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子爵令嬢から王子妃になりました!でも王族を抜ける予定です!多分?  作者: 朱井笑美


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 サオリ達が砂遊びしている傍らで、リリベルは今日も“ココナッツ石”と睨めっこしていた。


 スネイプニル達は恐らく…夜中に抜け出して、きっと砂漠に行っている。誰にも見られてないようだし、迷惑も掛けて無さそうだから目下、黙認中だ。


「リリベル妃殿下、午睡を取らなくても良いのですか?」

 マギーさんの息子さんが声を掛けて来た。

 手にはマラサダを盛ったお皿やフルーツが浮いたアイスティを載せたトレーを持っている。マラサダは街中でも食べたが、私が喜んでいるのを見て、このお屋敷でもよくオヤツに出してくれるようになった。


「私は夜にしっかり寝るので、お昼寝すると夜眠れなくなるんです」

「そうですか。では昼食後のオヤツとしてどうぞ」

 ザック殿下は私より早起きして、ここの護衛達と毎日、身体を動かしているのでよくお昼寝をしている。


 マギーさんには息子さんが二人いる。

 一人は独立していて、仕事で普段から王都にいないそうだ。そして次男さんは結婚をせずお屋敷にいらっしゃる。何か理由があるのだろうけど。


「オヤツ、ありがとうございます」

「ずっと、その石を見ていましたね?」

 その件はスルーさせて頂く。

「あの…この国の重婚の仕組みなのですが」

「はい」

「女性は何番目の妻になろうと母親になりますが、男性は全員、夫になったとしても父親になれない人がいますよね?男女比率の同じこの国では、少なくとも男性の3分の1が子孫を残せない計算になります。その事は問題にはならないのでしょうか?」


「…さすが王子妃ですね、そういう事を気にかけるとは。美しいだけじゃないんですね…あぁそうか!あなたは女王をやり込めたんでした!」

 そう言いながら次男さんは笑った。

 この人はとても中性的な雰囲気のある人だ。男性的な部分を見せないから褒められても下心を感じない。


「リリベル妃、私には男性の恋人がいるんですよ」

「そうですか」

「驚かないのですね?」

「私の同級生にもそういう方がおりましたから」

「なるほど」

 彼の方が意外だと目を見張っている。この国では滅多にない事なのだろうか?


「私も最初は家族に隠していたのですが、母には見抜かれてしまいました。それで母はそれを知った後、私の恋人を自分の夫に迎えました」

「それは…あなたを苦しめる為じゃなく、あなたとその恋人を救済する為ですね?」

「そうです!よくお分かりに」

 そう言って次男さんは嬉しそうだ。


「私達は愛し合っています。だから私の恋人は、そのまま母の夫のポジションにいるでしょうが、間もなく夫の一人は独立を申し出ると思います」

「独立ですか?」

「はい。彼は自分の事業が軌道に乗ってきたので母から離れるのです。つまり離縁します」


「もしかして支援の意味で夫になった方は、そうやって成功したら出て行くのでしょうか?」

「そうですね。そういう者が多いです。彼も結婚を待たせている内縁の女性がいますから」

「だったら結婚じゃなくて、ただの出資者でもよくないですか?」

「結婚とは社会で信頼を得る行為でもあるでしょう?」

「そうか。その男性はお母様の後ろ盾を得て成功なさったのですね」

「そうです。そして離縁の条件は支援された恩を慰謝料として利子を付けて返済する事です。なので母も損はしません」


「だから父親にならない男性はもう少し少ないと仰るつもりですか?成功する男性は案外少ないのでは?」

「ハハハッそこまでお分かりですか。だけど一夫一妻の国でも公にされてないだけで、似たような事は裏で沢山あるはずでしょう?特にあなたの母国は女性の当主も多いですから」


「そうかもしれません。でも人口増加を目指すなら一夫一妻は…そう単純にはいきませんよねぇ。きっとこの国では何かもっと…違うパフォーマンスが要るか」とリリベルが頭を捻っていると「まさか我が国の人口問題を考えて下さっているなんて、あなたは面白い方だな〜」

 そう言って次男さんは大笑いされた。


 いや全く考えてませんよ。石化の解呪のついでですよ。

「リリ〜おはよ〜」

 その時、ザック殿下がちょうどお昼寝から起きてきた。


「アイザック殿下!良かったらご一緒にオヤツをいかがですか?ちょうどリリベル妃にお出ししたところだったんですよ」

 おぉ。彼は殿下に対する態度の方が嬉しそうだ。

 やっぱり男性が好きなんですね〜。

 ん?赤い髪のせいか?どっちもか。

 なんせ殿下は、それが無くてもモテモテですからね〜。

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