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子爵令嬢から王子妃になりました!でも王族を抜ける予定です!多分?  作者: 朱井笑美


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 夕飯は船団主との晩餐にお呼ばれした。

 そして私はまた妖精の装いにされた…。


 まさかこの格好も引き継ぎを受けているのだろうか?もう妖精じゃなくても良いんだけど。準備してくれた侍女達も「ヨシッ出来た!」と満足そうだったし…。

 ザック殿下は「可愛いから良いんじゃない」とは言ってくれたけど。


 二人で会場に入ると私を見た王弟殿下が「プッ」と吹き出した。

 一瞬、彼を睨みたくなったが我慢して「もう見飽きましたよね?」と言うと「そうでもないよ。ホラッ」と彼に言われた方に目を向けると、船団主が目を見開いてこっちを見ていた。


 私?ザック殿下?両方か…。

 ここでの晩餐スタイルもラグ上のクッションに座ってお膳が運ばれてくる形式だった。

 地べたに座るのは最初は足が痺れたりして大変だったが、南の国でも畳と座布団がよくあったし、もう随分と慣れた。足が痺れる前にそっとスマートに向きを変えるのもお手のモンだ。

 この国ではマギーさんや他の女性貴族、特に第一夫人と呼ばれる方々の所作を随分と盗ませてもらった。

 私だってただ“火の粉の妖精”としてチヤホヤされていた訳ではない。


 正気に戻った船団主が改めて我々にご挨拶され、隣りに座った第一夫人とご長男と次女を紹介して下さった。ご兄妹はやはり金の瞳をされておられた。

 奥様は一人だけ?と思っていると第二夫人は平民出身なので、お子様と共にこの場にはいないのだと仰った。

 平民は王族との正式な席には同席できない。だが、いずれどこかでご挨拶をと仰った。


 奥様方は二人だけだそうで船団主は「気軽にバニヤンと敬称無しで呼んでくれ」と仰った。船団の名前にもなっているバニヤンとは菩提樹という大きな南国の木なのだそうだ。

 この屋敷の敷地にもあるから、また案内して下さるそうだ。


 リリベルは彼の長女が、ここに居ないのが気になったが…

「ご長女殿は嫁がれて、もう居られないのか?」

 ザック殿下も気になったのかお尋ねになった。


「あぁ長女!忘れてた」

「父上!」ご長男の叱咤の声が重なる。

「姉はまだ海におります。明日の夜か明後日の早朝には戻るとハヤブサが連絡を伝えて来ているのですが…」

「ああ私達が早く来過ぎたのですね?」

「間に合うはずだったのだがな。ワハハハ」

 とバニヤンは豪快に笑う。


「危うく王弟殿下も抜くところだったからな」

 とザック殿下が言うと

「そうだ!お二人はどれぐらいで、こちらにいらしたのですか?」

 王弟殿下もバニヤンも興味津々で私達を見ていた。


「…5日?でも本当なら4日で来れた」

「あの神獣は空でも飛ぶのか?」

 バニヤンが驚愕の表情でそう言った。

 ごもっともな質問ですな。


「父上、門の兵士の報告では、彼らは竜巻と共に現れたのだとか」

「なるほどフェニックスか!」

 全く関係ないぞ!

 我々の無の表情の横で、王弟殿下は一人お腹を抱えて笑ってらっしゃる。

 ホント楽しそうだね〜。


 翌日は朝から街中を案内して下さるそうだ。

 この街は王都と違って今が他国との交易で一番賑やかなのだそうで、新鮮な魚介を扱った朝市もたくさん立つと言う。

 それを聞いたリリベルの心が踊る。

 他国は夏場が交易の最盛期だからだそうで、夏場は嵐も多いが冬場は海がしけって船団も減るそうだ。


「我々の船は蒸気船だから冬場の航海も問題ない。北の海が凍っても大丈夫だ」

 バニヤンは自信たっぷりでそう仰る。


「だけど夏場の嵐の方が面倒なのだ。しかし他国は風や水属性の水夫が多いだろ?だから互いに苦手な時期をずらしたり、利点を補い合えればメリットの多い貿易関係が結べると思うんだ」

 

 バニヤンはそう言うが海の事はサッパリ分からない。

 なんせリリベルは森専、土専なのだ。お陰で目がパチクリなる。

「妻は海を見た事がないのです」

 ザック殿下がそう言うと「私も初めてなんですよ」と王弟殿下も仰った。


「明日の朝市の後、我々が乗る予定の船も見せてやろう。楽しみにしとくと良い」

 バニヤンにそう言われて、リリベルはその夜も大興奮でなかなか寝付けず、ザック殿下に笑われた。

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