第14話逃亡の準備とエリスの決意
第14話:逃亡の準備とエリスの決意
クロウの忠告を受け、俺たちはすぐに宿を出る準備を始めた。
夜の静寂の中、荷物をまとめながらセレスに目を向ける。彼女はまだ少し不安そうだったが、それでも震える手でしっかりと荷物を抱えていた。
「……本当に、逃げないといけないんだね」
「ああ、だけど"逃げる"んじゃない。"生き延びる"んだ」
そう言うと、セレスは少しだけ表情を和らげた。
ドアの外に足音が聞こえ、俺は警戒しながら剣に手をかける。だが、入ってきたのは見慣れた金髪の女性——エリスだった。
「間に合ったみたいね」
「エリス……どうしてここに?」
「クロウから話を聞いたの。貴族たちがセレスを狙っているって」
エリスの視線がセレスに向かう。優しく微笑みながら、そっと彼女の手を取った。
「あなたは、歌が好き?」
「え……?」
突然の問いに、セレスは驚いたように目を瞬かせた。
「……好き、です。でも、それで……処刑されかけました」
俯くセレスの手を、エリスは少し強く握った。
「なら、奪わせちゃダメよ。あなたの歌は、あなたのものなんだから」
その言葉に、セレスの瞳が揺れた。
エリスは俺の方を向き、真剣な目で言った。
「私も一緒に行くわ。セレスを守るために」
「……本気か?」
「ええ、本気よ。私は護衛としても優秀だし、戦いもできる。何より……セレスを一人にしたくない」
その言葉に、セレスは驚いた顔をしてエリスを見つめる。
「……いいの……?」
「もちろんよ。あなたが自分の歌を奪われないように、私も手伝いたいの」
エリスの優しさに、セレスは小さく息を飲んだ。そして、次の瞬間——
「……ありがとう……ございます」
涙を堪えながらも、しっかりと感謝を告げた。
「さて、じゃあさっさと出るぞ。追手が来る前にな」
俺は剣を腰に収め、ドアの外を確認する。
こうして、俺たちは新たな旅路へと歩みを進めた。
——次回、「逃亡と初めての戦い」




