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子爵令嬢から王子妃になりました!でも王族を抜ける予定です!多分?  作者: 朱井笑美


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「リリベル妃、南での事件の後、宰相だった弟は事件に関与していなかったから罪には問われませんでした。しかし石にされた弟の…彼の屋敷は役人達が入り、地位も財産も奪われ一家離散しました」

 リリベルはその話に息を飲みつつも、昼食に出されたサモサを齧る。カリカリの生地の中にスパイスで味付けされたジャガイモが美味しい。


「本来であるなら弟の家族も一蓮托生で断罪されるはずでしたが、それぐらいで許され、かなり軽い刑で済んだのです」

「宰相は宰相の地位を降り、あなたは王族を抜けて一族を減刑にされたのですね?」

「仰る通りですわ。元々、私は遠い昔に王族籍を抜けるつもりでしたので籍を取っておいて良かったという事ですわね」

 リリベルはパクッとサモサを口に入れる。


「こんな時によく食べれるな」

「こんな時でもお腹は空きます。それにお腹が空くと考える事が出来なくなりますから」

 そうだった…妻は栄養の大半が脳に回るんだった。とアイザックが考えていると「まあウフフ。妖精様は逞しいのですわね。一つ学びました」

 マギーさんが微笑ましそうに笑う。


「妖精ちがーう!」と妻がツッコミながら「どうせこの国では西と南の国に犯した罪は隠されている訳ですから、石になった弟の一族を重い罪に問う方が、逆に周囲は不審に思うでしょう?石化だけで十分なんじゃないかと」自論を述べ始めた。


「だけど前宰相の弟一族が離散しても、弟一派は権力を笠に着て世間には嫌われていたから周囲は何とも思わない。そもそも家業で呪術をやっている弟一家は表向き家業を秘匿し、家族も呪術をやっているほとんどの人が存在を隠されていたんじゃないの?」

 リリベルはサモサの油で汚れた指を手水で洗ってスプーンを握る。


「私、この国の刑法を少し教えてもらいました。もしかしたら本来、財産没収や一家離散どころじゃなく、王族に掛けた呪いの事実を…口封じに全員処刑だったんじゃないかと…それを前宰相もマギーさんも救ったんじゃないの?」


「…いつからその結論に?」

「今です。でもここに滞在を始めてから、マギーさんや次男さんに毎日少しずつ話を聞き出しながら情報をまとめていました」

「サモサがもう脳に行ったのか?」

 スルーされたが毎度の事だ。

 次男はもうずっと目を見開いて絶句している。

 リリが当主相手に誘導尋問をしていたせいか?それかリリの外見と中身のギャップに驚いているからか…。


 当主も再び大きく息を吐いている横で、リリは話しながらも、すでにデザートに移っていた。

 バナナとパイナップル、マンゴーやタピオカの浮いたココナッツミルクを幸せそうにスプーンですくって口に入れている。

 もう直ぐ無くなりそうだ!

 アイザックは自分のデザートの器をリリベルの方に移動させると、次男も慌てて自分のデザートをリリベルの前に移す。リリベルは目を輝かせて2杯目に突入した。


「そんな事なさらなくてもお代わりはありますわよ。ああ別のデザートにしましょう。ちょっと、そこのあなた!ココナッツアイスを妖精様にお出しして!」

「カヤジャムもかけて下さい!」

 ココナッツ三昧か…。


 更に話を聞くと、女性当主の一番最近加わった夫が石化された弟の息子で彼女の甥だった。甥は本来、血縁が近いので夫にはなれないが、父親の籍を抜けて身分を変えたので戸籍上は問題ないらしい。

 それに実際、夫だが支援枠の方だ。

 息子も父親に教育を受けて高度な呪術を使える。だが彼は王都の土産屋に呪物のアクセサリーを制作して卸す仕事を、当主の後押しでやっているだけだった。


「女王に呪物を仕掛けるなどあり得ないし、彼は全てを忘れて新しい道をすでに歩いている人です」

 と当主が神獣フェニックスに誓ったのだから信じてもいいのだろう。

 だが彼の他の兄弟は?

 この国の権力者の子供が一人という事はまず無い。


「前宰相の元に身を寄せている兄弟もいるんですよね?むしろ、ほとんどがそっちに」

 王配殿下はそういう意味も含めて、前宰相の屋敷を見張らせているそうだ。だが前宰相の屋敷では以前から不審な動きは全く無いという。

 だから女王に薬物や呪物を仕込んだ犯人探しも行き詰まっている。


「女王陛下の飴を食べて腹痛を起こした侍女。恐らく彼女が飴を混入させ、寝室に呪物を置いた犯人ですよ。王配様に伝えて下さい」

 リリベルはデザートを食べ終わるとスプーンを置いてそう言った。


 その後、それを聞いた女王陛下が「あり得ない!」と長年侍女だった女性を庇ったが「そんな人が女王の飴を食べる方が、あり得ません」とリリベルが断言すると女王は我に返っていた。


 皆、彼女が劇薬を飲んでしまった被害者だと、そちらに目が行き過ぎだ。刑法には、王族の飲食物は下賜されない限り勝手に食べたら処罰の対象だとある。なのに侍女は女王が飴を食べる前に、未然に服毒を防ぐ事ができたと無罪放免されていた。

 毒味役でもないのに、それはおかしい。

 

 前宰相の弟一家の呪術を扱う一部の者は隠されていた。

 弟の娘の顔と名前を誰が知る?

 娘がどれだけ長く女王に仕えていたとしても、父親と女王を天秤にかけた時に、オモリはどちらに傾くのか?

 保身と先の事を考える頭があるなら、どう考えても女王である主人だと思うけど、彼女はどう考えただろうか?

 父親がマヌケな表情で石化され庭園で晒し物にされているのだ。


 あれから女王の侍女は牢に捕えられたが黙秘しているそうだ。そりゃあそう簡単に口を割らないよね。

 でもリリベルにはきっと口を割らせる事ができる。

 女王陛下と王配様に頼んで彼女に面会させてもらう事にした。

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