第17話囚われの少女と誓いの歌
第17話:囚われの少女と誓いの歌
森の奥深く、月明かりがわずかに差し込む廃墟の中で、俺たちは静かに息を潜めていた。
「……本当に、大丈夫なの?」
かすれた声でセレスが問いかける。彼女の手は小さく震えていた。今まで彼女を襲ってきた恐怖は計り知れない。それでも、俺を信じようとする瞳が、闇の中でかすかに輝いている。
「俺が守る」
短く、だが力強くそう告げると、セレスの肩の力が少し抜けたのが分かった。
それを見て、クロウが低く笑う。
「フッ……まったく、よく言うぜ。追手はすぐそこまで来ているってのに、守る余裕なんてあるのか?」
「だったら、一緒に守れよ」
「ハッ、それもそうだな」
クロウは短剣を抜き、入り口の影へと身を隠した。エリスも魔導書を開き、詠唱の準備を始める。
そして——
「見つけたぞ! ここだ!」
低く響く怒号とともに、廃墟の扉が蹴破られた。
現れたのは、黒いローブを纏った男たち。闇の教団の追手だ。
「セレス、下がってろ!」
俺は剣を構え、彼らに立ち向かう。クロウが素早く動き、最初の敵の喉を切り裂いた。エリスの魔法が、次々と敵を吹き飛ばしていく。
だが、敵の数が多すぎる。いくら倒しても、次から次へと湧いてくる。
「……くそっ、このままじゃ埒が明かない!」
その時——
「歌います……!」
震える声で、セレスが前へと進み出た。
「何を——」
言いかけた俺の言葉は、次の瞬間、完全にかき消された。
彼女の歌声が響き渡った瞬間、すべてが変わった。
空気が震え、光が揺れ、闇の教団の男たちがその場に崩れ落ちる。
「な、なんだこれは……!?」
クロウでさえも目を見張るほどの、神聖なる響き。エリスが驚愕に目を見開く。
「これが……セレスの力……!」
歌が、敵を圧倒する力を持つ。それを目の当たりにした俺は、心の奥で確信する。
「お前の力は……恐れるものじゃない」
セレスの歌は、世界を救う力だ。
ならば、俺がすべきことは一つ——
「セレス、俺と誓え。お前を二度と、誰にも傷つけさせない」
彼女は驚いたように俺を見上げ、そして、かすかに微笑んだ。
「……はい」
その誓いが、新たな戦いの幕開けとなることを、俺たちはまだ知らなかった——




