93
「凄いですね〜いくらルビーが出るとは言え、よく岩だらけの砂漠の地中を掘りましたよねぇ」
「人の欲だな」
「確かに」
馬達は鞍を外して自由にしてあるが大人しく着いて来ている。でも時々、何かに反応しているから洞窟内の小動物や虫に反応しているのかもしれない。
「どの辺りまで行ってみますか?結構、先は長そうですけど」
「探検か〜少しワクワクするな。何も無いと知っているけど洞窟なんて初めてだし」
「奥は道が幾重にも分かれているから慣れない者は行かない方がいいって言われましたよ」
「でも君は迷わないだろ?」
「そうですけど…どんどん狭くなって危ないかもですよ」
「そうだな。馬達が通れる所までにしようって…ちょっと待て!君はルビーの鉱脈も地面に聞けるんじゃないのか?」
「もう掘り尽くしたって…でもまあ聞いてみてもいいですけど」
ザック殿下は普段、宝石なんて興味がある人では無いだろうけど宝探し気分なんだろうな。
まあ暇だからいいけど。
リリベルは壁の岩に手を当てて魔法を流す。
「ルビー?ええと何だろう?宝石?ガラスじゃ伝わらないか…透明な赤い石。赤じゃなくてもいいけど透明なのよ。あなたの仲間の中に水晶みたいな透明の石が混じってたりしないかな?」
意味が伝わったかな?しばらく岩に聞いてみる。
触れた岩が隣の岩に聞いてくれる。
私達のいる範囲だけでいいよ。
‥‥‥しばらく返事を待ったけど無いみたい。
やっぱり掘り尽くされているのかな?
「殿下、返事がないから、やはり無いみたいですよ」
「そうか。そう簡単に見つからないよな〜。もう廃鉱なんだしな」
「もし見つかっても、数メートル地中とかだったら掘らないといけませんよ」
「確かにな。あったとしても今は掘れなかったな」
私達は灯りが要らない入口付近まで引き返して敷物を敷く。
入口近くはコウモリもいないし虫やヘビも出てこない。
馬達はすでに勝手に洞窟内を散策している。彼らは夜目が利くから色々見えているんだろう。馬が入れるくらいの穴なら、そう奥までは行けないだろうから迷う事もないはずだ。
だけどジャングルの時のように、やっつけたヘビやトカゲは持って来ないで欲しいなと思っていると、洞窟の奥の方から悲鳴のような声が聞こえてきた。
「何だ?!」ザック殿下が立ち上がる。
再び悲鳴だ。間違いなく人間の声だ。
「何でしょうか?もしかして先客がいらっしゃった?」
「あぁ〜…」
私達はあまり洞窟内に入らなかったが、もっと奥の方には誰かがいたのかもしれない。地元の人なら奥の方もきっと詳しいのだろうから。
殿下と二人でマントのフードを被り髪が見えない様にして、洞窟の奥の方を見守っていると若い男女が走り出て来た。手を繋いで逃げて来たところを見るとデート中のカップルだったのだろうけど「奥に何かいる!」と慌てている。
もしかしてスネイプニル達が邪魔をしてしまったのだろうか?とザック殿下と顔を見合わせる。
「大丈夫ですか?」と尋ねると二人は落ち着いたようで「いきなり何か獣のような物が現れたのでビックリした」と言っていた。
やっぱりスネイプニル達がお邪魔をしてしまったようだ。
「恐らく私達の馬だと思います」と言うと安心されていたが、二人は朝、歩いて来て、日が暮れる前に歩いて帰る予定だったそうだ。
村では馬は貴重で、村人は洞窟まで歩いて来るのが普通なので、こんな所に、しかも洞窟内に馬がいるとは思わずビックリしたのだそうだ。
それは当然だ。驚かせて申し訳なかった。
「私達はこの辺りにいて、お弁当を食べたら帰ります」
と伝えると二人は安心して、また奥の方に消えて行った。
洞窟のリサイクル?無料の相引き宿なのね…。
お弁当を食べ終わる頃、馬達も散策し終わったのか戻ってきた。
「サオリ、セノビック、楽しかった?オヤツがあるよ食べる?」
とリリベルが声を掛けると2頭は何かを咥えている。
まさか!
「ちょっと待って!」とリリベルが警戒するが「何咥えてるんだ?石か?」とザック殿下が仰った。
「石?」
セノビックが咥えていた物をポトリと敷物の上に落とす。
そして「ココナッツをくれ!」とザック殿下にせがんでいる。
ザック殿下がココナッツをナイフで割るとセノビックは美味しそうにココナッツジュースを飲んでいる。
「ザック殿下、これ多分ルビーの原石だ」
セノビックが持って来たのは、リリベルの手のひらくらいの大きさの石に、赤い半透明の石がくっ付いている。
「もしかしてサオリも?」
ザック殿下がもう一つココナッツを割ってサオリに差し出すとサオリもポトリと石を落とした。
やはり同じように赤い結晶が付いた石だった。
「凄いな。スネイプニルって宝石も見つけて来るんだな!」
ザック殿下は嬉しそうに2頭を撫でて果物をあげていた。




