第2章 大陸大会本戦 Ⅳ
グレアモル学園先鋒バッキアvsネロゴート学園先鋒ジェイル。
先鋒戦、次鋒戦、中堅戦まで互いに実力が拮抗した戦いになり、グレアモル学園副将サバトが相手校の中堅を倒し、副将戦となった。
『さぁ此処まで互いに実力が拮抗しています!!続いてネロゴート学園副将レクト選手の登場です!!』
「前大会では負けちゃったからね、リベンジさせてもらうよ」
腰に携えた湾刀をもう一本取り出し、やる気満々のサバト。
「魔剣がなくたって俺はやれる、、よしっ!」
黒剣を抜き、腰を落として構えるレクト。
『始めぇ!!』
試合開始の合図が始まると同時にサバトが動いた。
『捻れ渦』
バキィン!!
サバトの牽制で放った斬撃がレクトを捕らえる寸前で音を立てて掻き消される。
(見えない斬撃は健在かぁ、、怖くてやりにくいんだよなぁ)
『砂塵烈風』
砂を纏った風をレクトに向かって放ち、視界を奪い、姿を消すサバト。
一方レクトはその場から一歩も動かず、サバトの出方を伺う。
『乱砂刃』
キィン
砂塵に紛れた刃がレクトの視界外から放たれるも、またも当たる寸前で見えない斬撃によって阻まれる。
(一応同じとこに攻撃をしたつもりだったけどダメか、、じゃあダメ元でこれは!)
『サンドスクリーム』
サバトは砂塵に暴風を追加し、巨大な砂嵐を巻き起こし、レクトを中心に圧縮させた。
キィン!!キィン!キィン!
砂嵐は一瞬でレクトの半径2メートルにまで圧縮すると、見えない斬撃が次々と発動したのを見たレクトは急いで魔枢を探し出し砂嵐を止めた。
「ダメ元だったが、まさか掻き消せたとはね!」
一瞬でレクトの懐まで入り、砂塵を剣に纏わせ斬り上げようとした途端、レクトの口角が上がる。
ザシュッ!
「っ!」
前に一歩出した足から強烈な痛みが走り、すぐさま技を地面に向けて放ち、爆風で後ろへと飛んだサバト。
「おっとそこはもう斬ってあるよ?」
ブゥンッ
スッ!
「あぶっ!」
バランスを後ろに大きく崩しながら着地するも、レクトの一言に悪寒が走り、なんとか踏ん張る。
(斬った?、、っ!よくみるといつの間にか位置が変わってる、砂塵を出した時に僅かに動いてたのか)
サバトの着地した位置は試合開始時にレクトが立っていた位置だと気が付き、慎重になる。
「来ないの?じゃあ僕から行くよ!」
その場から下手に動けないサバトに向かってワンステップでレクトが近づき、剣をわざと遅めに横に払う。
その攻撃にサバトは受け止めるか、避けるかの選択を強いられ、やむなく剣を避ける。
「ハズレ」
ブシュ!
上半身をかがませて避けるもかがんだ先に斬撃をいつの間にか置かれており、頬が切れる。
「あー!めんどくさい!」
『渦潮烈波』
やけくそになり、その場で湾刀に水の魔力を乗せ、高速回転しながらサバトに近づく。
キィンキィンキィン!!
近づく途中でいくつか置かれていた斬撃を斬るが、幾らか見落とした斬撃に消耗されるも、前進をやめないサバト。
『空斬り』
『砂走り』
レクトが何もない目の前の空間を攻撃するも、技を中断して一気にトップスピードでレクトの側面に置かれた斬撃をもろに喰らいながら、移動し2本の湾刀を構える。
『捻転閃波』
サバトが湾刀をクロスして払うと、サバトの目の前の空間が歪みだし、高速でレクトに向かって歪みが膨張する。
「見えてれば当たらないよ!」
ダァン!
置いていた斬撃を全て捻じ伏せたのを見たレクトがジャンプして躱そうとするが、歪んだ空間に足が引っ張られる。
「ちょっ!」
「もらい!」
『曲刀奥義・荒刃』
引っ張られた先に、サバトが湾刀を上段に構え、力強く2本同時に振り下ろし、荒れ狂う砂の刃をレクトに放つ。
キキキキィン!!!
「やばっ、、っ!」
全魔力を放出して放った砂の刃は、レクトの置いていた斬撃を全て破壊しながら勢いを殺す事なく前進し、レクトに届いた。
剣を咄嗟に抜き、ガードするも空中で身動きが自由に取れないレクトは、やむなく場外へと吹き飛ばされてしまい、サバトの勝利となった。
「かはぁ!!はぁ、はぁ、、もうダメ!審判さん、リタイアで!」
そして魔力を使い果たしたサバトは、斬撃によるダメージもあり、まともに立てず、そのまま降参した。
そして数分後...
『さぁさぁさぁ!!まさか立て続けに1日で2回四貴族の戦いが観られるとは、なんたる光栄!!』
ドォォォォォォン!!
会場が再び最高潮の盛り上がりを見せる。
『それでは早速参りましょう!!まずはグレアモル学園大将!!剣を握る者で知らない者はいない剣聖オルフォルトの子孫オルフェオン家の嫡子!ミドラ・オルフェオンの登場です!!』
『対するネロゴート学園大将!!数十年前、突如としてルマリア王国に降りかかった星の襲撃、、一国とその周辺国を滅ぼす程の巨大な凶星をたった1人で破壊し、王国とその周辺国を救い、瞬く間に名を挙げた星斬りの異名を持つ英雄アドラスの血を引き継ぎ、前年ではミドラ選手とその他強豪選手を破り見事MVPとなり、ネロゴート学園を優勝に導いた覇者!!ネフェト・アドラスの登場です!!』
「四貴族、、まさにこの大会の主人公だな、あいつら以外はあんな風に大それた紹介すらさせて貰えないのは気に食わねーな」
両選手が舞台へと上がり、試合開始の合図が来るのを静かに待つ。
『始めぇ!!』
スッ、、
キィン!!
試合開始の合図と共に、ミドラとネフェトがその場から消え、次の瞬間には舞台の中央で両者の剣がぶつかり合っていた。
『閃双』
キィン!スッ!
『闇流し』
ミドラの2発目の攻撃をいなし、一歩前に踏み込み剣を素早く払う。
『無常閃』
キィン!
ネフェトの放った剣閃をしっかりと捉え、剣の側面で受け切るミドラ。
「返すぞ」
『流刃閃』
シュキン!!
剣閃を受け切った後、流れる様な動作で、斬撃を飛ばし返すミドラ。
スッ!
ミドラの放った斬撃を紙一重でひらりと右半身を後ろへ持っていき避けるネフェト。
『飛閃八門』
立て続けにミドラがネフェトの頭上まで一っ飛びした後、斬撃をネフェトに飛ばす。
スッ
「当たるかよ」
斬撃が地面に着撃した瞬間、八つに分かれた斬撃が全てネフェトに地を這いながら向かっていったが、またも全て紙一重で避けるネフェト。
『残雪』
ズガァン!!
ネフェトの真上にいたミドラは、八つの斬撃を避け切ったのを見計らってネフェトに一瞬で近づき斬りかかる。
『流天』
キィン!!
しかしネフェトは事前に来る事を察知していたかの様な動きで、ミドラの攻撃を背後へといなし、前方にバランスを崩したミドラ。
『三成流天』
いつの間にか空中に展開された闇の最上位精霊ヤタガラスが目を光らせると、前方の左右から流天を放ちながら迫り来るネフェト。
『破邪顕正・回』
ガキィン!!
「やろぉ、誘いやがったな!」
しかしその場でなんとか踏みとどまり、魔力を剣に込め回転斬りと同時に斬撃を放ち、分身と本体のネフェトを弾き飛ばした。
「あいつに得意げな顔をされるから、不本意だが使わせてもらう」
弾き飛ばしたネフェトの方を見据えて、腰を深く落とすミドラ。
「おっ!まさか俺が教えたあれをやんのか?」
『魔闘術』
全身に闘気を纏い、身体強化を限界以上まで引き上げる。
ダァン!!
『無頼剣・乱闘閃』
一瞬でネフェトの目の前まで近付き、魔力の斬撃を放つ。
『ブラックインパクト』
対するネフェトは黒い衝撃波を放ち、相殺を狙ったが、闘気でカバーされた斬撃は衝撃波を正面から喰らうも、消えずそのままネフェトに当たり、当たった瞬間、斬撃が散らばる様に爆ぜてネフェトの体を斬り刻んだ。
ピカンッ
スッ
しかし攻撃を当てた瞬間、ヤタガラスの目が光り、ネフェトの体の傷が消えていった。
「驚いたか?俺も驚いたがな!」
『死国門』
一瞬で傷を癒やし、逆に距離を詰めてきたネフェトは目にも止まらぬ速さで水平斬りを放った。
ガキィン!!
「驚くも何も、我はお前を買っているからな」
ネフェトの水平斬りを寸分の狂いもなく、剣で受け止めるミドラ。
スッ
『漂水』
スルンッ!
受け切った後に、剣に纏った部分の闘気を消し、水の魔力を帯びたさせた後、華麗に後方へと瞬時にいなす。
ガッ
ブゥン!!
『鬼哭』
背後へといなされ、バランスを崩すが一歩目で踏ん張り、背後にいるミドラに剣を振るも空を斬り。頭上からミドラが迫り来る。
ガキィン!!
「ぐぅっ!!」
スッ!!
『無手ノ型・日昇』
寸前でネフェトが剣をガードするも、すぐさま剣を離し、懐に入り込んで掌底を腹部に打ち込むミドラ。
ガッ!
ダァン!!
「寸前で剣を引いて身を守ったか、、」
黒剣を腹部に当てながら、場外ギリギリへと飛ばされるネフェト。
「くっ、、思ったより強くなってやがんなミドラ」
「お互い様だ、、ふぅ、、」
両者額に汗を浮かべながら、荒くなった呼吸を整える。
「すぅぅぅぅ、、はぁぁぁぁ、、いくぞ!」
「こい!」
『剛夜叉』
ヤタガラスの目が光り、左右に2体の分身を作り、ミドラに向かって黒色の斬撃を放つ。
斬撃を前に、ミドラはゆったりとした動作で、なぜか剣を握っていない左手を掲げ、まるで剣を握っている様な動作で、ゆっくり下に振り下ろした。
スパンッ
ズォンッ!!
左手を振り下ろした直後、大気が真っ二つに割れると同時に、ネフェトの放った斬撃が一瞬で四散して行った。
そしてミドラの左手を見ると、微かに紅光色に光る剣が姿を表した。見る者全てを釘付けにする程に立派な赤い刀身をしたその剣の名は。
「聖剣オルフォルト、、」
「前年はあまり使いこなせず、剣に振られ、一剣士として凄惨な姿を見せたが、2度同じ過ちは犯さん」
『闘斬破』
闘気を纏った地を這う斬撃、その大きさはアルベルトやカイトの放つ2メートル大の斬撃ではなく、大きさ、速さはその倍はあり、それを一瞬にして3つ、各1体に放つミドラ。
『三成流夜』
シュインッ!
いなしに特化した流天に、闇の魔力を込めて更に加速していなしすネフェト。
ガァァァァンッ!!
いなされた斬撃がネフェトの背後にある結界にぶつかり、衝撃波で砂埃が舞い上がる。
ガァン!!
シュインッ!!
....ズォン!ガァン!
舞い上がる砂埃の中、ネフェトの左から地面を砕く音、右から斬撃音が聞こえ、分身が斬り伏せられたと直感するネフェト。
すぐさま舞い上がる砂煙から逃れようと一歩踏み出した途端、正面から砂煙をかき消しながら飛来してきた斬撃を剣で受け止める。
『鬼哭』
『闇落とし』
斬撃を受け止めた瞬間、頭上から回転を加えて剣を振り下ろすミドラが現れ、ネフェトは瞬間移動で逆にミドラの頭上から剣先をミドラに向けて反撃に出る。
クルンッ
『乱闘閃』
ミドラは技を中断し、回転していた体をネフェトのいる方向で止め、一本の斬撃を放つ。
ピカッ
ダァン!
「同じ手はもう見切ってんだよ!」
放たれた斬撃をミドラは分身を自身の真横に展開し、分身と互いの足を蹴り合い斬撃を避け、分身と共にミドラに斬りかかる。
ブォン!
ネフェトと分身の剣先がミドラに触れかけた瞬間、ミドラは手から突風を発生させ、地面に着地するタイミングを早める。
「正直賭けだったが、お前が我と同じく単調で助かった」
「なっ!」
『破邪顕正』
「ヤタガラス!」
黒紫のカラスがネフェトの黒剣に同化し、技を放とうとした瞬間。
ピタッ!
ミドラの剣がネフェトの額にピタリと止まった。
「は?」
ミドラとの距離はまだ2メートル残っていた筈が何故今自分の目の前に赤い刀身があるのかと疑問に思うネフェトだが、観客席から見えた光景には、ネフェトの眼前まで赤い刀身が延びていたのだ。
「剣が伸びるって、、な、んだよ、それ」
バタンッ
激しい攻防が続き、実況席を含む観客が息を呑む中、ネフェトがゆっくりと倒れる音だけが会場内に聞こえ、ミドラが右手を天高く掲げる。
ガタンッ
「ミドラぁあああああ!!!」
その光景を見てあまりの興奮に観客の1人が席から立ち上がり、ミドラの名前を叫ぶと、それが起爆スイッチとなり、一気に静まり返っていた会場内が、歓喜の声で爆発した。
『勝者ああああ!!!ミドラ選手!!!!』
猛烈な拍手と歓声の中、ミドラの勝利を実況席が伝え、更に会場内は湧き上がった。
「ほら、立てるかネフェト」
「、、もう魔力が空っぽだ」
荒々しい口調と表情が抜けたネフェトはミドラの差し出す手を掴み、ネロゴート学園の控室から走ってきたチームメイトに肩を借り、そのまま退場する。
「次は、、絶対に負けないからなミドラ」
「あぁ、いつでも受けて立つ」
最後に言葉を交わし、ミドラは観客席にいるカイトを見て手を振る。
(これでお前の思い描いた通りの結果になるといいがな)
手を振り返すカイトは、この試合の勝利について驚きの言葉はない。
何故なら自身の持ちうる切り札とも言える闘気の使い方をミドラに教え、幾度となくミドラと試合をし、これも全てネフェトに勝たせる為にカイトがやった事であった。
ーー数ヶ月前の会話
「む?ネフェトを倒すのがお前の目標ではないのか?」
「まぁ倒すのも目標だが、理解できるかわかんねーと思うけど、玉座にふんぞりかえってる奴を倒したって意味はねーんだ」
「頂きにいるあいつに興味がなくなったという話か?」
「いや、そうじゃなくて、1番上にいる人間って自分が1番だから比べる奴がいねーの、言ったら俺がここに来る前のお前みたいな感じだよ、ユシカさんとはいい打ち合いが出来るかも知んねーけど、実力が釣り合ってないからそこまで研鑽しあえる仲ではないだろ?」
「ふむ」
「一度あいつを負かせて、自分が一番じゃないって事を思い知らせて、滅茶苦茶努力させるんだよ、お前を倒すという目標を掲げさせて、そしたらもっと強いあいつと戦えるだろ?その上で手にする勝利に意味があるって訳よ!言いたい事わかった?」
「そうなれば、我が優勝した時は誰を思って研鑽し合えばいいのだ?」
「お前は次から更に強くなってるであろうアイツに負けない様に、そんで俺にも負けないようにな」
「はっ、ネフェトはわかるがお前に負ける事など万に一つもない」
「へぇ〜、この前俺に一本の取られそうになって、どこぞの聖剣を取り出した奴は誰だ〜?あんな自分の実力とは関係無いとこで俺と差をつけて勝って嬉しいか?四期族様よ〜」
「ぬっ!その話は昼食の奢りで2度と持ち出さないという約束を!」
訓練場でカイトを追いかけ回すミドラ。
ーーー
「これで後は俺が死ぬ気で努力するだけだな」
2年の部が終了し、観客席からは退出するカイト。
ホテルにある自分の一室に戻り、ベッドへとそのまま顔からダイブする。
(観客席から見てると、みんな輝いて見えるよな〜、2回目の人生だから死ぬ程やっとけばよかったっていう後悔を一度してるから、一層みんなが輝いて見えるな)
(もしミドラにも、ネフェトにも勝てるとしたら、、やっぱり闘気になるな、魔闘術じゃなくて闘気のみを使用した闘気術、魔力なしで天烈拳やら烈刀、それに千切り星まで使えるって考えたら、無制限で飛翔する斬撃の撃ち放題、、やばいな本当、、)
コンコンッ
そうこう物思いに耽っていると、カイトの部屋のドアからノック音が聞こえ、ドアを開ける。
「よっ!サバトに部屋教えてもらったぞ!」
そう言ってムカつくほどに爽やかな笑顔でドアの向こうに立っていたのは、ルフトだった。
「なんでグレアモルのホテルにお前が?」
「まぁまぁ取り敢えず中に入れてってよぅ!」
ドアを押さえているカイトの腕を掻い潜り、ベッドを見つけるなりダイブするルフト。
「なにか話でもあんのか?」
「まぁね、、ちょっと久しぶりだから色々ね」
「母さん達は元気か?」
「あぁ、元気だよ、アルトがしっかりと喋れるようになったのと、そうそう!お前の弟異能持ちらしいぞ!」
ルフトが思い出した様に、テンションが上がりカイトにアルトの近況を聞かされ驚く。
「まじ!?そしたらあの家でないの俺と姉ちゃんだけ!?」
ルミラは一応拾い子なので実質長男のカイトだけ異能がないのであった。
「そうなるな〜、そうそうエルグランドにこの前家族旅行でエルグランドに連れて行った時に、ファミル先生が診てくれたんだよ、しかも気になる能力がなんと、腕の筋力増強だけっていう!」
「マジで!?いや〜俺からするとあるだけまだマシだぜ、、小さい時から腕の力が強かったからな、そうか〜」
それから家族の近況を色々ルフトから聞いたカイト。カミラとルドガーが喧嘩をし、カミラがルフトの母親であるシュリカの家に1日だけ家出をした話だったり、今年から前世でいう幼稚園を卒業し、5歳になったミルミア姉妹がエリーゼと同じ初等学園に入り、勉強に苦しんでいる話などどれも聞いていてホッコリする様な話を聞いて、少し寂しく思うカイトであった。
「あともう1つなんだけどな、、」
その言葉を言い放ったルフトの顔色を見て、すぐにそれが重い話か、悪い話だと察知する。長い付き合いでそういう表情は一瞬でわかるカイトであった。
「それを話したくてきたんだろ?なんだ?」
「実は、、あの、、」
「うん」
「実はもうスカーレットと付き合ってるんだ」
「、、、ん?」
ルフトの口から出た言葉に、一瞬ツッコミを入れそうになったが、表情が本気だったのでツッコミにツッコめず。
「え?本当に言ってんのか?ちょっと待て!頭がおかしくなってきてるぞ!?取り敢えずいつから付き合ってたんだ?」
「1ヶ月前、、いつもの様にダメ元で告白したら、卒業まで誰にも話さない条件だったら良いって」
「まままままま、まじ!?本気で付き合えたのかよ!イイねぇ!てかそれ俺に言って大丈夫だったのか?」
ようやく状況を呑み込み、混乱から一気に嬉しさに変わるカイト。しかし冷静になってスカーレットとの約束について言及する。
「まぁお前にだったら報告しておいた方がいいかなと思ってな、絶対に言うなよ!」
「あぁ分かってるって!」
「取り敢えず言いたい事は言えたし、出場はしないけど、明日に備えなきゃいけないから帰る、、、絶対に言うなよ!」
そう言ってルフトは恥ずかしくなったのかそそくさと部屋から出て行き、ドアを閉める前にもう一度カイトに念を押した。
「分かったって、じゃあな!」
ルフトが居なくなるのを見て、ウズウズした気持ちを発散しにテレポートを使うカイト。
「っ!!じゃあ今あの2人は!?」
「俺達と同じ、恋人同士だよ!」
「キャアアアアア!!!」
「バレるバレる!静かに静かに!」
セニカの部屋で耳打ちで秘密を速攻で漏らし、驚きと歓喜が同時に溢れ、たまらなくなり顔を手で埋めながら喜ぶセニカと、宥めるカイト。
「ダメだ!私もうあの2人を直視できないよぉ」
コンコンッ!
「キャッ!」
「ウッ!」
突如鳴り響くノック音に、驚くセニカと声が出そうな所で手を使って押し殺すカイト。
「セニカいる?明日の順番決めるわよ〜」
噂をすればスカーレットが明日の出場する順番を決める作戦会議にセニカを呼びに来た。
「あ、、うん!すぐに行く!」
「遅れちゃダメだよ」
歩き去るのをドアに耳を付けて聞き、居なくなったのをしっかりと確認するカイト。
通じもしないオッケーサインを出し、何故かそれに頭を縦に振るセニカ。
「ふぅ、、取り敢えず絶対秘密だから、もう誰にも言ったらダメだぞいいな?」
「うん、、どうしよ、、作戦会議であの2人を直視できないよ絶対、、」
「取り敢えず作戦会議に行ってきな、落ち着くんだぞ、俺の故郷ではこういう文字を書いて、食べる緊張が解けるんだ、それと何か聞かれたら便秘でも何でもいいから適当に嘘を吐くんだ!それじゃあな」
掌に『人』という字を書いて暗示のおまじないをセニカに教え、テレポートで部屋から出ていくカイト。
ガチャ
「あ、来た来た、それじゃあ始めよっか」
ルフトの部屋兼会議室にに入って来たセニカを見て、人数が揃った事を確認し、ラゼッタがくじ引きを持って来る。
「何してたのセニカ?慌てた感じだったけど」
スカーレットが自分に話しかけて来るも、スカーレットの隣に立っているルフトに目が行き、顔を赤らめて俯くセニカ。
「う、ううん!何もないよ」
「ん〜顔を赤らめてどうしたのセニカ〜!怪しいぞー!」
ルフトが問い詰める様にセニカに近付き、苦し紛れにセニカが口を開く。
「ちょ、ちょっと便秘気味で、、」
帰ってきた答えに、ラゼッタとスカーレットの2人が額に筋を浮かべ、プルプルと震えた拳を振り上げ、ルフトの後頭部に叩き込む。
「全く品性のかけらも無いんだから」
「女心に理解がある方だと思っていたけど、まさかただの女垂らしだったなんて」
「ラゼッタは兎も角、そんな事はないぞスカーレット!」
「うっ、、」
必死にスカーレットに弁明するルフトを見て、爆発しそうな顔を抑えるセニカ。
スッ
「始めないのなら俺から引くぞ」
そう言って一連のやり取りを遮る様に、アルベルトが箱の中に入っているくじを引き、中に入っていた紙を広げる。
「3番」
「あ、三竦みで引く順番決める筈だったのに!」
くじを引いたアルベルトにラゼッタが文句を言うも、それを無視する様にくじを引き出すジュラン。
「よっと!5番か!俺が大将だな」
「ちょっと!もういい加減に、、」
「取り敢えず私たち3人だけで一斉に引きましょラゼッタ」
「、、もう、本当これだから男子は、、」
協調性の無さに地面に垂れ込むラゼッタをスカーレットが支えて残りの3人で一斉にくじを引く。
「4番ね、、」
「私は2番」
「もう何でもいいわ、1番よ」
スカーレットが5番、セニカが2番、ラゼッタが1番と言う形になった。
しかし四貴族同士の代理戦争の事も考え、スカーレットはラゼッタに順番の変更を提案し、受け入れた後、最終的に順番はスカーレット、セニカ、アルベルト、ラゼッタ、ジュランとなった。
「しゃい!それじゃあ気を引きして明日に挑むかぁ!今年こそ優勝すんぞぉ!」
「「「、、、、」」」
「ておい、何で誰も乗ってくれねぇんだよ」
そそくさと自分達の部屋へと帰っていくチームメイトに、ガクっとするジュランだった。
そしていよいよ決勝当日。




