第2章 大陸大会本戦 Ⅲ
『スレイニル流』
フッ
『ダークマター』
試合開始の合図が鳴り響いた瞬間、腰を落とし槍を逆手持ちしたラゼッタが、その場から消えたと錯覚させる程の速さでサティアに向かって走り出す。
一方サティアはゆったりとした動作で右手を目先の高さまで掲げ黒いキューブを生成した。
『撃竜槍』
70メートル離れていた位置を、僅か2秒でサティアの目の前まで到達したラゼッタは、渾身の力でサティアに槍を振り下ろす。
『Γシールド』
バキィ!
バキィ!
ガキィン!!
サティアは右手に生成した黒いキューブを一瞬で変形させ、3つの四角いシールドを展開し、ラゼッタの槍を3つ目で弾く。
ピキッ!!
攻撃を弾いた後に3つ目のシールドにヒビが入る。
グワンッ
『Aソード』
サティアは即座にヒビが入り形が崩れそうになる3つ目の壁の形状を変形させ、魔力を注入し1本の黒い大剣を生成し、ラゼッタに飛ばした。
『牙槍一点』
ラゼッタは縦に回転しながら飛んできた大剣を、正面から渾身の一突きで迎え撃つも...
ブワンッ
『Αブレイド』
ラゼッタの放った突きが当たる寸前、巨大な大剣は、2つの刃に分裂して槍を避け、今度は横に回転しながら左右からラゼッタを挟み撃ちにした。
『竜翼』
分裂し襲いかかってくる2本の刃を見たラゼッタは、その場で高く跳躍しながら空間魔法で槍をもう1本取り出し左右の刃を弾いた。
『Eストライク』
2本の刃を弾いたと同時に、ラゼッタの頭上から2メートル程の円柱がラゼッタに降りかかった。
「ふんっ!まだまだね!」
「やるじゃない、じゃあこれは?」
寸前の所でガードするも、今度は真下から円柱が突き上がる。
ガァン!!!
「あっぶなーい、、っ!」
今度は左右から円柱が出現し、ラゼッタを押し潰さんと、勢いよくぶつかり合う。
グググッ!!
2つの円柱がぶつかり合ったというより、何やら途中で何かに遮られているように、円柱が少し震えている。
よく見ると、2本の円柱の間に闘気を纏わせた槍を横向きにし、2本の円柱を同時に止めていた。
「もう武器に闘気を纏わせられるようになったのか」
闘気の扱い方を見て、その成長速度に思わず口から感想が溢れるカイト。
『Eストライク』
しかし驚く暇もなく、今度はそれぞれ4方向から同時に円柱が現れ、一瞬にしてラゼッタを押しつぶした。
バタンッ
...
......
『ドラゴンストライク』
(上ね)
目の前に倒れているはずのラゼッタが、突如頭上から現れ、竜の力を込めた槍を投擲した。
『Eストライク』
不意打ちに頭上から投擲された高速の槍を寸分の狂いもなく側面から円柱をぶつけて軌道をずらすサティア。
「えぇ〜、、今ので行けたと思ったのに」
「私に不意打ちは効かないわよ」
「ちぇっ、、解いていいわよリリー」
ブワンッ
リリーは新しく生み出した空間幻術の魔法を解くと、倒れていたラゼッタが消えた。
「本当厄介だわ、その異能」
「ふふっ、、」
サティアの異能、それは不意打ちや、視界外からの攻撃を瞬時に察知する異能。前年度の大会では奇しくも不意打ちや奇襲に特化したリアンナに一枚上を行かれ敗れたものの、その敗北を糧にその危機察知能力は更に練り上げられていた。
『Αソード』
ブゥン
一本の黒い剣がラゼッタに向けて放たれる。
「ふんっ!」
バキィン!!
槍を払い目の前の剣を吹き飛ばす。
「こんなもの当たるわけっ!」
ガァン!!
頭上から見えない何かに押し潰されるラゼッタ。
「ふんがぁ!!」
しかし即座に顔中ホコリまみれにしながら起き上がり、サティアに向かって走り出した。
「っ!」
ダァンッ!
突如何かを察知したラゼッタは、大きく跳躍するも、跳んだ先で再び見えない衝撃によって、吹き飛ばされる。
グワッ!
「ふぅ、、リラックスリラックス、、」
スゥゥゥゥガァン!!
その場で深呼吸をして、落ち着くラゼッタは突如目を見開き、頭上に向けて槍を突き立てた。
「うわ、もう見破ったの?」
「へへーん!このくらい」ドォン!
「あはははっ、油断しないの」
ガバッ
「むぅ、、」
『風竜紋』
風竜の力を解き放ち、風を自身の周りに展開しながらサティアに走り出す。
『Eスパイク』
グインッ!!
サティアの手のひらに生成されたキューブがラゼッタの足元の地面に溶け込み、半径2メートルの円形に伸びた後、無数の針が地面から突き上げた。
「うあっ!」
バサン!
寸前の所で翼を羽ばたかせ、空中に逃げ込むと、展開していた風が上下から何かに押し寄せられているのを感知するラゼッタ。
『竜風輪』
ガキィン!!
上下に勢いよく放った槍は、迫り来る見えない何かを受け止める。
「感知魔法?いや、でもラゼッタはそれほど器用じゃない、だとしたら、、」
試しに背後から魔法の針を放ってみるサティアだが、ものの見事に弾かれる。
「成程、展開した風を切る僅かな音で感知してるのね、、まだまだ荒削りだけど、私のダークマターを防ぐには十分」
ラゼッタが真っ直ぐこちらに飛んでくる。
「だったら」
『グラビティプレス』
ズゥン!!
「ぐっ!!」
地面が凹むほどの重力をピンポイントで飛んでくるラゼッタに当て、身動きを封じる。
『クリムゾンリーパ』
「こちらも真っ向勝負よ!」
真紅に燃え上がる巨大な鎌がラゼッタに向け振り下ろされる。
(やばい、、)
ダァンッ!!
「ん?、、え?あれって!?」
重力場をなんとか回避し、立ち上がるラゼッタの竜紋が変わっている事に気が付いたカイトだが、驚いたのはその属性だった。
角も尻尾も翼もどれも、四元素の色とは違い、且つ光でも闇でもない、その色と質感はこの会場の中で1番と言っていいほどカイトが詳しかった。
「、、闘気?」
『闘竜紋』
「まだまだ練習段階だけど、にっひひ、驚いたでしょー、カイト」
各属性の竜の力を扱い戦う竜紋に、カイトとアッシュに教えてもらった魔闘術を応用したラゼッタのオリジナル。
『ギガントブロウ』
風の拳がラゼッタに向けて3つ放たれる。
ダァン!!
ブォン! ブォン! ブォン!
放たれた風の拳を全て布を弾く様に軽々しく弾きながら、距離を詰める。
『アイスインパクト』
バキィン!!
グゥン!!
『Eストライク』
ガキィン!
放たれた氷塊を容易く粉砕するも、真下から突如突き上がってきた黒い円柱にラゼッタは咄嗟にガードするも上空に吹き飛ばされる。
『Bバルカン』
吹き飛ばしたラゼッタを見て、円柱を無数の手のひらサイズの球体に分裂させ、サティアが追い討ちをかける。
バサンッ!
『ドラゴンブレス』
空中で翼を使い体勢を立て直し、口から魔力の息吹を吐き出して、飛んできた球体を全て砕く。
バサンッ!!
そしてそのままサティアに向かって真っ直ぐ飛び出すラゼッタ。
『Eストライク』
ブゥン!
(ここにきて更にスピードが?)
『Αソード』
5本の剣を生成し、向かってくるラゼッタに向けて放つ。
バサン!
(また避けた?でも)
予め放った見えない円柱が、ラゼッタの避けた先の軌道に落とされていた。
(よし!)
ガキィン!!
「え?」
ラゼッタと円柱がぶつかる直前、突如上を見上げ、円柱を弾き飛ばしたラゼッタ。
「うわっ、本当にあった、、」
「まさか勘で攻撃したっていうの?」
「へへーん」
「いや、ドヤ顔するとこじゃないよ」
更にスピードを上げて飛んできたラゼッタ。幾度も妨害を試みるサティアだが、全て躱していくラゼッタ。
「やばっ!」
放った円柱を避けられとうとう間合いまで詰めてきたラゼッタ。
「この距離なら!」
『スレイニル流・燐砕』
上下左右から円柱が襲いかかってくるも、無理やり体を前に出し、武器を逆手持ちし、側面から槍を放つラゼッタ。
『Γシールド』
スッ!
目の前に壁を展開するサティア。がしかし壁が展開しきる前に、一瞬だけラゼッタの姿が揺らいだのを見て、全身に悪寒が走ったサティア。
(絶対に後ろ!)
『Eスパイク』
振り返りながら最速で足元から一本背後に向かって巨大な針を突き出したサティア。
「うぐっ、、」
振り返ると横腹に針が突き刺さったラゼッタが、ゆっくりとはにかみ、ゆらりと消えた。
『スレイニル流・三頭竜』
分身、いや幻惑という確認を脳内で処理している間に、懐に入り口に挟んだ槍と両手に持った槍をサティアの首元に突きつけたラゼッタ。
『勝者!!ラゼッタ選手!!』
「「「「うぉおおおおおおお!!!!」」」」
「「「「わあああああああ!!!!」」」」
「すげぇえええ!!!」
勝者が宣言された瞬間、会場が歓声で震え上がった。
『執念とも感じとれる食らいつきが魔女の喉元を捉えたぁああああ!!」
試合が終わり、いつの間にか入っていた全身の力を抜き、椅子の背にもたれかかるカイト。
「あぁーーーー!!俺もあの場所に立ちてぇ!!」
大会に参加出来ないのを今の試合を見て悔いるカイト自身の中で益々モチベーションが上がっていくのが感じられ、じっとしていられない気持ちになる。
『さぁ続いても大注目、四貴族を有する学園の対決です!!Bブロック!!グレアモル学園vsネロゴート学園です!!』
『それでは早速先鋒戦!!グレアモル学園先鋒バッキアvsネロゴート学園先鋒ジェイル!!』
両者控室から舞台へと上がり武器を構えた。
『始めぇ!!』




