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翌朝、朝の涼しい空気と少し湿った潮の匂いを感じてリリベルは目が覚めた。
「あぁ、ここは海が近いんだなぁ」
嗅いだ事のない匂いだけど、きっと潮の香りなんだなって思った。
伸びをして横を見るとザック殿下は朝の鍛錬に出たのか既にいなかった。侍女を呼んで支度を手伝ってもらう。
それからスネイプニル達の様子を見に厩舎に向かうと、昨晩、ご紹介いただいた次女さんと、もう一人同じくらいの年齢の少女が果物を入れたカゴを抱えて立っていた。
「おはようございます」
リリベルが挨拶をすると「わぁ本当に火の粉の妖精様だ〜」と少女がそう言った。
「妖精様、おはようございます。こちらは私の異母妹になりますが同じ年なので友達のように仲良くしています」ともう一人の少女をご紹介下さった。
お母様が違っても仲がいいのは良いことだねと、リリベルはニッコリ微笑む。
「もしかして馬達用に果物を持って来て下さったのですか?」
「はいバナナやパパイヤがお好きだと聞きました」
「ありがとうございます。ですが馬達は危険なので、お二人は近付かないようご注意下さいね」
「はい。遠くからなら見ていてもいいですか?」
「柵の外からなら大丈夫ですよ」
2頭はずっと外で過ごしたのだろうか、牧草を食べた形跡はあるけど厩舎はあまり汚れていなかった。
「サオリ、セノビック、おはよう。果物を頂いたよ」
と声を掛けると馬達は木陰からやって来た。
「どう?ここは過ごしやすい?疲れは取れた?」
リリベルは2頭に果物をあげながら健康状態を確認する。
「今日は、この街の朝市と船や海を見てくるよ。明日はサオリやセノビックも一緒に連れて行くから、今日は大人しくしておいてね」
2頭は砂まみれだけど元気そうだった。
最近は砂遊びで直ぐに砂まみれになるので、あまりブラッシングをしていない。
砂遊びの方が楽しいのか水遊びもねだってこない。
まさかこの国では水が貴重だから遠慮してるのかな?
ザック殿下もいるからそんな事はないはずだよね?
と思いながら2頭を撫でていると「リリ〜」とザック殿下の声が聞こえてくる。
「わぁフェニックス様だ!」
少女がまた驚いている。
ザック殿下は王弟殿下とご長男と、もう一人少年を連れて歩いて来る。
「彼は私の異母弟でこの家の末っ子です」
ご長男が10歳くらいの少年を紹介して下さった。
兄弟みな仲良しなのね。
リリベルは北の国の大家族を思い出して微笑ましく思った。
朝食は市場で食べるそうでバニヤンが屋敷の門で待っていた。
「ラクダ!」リリベルは思わず叫んでしまった。
「ラクダには、まだ乗ってないんだってな?だからラクダを用意したよ」
「どうやって乗るんですか?」
「普通の馬と同じだが、ラクダは馬より少し気性が荒いんだ」
認めた人間以外、無差別に攻撃する白い馬よりマシな気はするけど…。
「馬と一緒?」
ラクダには既に鞍が装着してあったが、馬よりかなり背が高い。
どうやって乗るんだろう?!だけど乗ってみたい!
「興味を持ったな?こうやって鞭で足に合図すると姿勢を低くする」
バニヤンが鞭でラクダの足を叩くとラクダがしゃがんだ。
鞭で叩くの?痛くないの?かわいそうじゃない?
リリベルは鞭に抵抗を感じて、風魔法を使って体を少し浮かせてラクダに飛び乗ってみた。
『わっ!』
周囲が驚きの声をあげたのが聞こえたが、ラクダの方も急に乗られてビックリしたのか飛び上がったので、リリベルはそれどころじゃない!
手綱をしっかり握ってラクダを制御しようとする。
ラクダは驚きながら少し走ったが、ちゃんと言う事を聞いてくれた。それに直ぐに落ち着いたみたいで大人しくしてくれた。
「そう言えば火の粉じゃなくて火柱って言ってたな…」
バニヤンの呟きを聞いてアイザックは苦笑する。
結局、バニヤンと王弟殿下、リリベルとザック殿下、長男さんと次女さんの相乗りのラクダ3頭で出発する事になった。
第二夫人のお子さん方はお留守番で手を振って見送って下さった。
本当はバニヤンと長男さんのラクダに私とザック殿下が、それぞれ乗せてもらうはずだったらしい。だけど私が一人で乗りこなしてしまったので、急遽、次女さんも王弟殿下もラクダで行けることになってしまった。
でも、ここのラクダはよく訓練されていれるそうで、バニヤンが乗ったリーダー格のラクダに着いて行くように躾けられているらしい。
それにしても視界が馬よりすごく高い。
だから砂漠の砂の上も平気なんだろうか?スピードも思ったより出る。
リリベルは楽しくて仕方なくなってきた。




