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第2章 大陸大会決勝 Ⅰ


『さぁさぁさぁ!!大変盛り上がりました大陸大会1年の部決勝戦!』


1年の部決勝戦は最弱校ウェモンド学園vsウルミスト学園となり、かなり拮抗した勝敗が繰り返され、副将戦でまさかの引き分けとなり大将戦。


ウェモンド学園大将、今大会のダークホースと言われているアゴン大陸出身であるエリウス。金髪のツンツン頭の垂れ目で、拳術を主に扱う選手で、その戦いっぷりはまさに鬼と称えられる程の豪快で、殆どの相手を一撃ののしてきた。


対するウルミスト学園大将はカイトがもっとも尊敬する最強の夫婦の娘であるシエル。今大会の1年最注目株、2年の部の様に強いと分かりきった四貴族同士や六星の対戦カードがない1年の部は少々盛り上がりに欠けていたが、この2人が頭角を表した事により1年の部もかなりの盛り上がりを見せている。


そして激しい戦いの末決着がついた。勝者はウェモンド学園大将エリウスだった。激しい攻防の中、何やらまだ実力を隠す様なエリウスの戦いに、少し腹を立てたシエルがエリウスを追い詰め、無理やり本気を出させたシエル。


それからと言うもの、試合は一方的な物になっていった。そして試合が終わりエリウスの左手には微かに光る紋様が浮かび上がっていて、カイトは思い出す。


「あれって、、」


それは初めて出場した闘技大会でのスペシャルマッチ。当時の五星3人を纏めて倒した男、自らをメシア六柱と名乗ったユゼルのと同じ紋様だった。元々ユゼルは剣術科の中ではかなりの落ちこぼれと言っていいほど、剣術には才能がなかったと聞く。しかし闘技大会が始まる辺りから突如力をつけ始め、挙げ句の果てには五星のうち3人を倒してしまうほど。


それ程までの強大な力を手にする事が出来ると予想されるメシア六柱。


つまりシエルの対戦相手は、かなりのチートキャラだと言う事だった。そんな相手によく善戦した方だと思ったが、シエルの性格上相手がチートキャラだろうが、負けは負けと言う考えが家族から引き継がれている。


「相手とどれだけ実力差があったとしても、ちゃんと努力して追い抜こうとする精神、本当偉いなシエル」


悔しそうな眼差しで、眼に浮かびあがる涙を浮かべながら、舞台から降りるシエル。


それと今大会からの追加ルールで、決勝戦のみ各学園の大将がもし連戦する事になれば、体力と魔力回復のポーションを使用し、全快した状態で次の試合へ挑める様になる。


こうして1年の部が終わりすぐさま2年の部へと移行した。


『さぁそれでは両チームの入場です!!温かい拍手で迎え入れてください!!』


会場の東側からウルミスト学園のチーム、西側からグレアモル学園のチームが入場し、控室の前で整列する。


『それでは先鋒の選手は舞台へとお上がりください!』


ウルミスト学園からスカーレット、グレアモル学園からはバッキアが舞台へと上がった。


「先鋒はバッキアか、、スカーレットなら問題無いだろ」


グレアモルの出場選手とは全員手合わせした事のあるカイトは、どちらに軍牌が上がるかを予想する。


『始め!!』


『スナイプショット』


試合開始と同時に、大弓を換装ぜ取り出し弦を一瞬で引き伸ばし、魔力矢をバッキアに放つ。


魔法拳士であるバッキアは基本的に相手の戦い方を見て戦闘スタイルを変える。遠距離なら自身のあるインファイトを選び、近距離なら得意の岩魔法で牽制し、近づいてきた所でインファイトに持ち込む。


『ロックインパクト』

ガァン!!


サァァァァァァッ


大弓を使ったスカーレットを見て、即座に前方へ巨大な岩を飛ばし、砂煙を撒き散らしトップスピードで一気にスカーレットの懐へ入る。


『岩砕衝波』

パシッ


「んなっ!」


拳に魔力を溜め込み、背後から捉えたスカーレットの背中に拳を放った瞬間、まるで後頭部に目があるのでは無いかと思うほど見向きもせず正確にバッキアの手首を取り、一気に地面へと放り投げた。


パァン!!


体が地面に打ち付けられる前に、地面の上に砂を大量に敷き、クッションにする。


ガッ!


バッキアは即座に自身の手首とスカーレットの両手を岩で固定する。


ガァン!!


「そこっ!」

『岩手刀』


スカーレットはすぐに固定された両手に膝蹴りを入れ、岩を粉々にしたが、同時に空いているもう片方の腕から放たれるバッキアの手刀をもろに横腹に喰らい吹き飛ぶ。


ブゥンッ!


「へへっ、危なかったぜぇあっ!」

ズルンッ!


吹き飛ぶ直前に鞭を換装し、バッキアの足首に巻き付け、飛ばされたと同時に鞭を引っ張り、片足が頭の位置と入れ替わり転ばせる。


『雷鞭』


すかさず鞭に電流を流し続け、感電しているバッキアの身体ごと引き寄せ、レイピアを換装し首元に当てスカーレットの勝利となった。


「やっぱりな、ていうかバッキアの手刀食らった瞬間、スカーレットの奴上手いこと横腹にだけ闘気を集中させたな」


予想を見事的中させるカイト。


続いてグレアモル学園の次鋒レニオが舞台へと上がった。


「レニオはちょっと厳しいだろうなぁ〜、あいつ持久戦が得意だから、短期戦が得意なスカーレットはどうだろうなぁ〜」


『俺様はレニオって奴が勝つと思うぜ』


「じゃあ俺はスカーレット、負けたら皿洗い1週間な」


『上等だ』



『始めぇ!!』


『焔風扇』

ブォン!!


またも試合開始と同時に仕掛けたのはスカーレット。等身大の扇を取り出し、ハンマー投げの要領で振り回し巨大な突風を発生させ、その上に炎の魔力を上乗し、突風が一瞬にして吹き荒れる豪炎と成り、レニオに襲いかかった。


『アゴニインパクト』


ブフォンッ!!


『アゴニピラー』


レニオは襲いかかってきた豪炎を炎の衝撃波で安易と弾き返した後、すぐに炎の柱を自分に向けて放った。


レニオの頭上を見ると、いつの間にか移動していたスカーレットが盾を構えていた。


チッ


袖が微かに燃えるが、気にせず空中でレニオに向けて盾を投げて着地までの時間を稼ぐ。


スッ


ブォッン!!


ブォッン!!


盾は軽やかに避けられ、地面に着地したと同時に炎柱が舞い上がり、それを避けるも立て続けに炎柱がスカーレットを襲う。


「キリが、、ん!?」


何かに気がついた様にスカーレットが避けるのを止めると炎柱がスカーレットを包み燃やした。


「あらら、もう気付かれたか」


悪戯がバレた様な顔でレニオが呟く。


スッ!


炎柱の中から無傷のスカーレットが歩いて出てくる。


「全部ダミーだったのね、、」


「よく気づいたね、、」


『武芸百般』


舞台を覆う程の魔法陣が展開され、魔法陣の中から数々の武器がレニオに降りかかる。


「うわ〜、怒ってるねスカーレット」


「対戦中に遊ばれるのが1番嫌いだからね」


控室から対戦の様子を見るラゼッタが、レニオの態度にご立腹したスカーレットを見て呟く。それにセニカが準備運動をしながら説明する。


「うおっとっと!、、あぶねっ!」


『剛破斬』


レニオが魔力を温存した様な立ち回りを見せられ、遂にレニオが降りかかる武器を避けてバランスを崩した瞬間に、降りかかっている大剣にテレポートし空中で掴み、そのままレニオに叩き込む。


「引っかかったね!」


『アトミックフレア』


シュンッ!


1メートル程まで迫ってきたスカーレットに対し、圧縮した青い炎を放つも、瞬間移動で避けられる。


「もう貴方の攻撃は当たらないわよ」


『スパークショット』


レニオの背後に落ちていた弓矢に瞬間移動したスカーレットは弦を最大まで引き、雷の魔力矢を放ち。その場から消えた。


『アゴニインパクト』×『アゴニピラー』


右手から発する炎の衝撃波で電撃の矢を弾くと同時に、左手に魔力を込め、スカーレットが瞬間移動で飛んだ位置にすぐさま炎柱を発生させるも、再び瞬間移動で避けられる。


「そう何度もテレポートを使ったらそう長くは持たないだろ、耐え切れれば僕の勝ちだ」


再び着地点に炎柱を発生させるも避けられる。同じ事を繰り返す事数回で、レニオが気付く。


(さっきから飛んでいる位置が全部武器の場所、そして飛ぶ先はいつも僕の視界外、だったら次飛ぶのはそこ!)


『アトミックフレア』


ズウォン!!


同じ様に炎柱で武器を構えるスカーレットを攻撃し、今度は今スカーレットが消えた位置から自分の視界外にある武器全て包み込むほどの蒼炎を放ち、武器を落とした人影が見え、すぐに炎を消す。


「当たり!」


「ハズレよ」

ボフンッ


『烈拳』


雷の魔力矢を放ってから展開した自身のクローンが四散し、目の前までテレポートしてきたスカーレット。カイトに教えてもらった技を放ち、レニオの顔を地面に叩きつける。


『勝者!スカーレット!!』


「よっしゃ俺の読みが当たってたな!皿洗いよろしくぅ!」


『くそっ!』


順調に勝ち進み、中堅戦まで勝ち進んだスカーレット。残りの魔力も2割しか無いものの、セニカに少しでも楽なバトンを渡すため、力尽きるまで戦う事にするスカーレット。


「まだやんのかスカーレットの奴、でも悪いけど流石に次で止められるぞ」


『続いてグレアモル学園中堅フォイド選手の登場です!』


舞台に白い長髪を靡かせ颯爽と現れるフォイド。


『始めぇ!』


『霧元流・夕凪』


ズガガガガガッ!!


「今の止めるか!?やるな!」


試合開始と共に霧を発生させ、フォイドの1振りで放たれた無数の斬撃に対し、大盾を換装して耐えるスカーレット。


ドォンッ!!


斬撃が止んだ瞬間、スカーレットが盾を力強くフォイドに向けて蹴り飛ばし、その場から消える。


ガァン!


『百器夜行』


空中に巨大な魔法陣が展開され、魔法陣の中からスカーレットが扱う百の武器が僅かに姿を覗かせ、一斉にフォイドに向けて放たれた。


ズガガガガガッ!!

シュインシュイン!


ドォン!!

ガァン!!


会場全体が衝撃によって巻き起こった砂煙に覆われ、中から地面が抉れる音や、金属音などが鳴り響き、数秒で止んだ。


シュインッ!

ブォン!!


舞い上がる砂煙に一筋の剣閃が走り、直後砂煙が全て風で吹き飛ばされ、中の様子が露わになる。


地面にはスカーレットが倒れており、フォイドがゆらりと舞いながら着地をした。


「ふぅ、、魔力切れになるまで戦うなんて、万全の状態であなたとは勝負がしたかったな」


『勝者フォイド選手!!』


魔力切れのスカーレットを係員が担架で運び、そのまま次の試合へ移行した。


『続いてウルミスト学園次鋒セニカ選手の登場です!』


「スゥゥゥゥゥゥゥッ、、頑張れセニカぁあああ!!」


セニカが入場した途端、誰よりも大きな声で応援するカイト。


「今は同じ学園なのにひどいねカイト君は〜」


セニカに放った声援にフォイドが苦笑いしながら呟く。


『始めぇ!!』


「ふぅ、、よしっ!」


『霧元流・移流』


ズォンッ!

ダァン!


セニカが気合を入れた瞬間、フォイドがセニカの足元に低空飛行する斬撃を放つもしっかりとジャンプして回避する。


『霧元流・夕凪』


『黙想六花』


ジャンプした先に一振り無数の斬撃を放つも、目を閉じながら全ての斬撃を弾き返す。


ザッ

『二ノ劔・花月』


キィンキィン!!


セニカが攻撃を弾き返すと同時に、フォイドが前に一歩踏み出すが、左右から飛来してきた2本の魔法剣にリズムを狂わせられ、やむなく魔法剣を斬り砕く。


『一ノ劔・辻斬り』


シュインッ!


牽制で放った魔法剣をフォイドはセニカに向かって走りながら斬り伏せ、ワンステップで一気に距離を詰める。


『霧元流・霞斬り』


霧を纏った剣を横に振り、セニカが剣でガードする。


スッ!

(剣が当たらないっ!)

フゥンッ!


剣の軌道を読み、その軌道上に剣が通ったが、当たると思った軌道上で剣が触れ合わず、おかしいと感じたセニカは咄嗟の判断で、腰を後方に倒し斬撃を回避する。


「反応が早いね」


僅かに切れた髪を見て、少ししょんぼりする暇もなくフォイドが再び剣に霧を纏って今度は縦に剣を振り下ろす。


ダァン!

『御劔の舞』


後ろへステップバックし、攻撃を避けた後即座に魔法剣を4本目の前に展開し、フォイドに向けて放つ。


『霧元流・虚空』


姿が耐えられない程の濃霧がフォイドの全身を覆い被さり、4本の剣が同時が同時に斬りかかっても掠れた音が聞こえず、次の瞬間正面左右上下から霧がセニカに向けて真っ直ぐ伸びていく。


「せあっ!」

スッ


『花月』


フォォンッ


1番早くセニカに近づいた正面の霧を斬り払い、次に左右から伸びてくる霧を魔法剣で斬り払い一歩前に出て上下の霧に対応する。


『霧元流・夕凪』


シュインッ!

『明鏡止水』


突如上の霧からフォイドが姿を現し、セニカは4本の魔法剣を自身の目の前に展開し、無数に切り裂く斬撃を全て弾き、フォイドに向かって天歩で近づく。


『ファウスト流・冥城天下』


斬撃を弾いた魔法剣が間合いまで詰めたセニカの前に現れ、上下に2本ずつ分かれ、剣を振り下ろすセニカの動きにリンクし、一斉に上下からフォイドを斬った。


ブォン!!


「かかったね!」


セニカの攻撃が当たる直前、フォイドは再び霧の中に消え、次の瞬間には下からセニカに伸びていた霧から剣を構え姿を見せた。


(まずい!レオ!)



『無限流・移っ!』

『ガァウ!!』


ガキィン!!


「うおっとっと!、、まさか精霊持ちだったとは、今ので勝ったと思ったのに」


『霧元流・虚空』


レオに技を中断させられ、距離を取り再び霧に紛れるフォイド。


「ふぅ、魔力をセーブして勝てる相手じゃ無いね、、本気で行かなくちゃ」


直前の打ち合いで、相手の実力が前の2人と違う事に気が付いたセニカは、魔力を温存して次に備える考えを捨て、全力を出し切るつもりでいく。


ポケットルームから獅子の柄をした剣を取り出し、鞘から剣を抜き上段に構える。


「おっ!様になってるね」


剣を取り出し構えるセニカの姿を見て、喜ぶカイト。


ブォッ!!


今度は8つの霧がセニカに向かって伸びる。


ザッ


ファウスト流の構えを取り、静かの霧が届くまで静かに呼吸をする。


ブォンッ!!


『スピリットソウル』


剣に炎の魔力と、レオとの精霊術による剣との一体化を組み合わせる。


ブォォォォォォンッ!!


凄まじい勢いで剣から炎が吹き荒れ、刀身を炎が包み込み、ゆっくりと刀身が赤く、そして長くなっていく。


『獅炎剣・灼火』


ブォォォォォォン!!


剣を勢いよく振り下ろし、目の前の景色を一瞬にして両断し、炎で燃やし尽くす。


「あっつー!、、なんて技だよっ!前が見えねっ!」


吹き荒れる炎の熱風が観客席まで伝わり、思わず両腕でガードするカイト。


『勝者!!セニカ選手!』


それから直ぐに実況席から勝者宣言がされ、舞台を見るとフォイドが黒焦げになって倒れていた。


「きゃっ!ちょっとやりすぎた!」


黒焦げになったフォイドを見て、急いでかけより水魔法で冷やすセニカ。


そのまま係員に担架で運ばれて、次の試合へと移行した。


『さぁ続いてグレアモル学園も残るは副将と大将のみとなりました!!副将サバト選手!舞台へとお上がりください!』


サバトが舞台へ上がる。


「たった2人で副将までのし上がるなんて、やっぱり同年代のウルミストの生徒は豊作なんだね」


「ふぅ、、手加減は無用よ」


荒くなった息を、整え剣を握るセニカ。


『始めぇ!!』



ビュンッ!


『昇り渦』


試合開始と同時に、一瞬でセニカの懐まで入り、2本の曲刀を振り上げる。


『星回不天』

シュルルルルルルブォンッ!!


斬り上げた瞬間セニカはガードするも、体毎砂塵の竜巻に持ち上げられる。しかし直ぐに巻き起こる砂塵に対し風の魔法剣を手裏剣の様に回し、砂塵を払いながらサバトに投げつける。


『渦潮烈波』


投げつけられた魔法剣に対し、サバトは2本の曲刀を構え勢いよく回転し、そのままセニカの魔法剣をとぶつかり合った。


ギギギギギギッ、キィン!!


一瞬の削ぎ合いの末、サバトが回転力を更に上げセニカの魔法剣を弾き飛ばした。


『鬼哭』

ガキィン!


『乱砂刃』


魔法剣を弾くとサバトの頭上から回転しながらセニカが剣を振り下ろし、サバトが回転を止め、1本の曲刀で勢いを少し殺し、もう1本の曲刀でセニカの横腹を狙う。


『明鏡止水』

キィン!!


サバトの剣を横腹に生成した1本の魔法剣でガードし、最後の魔力を振り絞りもう3本の魔法剣を生成する。


『九十九夜』


鍔迫り合いから、剣を引き後ろへステップバックする。


そして獅子の柄をした剣の切先をサバトに向ける。


スッ


セニカが切先を向けたと同時にその動作に呼応し、4本の魔法剣も同時に切先をサバトに向ける。


ダァンッ!!


ワンステップでサバトの懐にまで潜り込む。

がしかし...


シュインッ!


「残念だけどもうここまでかな、魔力ももう底を尽きかけているし、動作も前の試合と比べるとかなり鈍くなっている」


セニカの剣をいなしながら魔法剣を避け、セニカの背後に一瞬で回ったサバト。


『捻れ渦』

キィン!!


「舐めないで!」


『鬼哭啾啾』


バランスを崩しながらも、サバトの放った捻れた斬撃を4本の魔法剣でガードし、勢いが弱まった斬撃を弾き、即座にサバトの頭上へ移動し、2本の魔法剣を生成し身を回転させながら同時に振り下ろす。


『荒刃』


対するサバトは避ける気配を見せず、2本の曲刀を力一杯振り下ろす。


ブォオオオンッ!!


荒れ狂う砂塵がセニカに襲いかかり、同時に砂に紛れた刃がセニカを襲った。


(これだけの刃、、いなしきれ、、)


ブォンッ!!


「んぐっ、、まだっ、、」

ジャキッ


「流石にもう辞めだって、、」


そのままセニカを吹き飛ばすも、再び立ち上がろうとするセニカを見て、焦りながら首に曲刀を当て、サバトの勝利となった。


『勝者サバト選手!!』


「くぅぅ!フォイドとの戦いで使ったあの新技でだいぶ魔力を使ったかぁ」


背もたれに倒れながら、悔しがるカイト。


『さぁ続いてウルミスト学園中堅!アルベルト選手の登場です!!』


「そんな奴やっちまええええ!!サバトぉおおお!!」


今度はウルミスト学園側でなく、何故かサバトを応援するカイト。


「ふんっ、外野が出しゃばるな」


何を言ったかカイトには聞こえなかったが、嘲笑まじりの顔を見ればあらかたおちょくられていると感じたカイト。


『始めぇ!!』


『砂塵烈風』×『乱砂刃』


シュインッ


試合開始と共に、舞台を砂塵で包み。巻き起こる砂塵に紛れさせた刃がアルベルトに向かって放たれるも、しっかりといなし、出方を伺う。


『渦潮烈波』


シュルルルルルルッ


『青天四山』×『漂水』


シュインッ


「ふえっ!?」


剣にいなしの精度を上げる青いオーラが纏い、残像が見える程の速度で高速回転をしながら迫ってくるサバトの回転斬りを、初撃でいなすアルベルト。


『閃双』


そしてすぐさま流れるような動作で、2連撃をサバトに打ち込む。


キィンキィン!!


「1発で見切られるなんて、流石のミドラくんでも出来なかったのに、、」


自身の得意技を初撃で見切られた事に不満を述べながら、アルベルトの2連撃をガードし、距離を取って再び砂塵の中に姿を隠すサバト。


『黒闘閃』

ダァン!!


剣に纏った青いオーラを解除し、今度は闘気を纏わせて、砂塵に紛れたサバトに一直線、それもしっかりと姿を捉えている様な足取りで、刺突攻撃を放つ。


「うおっ!」


キィン!!


「ちょっ!それは!」


『天斬』


アルベルトのこちらを捉えている様な攻撃に焦るサバトが跳躍して技を躱すも、付いてくる様にアルベルトも跳躍し、剣に魔力を溜め込み、魔力を放ちながら剣を振り上げる。


『降り渦』


ガキィン!!


追い詰められ、やけくそに放った一撃でアルベルトの剣と鍔迫り合いを起こすが、すぐに吹き飛ばされるサバト。


『鬼哭』


サバトを吹き飛ばしたアルベルトは、天歩を使い体勢を空中で整え、吹き飛ぶサバトに頭上から剣を叩き込み、そのまま地面に吹き飛ばした。


「んぐっ!」

ジャキッ


「こっ、降参降参!」


『勝者!!アルベルト選手!』


まさに一方的とも言える試合に、ざわつく会場内。


「おいおい、ウルミストはまだ中堅だぞ?それで副将を相手に一方的って、ウルミストにはどれだけ強い選手が集まってるんだ?」


観客の1人がそう呟くのを聞いたカイトには、しっかりとアルベルトが諸刃の技である刹鬼道を一瞬使ったのが見えたため、なんら不思議には思わなかった。


グッ

(たったの一瞬で手の震えが、、まぁ次の試合には何ら支障はない)


そのまま試合は進み、いよいよウルミスト学園は僅か中堅で敵の大将まで追い詰めた。


『さぁいよいよここまで追い詰められましたぁ!!グレアモル学園大将!!ミドラ選手!!』


『お前の学園優勝するかもなぁ』


カイトの肩から実体化したアッシュ。


「まぁでも特別ルールができたからな」


(俺もワンチャンあると思ったけど、今大会からの特別ルールじゃミドラがもし勝てば次の試合は、全快の状態で次の試合に臨むことが出来る、ウルミスト側にミドラより強い選手がいればウルミストの優勝だ)


そして試合開始の合図が鳴り響き、試合に集中するカイト。


『残雪』

シュインッ!


試合開始とともにミドラが一瞬にしてアルベルトの目の前まで移動して斬りかかる。


『刹鬼道』


キィンッ!


しかしアルベルトの眼前まで迫ったミドラの剣を片手に持った剣で安易と弾き返すアルベルト。


「なっ!」


「大将だが、四貴族だが知らんが、直ぐに退場してもらうぞ」


ツー


『鬼威』


剣を握る腕から血を流しながら、剣を捉えきれない速度で振り下ろすアルベルト。


ガキィン!!


即座に相手の鬼気迫る攻撃に、脳から発せられた赤信号に従い聖剣オルフォルトを取り出しガードする。


グググッ!!


『漂水』


シュインッ

ガァァァァンッ!!


両手で剣を防ぐミドラに対し、僅か片手のみで鍔迫り合いを圧倒するアルベルトに、ミドラは不利な体勢でもなんとか地面に剣を背後へといなし、すぐさま距離を取る。


『波紋刃』


シュインッ!!


『鬼踊り』


牽制で放つミドラの斬撃が空間に波紋を描きながら大きくなる斬撃をアルベルトに放つも、ゆらりとした足捌きで斬撃を紙一重で躱し、ミドラに向かって走り出す。


『残雪』


ダァンッ

『鬼..』

「舐めるな」

『破邪顕生』


居合の構えを取り、目に見えない速度で放たれた一閃の斬撃を跳躍して躱し、剣を構えようとした瞬間、構える隙も与えず、聖剣オルフォルトの伸びた刀身が既にアルベルトの眼前にまで迫る。


『天歩』

ダァンッ!


『鬼打ち』

ギィンッ!

ズガァンッ!!


アルベルトはすぐさま技を中断して、天歩を使い聖剣オルフォルトが振り下ろされる前に、空を蹴り真下の地面に着地し、頭上まで迫ってきた聖剣の側面を剣で叩き軌道をずらす。


『鬼卸し』

シュインッ!


右手に握った剣を腰の左に添え、地面から剣を振り上げると、斬波より細いが速度と威力は倍以上ある血を這う赤い斬撃がミドラに放たれる。


『破邪顕生・回』

シュインッ..キィィィンッ!


剣の長さを元の長さに戻し、迫り来る斬撃に回転斬りで受け止めるミドラ。


「ぬぅっ!!」

キィンッ!


地を這う斬撃を止める事に成功するが、同時に衝撃に耐えきれず、大きく後ろへ仰反るミドラ。


そして仰反る瞬間にも、ミドラの目には鬼気迫る勢いでとどめを刺さんと迫ってきていたアルベルトの姿が見えていた。


そしてアルベルトがミドラの間合いへと入り、剣を振り下ろす。


ガァンッ!!


あるべろの剣は空を斬り、巻き上がる砂煙を剣の一振りで掻き消す。


消えた砂煙からミドラの姿を捕捉し、走り出すアルベルトにミドラは再び距離を取った。


その一連の状況に、カイトとその他グレアモル学園の生徒が驚いた。


「ミドラ君が、、逃げた?え?」


控え室から見えた舞台上の出来事にサバトが思わず口を開く。


正々堂々、正面から迫り来る脅威を排除し、力の差を見せつける戦い方をして来たミドラが技を避けるのではなく、相手から逃げた事に驚きを隠せないカイトとその他生徒。


「悪いが次が控えているのでな、ここで貴様と再起不能になるまで斬り合いたいとこだが、あらかた自分を犠牲にして優勝を狙う算段、ならば付き合わなければ良い話だ」


ダァンッ!


『乱閃』

キィンッ


ダァン!


アルベルトが近づこうとも、牽制しながら距離を取るミドラ。


「ガハッ!」


そしてタイムリミットが来たのか、地面に倒れ、血反吐を吐くアルベルト。


「そこまでしてチームを優勝に導こうとする覚悟、敵にしては惜しい人材だ」


『黒閃』


「正直貴様には幾度と肝を冷やされたぞアルベルト!次こそは正面からねじ伏せてやる!」


キィンッ!!

「っ!」


倒れるアルベルトの頭上にまで迫ったミドラの剣が突如弾かれた。


そして今度は先程までとは桁違いに感じる鬼気、というより、怒気、殺気に近しい物を感じるミドラの全身に悪寒が走る。


「優勝、だと?、、何を勘違いしている、、俺は優勝なんてどうでもいい、、お前達と馴れ合うつもりもなければ、高め合うつもりもない、、」


「、、、、」


「ただあいつらを殺せるだけの力があれば後はどうだっていい」


自身の最も憎むべき兄と父を思い浮かべ、怒りと憎しみを増幅させる。


最早とっくに限界は超えているアルベルトを動かす為の唯一の原動力。手足に力を入れようとすると傷口が疼くも、その痛みさえも負の感情でねじ伏せる。


壊れてもいい、ただ目の前にいるあの男が持つ驕りをへし折るただそれだけの為...


ブォォォォッ

『一の条』


「この圧...すまないユシカ、この者に勝つ為に使う事を許してもらうぞ」


『悉皆』


もはや構えなど取らず、前方に倒れる様に脱力した後、姿を消した次の瞬間にはミドラの頭上で剣を振り下ろしていたアルベルト。


しかし眼前までに迫っているにも関わらず、冷徹と感じる程にまで落ち着いたミドラは柄を両手で握り、剣を振り上げる。


『オルフェオン流・破邪燼滅』


紅い血で光るアルベルトの剣と、白く輝くミドラの聖剣がぶつかり合い、衝撃波が巻き起こる。


キィィィィィィンッ!!!!

グッ!!


激しい鍔迫り合いで、技の反動で元々血だらけになっているアルベルトは額から流し、ミドラも顔や服に数々の裂傷が見え、そこから血が吹き出ている。


「んぐっ、、、うぉおおおおお!!!」


序盤押されていたミドラだったが、ミドラもここで考えを1つ変える。


(悪いがこちらも殺す気いくぞ!)


全力を出して戦ってはいたものの、殺す気となれば話は別、ありったけの力を全て出し切り、押し返していくミドラ。


「舐めるなぁああ!!」


珍しく声を荒げるミドラの声に呼応し、聖剣オルフォルトが更に光だし、そこから勝負は一瞬でついた。


ブシュッ!

ガクッ!


突如鼻から血飛沫を上げ、倒れるアルベルト。鍔迫り合いの中で気を失い倒れるアルベルトに対し、突如力が抜けた事によって技を中断できなく、剣がアルベルトを斬りかからんと、真っ直ぐ振り下ろされる。


「審判!!」


ミドラが叫ぶも、一瞬の出来事に僅かに反応が遅れた大会役員。しかし場内にいる2人がアルベルトが気を失った瞬間に反応していた。


『漂水』


『テレポート』


カイトは即座にテレポートでアルベルトに近づき肩に触れ、すぐさまテレポートで距離を取り、その間にユシカが観客席から一瞬でミドラの目の前にまで移動し、ミドラの剣技を上空にいなしきった。


「おいアルベルト!馬鹿野郎無茶しすぎなんだよお前は!」


「審判、判定を早く言え」


ヒールで応急手当をし、ユシカが審判に勝敗を行方を促す。


『しょっ、勝者!!グレアモル学園ミドラ選手!!』


判定が終わった後、カイトは再びテレポートを使い医務室にアルベルトを運ぶ。


「急患でおながいします!!」


「試合は見ていたわ!早くそっちのベッドに寝かせて!」


医務員の人も試合の行方を魔水晶モニターで見ており、運ばれたアルベルトを見て即座に指示をし、言われた通りベッドにアルベルトを寝かせる。


「まずいわね、リミッターを外したのにも関わらず、無茶をしたら外見も中身もボロボロ、すぐに治療を始めるわよ!後2人程人手が欲しいわ!」


「あの、、俺も一応回復魔法使えますが、、」


「え?、、君上級回復使えるの?」


「いえ、中級迄ですけど」


「じゃあ退いて!邪魔よ!」


「はい!すいません!すぐに出ます!」


僅か5秒ほどの会話で部屋から追い出されるカイト。


「チェッ、、なんであいつの所為で俺が怒らんなきゃいけねぇんだよ」


文句を垂れながら観客席へと戻り、数分後ミドラの体力も全て回復し、再び舞台へと上がり試合が再開された。


『さぁ続いてウルミスト学園副将!!ジュラン選手の登場です!!』


「アルベルトの剣撃をあれ程の受けて、本当に回復出来てんのかぁ?」


舞台に上がり早々、無傷で戻ってきたミドラに疑問を問いかけるジュラン。


「剣で語れば分かること、見たところそういった類が好きそうだが?違ったか?」


「ははっ!あんたとは気が合いそうだね!」


『始めぇ!!』


「まずはお手先拝見!」

『万灼』


いつもの余裕ある発言をしながら、剣から燃え盛る青い炎をミドラに放つ。


『漂水』

スッ


キィンッ!


技をいなそうと剣を構え、目の前まで迫った炎に剣を払おうとした瞬間、少しの風に靡く炎の隙間から、ジュランが消えているのに気が付いたミドラは、瞬時に足元の影から伸びて来ている剣を弾き、そのまま流れる様な動作で炎を斬り伏せるミドラ。


「どうやらちゃんと回復している様だな」


「さっきからまるで我を試すようなその物言い、、勘に触る男だな」


「そういう意味に捉えちまったか?ははっ!まぁいいや、本気で戦えんならそれでいい!」


『魂装』

ダァンッ!


ガキィンッ!!!

キィンキィンキィン!!


どちらも引けを取らないほどの素早い剣戟が繰り広げられ、ミドラが更に剣速を上げ、それについていくジュラン。


ギィンッ!!


そしてジュランが一歩前に踏み出し放った刺突をミドラが回避しながら剣をいなし、ジュランの左手から焔剣エニスが離れていく。


『閃双』


キィン!スッ!


右から放たれた一撃目を剣で受け、続けて放たれた二撃目を腰を横に90度曲げ回避する。


『緋炎昇』


クルッ!


腰を曲げながら斬りあげるも、軽快な足捌きでくるりと右に一回転し、斬り上げを避けた後、剣を振り下ろすミドラ。


ガキィン!!

「へへっ!」


いなしと同時に手から離れていた焔剣エニスがなんといつの間にかジュランの左手に戻っており、ミドラの剣を受け止めた後、右手に握った緋剣イグニをミドラに斬りはらう。


ガシッ!

「マジかよ、、」


ミドラはなんと両手に握っていた剣を右手に変え、残った左手でイグニを握るジュランの右手首を掴み剣の勢いを止めた。


グッ!!

ギィィィッ


ドゴォッ!


そして鍔迫り合いで力が拮抗している2人に残された唯一の武器、脚で相手を攻撃しようとするも、考えている事は一緒でミドラの足は相手の腹部を、ジュランの足は相手の胸部を捉え、互いに吹き飛ぶ。


ズザーーーッ!


「やるでは無いか」


「ふぅ、あんたもな!」


軽い会話をした後、体勢を立て直し、今度はミドラが仕掛けに行った。


『乱閃』

シュインッ!


『蒼璧』

ブォンッ!


ミドラの放った斬撃が青い炎の壁に阻まれるも、花火の様な仕掛けになっている斬撃は、青い炎の壁にぶつかったと同時に破裂し、無数の斬撃が壁を斬り刻み、残りの斬撃がジュランに飛んでいった。


キィンキィンキィン!!


『鬼哭』

ガキィン!!


残った斬撃を容易く斬り伏せ、同時に頭上から剣を振り下ろして来たミドラの剣を2本の剣で受け止める。


『霊装・凰剣イグニス』


ミドラの剣を防ぐ2本の剣が光り、ゆっくりと形を変えて1本の大剣となって姿を現した。


『鳳炎火』

ドォン!!


凰剣イグニスでミドラの剣を防ぎながら、拳を勢いよくイグニスに当てると、爆炎が刀身から吹き荒れ、一瞬でミドラを包み込む。


ブゥンッ!!


爆炎に包み込まれる中、一振りで炎を全て掻き消すミドラ。その右手には聖剣オルフォルトが握られていた。


『波紋刃』


『凰火一閃』


ズォンッ!

バッキィン!!


前に進むにつれ、波紋の様に広がる斬撃を刺突攻撃で破壊しながら突き進むジュラン。


『漂水』

シュキンッ!!


『破邪顕正』


いなしで前方にバランスを崩したジュランを見て、一気に畳みかけるミドラ。


『霊気解放』


凰剣イグニスが光となってジュランの体に溶け込む様に入っていき淡い光がジュランを包み込んだ。


『焔浄刀』

ガキィン!!


ジュランの手から極限まで圧縮した炎が刀の形となり、ミドラの振り下ろす剣を寸分の狂いもなく側面から叩き斬った。


ドォォォォンッ!!


剣の軌道を無理やり曲げられ、地面に剣が突き刺さると同時に、激しい衝撃波が発生する。


「くぅっ、、なんつぅ威力だよ!」


ダァンッ!


衝撃波で体が吹き飛びそうになるのを耐えるだけで精一杯のジュラン。対するミドラは一旦距離を取り居合の構えを取った。


『残雪』

シュインッ!


ガキィン!!


刀身を伸ばし、5メートル程離れている距離から放った居合斬りを手刀で止める。


グッ!!


「んなっ!」


グォンッ!


手刀で剣を止めたが、急激に剣に重みが発生し、何事かとミドラを見ると、ジュランの体ごと吹き飛ばそうと体勢を変えていて、反応が間に合わず横に吹き飛ばされる。


「楽しかったぞ、ジュランとやら」


『鬼哭』


ジュランの吹き飛んだ先で、頭上からミドラが回転しながら剣を振り下ろしに来ていた。


「ふんっぐ、、へっ、まだ終わらせねぇぞ」


「いや終わりだ」


ミドラの剣を止め、いつもの得意顔でミドラに抵抗していると、技を止められ着地したミドラがすぐさまジュランの手首を掴みながら、雑技団の様にジュランの頭上で逆立ち状態になった。


キィン

「っ!、、くそっ!」


そして得意げな眼差しでジュランを見つめていると、ミドラの先程いた位置から、鬼哭で飛んでくる前に放った乱閃がジュランの腹部に命中。


そして1本の斬撃が命中したことによって、爆発した花火の様に次から次へと無数の斬撃がジュランの体を刻んでいった。


「ぐぅっ、、がはっ!」

ジャキンッ


無数の斬撃を浴びている途中で手を離し、よろけるジュランの背後から剣を背中に突き立て、ミドラの勝利となった。


『勝者!!ミドラ選手!!』


かなり激しい戦いに会場から割れるほどの拍手が鳴り響き、回復しながらジュランがあっけらかんとした表情で立ち上がる。


「ふぅ、、やっぱつえぇなあんた」


「本気になればどうなってたか分からんかった試合を自ら放棄するとはな」


「ははっ、まぁ俺はあんたと手合わせがしてみたかっただけさ、現に最後のあれは気付かなかったしな」


「ふんっ、、喰えぬ男だな」


「大会の雰囲気をぶち壊すわけにはいかねぇよ流石にな、、後は四貴族同士で争っててくれや、脇役はこれで退場っと!」


そう言って負けたとは思えない様な足取りと表情で舞台から降りて控え室に戻るジュラン。


「あんたねー、別に気を使わなくていいのに、、」


明らか不機嫌な表情で舞台から帰ってくるジュランを迎えるラゼッタ。


「まぁまぁそう言ってくれるなよラゼッタ、こう見えて全力出し切ったんだぜ?」


「なぁにが全力よ!!見た感じ8割も出し切ってないじゃない!あんたにはガッカリしたわ!」


「まぁまぁラゼッタ、いくら力を抜いたからって、一生懸命戦ったジュランにそんな事言ったら酷いよ?」


ジュランに目くじらを立てるラゼッタを宥めに入るセニカ。


「そんなにミドラと戦いたくないのか?」


「当たり前でしょ?何されるか分かったもんですか、ほんっと!」


「ははっ、じゃあ次からは全力でやるかぁ」


「もう遅いわよ!ふんっ!」


それから5分後、ミドラの回復が終わり、いよいよ両校負けられない所までやってきた。


『ここまでの快進撃!まさに武神の如き活躍!!遂にウルミスト学園大将まで追い詰めましたミドラ選手!!』


『そしてぇえええ!!ウルミスト学園残るはそう!!竜狩りの四貴族!ラゼッタ選手だぁあああ!!』


ラゼッタが入場すると同時にミドラも入場し、一瞬で会場内が沸き上がった。



「「「わぁああああああ!!!」」」

「「うぉおおおおおお!!」」

「頑張れー!!2人ともぉおお!!」

「最高の試合を見せてくれぇえええ!!」


「今日も一段と綺麗だな、ラゼッタ」


「、、、、」


舞台に上がり早々ミドラがいつも通り、且つカイトに言われた様にガツガツしたい気持ちを抑えながら話しかける。


「緊張しているのか?ハハッ、こんな所で新しい1面が見られるとは我は幸s、、ごほん、それより1つ賭けをしないか?」


「、、何よ」


爆発しそうになった愛情を押さえつけ、カイトに大会前言われていた事を提案するミドラ。


「もしこの試合、我が勝てば1日だけでーとをしてくれるか?」


(でーとって確かセニカとカイトがよく出かける、、)


「嫌」


最低限の会話で済ませるラゼッタに、少しばかり心臓がチクっと痛むミドラだが、断られる事も事前にカイトがしていた通り。なので断りたくない程の条件を提案をしようと、重々しい口を開くミドラ。


「んぐっ、、やはり直接本人の前で口に出そうとすると、、くっ!」


「何よ、モゴモゴして」


「も、、もし我が負ければ金輪際!、、んぐっ、関わらない事を約束する!とかしないとかんsfg」


後半誤魔化すがしっかりとミドラの言っていた事を聞き逃していないラゼッタ。


「、、、、んーーーー」


何やらラゼッタの脳内でかなり揺らぐものがあるのか、見た感じ悩み始めるラゼッタ。


その悩む所も事前にカイトは予想しており、ミドラが再び口を開く。


「ま、まぁ、、正直万が一の確率で我の方が強いかもしれないから、う、受けなくてもいいがな?」


何故か疑問文になっているへたくそ過ぎる三文芝居でラゼッタの地雷を踏みつけるミドラ。


(へへっ、挑発されたらラゼッタはすぐに乗るからな〜、男勝りな性格が仇になったな)


観客席で自分の読みが当たっていた事に、ゲスい笑みを浮かべるカイトであった。


「へぇ〜?言う様になったねミドラ〜また昔みたいにボコボコにして泣かせようか?その賭け受けて立つわよ!」


「言ったな!?よし!本気で勝つぞこの試合!我が悲願の第一歩目!参る!」


初っ端から聖剣オルフォルトを構えるミドラに対し、スレイニル流で構えるラゼッタ。




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