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パーティの翌日、私達は王宮を出発する。
スネイプニルで火山の国の西側の海へ、大型船が出る大きな港の街に向かうのだ。
事前に紙面で説明をされても船は実際、見てみないと分からない。だから現地で実物の船を見てから乗船を決める事にした。
その為、パーティ前の午前中は港までの道や道中の宿など、王配様や宰相閣下、なぜかマギーさんと次男さんも加わって皆から説明を受けている。
私達の宿などはスネイプニルの厩舎の説明を含め、全て次男さんが手配をして下さっているそうだ。
彼が今は家業を全て担っているそうで、主に港と王都間の輸送を一手に引き受ける大きなキャラバンを抱えているそうだ。そしてご長男が大型船の船団の船主らしい。
凄い一族だ。だから、今回の西への船での外交はマギーさんの協力が欠かせなかったのだ。
この度、王弟殿下も西に行かれるそうで、すでに単身で私達より先に港に向かわれているという。予定では私達の到着を港で迎えてくれるらしい。
私達が船で帰国するかは、全てサオリ達の判断にかかっている。
私としては海や大きな船が見れるだけでワクワクするから、サオリが陸路を選択するならそれで良いと思う。
まあそれも今日のパーティが終わってから考える事にしようと思う。
とりあえず今はパーティを乗り越えなければ!
今回もリリベルは妖精に仕立てられている。
宰相の昼食会に招待された時と同じような装いだ。ザック殿下も同様だ。最後までフェニックスと妖精の設定にされるのね。これで最後だ!そう思えば頑張れる。
妊娠していてもお色気タップリなドレスを纏った女王陛下、それをエスコートする王配様と共に会場のホールに入場する。
するとその場は静まり返り、皆、一斉に私達に注目した。
女王陛下が私達を紹介すると拍手と歓声に包まれ、生演奏の音楽が流れ出しパーティが始まった。
この国では我々の国のような社交ダンスはない。
演奏も、初めて見る火山の国の独特な楽器による演奏だ。
内容も主に立食での飲食と歓談を楽しむ場とされ、パーティによっては踊り子の舞や歌手による歌が披露されるショーもあるそうだ。
奥さんや夫が複数いる貴族や富豪達もパートナーという形で相手を伴うのではなく、夫達、妻達または息子、娘と家族単位で動いている。
こういう場で複数の配偶者を権力や富の象徴として見せるのね。
あまりに家族が多いと全ては連れて来ないらしいけど、最近では男女共3人くらいの配偶者を持つのが主流らしい。
人口が減っているからかな?
例えばだけど…夫が3人いる女性が、それぞれの夫の子供を産んだとしても夫は自分の子は一人だけだ。それに女性は夫に2人以上子供を持たせてやろうと頑張れるだろうか?
男性が妻3人の場合、その妻達も複数子供を産めば良いが、歴史家の先生やメリッサさんのように「一人産んだら自由だ!」と思っている女性ばかりなら、やはり子供は増えない。
もし、一夫一妻制度だったなら…その人の子供を「一人産んで自由の身だ!」とはならないだろう。しかも恋愛関係で結ばれた夫婦なら尚更、愛する人の子供を一人以上持ちたいと思うはず。
やはり男女双方の意識改革が必要なんだろうな。なんて思っていると、いつの間にか私とザック殿下は沢山の人に囲まれてしまっていた。
通訳にメリッサさんが付いていてくれているが、皆、挨拶だけじゃない様子だ。
女王陛下は挨拶された後、妊婦なので王配様と共に壁際のソファに下がられた。しかも今日はあなた方が主役よと言わんばかりにウインクを送って来やがった!ムカつくんですけど!
リリベルはいつもの“顔だけ笑顔の人”になった。
どうせ言葉が分からない設定だ。
何か話し掛けられてもニコニコとメリッサさんを見るだけだ。
時々、ザック殿下に「男性だけで話そう」みたいなお誘いもあったが、そんな時は目をウルウルさせて皆を見た。
「妃殿下は王子殿下と離れるのが、とてもご不安だそうです」
と言ってメリッサさんも断ってくれる。
火の粉の妖精バージョンだ。
ただし女性の敵を作り過ぎないよう火加減が大事。
今日はすでにご飯をしっかり食べてパーティに臨んでいるので、前回のように「食わせろ!」みたいなイライラもない。
何事もなく笑顔だけで乗り切れそうじゃんと思っていたら、嫁と娘らしき女性達を連れた貴族の中年男性が挨拶にやって来た。手には二つのグラスを持っている。
「先程からずっとご挨拶が大変そうで、喉が渇かれておりませんか?」
とスマートに飲み物を手渡してくれた。
「マルガリータというテキーラを柑橘系のジュースで割ったこの国の有名なカクテルです」と言って。
「どうもありがとう」
そう言ってグラスを受け取ったザック殿下の左手の指の指輪が光っている。
これ何か入ってるね?私のも光ってる。
飲むとどうなるの?




