第2章 大陸大会本戦 Ⅱ
「よし、これでオッケーだ、後は全力を出し切って頑張れよ!応援してるぞ」
「うん!ありがとうカイト!頑張ってくるね」
「あ、セニカー!順番決め始めるよー!」
「ごめんごめん!今行くー」
セニカの身だしなみを整え、控室へ走っていくセニカを見届けるカイト。
「カイトと何話してたの?まさか、こっちの情報を盗みに!?」
「あっはは、違うよ〜、ちょっと朝急いで着替えたから乱れてて、直してもらってたの、それと少しばかり勇気もね」
「ふん!今のカイトは信用ならないからね!」
「おい、普通に聞こえてるんだからなラゼッタ!」
スタタタッ!
カイトの声を聞くなり、足早にセニカの腕を引いて消えていくラゼッタ。
「ったく、酷い言われようだな」
1年の試合が終了し、急いで観客席に戻るカイト。
『これより大陸大会2年の部!準決勝に参りたいと思います!!』
『まずはAブロック!!ウルミスト学園vsエリュムヘルト魔法学園の対決だぁ!!』
『ウルミスト学園先鋒スカーレット選手vsエリュムヘルト魔法学園先鋒パラ選手!両者舞台へお上がりください!!』
熱烈な拍手に迎えられ、スカーレットとパラが入場した。
『それではこれより先鋒戦、、始めぇ!!』
ダァン!!
試合開始のゴングと共に、地面を抉りながら、パムラとの距離を縮めにいくスカーレット。
「武器を取り出してないが、何をする気だ?」
迫る途中、パムラの放つ地形変化の魔法を、パルクールの様な身のこなしで躱していき、放たれた攻撃魔法を変化した地形を利用しながら避けて、迫るスカーレット。
『換装』
地形変化で出来た土のトンネルをくぐり抜けた瞬間、いつの間にか手にしていた弓を使いスカーレットが僅かに離れた位置から矢を放つ。
『バーストショット』
ビュン!!
『アクアバースト』
パァン!!
「っ!」
スッ!
ガォン!!
放たれた炎の弓矢に、水の衝撃波をぶつけて相殺するも、風属性を纏った2本目の矢が間隔を置いて放たれていて、衝撃波を貫きパラに迫るのを、気付いたパラが、ギリギリでしゃがんで避けた。
しかしパラが避けている間に、スカーレットはもう目の前まで前進しており、大剣を大きく振りかぶっていた。
『剛破斬』
「っ!」
ガァン!!
縦に勢いよく振り下ろされようとする大剣に、パラは距離を取って避けるのではなく、前方にステップして近付いて、蹴りを放った。
少し驚くスカーレットだが、すぐに反応し、振り上がっている大剣の後ろに移動し、大剣を盾にして蹴りを防ぐ。
「くっ」
あからさまに不機嫌な顔になるパラは、急いで距離を取ろうとするも、スカーレットが追いかける。
「はぁっ!」
今度はいつの間にか手に持った縄で、走るパラを拘束し、電撃を流すスカーレット。
「んぐっ!」
グワンッ!!
ピタッ
『勝負有り!!勝者スカーレット選手!!』
電撃で感電したパラを拘束した縄を、力一杯自分の目の前に引っ張り寄せ、剣をパラの首に当て、先鋒戦に勝利したスカーレット。
「へぇ〜、換装の技術を自分の武芸百般の異能を組み合わせて、その場その場の最適解を即座に相手に当てる戦い方、ファミル先生の授業でむちゃくちゃ強くなってんなスカーレット」
そしてそのままスカーレットは中堅戦まで相手を倒して、副将戦で力尽きた。
「惜しいとこまで行ったな!」
『続きましてウルミスト学園次鋒!セニカ選手!』
「おっ!次鋒でセニカか!頑張れー!!」
セニカの登場に席を立って、誰よりも大きな声で応援するカイト。
「おい、あれって、、」
その声に気が付いて、観客席にいた何人かが、カイトの顔を思い出す。
しかしそんな事カイトには見えておらずセニカの試合に集中する。
『それではこれより副将戦!始めぇ!!』
スッ!
『火炎鷲』
ブォンッ!!
副将ザンガスは、試合開始と共に両腕を前に掲げて、巨大な炎の鷲を生成し、セニカに放った。
ピンッ!!
ブォン!
瞬間、ザンガスの生成した炎の鷲は見えない速度で横切ったセニカの魔法剣によって斬り裂かれる。
『捌ノ劔・水流大蛇』
8本の魔法剣が一列になり、蛇の様に空中をうねりながら、ザンガスに向かっていく。
『サモンズゲート』
ズゥゥゥゥ
ガァン!!
地中から空いた黒い穴から巨大なゲートが出現し、中から巨大な黒い腕が出現し、セニカの魔法剣を鷲掴みし、粉砕した。
『アルバギガント』
「グフッ!」
瞬間的に過剰消費した魔力で鼻から血を噴き出すも、何とか耐えるザンガス。
「、、せめて、もう1人は道連れにさせてもらうよ」
3メートル大のゲートから、這いつくばりながら出てきたのは、5メートル大の巨人、まだ成長途中であるギガント種の王種の魔物だった。
『るあぁぁああああ!!!』
王種の放つ威圧と咆哮に、会場内がざわつき始める。
「王種?、、初めて見たけど、おっきいね」
カイトから貰った獅子の柄をした純白の剣を取り出し、ファウスト流の構えを取るセニカ。
『ロォ!!』
パァン!!
ガァン!!
『地形そのものを変形させて戦うギガント種の王種アルバギガント!!果たしてセニカ選手!王種を相手にどう戦う!?』
アルバギガントは両手を目の前で鳴らすと、それに呼応するかの様に、セニカの両側の地面が隆起し、セニカを挟まんと勢いよくぶつかり合った。
「直接地面を操ってるのね、、これだと地上戦はまともに、、」
セニカは魔法剣を一本生成し、その上に乗り滞空し、アルバギガントへと飛び出した。
『ルァ!!ラァ!!』
今度はアルバギガントの目の前に巨大な壁が生成され、そのままセニカに向かって倒される。
『八十八夜』
乗っている魔法剣を加速させて、同時に4本の魔法剣を眼前に展開し、刺突による一点攻撃で壁に穴を開け、回避する。
『ブァ!!グゥゥゥラァ!』
セニカが壁を突き抜けた瞬間、アルバギガントは生成した小石をセニカの足元の魔法剣にぶつけて破壊し、空中から落下するセニカに6本の岩柱があらゆる方向から、セニカに放たれた。
ズガガガガガッ!!
一瞬押しつぶされたかの様に見えたが、中心部分で僅かに押し返そうとしている力が見え、次の瞬間、6本の岩柱が全て一本の白い魔法剣によって粉々に斬られていった。
「ん?あれって?」
セニカの操る魔法剣をよく見ると、獅子の柄をした剣だった。
「成程、直接剣に魔力をコーティングして、魔力を介して間接的に操ってんのか、、でも使う魔力が魔法剣より多くなるし、速さも出ないとかでその案は無くなったと思ったんだけどな」
『よく見ろ、ありゃあ魔力だけじゃねぇぞ』
アッシュに言われ、もう一度よく目を凝らして見ると、僅かながらに闘気も纏っていた。
「おぉ!セニカにも闘気が!しかも分裂させて操ってんのか!?」
『ちげぇよ!もう一度よく見ろ!あれはただ単に魔力を纏わせて操ってるんじゃねぇ、闘気と繋げてんだよ』
もう一度目を凝らして見ると、持ち手とセニカの纏っている闘気が僅かに繋がっているのが見えた。
『あれは魔闘術の応用みたいなもんだ、お前の闘剣と同じで、剣に闘気と魔力を纏わせて、プラスで闘気の糸で操ってる』
「ヨーヨーみたいな感じだな」
『よーよーが何かはわかんねぇがわかったならそれでいい』
6本の岩柱を破壊した後、セニカの闘気は消えていった。
『まだちゃんと完成はしてねぇみたいだな』
「すげぇな、セニカの観察眼」
(ふぅ、、やっぱり魔力消費激しいなぁ、、こんなのをいっぱい使えるって流石だなぁカイト)
『ロォ!!』
一息つく暇もなく、セニカの頭上から3本の岩柱が降り注ぐ。
『御劔の舞』
生成した10本の魔法剣が一瞬にして岩柱を紙きれを切るかの様に、切り裂いていき、遂に魔法操剣の射程圏内までにアルバギガントに近づいたセニカ。
「せあああっ!」
10本の魔法剣が一斉にアルバギガントに斬りかかる。
バキキキキキキィン!!
魔法剣がアルバギガントの肉体に触れた途端、音を立てて砕けた。
「硬い、、だったら」
セニカの胸から光の玉が出現し、やがて姿を変え、一匹の獅子が現れた。
『グルルルル』
セニカと契約してから1年が過ぎ、その姿は昔の可愛らしい幼獣の頃とは少し変わり、立髪も少し生え始め、人間で言う青年ぐらいの見た目となっていた。
レオは目の前に佇む巨人に対し静かに喉を鳴らしながら、一歩ずつ近づいていく。
そして足元まで移動すると、巨人が拳をレオに振り下ろした。
ドォン!!
地面を深く抉った拳を真似戻すが、抉った地面の先にレオは居なかった。
『グルルルル』
拳を振り下ろした瞬間、レオは速やかにアルバギガントの足元をくぐり抜け、背中を登っていった。
ガァン!
背中に違和感を感じたいアルバギガントは背中を強く叩くも、避けながら首元まで迫ったレオは牙を立てて首筋に噛み付いた。
カプッ
噛みついた瞬間、なんとも可愛らしい音が聞こえたが、次の瞬間レオ噛んだ位置から激しい炎が吹き荒れた。
ブォォォォッ!!!
『ルアアアアア!!』
「レオ!練習の成果見せるよ!」
『ガウッ!!』
気がつくと顔の位置まで近づいていたセニカに、レオが飛び移り光の玉となって純白の刀身に溶け込んでいった。
『スピリットソウル』
純白の刀身から豪炎が吹き荒れ、乗っていた魔法剣からジャンプするセニカ。
『レオソード』
炎がセニカの周囲にまで広がり、正面から姿を捉えている巨人からは巨大な獅子の顔が映っていた。
シュイン!!!
ブォォォォォォン!!
アルバギガントの首を最後の抵抗に伸ばした腕ごと一刀両断し、切り裂かられた場所から炎が吹き荒れ、瞬く間に巨人の体を燃やし尽くした。
「魔力をいっぱい使っちゃったな〜」
ブゥンッ!
背後から空間魔法を使い現れたザンガスが右手に炎の魔力を込めながら、出現した。
「レオ、お願い」
ブゥン!
ドォォォォォォン!!
レオがセニカとザンガスの間に現れ、火球を出してザンガスを吹き飛ばすレオ。
『勝者!!ウルミスト学園!セニカ選手!』
「ふぅ、、それじゃあ後は任せよっかな〜、勝ってよね四貴族同士の戦い」
セニカの勝利が宣言された後、セニカが降参した。
控室に戻ると、ラゼッタが最初にセニカを出迎えた。
セニカは何も言わず、ラゼッタはセニカの肩に手を置き、舞台へと上がった。
『さぁさぁさぁさぁ!!!前年では初戦で敗れ叶わなかった対戦カード!!皆がこの2年の部で求めていたマッチ!!四貴族同士の戦いぃぃぃ!!』
ドォォォォォォン!!
「「「うぉおおおおお!!!!」」」
「「「わあああああ!!!」」」
「待ってましたぁぁぁ!!」
『エリュムヘルト魔法学園大将!!呪われた家系と恐れられ、名乗ると死が纏わりつくと言われる魔女王セトラの姓を自ら名乗った命知らず!!サティア・セトラの登場です!!』
『対するウルミスト学園中堅!!かの伝説の悪竜ヴリトラと戦い生き抜いた伝説の屠竜者スレイニルの家系!屠った竜の数は数千、いや数万!竜は狩れても魔女は狩れるのだろうかぁぁ!?』
「呪われた家系だの、命知らずだのって失礼ね、、」
「数万は言い過ぎよ」
互いに過剰に話を盛った実況に対して愚痴を口にしながら、舞台へと上がる。
「やっとこうやって戦えるねラゼッタ!」
「んーーーっ!!手加減無しでいくよサティア!」
『始めぇ!!』




