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子爵令嬢から王子妃になりました!でも王族を抜ける予定です!多分?  作者: 朱井笑美


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「王弟殿下〜!やっぱり王弟殿下だった」

「えっリリベル妃?アイザック王子!何でもう居るんですか?!」

 私達は村の宿の食堂で王弟殿下御一行にバッタリ出会った。


「そうでしょう!意外とスムーズに来れちゃって、私達、これから朝ごはんです。」

「全く驚かされますね。いつ王都を出られたんです?もしかしてパーティには出なかったんですか?!」

「いいえ。ちゃんとパーティには参加して翌日に出て来ましたよ」

「まだ4日しか経ってないじゃないですか!ここまでは屈強な兵士でも最低一週間はかかるはずですよ」


「私達はスネイプニルで来ていますから」

「そうでした…」

 彼は思い出したように大きく溜息を吐く。

「私達はこれから出ますので、あなた方はまだタイミングをズラしてから来て下さいね。あちらも迎える準備がありますから」


「ここから港の街までどれぐらいですか?」

「我々はこれから出発してお昼頃に到着する予定です。もうここからは道も整っていますから」

「馬で5、6時間くらい?私達、いつ頃到着したら良いですか?」

「できれば明日の午後以降が良いですね」

「分かりました。夕飯ぐらいの時間を目指します」

「王弟殿下、お気をつけて!」

「あなた方も」


 王弟殿下はそう仰ると護衛達と宿を出発された。

 私達はこの村には昨晩到着した。ザック殿下とこのまま村を通過して港の街を目指そうかと話していたのだけど、宿の厩舎の馬を見て、もしかしたら王弟殿下がいらっしゃるんじゃないか?って話になって村に宿泊する事にしたのだ。

 マジで正解だったね。彼らを抜かさなくて良かったよ。


 この村はキャラバンの通り道で生計が成り立っているそうだが、今はキャラバンのシーズンオフなので宿も空いている。シーズン中になると沢山の人で賑わって道や広場にも出店が立ち並ぶそうだ。だから村と言っても結構大きい。でも今は何も見る物がない。


「ザック殿下、明日の夕方に出ればいいですよね〜。それまで何をしましょうか?」

「そうだなぁ、隣は礫砂漠だったしな。なあ親父、この辺りは何か見る物他に無いか?」

 ザック殿下が朝食を食べながら食堂の料理人に聞く。


「ここはキャラバンが通る以外は何も…ですが20年くらい前、礫砂漠にルビーの鉱脈がありました。掘り尽くして、今は無いそうですけど、その名残りに地中に掘られた大きな洞窟がありますよ」

「おぉ砂漠の洞窟!」

「何か危ない物がいそうじゃないか?」

「盗賊などはおりませんよ。皆が知る洞窟ですし、ただヘビなどの小型の爬虫類や毒のある虫やサソリ、コウモリなどはおりますので、もし行かれるならお気を付け下さい」


 洞窟はここから馬で30分くらいだそうだ。

 そして日中でも洞窟内は涼しいらしい。スネイプニル達とお出掛けにもちょうど良い感じじゃない?

 私達は宿にお弁当を作ってもらって午後から洞窟に行くことにした。


「サオリ!砂漠に洞窟があるんだってよ!お散歩に行こう。オヤツも沢山持ったよ!」

 スネイプニル達も元気そうだった。

 こんなに暑い国を連れ回しているのに本当に馬達はタフだ。

 むしろ何にでも興味を示してくるし、嫌がったこともない…スゴイな。


 馬で30分くらいの距離ならスネイプニルなら10分もかからない。

 あっという間に教えてもらった洞窟に着く。

「洞窟内は若い村人のデートスポットにもなっているから、先客に気を付けて」

 と弁当をもらう時に宿の女将に言われたけど、さすがに夏の炎天下には出掛けないのか、一見、無人そうだった。


 洞窟の入口は大きく、緩やかな傾斜で馬と一緒に普通に入ることができる。そして少し奥に進むとヒンヤリと涼しい。中は薄暗いが所々に灯りが取れるようロウソクが置いてある。

 なるほどデートスポットか。涼しいし二人きりになるのにちょうど良いのだろう。


 でも隣を歩く妻は手に小さな炎を出して辺りを照らしている。

 魔石の魔力でも無さそうだし属性外なのに本当に器用だな。

「炎も出せるんだな?」

「小さいものならね」

「そうか氷も作れたもんな」

「小さい物だったらですよ」

「俺も練習したら炎出せるかな?」

「真反対の属性ですから、風の方が向いているのでは?」


「君は関係なさそうだが」

「う〜ん。土以外はどれも相性は変わらないですかねぇ。でも今は地面に協力してもらってます。砂漠って私と相性良いんですよ」

 森じゃなくて?!そうかリリの属性は土だ!


「だから道中、オアシスを何度か見つけたのか!」

「水源を探る協力を砂にお願いしてました。でもコースを外すものは除外だったので道中のものだけですよ」

「でも砂漠でオアシスを見つけたらラッキーだって言われただろ?」

「ん〜魔法を使えばそうでも無いかと」


「皆、君ほど使いこなせないだろう?」

「それが不思議というか、おかしいんですよ。魔法は努力です。ザック殿下も水魔法使いだから水源は探せるはずです」

「そっか!」

 それを聞いて俺は目から鱗が落ちる思いだった。

 天気の雨雲と同じで水の気配を探るんだ!リリはそれを地面に聞いてやっている。


 本当に彼女といると学ぶ事が多い。

 それにリリに着いていけば何とかなるっていつも思える。

 俺はいつ彼女と同じラインに立てるのだろうか?

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