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第2章 大人気ない親父



「ふんぐぅぅぅぅぅ、、」


...


.......


『まだだ、、もう少し気張れ』


「んぎぎぃ、、、」


フッ


右手に集中した闘気が僅かに膨れ上がる。


「ん“ん”ん“〜っ」


ブォッ


意識をさらに集中させ力み続けると、膨れ上がった闘気が更に大きくなった。


『もう少しだ、、』


そしてそれは唐突に、朝食の時間を考えると予期はしていた物の、1番来て欲しくないワーストタイミングで来た。


「あっ、、ちょっ!、、漏れるっ」


ギュッ  フワッ


『あ”ぁ〜!、、くそ後もう少して出てくるって時テメェは!』


現在カイトは町の外れにある、森の中にある池の辺りで闘術の練習をしていたが、突然のやってきた便意によって中断させられる。


「危ない危ない、、中学生でうんこを漏らす所だった、、やはり俺のお尻は人一倍緩い様だな」


『ドヤ顔で恥ずかしい事分析してねぇで、とっととクソ済ませて、再会すんぞ、こちとら暇じゃねぇんでね』


「なぁにがこちとら暇じゃねぇんでねだ、基本的に戦い以外の時はぐうたらしてる癖に」


『あぁん?契約解除すっぞ?』


「俺にその意思がない限り解約は出来ないって知ってんだぜぇ?一生飼い慣らしてやんよ」


『冗談言ってねぇで、さっさと、、、』


突如会話が途切れ、その場で静止するアッシュ。久しぶりに来るその現象に、その場で固まり、動くのを待つカイト。それはアッシュが記憶を僅かに取り戻す時に起きる静止現象だった。


『クソを、、、、がぁあああっ!!』


動いたと思った次の瞬間、再び静止し、苦痛に表情を歪めながら、頭を抱えて叫び始めるアッシュ。


初めて起きる事に、カイト即座に近づき、体を支える。


「おい、、急にどうした?どこか痛むのか!?」


『うぐっ、、返せ、、、そいつを、あがぁ、がぁえせぇ!!』

ドォォォォン!!


無差別に放った膨大の闘気がカイト含めた周りの木々諸共を吹き飛ばした。


「いっつつ、急に何だってんだよ、、」


『戻れ』


魔力を込め、アッシュを体内に戻そうと試みるも、今度は突如肩に刻まれた契約の証であるタトゥーがマグマの様に赤く光だし、前世の中学校で無理やりストーブの上に手を乗せられた時と比べ物にならないくらいの火傷の痛みと熱さが襲いかかってきた。


「いってぇぇぇ!、、もしかして、、契約を無理やり解除しようと、、」


一瞬余りもの高熱による熱さと、痛みで契約を解除しようと試みた物の、突然何の説明もないまま契約を破棄される事に苛立ちが込みあがり、グッと堪え集中するカイト。


「させねぇ、、絶対にさせねぇぞ!」

ピキピキッ!! ジュゥゥゥッ!!


氷を肩に生成し、熱さで溶けるも、溶けた位置から再び生成し熱傷を凌ぐと同時に、ヒールでタトゥーの近くを継続的に回復させるカイト。


「我慢比べなら、負けねぇぞ、、」


そして1分後に熱と痛みが突然消え、奥に見えていたアッシュが倒れ、駆け寄るカイト。


『、、、、』


「はぁ、、怪我はない様だな、、ったく何だよ急に、冗談で言ってた爆弾もとうとう現実味を帯び始めやがったか?」


そう言ってアッシュを体内に戻し、それから大を済ませてから寮に戻るカイト。


((おーい、聞こえてるか?))


((、、、、))


寮に帰ってからも反応はなく、サバトとミドラと給食を食べに行くカイト。


「何かあったのか?」


「ん?俺?」


「この中で心ここに在らずな顔をしてるのはお前だけだ、何かあったのか?」


「全然元気ないよね」


ミドラに続きサバトも様子のおかしいカイトに気が付き、カイトの顔色を伺う。


「ちょっとな、精霊の様子がおかしくてな」


「なるほどね、、あ、精霊って言えばクハン老師の精霊展がもうすぐ始まるよね!」


「クハン老師?」


「かの有名な三賢王が1人、精霊術に長けた人物で、最上位精霊を2体同時使役出来ると言われているお方だ、2年に1度自身が育てた精霊達を披露する為に、ガルナロートの中央都市ビレイクにやってくるのだ」


「でも入場料が馬鹿にできないくらい高くてねぇ、それと入場券を買えるのもほんの僅かな人間だけだし、、」


「そっか、金持ちとか権力ある貴族くらいしか、、」


ふと何かに引っかかるカイト。


(ん?、、権力のある貴族って言ったら、、)


「ミドラ、お前んとこの家族に頼めねぇか?」


「あぁ!そうだった!ミドラ君が四貴族だって事忘れてたわ!」


「む?我の力が必要と?」


「頼むよ〜、またご飯奢るからさ!」


ゴールドカードをチラつかせながら、頼むカイトに、ミドラが表情を歪ませる。


「良いのだが、1つ問題があってだな、、」


「やっぱりお金か?」


「違う、オルフェオン家は金や権力にがめついその他貴族とは違う」


「じゃあ何よ?」


「家訓があってな、オルフェオン家の権力に頼りたい場合、力で物申せと言うのがあってだな」


「うわぁ〜、すっごいめんどくさそうな家訓だね〜」


「お前が表情を崩す程って、、具体的にどう言う事か教えてくれねぇか?」


「まぁ難しい話ではない、何かを成し遂げたい時にオルフェオン家の権力で特別待遇を受けたければ、父上と試合をして一本取らないといけないのだが、何せ生まれてこの方父から我が取れた試しは一度もない」


「じゃあダメかぁ、、ミドラ君のお父さんって現役バリバリの四貴族でしょ?ミドラ君どころか3人纏めてかかっても勝てっこないしね」


「まぁでもお前の精霊に何かあったなら、1度声を掛けてみる」


「いいのか?なんか凄い嫌そうだったし、無理ならんぐっ!」


「んむっ!」


突如口を手で押さえつけられ、不機嫌そうに何処かへと行ったミドラ。


「今のを翻訳すると、友達だから頼れ、しみったれた顔をするな気持ちが悪い。だって」


「最後は余計だっつーの」


それから数日後、約束を取り付けたとミドラから報告を受け、後日ミドラの家があるというウルスラより北にあるアラカノンと言う町へ向かうカイトとサバト。


「何で俺まで?」


「いいじゃねぇか、どうせ暇なんだし」


余り乗り気じゃないサバトにカイトが小突く。アッシュの暴走から数日経ったものの、いくら呼びかけても返事はない。


「にしても学校から遠いね〜、ゴールドカードが無かったら結構お金が掛かってた距離だよ?」


地図を確認しながら、紙に書かれた手書きの手掛かりを頼りに歩くカイト。


「もらった住所によると、時計塔の正面にあるあのデカい看板のあるパン屋の右って書いてあるけど、、」


「どれどれ〜」


サバトが地図を確認しながら、デカい看板のパン屋の右を見ると整えられた芝生と、僅かに生茂った草木などが生えているのが柵越しで見えた。


「この柵は〜、うーっわ。どこまで続いているんだよ」


柵に近づき左右を確認すると、先が見えない程柵が奥へと続いていた。


「ずっと街の壁かと思ってたらまさかの敷地の壁だったとは、さすが四貴族...取り敢えず右か左か、、ちょっと待っててくれサバト」


そう言って地面に落ちてあった小石を拾い上げ、頭上へと力一杯投げつけた後、意識を集中させる。


シュンッ!


投げつけた石と同じ高度までテレポートで飛んだカイトは、あたりを見渡し入口を探す。


シュルルルッ


「でっかい屋敷だなぁ、建物の向き的に多分右に行って左に曲がれば入り口が見えるな」


風魔法の滞空を解除し、元の位置にテレポートするカイト。


シュンッ

スタッ

「どうだった?」


「右行っての突き当たり左だ」


それから走る事数分、敷地の正門と思わしき場所に到着し、中に入り、屋敷のドアをノックするカイト。


コンコンコン!


「すいませーん、ミドラ君に用があって来ましたー!」


ガチャ

「坊っちゃまから話は聞いております、お入りください」


物腰柔らかいおばあさんがカイト達を出迎え、屋敷へと入るカイト。


「おじゃましまーす、、」

「お邪魔します」


屋敷に入ると、広間が最初に見え、奥にはある左右から二階へと上がれる螺旋階段が見え、正面に大きな門、左右には廊下が広がっており、広間の真ん中には分厚い鎧に身を纏った屈強な剣士の銅像が建てられており、足元には剣聖オルフォルトと書かれていた。


「坊っちゃまをお呼びいたしますので、少々お待ち下さい」


そう言って螺旋階段を上がって2階へと消えていき、数分後にミドラが現れた。


「待たせたな、こっちだ」


見慣れた部屋着で2人を出迎えるも、返事のない2人。


「なぁミドラ、これって本当に剣聖オルフォルトなのか?」


「にしてはなんか装備が古臭っ、、、じゃなくてゴツゴツしてるよね」


「それは昔国外でオルフォルトの実像を父が見て、それを彫刻師に頼んで真似て作ってもらった物だ、実物となんら遜色ないぞ」


「ふーん、なんか俺が思ってたのと全然違うな」


想像していた剣聖との落差が激しく、カイトの中で何かが崩れる音がした物の、早速本題に移る。


「まぁそんな事より、親父さんは?」


「今父は留守でな、帰宅は夜になるとの事だ、その間暇だし屋敷を案内しよう」


それからカイトとサバトはミドラの父が帰ってくるまで屋敷を案内してもらった。


そして屋敷と敷地内を回るだけで、日が暮れてしまった。


カイトの想像していたよりも遥かに広大な敷地内には、アスレチックや潜水プール、トレーニング施設、更には魔物が湧く魔石が設置された森があった。


「町とかに魔物の被害は出ないのか?」


「結界石を破って魔物が一度柵を越えて町に出た事が一度あったが、その一度キリだ」


「町の人もよく反対しなかったね、柵があるとはいえ、家の側に魔物が湧く魔石を設置してあるんだもん」


「百を超える苦情がきたが、力づくで父が説いたと聞く」


「絶対ろくな事してねぇじゃん、、親父さんはどんな人なんだ?」


「ん〜、どんな人かと言われるとな、、一言で表すと剛力無双だな、我が最も尊敬する人で、我の誇りだ」


敬意を持って父の事を誇りに語るミドラを見て、微笑むカイト。


ゴォーンッ!!ゴォーン!!


突如屋敷の屋上に建てられた大きな鐘が鳴り、ミドラが顔色を変えた。


「父のご帰宅だ!急いで出迎えるぞ!」


「おぉっ」

「わぁっ!」


サバトとカイトの手を取り、急いで屋敷へと走るミドラ。


屋敷へと着くと十数人程のお手伝いさんの様な人達が入り口の広間に集っていた。


ガチャ


そして扉が開くと同時に一斉に全員が頭を下げた。


「「「「お帰りなさいませ、旦那様」」」」


「長旅ご苦労様です、シドウ様」


*「うむ」


低い声でそう一言返事し、ミドラの方へと歩み寄るのが聞こえたカイト。


「父上、、」


ガバァッ!


「ミドラ、先の大陸大会ではよく優勝した、父としてお前を誇りに思うぞ、これからも精進するのだ」


「はい、1日でも早く父上の様に立派にオルフェオン家を継げるよう、精進致します」


「あぁ」


熱く抱擁を交わした後、頭を優しく撫でた後、カイト達に気が付く。


「此方は、、?」


「あ、すいません申し遅れました、僕はミドラ君の学友でして、カイトと申します。そして僕の隣にいるのがミドラ君の子分であるサバトと申します」


頭を上げると、目の前の男の放つ気配に圧倒されそうになるも、何とか堪えて挨拶をする。


見た目はミドラと同じ藍白色のパーマの髪を肩まで伸ばし、キリッとした三白眼は見ただけで人を圧倒する程の眼力。オルフェオン家現当主シドウ・オルフェオン。


「ミドラの学友か、いつも世話になっているな、私に似て少し我儘が過ぎる所があるが、芯はしっかりと育てたつもりだ、今後も仲良くしてやってくれ」


そう言ってカイト、サバトの順番で優しく頭に手を置き、部屋へと戻ろうとした途端、ミドラが引き止める。


「父上!この前頼んだ件なのですが!」


「その件は明日話そう、今日は少し疲れた」


「分かりました、、」


そう言って服を脱ぎ捨て、使用人に渡しながら階段を上がっていくシドウ。


「すまない、父も外出でお疲れの様だ、明日に改めてもらっても構わないか?」


「構わないぜ、頼む側だしそれくらい」


「ふぅ、、ミドラのお父さん凄い威圧感だったねぇ、気圧されてカイトの紹介に突っ込めなかったよ」


こうしてこの日1日はミドラの屋敷でお世話になり、次の日の朝、改めて頼みにシドウの元に訪れるカイト達。


「という事で、クハン老師の精霊展に行って、直接相談したいのですが」


「理解した、友の為にお前が自ら発起したのだな」


「はい」


「だったら分かっているな?」


「はい、友の為ならば、持てる力を全てぶつける所存」


「よく言った、5分後、屋敷の裏にある庭に集合だ」


何とか話は聞いてもらい、シドウの部屋を出た一同。


「問題は此処からだ、大丈夫なのか?」


「どちらにせよ選択肢は他にはない、やれる所までやってみせるさ」


それからカイト達は一足先に屋敷の裏庭へと向かい、時間になるとシドウが剣を携えてやってきた。


「オルフェオン家の力が借りたければ、力で示せ、それがたかがお使いであろうが何であろうが」


「はい」


「覚悟は出来ている様だな」


ミドラが剣を鞘から抜き、青眼に構え、シドウも構える。


「カイト君、君が開始の合図をしてくれたまえ」


「え?はい、、じゃあ、用意、、始め」


フッ

ドォーーンッ!!


カイトが試合開始の合図を放った途端、僅かに一歩前に踏み出す音が聞こえた次の瞬間にはその場から吹き飛ばされていたミドラ。


「ま、参りました、、ぐふっ」


(ちょっと待て、何も見えなかったし何が起こったんだ!?合図をした次の瞬間にはもう吹き飛ばされただと?息子相手に手加減って言葉は、、)


たったの一合で折れた剣を地面に置き、降伏するミドラ。


「なっ、ちょっと待て、今のたった一合で諦めるなんてらしくないぞ?」


「すまないカイト、、余りもの圧力に手が震えて、、」


「という訳だカイト君、わざわざ遠くから足を運ばせて悪いが、ミドラにはまだその資格は無かったようだ」


そう言って刀身を鞘に収め、その場から去ろうとするシドウ。


「、、待ってください!俺が挑戦してもいいですか!?」


「何を言っているカイト!?」


「そうだよカイト!オルフェオン家の力を借りたいなら、オルフェオン家であるミドラ君を頼らないと」


言葉の途中でカイトが手でサバトを抑止する。


「オルフェオン家の家訓は素晴らしく、尊重しています、ですがこれだと筋が通らないと思いませんか?」


「筋?」


立ち止まって振り返るシドウ。


「はい、頼み事をしたいのは俺なのに、直接俺ではなくミドラ君が戦うのって、先ほど言った様に家訓は分かりますが、筋違いなのではないかと、なので言い方を変えます、シドウさん、貴方に直接頼みます、僕が一本取ればチャンスを下さい」


「、、そうだな、確かにそうだな!だがそうなれば私が受ける義理が無くなるのだが、それはどうするのだ?」


再び振り返り去ろうとした所にミドラとサバトが道を塞ぐ。


「父上、、私からも頼みます」


「ぼ、僕からも、、」


ミドラに続いてサバトも頭を下げる。


「フフッ、ミドラに頭を下げさせるとは、本当に信頼しているのだな」


小さく呟き、再び振り向きカイトの目を見る。


すると突如全身の毛が逆立ち、悪寒が全身を凍てついた。


(っ!威圧!?)


ヴァイスに昔一度放たれた本気の圧よりも数倍重い圧が全身にのしかかるも、それより歪で、悍ましく、比べ物にならない程の圧を知っているカイトは、それを思い出しなんとか腰に携えた剣に手を添えるカイト。


「ほう、、戦場の大人ですら、尿を漏らす程の圧を与えたつもりだが、剣に手を添えるとはな」


「実際逃げ出したいですけど、引くに引けないので、、」


圧を消し、鞘から刀身を再び取り出すシドウ。


「覚悟を見せて貰ったのだ、此処で鞘から身を出さねば剣士として恥、準備はいいな?ミドラ、合図を」


「始め」


ブワッ!!


剣を構えた瞬間、再び全身に悪寒が走り出し、その隙にシドウがワンステップで目の前まで近づいた。


(早っ!)


目の前まで近付いたシドウに対し、やっと圧を解いたカイト。


ブゥンッ


一歩踏み出しシドウが剣を振り下ろそうとした瞬間...


バリバリバリッ!!


シドウが振り向いた時に仕掛けたトラップをシドウが踏み、試合で使う一時的に相手の動きを止めるレベルの電流ではなく、一般人が死ぬレベルの電流がシドウの全身を駆け巡った。


「ふんっ!」


しかしそのレベルの電流ですら一瞬剣の動きを止めただけに過ぎない。


パシッ


がその一瞬だけでも必要だったカイトは、身を伏せると同時にシドウの足元に手を付けた。


『テレポート』


シュンッ


カイト達のいた場所から10メートルくらいの空中にシドウ毎瞬間移動させる。


シュンッ


そして手を離してもう一度テレポートを使い、元いた位置に戻る。


「ふぅ、、見せたくなかったけど、やるしかねぇな」


空中に投げ出されたシドウは即座に空中で体勢を立て直し、空を蹴り物凄い速さでカイトに迫る。


対するカイトはポケットルームから僅かに身を出した持ち手を引き出し、純白の刀身をした刀を取り出した。


『一天四海』


『穿象』


四臂に握られた剣と、一本の剣が正面からぶつかり合い、地面は抉れ、近くにあった木々が倒れていく。


「ふんぐっ!!」


「ぬんっ!」


4本の剣がシドウの剣を止めている筈が、剣をすり抜け重い衝撃がカイトの胸を打ちつけた。


「ごふっ!、、なん、だ、、」


剣を握る力が弱まるも、胸の傷を癒しながら踏ん張り続けるカイト。


「もういいかな?」


「?」


ズゥン!ズパァン!!


「ガハッ」


シドウが口を開いた次の瞬間、カイト溝内に再び殴られた様な衝撃が走り、肺の空気が一斉に口から抜けていき、吹き飛ばされる。


「カイト!!」


「発想力と根性は良いが、まだまだだな」


すぐさまミドラとサバトがカイトに駆け寄り、シドウは一言言ってその場を後にした。


「ゴホッゴホッ、、お前の親父さん、手加減って言葉知らねーのかよ」


圧倒的な力の差と、防御を貫通する謎の衝撃に完敗するカイト。


「父はああやって老若男女誰に対しても、手を抜いた事は無い、にしてもよく父の威圧の前にあれ程動けるな」


「ふぅ、ありがとうサバト、もう大丈夫だ」


シドウと奮闘とまでは行かなかったが、一応戦いが出来ていた事に感嘆するミドラに、身体を支えてくれたサバトに礼を言いながら、シドウが去っていくのを見るカイト。


「圧は確かにすげぇけど、それ以上を知ってるからまだ動けたよ、ちっ、にしても俺の最強の技が涼しい顔で放った突きにやられるのは流石に悔しいぜ」


「いやいや、止めたミドラのお父さんも凄かったけど、カイトなんだよあの技!それにその剣!今まで一回も見してくれなかったじゃんそんなの」


「よせサバト、我らは確かに友人だが、カイトはウルミストの生徒だ」


「なぁ、精霊展の入場券の発売日まで後何日だ?」


「えーっと、確か3日!2日に分けて入場券が売られるんだけど、大体1日目で売り切れちゃうから実質1日みたいなもんだよ、どうしたの?」


それを聞いたカイトは口角を上げ、それを見て嫌な予感をしたサバト。


「ミドラ、もう少しお前の家泊まっていっていいか?」


「良いが、そんなに我の屋敷が気に入ったのか?」


「それもそうだが、発売日まで絶対にお前の親父から一本取ってやる、あんな大人気ない人初めて見たぜ、ミドラも諦めんな、明日も明後日も明明後日もあの人に時間がある時、ずっと決闘を申し込んでやる」


「はぁ、熱が入っちゃったよ、もう僕が何を言っても無理だから、ミドラ君が決めてよ」


「元々我が引き受けた事だ、此処で諦めては剣士の恥、我も共に戦うぞ」


「よっしゃ!そうと決まれば、もっかい申し込みに行くぞ!」


こうして精霊展の前売り券が発売される3日後までに一本取れるまで、カイトとミドラはシドウに挑み続けると決めたのだった。



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