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子爵令嬢から王子妃になりました!でも王族を抜ける予定です!多分?  作者: 朱井笑美


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 私達が宮殿を移動すると決めた日、その夜、騒ぎが起こった。

 王配様や王子殿下、皆で夕飯を頂いている時に「女王陛下の毒味役に異変が起こった!」と、女王の侍女が王配様の元に駆け付けて来たのだ。


 皆で女王陛下の元に急いで向かうと、腹痛を起こしお腹を抑えながら苦しむ女性が一人と、医師と思われる女性や複数の侍女、護衛達が部屋にいた。


「ルドベキア!」

 王配様が慌てて女王陛下に駆け寄る。

「私は大丈夫よ。寝る前のお茶を頼んだのよ。お茶の毒味では大丈夫だったのに、お茶を運んで来た侍女がいきなり苦しみ出して」

「彼女は毒味ではないのか?!」

「ええ私の侍女よ。それまではずっと元気だったのよ」


「陛下、原因はお茶ではなさそうです。痛みの場所が胃ではありませんし食道にも炎症はありません」

 医師の女性がそう告げる。

「腸の辺りかと思いましたが下痢の症状も無く、ただ下腹部が声も出せない程、痛むようです」

「じゃあ、ただの突発性の病気?盲腸かしら?」

「本当にただの病気か?呪いや(まじな)いでは?他の毒物の可能性もないのか?!」


 リリベルはそのやり取りを聞いて、大理石の壁に手を当てて呪物のような怪しい物が部屋にないか壁の石に聞こうとした。しかし、その前に気になる物を女王の机の上で見つける。

「リリベル妃、何か気になるのか?」

「女王陛下、執務用の机に載った瓶の中身は何ですか?」

「これかしら?これは飴よ。でもずっと食べているわ。最初は食べ悪阻の症状をこれで抑えていたの。そして今は栄養管理で空腹を紛らす為に食べているの」


 リリベルは高さ20センチ程の透明なガラス瓶を手に取る。

 丸い形の飴は緑や黄色、赤など様々な色が数種類ある。もしかしたら飴が薬物なのではないか?リリベルは飴を何粒か手のひらに載せてみる。


「リリ、赤だ。赤い飴を触ると指輪が光った」

 横にいたザック殿下がそっとリリベルに囁いた。

「!」

「女王陛下、侍女は陛下の飴を食べたのでは?そして飴の中に毒物があるようです」

「何ですって!」

 飴の瓶は医師の手に渡り、直ぐに成分が調べられる事になった。


 侍女は痛み止めの薬が効いてきたのか会話ができるくらい回復してきた。

「お前、私の机の飴を食べたの?」

「陛下、申し訳ありませんでした」

 女性は泣きながら床にひれ伏した。


「何色の飴を食べた?」

 ザック殿下が尋ねる。

「赤いのを。一番、赤い飴が多くあったので」

「確かに赤が多いわ。飴を足した覚えはないのに…」

「食べたのはいつ頃だ?」

「少し前です。午睡から戻って空腹でつい」


「合成された化学物質でなければ成分が判るかもしれません」

 リリベルは赤い飴を一粒握って魔法を込める。

 学院の薬学の授業で、もしくは神殿で取り扱っている植物や薬なら分かる。

 だが勘が言っている。“堕胎薬”恐らく子宮に左様する薬ではないか。


「あ、これ…イチゴだった」

 周囲がガックリしている。ごめんなさいだ。

 

 気を取り直してもう一個と思っていると、ザック殿下が「コレだ」と渡してきた。

 殿下の指輪も反応したのね?

 リリベルは再度、飴に魔力を込める。やっぱりだ。


「西の神殿で取り扱う堕胎薬と同じ成分がこの飴に含まれます」

「飴が増えたのはいつだ?!ルドベキア昨日は?今朝は?」

 王配様が取り乱し真っ青な顔で女王陛下の肩を掴む。

「ちょっと、あなた落ち着いて!リリベル妃、これは1粒でどれだけの影響があるの?」


「妊娠初期は流産します。中期は早産になるかと。後期以降は死産になる為、妊婦には取り扱い厳重注意の劇薬です」

 女王陛下も絶句して顔を青ざめさせた。

 なんせ激しい腹痛を起こす程の子宮の収縮を促す薬なのだ。国では痛み止めと併用して堕胎薬にはしているが、使われる事もかなり稀な薬だ。


「直ぐに王宮の全ての出入り口を封鎖しろっ。そして女王の部屋に出入りできる者を全員集めろ!」

 王配殿下の指示で一気に王宮内が慌ただしくなった。

 

 リリベルは再度、大理石の壁に手を当てて女王がいる建物全体の異物を確認していく。宮殿はかなり複数の建物があり規模が大きいが、女王は移動の負担を減らす為に居住と執務を今は一つの建物に集約しているという。そこだけでも危険な物は取り除きたい。


「王配様、建物の上から異物をお知らせします」

「そんなにあるのか?!」

「まだ上の階だけだから分かりません。それに昔からある物なのか、最近仕掛けられた物なのか…それに呪う物だけではないでしょう?この国では願掛けの(まじな)いもある」

「確かにそうだ」

 王配様は大きく溜息を吐かれた。


「全ての呪物を見つけ出すんだな」

「専門の神官様なら悪い物だけを見つけるのかもしれませんが、私が頼るのは石ですから。石が異物だと判断し効力を発揮している物だけを教えてくれます」

「妖精の力か?」

「土属性の力ですっ!」

 思わずムキになって答えてしまった!


「王配様、信頼のできる人だけを向かわせて下さい。じゃないと」

「そうだな。解決にならないな」

 その日は夜通し呪物探しと、女王陛下の身の回りを世話する人間の尋問に明け暮れた。

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