中に身を投げ出されたアルベルトに天歩を使いながら空中で何度も斬りかかるが、全て弾かれる。
『鬼哭』
カイトの剣を全て弾いた後、先に着地したアルベルトはくの字にカイトの頭上に回り込み、体を捻り回転しながら剣を地面に叩きつけた。
「んぐっ!」
空中でなんとか体勢を頭上にいるアルベルトに向け、ガードするも押し負け、地面に吹き飛ばされる。
「終わりだ!」
ブゥン!
キィン!!
「おわんねぇよバカ」
振り下ろされた剣を右手に握った剣に右足を添えガードし挑発すると、アルベルトはすぐさまカイトの胸を踏みつけようと足を上げる。
ドスッ!!
グッ!
(取り敢えず触れる事はできた!)
「今だ!!」
カイトがそう叫んだ瞬間、近くにいた3人が一斉にアルベルトに向かって襲いかかる。
「ちっ、やっぱり1人じゃなかったか」
「大丈夫でござるかカイト殿?」
「いつでもいけるぞ」
「行きましょ!」
「残念だったなアルベルト、まんまと”1人“で来てくれて助かったぜ?これでお前らの拠点を潰せるぜ」
「なに!?」
シュンッ
テレポートでその場から消えるカイトチーム。飛ぶ前に言った事はただアルベルトの焦る顔が見たかっただけではなく、ジュランチームの所へと飛んで自分達の縄張りが、ガラ空きだと気付く迄の時間稼ぎであった。
実際最後に驚いていた様子のアルベルトを見て成功だと確信し、すぐに目に前に集中するカイト。
「うぉあっ!」
いきなり現れたカイトのチームを見て、口にしようとしていた焼き魚驚きのあまり後ろへ投げ飛ばしてしまうグレイルと、同じく目を見開いて驚いた様子のモルス。
「ジュランはいない!2:2で動くぞ!」
「あいよ!」
「うん!」
「了解でござる!」
そして2人が戦闘体勢に入る前に無力化して、拘束する。
それからマシューに2人の見張りを任せ、手分けしてジュランチームの拠点を漁り始める。
ジュランチーム縄張りである北地点は森というよりかは、小さな起伏や傾斜の多い渓谷の様な一帯であった。
森よりかは見つけられるのが簡単だと思っていたが、なかなか見つけれられず、痺れを切らしたカイトが木に縛りつけた2人を問い詰める。
「魔石を何処に隠したグレイル?教えないと大変な目に遭わせるけどいいのかぁ?」
「ちょっ...なんだよ、怖いし、隠し場所はジュランしか知らないって...」
「ほぉ...しらを切るつもりだな?マシュー!」
「なんだ?」
「こいつらの食糧庫見つけたろ?全部燃やしちまえ」
「なっ!ちょっとそれはやり過ぎでしょカイト!」
「あぁん!?関係ねぇよそんなもん、こちとら最下位なんだ、魔石が手に入るんなんらなんでもする覚悟ですけどぉ!?」
「荒くれの役に入りきってるでござるなー」
「んじゃあ燃やしてくるわ」
「ちょっと待ってくれマシュー!」
「なんだ?言う気になったかぁ!?」
「一個だけなら、居場所がわかる」
「ちょっとグレイル!言っちゃダメんふっ」
「ナイスソロカ、そのまま口を塞いでおけ、おぉい?さっきは一個もわからないって言ってたのに?今は一個しか分からないって、俺のこと舐めてんのか?ニューロ!」
「了解でござる」
グレイルの靴と靴下を脱がし、いやらしい手つきでくすぐり始めるニューロ。
「ダァーハッ!アハっ!やめてくれぇ!!アァーッハッハ!」
「正直に言わないと食料は全部燃やすし、コチョコチョは永遠に続けるぞ?いいか?ジュランが来るまで時間稼ぎしようたって無駄だ、お前らを拘束した時点で4対2なんだ、どうにもなんねぇから早く言いやがれ!」
「分かったっ!アァーッハ!分かっから言う!言うって!」
挙げられたカイトの右手を見て、ニューロが手を止める。
「何処だ?」
「はぁ..3つだけだ...それで手を打とう!」
「全部だ...交渉の余地はない、マシューもういい燃やしに行け」
等身大の火球を生成し、躊躇を見せない様子で食糧庫に向かって放とうとするのを見て、グレイルが叫ぶ。
「4つだ!これ以上欲しがるなら煮るなり焼くなり好きにしろ!」
グレイルの表情の機微をしっかり見て、その言葉に偽りがないかを観察するカイト。
「よしわかった、10秒以内に場所を言え」
「食糧庫の真下に2つ埋めてある、後2つはちょうど俺が括られている木の枝中に埋めてある」
それを聞いた瞬間、ソロカが食糧庫の下を漁り2つ見つけてリュックにしまい、括り付けたグレイルを避難させた後、木を両断すると、中から魔石が2つこぼれ落ちた。
「よしゃ、それじゃあジュラン達が来る前にずらかるぞお前ら」
急いで魔石を鞄にしまい終わった後、ジュランが戻ってくる前にテレポートで、カイト達は自分達の拠点に戻った。
「ん〜〜〜!!」
「よっしゃあああああ!!」
自分達の遺跡群の拠点に戻った後、大いに喜ぶ一同。
「まさか本当に成功するとはね!!余りにも順調過ぎて驚いたわ!」
「拙者はいつジュラン殿が戻ってくるか、ずっとハラハラしていたでござる!」
「まさか魔石を隠す場所がうまかったなあいつら、交渉で何とか4つ持ち出せたから良かったけど、ほんと一瞬の事だったし、あいつらも驚いただろうな」
「この作戦良いな!一瞬で拠点に奇襲かけられて、魔石も奪えるし!」
「ただ一点...ぶはぁ...」
突如全身に脱力感と、筋肉痛の様な痛みが全身を襲い、地面にぐったり座り込むカイト。
1人ならまだしも、4人を連れての2回連続の中距離テレポートに流石のカイトも、魔力が枯渇したのだった。
「うおっ!大丈夫かカイト?」
すぐにマシューが倒れるカイトの腕を肩に回し、拠点内に作った休憩用のベッドに連れて行った。
「はいこれ、ガハナ茶でも飲んで、魔力枯渇に効くし」
「サンキューソロカ」
紅茶色の液体の入った透明の給水ボトルを受け取り、休憩するカイトの近くで、次の行動を決める。
「ひとまず今日は全員拠点待機でいいと思う、魔石を守る事だけに集中して、明日の作戦は夕食後に立てる感じで頼むわ」
「了解でござる、それじゃあ拙者は見回りに向かってくるでござる」
「俺も行ってくる」
「私は見える位置から監視してるね」
「何かあったらすぐに叫べよ〜」
それから魔物の襲撃も何事もなく、時刻はもうすぐ夕方に差し迫る。
(ざっと半分くらい回復したな..まぁ動ける様にはなったし俺も見回りに行くか)
そしてベッドから起き上がり、そばに置いてあった剣を取ろうとした途端、冷たい何かが首に当たった。
「おっと動くなよコソ泥さん....奪っていったもん返して貰おうか?」
「...ジュランか、どうやって罠を掻い潜ったんだ?」
「そりゃあ企業機密なんで言えねぇな、話を逸らすなって、質問に答えろよ」
「拒否だ、お前が何をしようと言わねうっ...」
((アッシュ悪いけど頼む...))
シュインッ
「こりゃあ面倒癖ぇ事になったなぁ〜」
『来いよ、俺様に傷でも付けられるたら1個くらいは居場所を教えてやっても良いぜ?』
「ほぉ?そりゃあ随分となめられたもんだな...」
シュンッ
挑発するアッシュの背後に瞬時で移動し、緋剣イグニと焔剣エニスで斬り払うも、こちらを見向きもせず両腕を組みながら、分厚い闘気の壁で軽く防がれる。
『安心しろ、コイツにはお前に危害を与えないように言われてある』
「ふんっ!」
アッシュの話に耳を傾けず、背後からダメならと今度は姿勢を低く保ったままで、両足を狙うジュラン。
ダァン!
その場で側宙を披露し、足元を狙う斬撃を避ける。
『火焔穿』
ピシュンッ!!
ブォンッ!
アッシュが即宙で避けた瞬間、斬り払った勢いを利用して体を一回転させ、ジュランは2本の魂装剣を脇に構えて全力で刺突を放った。
『フッ』
『烈脚』
バシンッ
しかしそれを鼻で笑いながら、天歩を使わず闘気の腕を肩から地面に伸ばし身体を支え、それを軸にして、オーバーヘッドの体勢で2本の剣を蹴り、刺突の勢いを地面に向けさせる。
「くっ...力を温存している場合じゃねぇな」
『霊気解放』
『そうだ、俺様相手にするときは最初から切り札を使え』
『灰燼』
圧縮した熱のこもった抜き手を放つも、手首を掴まれるジュラン。
グワッ!
『ほぉ!早ぇな!』
掴まれた瞬間、目の前からジュランの姿が消え、気がつくと身体を持ち上げられ眼前に広がる景色が反転し、感心するアッシュ。
ダァン!!
背中が地面に叩きつけられる前に両足を先に地面に着地させる。
『焔浄刀』
ズォン!!!
ドォォオオン!!
燃え盛る炎の刃を形成する手刀が、アッシュの腹部めがけて振り下ろされ、爆炎が舞い上がる。
焼き焦げた地面から手刀を抜き、背後を確認すると、余裕の表情でアッシュが立っていた。
『これで終わりか?』
「はぁ...やっぱかなわねぇな、カイトがあんたを闘技大会で使わねぇ理由が分かったぜ」
『とっとと本気出せよ、じゃないといつまで経ってもおわんねぇぞ?』
「ははっ、おまけに実力まで隠してんのがバレてるとはねぇ」
『こいよ、今度は両手もしっかり使ってやるからよ』
ポッケから輪ゴムを取り出し、軽いパーマのかかった肩まで伸びた天色の髪を纏めるジュラン。
『皆剡』
2本の純白の色を含む炎がジュランの両手から剣状に炎が形成されていく。
ブォン!!
ブォオオオオオオ!!
左手に握った炎剣を横に斬り払うと、一瞬にして目の前の景色が炎一色になる。
腰を落とし、迫り来る炎を前に両腕を眼前でクロスさせ防御するアッシュ。
『あっちぃな...上か』
そしてすぐさま頭上から迫ってきたジュランの気配を察知し、振り下ろされた左手の炎剣を片腕で受け止める。
ブォオオオオオオンッ!!
ジュゥッ
ダァン!!
腕に炎剣が触れた刹那、一瞬にして炎が自分ごと巻き込みながら燃え広がり、少しすると腕に纏った闘気が熱によって、僅かに溶かされているのが見え、ステップバックする。
「逃がさねぇよ!」
『あぁん?』
『輪圡』
ドゥポン!!
シュッ
追いかけてくるジュランに右手から生成した闘気の球体を放つ。
キィン!!
ヒュン!
ゴッ!
「んぐぅっ!」
炎剣によって背後にいなされるも、空中で方向転換し、ジュランの背中に勢いよくぶつかる。
ガシッ
『おかえしだ』
ブォン!!
バキバキバキィ!
片膝をつきかけた瞬間、ジュランの胸元を掴み体を支えた後、勢いよく森の方に投げ飛ばすアッシュ。
『ふぅ...なかなかにやるじゃねぇか』
ブォッ!!
『ちっ!』
背後から地を抉りながら這う一本の炎刃が振り返るアッシュを捉える。
『ふんっ!』
ブフォッ...
両手で白刃取りをした後、そのまま力技で押し潰す。
「何振り返ってんだ?」
『あぁん?自分の身体を犠牲に、爆発的な火力を出してんだろその技?そんなもんで俺様は取れねぇよ』
ジュゥッ ペリッ
「はっ、戦いの最中に心配されるとはな...ふぅ、無理矢理押し込めばいけると思ったんだがな〜、こりゃあ魔力が空になるまでやるしかねぇか」
全身から淡い光がジュランを包み込み、瞬く間に炎で火傷した箇所が全て元通りになっていく。
凰剣イグニスの力を解放し、白剡で纏った高出力の炎による火傷のデメリットを相殺する。
『なるほどな...そこまで身体張ってんなら俺様も少しは本気にならねぇと失礼ってもんだ』
「いくぜ...」
『蝕燼』
一本の炎剣を地面に突き刺し捻る。
すると突き刺した剣を中心に半径50メートル程範囲の地面が蠢きだし、所々からマグマの様に炎が噴き上がっていた。
『あぁん?なんも起きてねぇが?』
「へっ、だったらやりに来てみろよ」
『はっ』
ジュランの分かりやすい挑発にわざと乗り、ジュランに向かって走り出す。
ブォンッ!!
『おせぇよ』
目の前地面から炎が飛び出し、アッシュに向かって襲いかかるも、軽い身のこなしで避ける。
ズォン!!
が避けた3歩先の事件から炎剣がアッシュの腹部に物凄い速さで突き刺さる。
『ふぅ...今のは危なかったぜ?』
ボゴォッ!
『ぬぁらぁ!』
ズォヴォン!!
地面が膨らんだ段階で、地面に拳をめり込ませ、炎剣の斬り上げを直前に潰すアッシュ。
『この燃えてる地面の全てがテメェの攻撃範囲って事は分かった、だがそれで俺様をやるのは無理だぜ!?』
先程よりも速いスピードでジュランに向かって不規則な軌道で走り出すアッシュ。
ザスッ
ズォン!!
『刀旋脚』
ドゥン!!
もう一本の炎剣を地面に突き刺し、もう一度同じ様に3歩先から炎剣を出現させるジュラン。しかし回し蹴りにより、地面から伸びた炎剣は止められる。
ブゥンッ!
『ふんっ!』
ブォン!!
「くそ...」
そうしている間に、アッシュの背後から真っ直ぐ伸びた炎剣が、炎剣を止めているアッシュの頭に振り下ろされるも、回し蹴りをしている足の力を僅かに込め、地面から伸びてきた最初の炎剣の軌道を僅かにずらした後、アッシュがしゃがむと、地面から伸びる炎剣と振り下ろされた炎剣同士がぶつかり合い、相殺された。
不満をこぼしながら、その間にも迫ってきているアッシュに牽制を放つも、どれも軽い身のこなしで避けられ、とうとう2メートルまで近づかれるジュラン。
ズォン!!
ダァン!
足元を狙った炎剣をジャンプで躱し、拳を構えるアッシュ。
『破天』
拳を空に向かって勢いよく突く、すると空間が歪むほどの衝撃波が迫ってきているのがわかったジュランは口角を上げ、それを見たアッシュは瞬時にはめられたと理解した。
「勘違いして地面だけを警戒してくれて助かったぜ!確かにこの技が影響できるの地面のみだが、少し工夫すれば何処からでも攻撃出来る、こんなふうにな」
空中で身動きを取られる前に、アッシュの背後と前方の空間が突如歪み、中から炎剣を放つジュラン。
『非天の構え』
バシン!!
背中から4本の腕を出現させ、2本ずつで前方と後方のそれぞれの炎剣を白刃取りで防ぐ。
ブォォォッ!!!
炎剣を受け止めた瞬間、炎が剣から巻き起こり、瞬く間にアッシュの体を包み込んだが、脱皮をする要領で闘気を剥がし、地面に着地したアッシュ。
ブフォンッ!!
「これで!」
巻き起こった頭上の激しい炎からジュランが炎剣を片手にアッシュに斬りかかる。
『輪圡』
ズパァン!!
『うまくやるならもっと殺気を込めたほうがいいぜぇ!?』
左手に生成した闘気の球体を操り、頭上から斬りかかってくるジュランを吹き飛ばし、背後を振り向きながら叫ぶアッシュ。
『灼火灰閃』
ズォン!!
『正面から叩き潰してやる!』
『破天』
ズゥン!!!
腰の入っていない空中で放った時とは比較にならない程の衝撃波が地面を抉りながら、ジュランとぶつかり合う。
パゴォン!!ズガガガン!!
「んおぉぉぉぉおお!!」
『その程度かぁ!?あぁ!?根性..見せやがれぇ』
少し腰を捻り、衝撃波が再び飛ばすアッシュ。
「んらぁぁぁぁあああ!!!」
自己回復を中止させ、全魔力を前進する事に集中させる。
そしてアッシュが再び衝撃波を放とうとした一瞬の隙を突き、眼前にまで炎剣が迫るも再び衝撃波が放たれる。
「届いたぜ」
ザスッ!!
アッシュの背後の地面から炎剣がアッシュの背中に伸びる。
パァン!!
残り数センチで炎剣が届くところで、爆音弾の音が鳴り響き、炎剣の勢いが止まり消滅した。
『なかなかやるじゃねぇか』
「お情けで取れそうだった一撃に価値はねぇよ...」
バタンッ
「ふあああああ、疲れたぜ〜」
『まぁいい退屈凌ぎにはなったしな、此処らで失礼っと』
「へっ..強ぇなほんと..」
肩を回しながらカイトの方に歩み寄り、力いっぱいの平手を脳天に叩き込み、球体に変化してカイトの体内へと溶け込んでいく。
「いてっ!....くぅー..痛って〜」
頭を押さえながら、ベッドから落ち悶えるカイト。
「ひゃ〜、あんな戦い流石に入れないよジュラン、ごめんね〜」
運動着が土埃や、裂傷で所々ボロボロになったメウィンが草むらから現れ、それに続きマシューもボロボロの状態で姿を見せた。
「あれ?ニューロとソロカは?」
「2人は俺が此処の近くで気絶させてある、魔物に喰われてなけりゃいいけどな」
「ちょっとジュラン、馬鹿なんじゃないのー!?それは流石に...」
「冗談だって、ちゃんと結界張ってあるから大丈夫だよ、そのデカイトンネルに様な岩の下に置いてあるからマシューと2人で運んできてくれ、おいカイトー、いつまで悶えてんだよ〜」
「痛ってて、全く加減を考えやがれってんだバカ精霊がよ、あぁ?だぁーっはっは!ボロボロじゃねぇかジュラン!俺の精霊にやられたか!ガーッハッハ、ザマァみやがれ!!」
「はんっ、全く呑気な奴だなお前は...今は軽くあしらえる程の気力もねぇし、素直に笑われてやるから、手貸してくれよ」
にやけ面をしながら、ジュランに肩を貸し、6人で拠点へと戻る。
それから夕食を各チームに分かれて取り、本日の成果発表が始まった。
「それでは本日の所有数の発表をする」
【ジュランチーム】 3個
【アルベルトチーム】 5個
【セニカチーム】 6個
【カイトチーム】 7個
「だぁーーーっはっはっは!これぞ逆転劇だぜ〜!」
「えー!?カイトどうやってそんなに見つけたのー!?」
「へっへー、流石に一位取れたと思っただろセニカー、此処だよ此処!それよりアルベルトのチームから1個奪ってるじゃん?ナイスですね〜」
頭を指さしながら驚くセニカに自慢するカイト。
「私は一か八かでアルベルトチームの拠点を攻めに行ったら偶然アルベルト君がいなくて、他の3人を無力化させて一個だけ拠点から自力で見つけたのと、帰り道に偶然見つけたので6個だね」
「もしかして俺らと攻めたタイミング一緒だった!?ぷっぷ〜、ごめんねアルベルトくーん、これがリア充の力なんですわ〜、もはや何も考えなくても考えは通じてるもんだな〜」
「それぐらいにしておけカイト、今日はお前のチームが最多数所持だ、クジを引け」
「うっし!ソロカ!君に決めた!」
「え?私?」
「今日は魔石を見つけたから運が良いだろうと思ってな、頼む〜銀玉じゃなくて金○が出ろ〜」
必死にクジを引くソロカの後ろで祈りを捧げるカイト。
「これ!」
ソロカが手を掲げると、銀玉を手に持っていた。
「これは勝った〜!」
そう声高らかに喜ぶカイトに、ソロカが疑問を投げかける。
「え?なんで?」
「覚えてるか?銀の玉の報酬?」
①次の日の午前中だけ制限なしでの魔法の使用許可。
②無期限で魔物との戦闘中に魔法の使用許可。
③1日間自分達のチームの縄張りへの侵入を禁止。
「そうこの3つめの1日間...ん?1日?え?師匠、これ2日間とかじゃなかったですか?それと①もなんか微妙に変わっているし」
「2回目以降の同色玉は効果を減少させている」
「え〜、最初に言ってくださいよ〜」
「今言ったから許せ、今言っても前もって言っても変わらない事だ」
「まぁそうっすけど〜、どうする?②番は選んだし、③番で良い?」
チームの同意を得て③番に決めたカイトチーム。
そして今度は最下位の罰ゲームが発表される。
「最下位は罰として、出した玉の効果を1つ削除するか、クジを引け、勿論当たりはなく、全てが不都合な効果だ」
現在ジュランチームは3日目の最多所持数報酬で引いた金の玉で得た魔石の探知魔道具を持っており、それを差し出す事で罰ゲームクジを回避した。
「これで本日の成果報酬を終えると言いたい所だがその前に1つ報告がある。先程ギルドからこの森を抜けた小さな村の外で、魔物に襲われたと報告があり、緊急討伐の依頼が入った。依頼は森の主エギネスの討伐だ。もしどこかのチームがその魔物を倒し、討伐証明の首をもってくれば、魔石3個を好きなチームから引き抜く権利をやる。以上で解散だ」
それから解散となり、就寝まで自由時間となり、カイトはチームを集めて作戦会議を始めた。
「マジか〜、これは倒したら相当うまいし、倒されたら相当まずいな...折角明日は魔石探索に全力を注ごうとしたんだけどな〜」
「探索に集中するのでも良いんじゃないの?」
「いや、それだとダメだな。今現時点で1番ポイントの高いチームは俺らだ、確実にどのチームがエギネスを倒したとしても、魔石を取りに来るとしたら俺らから取りに来るだろうな」
「そうか...だとしたらかなりの不利を背負っている状態でござるな」
「それじゃあどうしようか〜」
マシューに続き、ソロカとニューロも頭を悩ませる。
「1個だけこれも賭けになるんだけど、明日俺らの縄張りは誰にも侵入する事ができない。だからそれを利用して魔石を全部一箇所に集めて、魔物を誘き寄せよう。7個も魔石があればエギネスも流石に反応するだろう。魔石集めは一旦中断して明日はエギネスに備えて防衛一点で行こうと思う、どうだ?」
「そうね...それで一旦行こうか、んぅ〜、今日はちょっと疲れちゃったし私はもう早めに休むわ〜」
「俺もそれで賛成〜」
「拙者もそれで賛成でござる」
「よし、じゃあ意見まとまったし、これでいこうか!今日はもうお疲れさん!」
それから作戦会議を終了し、風呂に入り5日目が終了した。
そして次の日の朝...
ジャキィン!!!
「っ!んぅ、何だ?」
金属に金属を打ちつけた鋭い音が鼓膜を打ちつけ、全員が目を覚ます。
ジャキィン!!キィン!!ガァン!!
「んぉ?何だよ一体?」
音は更に鋭く大きくなり、寝ぼけながらコテージを出るカイト。
「うるさいなぁ..なんだ...よ...はぁ?」
コテージを出て広がっていた景色に言葉が詰まるカイト。
ガキィン!!!ジャキィン!!
鋭い金属音の正体は、拠点に張られていた結界に赤色のネオンカラーで朝日の光を反射させた甲殻に身を包んだエギネスが、結界を攻撃していた音だった。
それだけでなく、四方八方から魔物の大群が微力ながらに結界を打ち破ろうと攻撃していた。
「これ程騒がしければ、目が覚めるか」
「何が起こっているんですか!?」
予想外の事態にコテージから出てきたカイト達を出迎えるヴァイスに、カイトが慌てた様子で状況を聞く。
「多分魔石を感知してやってきたのだろうな、正直予想はしていたが、あれ程凶暴性があったとは予想外だ」
「どうしますか?結界は保つんですか?」
「ったく、人の睡眠邪魔しやがって...こんな奴ら今からでもサクッとやりましょうよ!」
「それに関しては同感だ、此処まで不快な気持ちにさせられたのだ、生きては返さん」
やる気まんまんのジュランとアルベルトに対し、負けじと女子コテージから出てきたセニカもやる気を見せる。
「どうですか先生、このままだと結界が破壊されるまで時間の問題ですから、今から俺ら4人であいつを仕留めるので、討伐証明の首持ってきた奴が勝ちって事で良いすか?」
「仕方ない、緊急事態だ。今からそいつの首を取ってきた奴に報酬を与える。結界が破れたら開始の合図だ、その間に俺は結界を張り直す。残りの生徒はメルトとタリカを先頭に魔物の討伐にあたれ!いいな!?」
「「「はい!」」」
「あぁ〜、寝起きで魔物の討伐かぁ〜、ふぅ」
「顔むくんでないかな...どうしよ」
「邪魔をしたら貴様らから排除する」
「流石に負けられねぇなこの戦い」
カイト、セニカ、アルベルト、ジュラン、各々が準備運動をしながらその時が来るのを待つ。
「全員が構えろ、次の一撃で結界が破られる」
そして右手の鎌を勢いよく降りおろし、結界を破壊したエギネス。
『キィィィィィ!!!』
鼓膜に直接響くモスキート音の様な叫びを上げ、両腕の鎌を構えて、カイト達に向かって飛ぼうとした瞬間、エギネスの頭上にテレポートしたカイトが天烈拳でエギネスの頭頂部を捉え。地面にめり込ませる。
「はっ!今回はちゃんと仕留めてやる!」




