第18話揺れる心、交差する想い
第18話:揺れる心、交差する想い
廃墟を離れた俺たちは、森の中の小さな洞窟に身を潜めていた。月明かりの代わりに、焚き火の小さな炎が揺れている。
「……ありがとう」
ぽつりと呟いたのはセレスだった。
「私、あんなふうに歌ったの、初めてで……怖かった。でも、みんなが……あなたが、いてくれたから」
その目には、まだ不安が残っていた。でも同時に、かすかに灯る自信の光も見える。
「お前の力は、本物だ」
俺はそう言って、セレスの肩にそっと手を置いた。「これからも、お前の歌がきっと誰かを救う」
「……救えるかな、本当に」
「俺は信じてる」
その時だった。エリスが静かに口を開いた。
「力には代償がある。あの歌は……セレスの命を削るものかもしれない」
場の空気が、一瞬で冷えた。
「……どういう意味だ?」
クロウが低く問う。
「私の推測よ。けど、魔力の流れを見ていた。あの歌、魔法とは違う“何か”を引き寄せてた。人知を超えた力を……神に近い何かを」
セレスは黙ったまま、手を握りしめる。
「なら、なおさらだな」
俺は立ち上がり、焚き火の前に立つ。
「セレスが歌を使うなら、俺がその代償ごと受け止める。命が削られるなら、俺が隣でそれを支える」
「バカか、あんたは」
エリスが呆れたように言う。でも、その口調にはどこか優しさが滲んでいた。
クロウが火を見つめたまま、ぼそりと呟く。
「……だからお前は信じられるんだよ」
焚き火の炎が揺れ、影が壁に映る。その影の中で、俺たちはそれぞれの想いを抱えながら、次の一手を考えていた。
闇の教団は、必ず再び追ってくる。
けれど、この夜が終わる頃には、俺たちはもっと強くなっている。
——そう信じていた。




