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子爵令嬢から王子妃になりました!でも王族を抜ける予定です!多分?  作者: 朱井笑美


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 夕食後、ザック殿下とスネイプニルに乗って王配様が教えてくれた王都近くの砂漠に出掛けてみた。


 日暮れ前だったので太陽が砂漠に沈んで行く雄大な景色を見る事ができたけど、太陽が沈むと真っ暗になって辺り一面何も見えなくなってしまった。月明かりだけで街灯もないから本当に真っ暗だ。

 隣のザック殿下の顔すら見えない。サムのアドバイスでランタンを持って来ていて正解だった。


 美しい星空の下、私達は砂漠に敷物を敷いてランタンを置いて座る。

 鞍を外したサオリとセノビックは楽しそうに砂漠に走って行った。

 真っ暗なせいで自分達の周りしか見えないけど、きっと2頭はもの凄く砂を巻き上げて走っているんだろうな。そして立て髪とかシッポとか砂まみれで帰って来るに違いないと考えていると「リリ、寿司食べたいな〜」とザック殿下が呟いた。


「夕飯食べたばかりなのに。でもなんか分かる。お米って時々、無性に食べたくなるよね」

「1ヶ月も南の国に居たしなぁ」

「でもこの国のスパイスの効いたご飯も美味しいよね」

「ヤギはビックリしたな」

「トカゲや蚕も食べたのに?」

「そうか。ヤギはかなりマシだった」


 それから二人で少し治癒魔法や光の剣を練習していると2頭が満足したのか戻って来たので、宮殿に戻った。

 

 翌日の朝も、歴史家の先生からこの国の歴史や文化について学ぶ為、図書室に向かうと、また王弟殿下がお見えになった。

 先生に昨日の宰相閣下主催の昼食会の件を報告すると、宰相閣下も良心的で人格者だから、事前に一族にも本人達の意思がないのに新たな伴侶を勧めないよう、きちんと言い含めて下さったのだろうと仰った。

 だけど私達も自分達以外の伴侶をいかに必要としないかアピールできただろうから、これからもその調子でやっていくと良いと仰って下さった。


 今日も貴族の家で昼食会があると伝えると、もし食事の時や食後に、男女で別れる場面があり、二人が離されるようなら従う必要はないとアドバイスをくれた。

「一時でも別れるのが辛いと駄々をこねるといいですよ」

 と王弟殿下が仰った。なるほど心にメモだ。


「先生、私には女性を勧めてくるのに、妻には男性を勧めてこないのは何故なのでしょうか?」

「そう言えば火の粉の妖精は男性にとって、憧れでもあるのですよね?」

 自分で言うのも何ですが…。


「それはリリベル妃がアイザック殿下の所有物、もしくは殿下の財産であると考えているからです。つまり殿下から妻に誰か紹介してくれと言わない限り、他人の財産に勝手に手を出す行為は、とても無礼な行為となり時には泥棒として断罪されます」


「じゃあ私は安心って事?」

「アイザック殿下に打診はあるかもしれません。リリベル妃を貸して欲しいとか」

 え?!私は物?私の意思は?


「君達の親密度を見れば無理だと分かるから、あまり心配は要らないよ。でも良からぬ奴はいるから要心はした方がいいね」

「それは(まじな)いや飲食物に何かを盛られるような事もあるからですか?」

「っ!」王弟殿下は息を飲まれた。

「…そこまでご存知でしたか」

 先生も苦虫を噛みつぶしたような顔をされる。


「恐ろしいのは呪物や薬物の影響で、自分の意思ではない言動に持っていかれる事です」

「だが君達、王族を招待するような貴族や商人は、そんな事をするような人達ではないよ。彼らはプライドもあるし外交の重要性や他国に危害を与えた時のリスクもちゃんと理解している人達だ」


 前宰相閣下の弟で王族から呪いとか(まじな)いや呪物を、たっぷり仕掛けられた側としては、ちょっとそれは信じ難いのだが…。

 それこそ、そういう人達はバレないように巧妙に仕掛けてきたり、逃げ道を用意してやるのではないだろうか?


「ザック殿下、私達には神様のペンがあるから呪いや呪物は効かないとして、薬物はどう対処しましょうか?」

「王弟殿下、先生、薬物には何か対処の仕方はあるのか?」

「飲食物は一見、口に含んだだけでは分からないのが実情です。とにかくハーブやスパイスはこの国では何種類もオリジナルのブレンドを趣味としてやっている人も多いのです」

 そう言えば“スパイス天国火山の国”だったわ…。


 とりあえず昼食会の主催者の貴族は信頼できる者だと王弟殿下は仰った。だけどお茶会の女性当主は年上過ぎて面識が少なく、彼も詳しくは分からないそうだ。

 先生も研究一筋で社交界はあまり精通していないそうだが、噂では夫が何人もいるやり手の金持ち貴族の女性だそうだ。


 女性の事は女性に聞くか。

 私達は女王陛下に面会を依頼する事にした。

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